ケイケイの映画日記
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2010年01月05日(火) 「アバター」(3D字幕)




皆様、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。

三日に夫となんばパークスまで観に行きました。続々映画友達の方々の感想が入る中、私は2Dで観たかったのですが、夫がどうしても3Dに拘るので、一番鑑賞環境の良いパークスをチョイス。あっと言う間の三時間で、とっても面白かったです!内容の大味感が物議を呼んでいるようですが、それも含めて「大作」と言う名にふさわしい、久々に満足出来る作品でした。

戦場で負傷し下半身不随になった元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)は、未知の衛星パンドラの赴きます。パンドラでは莫大な利益をもたらす鉱山が採掘されていました。先住民族ナヴィと友好をはかりたい為、人間とナヴィのDNAを融合させた肉体「アバター」が開発されており、遠隔操作でアバターに意識をリンクさせると、アバターは自由に体を動かせるのです。ジェイクは亡くなった双子の兄の代わりにパンドラに来ました。ナヴィの森で出会った少女ネイティリィ(ゾーイ・サルダナ)を通じて、ナヴィの生活を深く知る事になります。

ナヴィの様子は原始時代を思わす造形ですが、大木に大きな木の葉、精霊が降る様子のロマンチックさ、打って変って夜の密林の猛々しさ、断崖からの滝の雄大さなど、本当に美しいです。それと対照的なSF部分では、パワードスーツや爆撃機が大活躍。充分時間を取った戦闘場面も、もっともっと観ていたいと飽きさせることがありません。映像は充分堪能出来ます。でも肝心の3Dなのですが、私的にはあまり効果なく、臨場感は感じられませんでした。それと3Dメガネは色彩を損なってしまうので、予告編観られた色彩の美しさが半減。これは夫も同感でした(だから2Dにしようと言ったのに!)。うちは夫婦50割引きを使えるので、通常2000円なのですが、この作品は一人2000円でサービスは使えず、4000円。アトラクション気分を味わうには、ちと高くつきました。




お話の脇線が上手く、ジェイクが現実では下半身不随なので、アバターでは大はしゃぎで動き回る気持ちが、観客にとてもよく伝わります。それと特筆すべきは主要女性キャラが、全て強くてチャーミングなのに、誰も男勝りではなかった事です。科学者役のシガーニー・ウィーバーは包容力と母性を強く感じさせ「エイリアン2」を彷彿させます。「2」の監督だったキャメロンが抱くウィーバーとは、こんな女性なのでしょう。兵士役のミシェル・ロドリゲスも相変わらずの男前さでしたが、女っぷりがすごく上がっていて高ポイント。そしてゾーイ・サルダナ。あまりに画面が滑らかなので、特殊メイクを使っているかと間違いそうですが、体の線の細さから推測すると、CGだと思います。サルダナはモーション・キャプチャに起用されたかも知れませんが、出演は声だけでしょう。しかしこれが感情豊かで素晴らしく、最初は半漁人みたいに見えた彼女が、段々勇敢にして可憐な乙女に見えてきました。マッチョな大佐役のスティーブン・ラングは敵役ですが、渋くて男の華やかさもいっぱいで、作品を上手く盛り上げています。

賛否両論のストーリーですが、私はこれでOKでした。ナヴィの容姿から推測するに、彼らはネイティブアメリカンで、そこへ白人が開拓と称して侵略するという図式。抵抗するネイティブ。今まで幾多の映画で描かれてきた内容で、近年では白人=アメリカです。確かに既視感バリバリだけど、ジェームズ・キャメロンが満を持して放った大作で描かれるということに、意義があるんじゃないでしょうか?

ナヴィの自然を大切にし、生物動物と共存し無駄な争いはしない様子、首長の意見を重んじ神を崇める姿は、神秘的で教訓的な部分もたくさんあります。そんな平和な世界へ暴力的に侵略する軍隊。その内部でも「これでいいのか?」と悩む者も居れば、ナヴィに味方する者、そのまま突っ走る者、色々です。平易に描くからこそ内容が掴みやすく、誰が観ても楽しめるのだと思います。この作品は、小学生くらいの子供たちでも充分理解出来る内容だし、年に数回しか映画館に足を運ばない人も満足すると思います。誰もが楽しめてお客を呼べる大作映画が少なくなった今、私は大成功な作品だと思いました。

キャメロンというと、どうも「タイタニック」以降忘れられがちですが、元々は偉大なB級嗜好監督。今回もキャストは選りすぐりながらもお金をかけず、自分の好きなモノをいっぱい詰め込んだ大アクション映画でした。生涯観た洋画では「ターミネーター」が一番だという夫は、大絶賛。何回も心がウルウルしたんだとか。映画的にはすれっからしの嫁としては羨ましい限り。「多分今年一番の映画になるからと、書いといてくれ!」ですと。そういう映画です。


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