ケイケイの映画日記
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2010年08月16日(月) 「ゾンビランド」




実は先々週の木曜日に観ています。ダメだなぁ、最近。コメディだと聞いていたのに、何故15R?と謎でしたが、そこはほれ、きちんとゾンビもののセオリーを踏襲、人肉食いちぎり内臓ドバドバなシーンもあり、なるほどと納得(ちなみにニューカマーの全速力ゾンビ)。笑いあり涙ありロマンスありの秀逸なロードムービーになっており、ゾンビマニア以外の方にも(内臓ドバドバも大丈夫であれば)お勧め出来る作品です。監督はルーベン・フライシャー。

突如猛威を奮うゾンビウィルスのため、「ゾンビランド」と化したアメリカ。引きこもりの大学生コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)は、自ら作った「32のルール」のお陰で、何とかゾンビにならず生きながらえていました。長らく会っていなかった家族が心配になった彼は、故郷を目指す事に。その途中でゾンビ退治に命を燃やすタラハシー(ウッディ・ハレルソン)と知り合い、同乗することに。途中詐欺師姉妹のウィチタ(エマ・ストーン)とリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)とも、ひょんな縁から同行することになります。

爽やかなゾンビ映画。ゾンビ映画の様相を呈しながら、実は引きこもり青年の成長、過去の傷のある男の再生、詐欺師姉妹の本当は心細く純情な心情を、とってもヘンテコに浮き彫りにしています。そのヘンテコぶりやヘタレぶりがとにかく笑わせてくれます。笑わせながらやがてしんみり、涙を誘ったり心がホカホカするんだなぁ。

この辺りがセンス抜群なわけでもなく、泥臭いわけでもなく、半歩進んでいたり、下がっていたりで、絶妙のお笑いの間合いでした。でも私は本当に楽しんだんですが、何故か私の観た梅田シネリーブルは、ちょっとクスクスくらいで、私のバカ笑いが恥ずかしいのなんの。何故大阪の客はノリが悪いんだ?

ハリウッドへ渡って、とあるビッグゲストが出て来たりのお遊びのあと、一行は一路パシフィックランドなる遊園地へ。ここに来るには苦しい言い訳がありますが、もうそんなの完全に不問。ここでのゾンビとの攻防戦が楽しいのなんの。全力疾走ゾンビである利点を生かしまくって、遊園地の絶叫マシーンに自分も乗り込んでいる気分にさせてくれます。

それともう一つの気に入りは、とにかくハレルソンがカッコイイ!私はまだ彼に毛がふさふさしていた頃の「ラリー・フリント」が一番好きなんですが、それと同格くらい、この作品の彼が大好きです。何とワタクシと同じ年、丑年です。一見イカレタ禿げ親父と見せかけて、ゾンビを仕留める時のガンさばきなんてね、あの渋さと流麗さが混濁する様子なんて、若造には真似できませんて。やっぱり男は(以下省略)。

若造と言えばアイゼンバーグ君。「イカとクジラ」「ハンティング・パーティ」を踏襲した役柄でしたが、今回は何故か素の彼の素敵さが透けて見えました。今まで以上にヘタレで貧乏くじっぽい役なのに。これすなわち彼の俳優としての成長なのでしょう。あの鳥の巣のような髪をばっさり刈り込んだら、多分ハンサム君だと思いますが、当分この路線で「この役はアイゼンバーグしかいない」を確立してから、次に飛躍するのもいいかも。

エマ・ストーンは初めて観たけど、ちょいビッチ&なかなかセクシーで良かったです。まだ若いんですが、何故か退廃的な匂いも醸し出し、私は本当は15歳でアビゲイル産んだお母さんだったんだ!というオチがあるのかと思っていましたが、普通に姉のままでした。アビゲイルはだいぶ大人っぽくなっていて、ちょっと憂いも出てきていました。次に会う時が楽しみです。

ベスト10に入る傑作とか、そういう作品じゃないけど、全米で大ヒットは肯ける出来。この手の、マニアから普通の人まで満足(そこそこではなく)出来て楽しめる作品は、そうないですから。暑気払いに是非劇場でどうぞ。


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