ケイケイの映画日記
目次過去未来


2009年09月26日(土) 「男と女の不都合な真実」




いや〜面白い。男女のあけすけな下ネタ絡みの本音が満載なんですが、軸は至ってオーソドックスな、ハリウッドお得意のスクリューボールコメディです。笑いながら軽く観られるラブコメが観たかったので、とっても満足しています。

才色兼備の美人プロデューサー、アビー(キャサリン・ハイグル)。仕事は出来るが彼には恵まれません。彼女の受け持つモーニングショーは報道志向で視聴率はジリ貧。そこで局のお偉方が連れてきたのが、深夜の番組で下品な男の本音満載のトークが受けているタレントのマイク(ジェラルド・バトラー)。野卑で下ネタした話さないマイクに、アビーは反発。しかしマイク投入後の番組の視聴率はうなぎ登りに。悔しい思いをしているアビーでしたが、隣家に越してきた正に彼女好みの整形外科医コリン(エリック・ウィンター)を落とすがため、マイクに指南仕る事になります。

すごーくテンポがいいです。早口のセリフの応酬が楽しく、かなりエッチな内容もすぐ次に飛んでっちゃうので、下品な会話も深く考える時間がないのが、大変よろしい。それにマイクの語る「頭の中はやりたいだらけ」の男の本音も、私くらいの年になると、ふんふん、そうだわなぁと納得してしまいます。特に私が笑ってしまったのは、セックスレスのキャスター夫婦の仲を、マイクが取り持つシーン。妻の収入が上になってしまって、旦那さん「出来なく」なってしまったんだってぇ。この繊細な男ゴゴロに笑いながら哀愁を感じてしまうのは、女性なら一定年齢以上の人でしょうね。

対するアビーですが、仕事は出来ても恋愛面は乙女心満載で、理想の男はまさに白馬に乗った王子様並みです。しかし実際デートすると、小難しいか職務質問並みの会話しか出来ない彼女。恋愛は相当経験値が低いと思われます。でもこれって、仕事で出世した女性には有りえる話じゃないんでしょか?女性誌なんか観ると、恋も仕事もあきらめないのがイイ女、みたいに書かれているけど、これ相当辛いぞ。この哀しさは、一生懸命仕事している女性には多いと思います。

対するマイクも、マッチョでワイルドな容姿とイケイケドンドンの口説きで、セックスには不自由していない様子ですが、恋愛には不器用で気弱だと、観ていてわかります。出戻った妹と甥を、マイクが大切にしている設定が利いており、ただの下品で下世話な男じゃないと感じさせるところがいいです。

マイクの指南なんですが、コリンを落とすがため、あの手この手の男好きする女にアビーを変身させます。でもそれって本当の彼女じゃないわけね。自尊心と言う点では低いわけですよ。でも最初は抵抗していたアビーも、手練手管でコリン陥落に舞いがってしまうし、この辺はとってもわかる。愛にプライドは邪魔なのかも。

最初は相性最悪だった二人ですが、マイクの指南によって、段々と素敵になるアビーに、いつしかマイクが心惹かれという展開も鉄板ですが、そこまで行くのに数々の笑いのプロットを挿入していて、楽しめます。特に笑えるのがアビーとコリンの野球場デートと、お偉いさんとのレストランでの会食中のアビーの様子。どうぞお楽しみに。

アビーが「私のどこが好き?」と聞いて、理路整然と答えられる相手ではなく、「わからない」と答えた相手を選ぶのは、すごく自然です。だってそうでしょう?私は何でこんな男(女)が好きなんだろう?っていう謎の経験、誰でもあるもの。好きになるのに理由なんかないもん。それを象徴していたのが、エレベーターのシーンです。ああやってドンドン気持ちが盛り上がるのって、わかるなぁ。

ハイグルは新ラブコメの女王誕生!と思わせるくらい、とっても良かったです。美人でスタイル抜群だけど親しみやすく、果敢に挑戦したレストランのシーンなど、よくやった!と同性として褒めてあげたいくらいです。ラブコメの主演女優には旬があって、予告編で「あなたは私の婿になる」のサンドラ・ブロックを観ましたが、もう彼女では笑えないなぁと、予告編だけで痛感します。リース・ウィザースプーンは、その辺を踏まえてシフトを変えたみたいだよね。ハイグルは知的な雰囲気も醸し出しながら、キュートでチャーミングというラブコメのヒロインの必須条件もクリア。あと5年は大丈夫かと思います。

バトラーもあの「オペラ座の怪人」で、多数の善良な婦女子を仮面萌えさせ、ばったばったと悶絶卒倒させたのも伊達じゃない男っぷりでした。この手の野蛮な男性を、チャーミングに演じるのは、意外と難しいもんです。

15禁の作品なのですが、それは主に会話からでしょう。会話がお下劣な割りには、品よくまとまっており、それも好感度高し。監督のロバート・ルケティックは「キューティー・ブロンド」みたいな、何て事ない作品も上手く撮る人で、この作品も王道のラブコメに仕上げています。ベッドのシーンもラストに一回だけ。あの会話は意味深だなぁ。オフ会で盛り上がりそうな作品です。


ケイケイ |MAILHomePage