ケイケイの映画日記
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2006年08月05日(土) 「ディセント」


大層おもしろいと一部で大評判のこの作品、観て来ました。当初はホームのラインシネマで観るつもりでしたが、レイトで2週間上映、それもお盆を挟んでということで、見逃してはならじと、テアトルまで遠征して観て来ました。キャストもほとんど知らない俳優さんばっかりですが、それが良い方向に転び、確かに今まで観たことのないようなホラーで、充分楽しめました。

一年前交通事故で夫と娘を亡くしたサラを励まそうと、ジュノ、べス、レベッカ、サム、ホリーの旧友たちは、彼女をアメリカのアパラチア山脈の洞窟探検の冒険旅行に誘います。楽しく探検するはずだったはずが、思いがけない崩落事故のため、出口がふさがれてしまいます。当初は観光地にも指定されている場所と聞いていたメンバーですが、リーダーのジュノの独断で、誰も訪れたことのない、秘境の洞窟であるとわかります。悪いことに、地図も車の中に置いたまま。果たして彼女達6人は、無事帰還することが出来るのか?

冒頭渓流下りに興じるサラ、ジュノ、ベスが映り、彼女達が冒険好きの活発な女性であるのがわかります。私はグロもホラーも全然大丈夫ですが、見せて良いグロと悪いグロがあると思っています。子供が血まみれ、陵辱されるなどは絶対NGなので、交通事故のシーンもショッキングですが、子供の様子は見せず、亡くなったとだけわかる演出方法も合いました。

洞窟探検のメンバーも山登り、ロッククライミングなど、皆冒険好きそうなのが会話でわかります。洞窟サバイバルからは、抜群の運動神経を見せる彼女達。絶叫ホラーは、グラビア系の美女がおっぱいユサユサ、短パン・ミニスカで逃げ回るのがお約束ですが、こちら冒険美女達は引き締まった体をアウトドアチックな服装に身を包み、冷静さと知性が感じられ、この辺りも美女大量投下の割にはお色気ムードがなく、珍しいです。私が知っているキャストは、ホリー役のノラ・ジェーン・ヌーンだけ。「マグダレンの祈り」の時と全然感じの違うボーイッシュな役柄で、ちょっとびっくりしました。

ジュノの独断で生命の危険にさらされているとわかってからの心理的な展開は、ちょっと中途半端です。確かに女同士のいがみ合いも出てくるのですが、逃げる際に二手に別れてしまったという不可抗力で、心理的に三つ巴になったりはせず、結局ほとんど一致団結で拍子抜け。もうちょっと女ばかりというプロットを生かした、女のいやらしさを前面に出した方が面白かったかも。

前半は崖から崖をどう渡るのか?この先に本当に出口はあるのか?を、閉塞感いっぱいの穴蔵で、アクション映画さながらのサスペンスタッチで面白く見せてくれます。後半はえっ?という、何となくスティーブン・キングの作品でよくある手合いなのですが、私は大昔漫画でこういう設定を読んだことがあり、その時もすんごい怖かったし、今回も展開として面白く見せてくれたので、不問にしたいと思います。私は人一番どんくさく、彼女たちのような運動神経はゼロなので、一生冒険旅行は止めようと、固く誓った作品でもありました。閉所恐怖症の方や、暗闇にトラウマのある方は、観ない方が無難かも。


以下後半のネタバレ

















洞窟の中には、食人族が住み着いていました。洞窟にずっと住み着いているので、目が見えなくなっており、異常に聴覚が発達しているというのは充分説明がつきます。そのこともうまく使って演出しており、ドキドキ感がアップしました。なんで男ばっかりやのに、こんなにうじゃうじゃおるねん、のツッコミは、これは女ですなの食人族の登場でチャラに。でももっと男女の比率は公平にして、ちびっちゃい食人族も映した方が、怖さはアップしたかも。ライオンが得物を食い尽くすような勢いや、その残骸の形状がリアルで、この辺も良かったです。

でもですね、なんでこの洞窟に住み着いたのかが疑問。時々外に出て得物を捕獲して暮らしているという、セリフや情景は映していましたが、これだけでは説明不足。でも真っ暗闇にエイリアンより、食人族の方が絶対怖いって!だから不問です。

サラの夫とジュノが不倫関係だったのは、冒頭のシーンでチラッと映したのでわかっていました。そのことがわき見運転につながったのも感じたし、ジュノがサラ夫の死亡に悔恨の念があったのもわかります。が!自分の贖罪のためにですよ、この洞窟を6人で征服して、サラの名前をつけたいなどなど、迷惑この上ない女なんですよー。演じるは東洋系のナタリー・メンドーサで、アクションシーンは彼女が全面に出て引っ張っていました。夫だけなら、あんな男、のしつけてくれてやったわ!で済みますが、サラは子供も亡くしているので、おとなしく優しげだった彼女のラストの怨念爆発は、おとなしかっただけに、怒りの深さが理解出来ました。金髪のロングヘアーの細めの女性が頭から血まみれになるのは、「キャリー」のシシー・スペイセクを彷彿させました。


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