ケイケイの映画日記
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2006年11月30日(木) 「ソウ SAW3」

昨日難波の敷島シネポップで観て来ました。このシリーズは、「ソウ」「2」も、市内はナビオだけで公開だったのに、出世したんですね。「ソウ」の時は確か一番小さいスクリーンで、100席前後のとこだったのに。しかし劇場の数・スクリーンの大きさに反比例するかのように、段々面白くなくなっていくのが、シリーズもんの宿命です。この作品もソウみたい、なんちゃって。

前作で自分たちの立場を明かしたジグソウ(トビン・ベル)と”弟子”のアマンダ(ショウニー・スミス)。今回は食肉工場を舞台にしての惨劇です。選ばれたのは、数年前に息子を交通事故で失ったジェフ(アンガス・マクファーデン)。彼の前には、息子の事件にかかわった人物が次々現れます。果たしてジグソウの狙いは?そしてジグソウの延命のため拉致された医師リン(ハバー・スーメク)はどうなる?

もー、あんた「1」の時から死にかけてたはずやんか、のジグソウ。「2」で警察に逮捕されたはずなのに、まんまと抜け出しまだ虫の息ながら生きております。前作二つでは、大きなお世話感満々の彼の歪んだ正義感ですが、今回は趣が異なり、テーマは「赦し」。しかしこの変更が、も〜っと大きなお世話感を倍増させ、シリアルキラーのあんたなんかに言われたかないわ、とまず思ってしまいます。

しかしジグソウは、自分は殺していないのだとか。曰く、あれは「見殺し」なんで人殺しとは違うとか。ふ〜ん。ちょっと知的に言葉遊びなんですが、如何せん今回肝心のストーリーに、「ソウ」の時の仕掛けや謎がなく、大幅にミステリー部分がダウン。

こういう方向に持って行きたいなら、作品に知性が必要かと思うのですが、今回は巧妙に仕掛けられた罠もなく、人を拉致してどう猟奇的に殺すかに比重を置かれた演出になっているので、著しく作品の品格が落ちています。例え汚辱にまみれた場所で惨劇が行われようとも、知性を感じれば、「赦し」「人殺しVS見殺し」のキーワードも上手く浮かんだかも。

巷で大評判のグロ場面の数々ですが、私は大したことなかったです。ただ多少気持ち悪くて汚いだけで、ゾクゾクするような怖さや、目をそむけるような痛みはなかったです。私は普通のホラー好き(と自分では思っている)で、この感想ですから、この手に精通されている方は、評判倒れだと感じるかもです。開頭手術の場面が出てきますが、あれもなぁ。人体模型に手術を施しているのが丸分かりで、興をそがれました。だいたいあんな場所で手術はありえませんから、止むに止まれず手術まで持っていくのに、もっと緊迫感がないとなぁ。ぶつぶつぶつ。

このシリーズお決まりのどんでん返しなんですが、そこに裏テーマが隠されていました(一応秘密)。しかしジグゾーの思惑通りに事が運ぶのは、徹夜して作ったドミノを成功させるより無理があると思われ。アマンダの心模様は自傷する場面もあり、彼女がジグソウを慕う様には哀れがありましたので、それはドンデン返しに有効でした。

ジグソウの元気な頃の回想場面がチラッと映り、綺麗な女性といっしょで、その後のことは藪の中。そして気になるあの子の行方。今回織り込んでお終いにしていたら、作品はグッと締まったでしょうが、まだシリーズは続ける気やねんて。こういうシリーズは、続けるとお笑い系に転じるのがお決まりなんですが。ユーモアは一切ないこのシリーズ、さぁどうなる?

ところで手術なんですが、患者の意識を保ったまま施されていました。手術中に手が上がるか、指が動くか医師が問うのですが、その辺は非常に興味深かったです。当然麻酔は局部のみ。前頭葉がなんちゃらかんちゃら、脳腫瘍の手術で、頭痛を取り除くのと、延命のための手術でした。本当に意識を保ってする頭の手術があるんでしょうか?お解りの方は、どうぞ教えて下さい。


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