ケイケイの映画日記
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2007年04月24日(火) 「ハンニバル・ライジング」


前半兜や面を拝む場面が出てきて、このまま格調高いトンデモ作品に終わるのか?と危惧しましたが、それ以降は厚みはないけど、こじんまりまとまって、まずまず面白い作品でした。一番の功労者は、若きハンニバルを演じるギャスパー・ウリエルに尽きると思います。映画はそれなりでしたが、彼は本当に素晴らしい!

1944年のリトアニア。幼いハンニバル・レクターは、戦争で両親を亡くし、妹ミーシャと、山小屋で隠れ住んでいました。そこへやってきた逃亡兵たちにミーシャは殺害され、あることでハンニバルだけが生き残りました。このことが心の傷となり、誰にも心を開かず孤児院で成長したハンニバルは、やがて孤児院を脱走。両親の手紙を手がかりに、叔父の元に辿り着きます。叔父は既に亡くなっていましたが、彼の妻ムラサキ(コン・リー)の手厚い愛情の元、彼は医学生となります。しかしハンニバルは、逃亡兵たちへの復讐を心に秘めていました。

食人鬼ハンニバル・レクター誕生には、こんな哀しい妹との秘話があったんですねぇ。映画史上稀にみる高貴で知的な彼らしい生い立ちも描かれます。幼いハンニバルと妹を演じる二人がとても可愛いです。

全体に話としては、まとまっていますが、ややヌルイです。ハンニバル第一の殺人から警部さんが絡んでくるんですが、この人を上手く使いきっていないし、だいたい次の見通しもつく展開で、意外性はありません。サスペンスとしては可もなく不可もなくと言ったところ。殺人の方法も、まぁあんなもんかな?そんなに目を覆うような場面もなく、グロはほどほど(でもそれは、グロには強い私だから?一応R15作品)。流血もそんなにありません。ただしミーシャの場面は、何も映さないのですがかなり戦慄します。

レディ・ムラサキという素人さんの奥さんが、何故花魁の源氏名のような名前なのかはさておき(いや、本当に芸者上がりか?)、あのご先祖様の祀り方は、多分欧米の方々にはオリエンタルな黒ミサにみえるでしょうね。ここは確かにトンデモでしたが、まっ、目くじら立てることもないと思います。もしかしたら、あのハンニバルの異常な戦闘能力の高さは、神仏のご加護があったのかも?だってムラサキと剣道の練習したくらいで、あんなに一級の殺人者にはならないですよね。

このムラサキさんというのも謎の人で、最初の彼の殺人を上手くカモフラージュしたのは彼女。そんなことをしておきながら、「赦すのよ」とか、矛盾しまくりの事を仰る。そしていくら自分も戦争で身内を亡くし、同じ境遇の孤独なハンニバルの心を慈しんでいるといっても、血も繋がっていない赤の他人なわけ。それを首チョンパの猟奇殺人ですよ、普通はドン引きですぐに家を追い出しますよね?彼を母性ではなく女として愛したというには、そんな濃密な空気は二人からは漂ってきません。何度も出て来る、意外と巨乳なコン・リー姐さんのネグリジェ姿で察して下さい、というのでは、ちと品が良過ぎます。

と色々文句垂れてはおるんですが、書いたこと全て、ギャスパー君で払拭されます。私は初めて彼を観たのですが、文句のつけようのない存在感と演技です。ヨーロッパの貴族階級風な高貴な気品があるし、冷酷さにも生い立ち故の陰りが必要なのですが、それもパーフェクト。そしてとにかく美しい!ジュード・ロウとかブラピとか、世に美しい男性は数々おりますが、こんなトイレに行かないような高貴な美貌は、最近トンとお目にかかれません。話が進むにつれ、目つきや台詞回しがアンソニー・ホプキンスに似てきますが、それも計算していたんでしょうか?

口を血まみれにする彼に、ドラキュラ伯爵を是非やって欲しいと思ったのが、私だけでしょうか?いや〜ん、絶対観たい!

とまぁ、ウリエル君ばっかり褒めた感想ですが、作品としてもまずまずの出来なのは確か。ウリエル君の美貌に魅かれるもんがある方は、是非ご覧になって、悩殺されて下さいませ。


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