ケイケイの映画日記
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2006年07月29日(土) 「ラブ★コン」


面白いと評判上々ですが、女の子向け学園コミックが原作なので、私のような年のもんは厳しいかなぁと、次男に相談してみると、「原作は全編大阪弁やで。漫才みたいなボケもツッコミもあるし、とにかく面白いで」「ふーん、ほんで切ないとこもあんの?」「あるある、お母さんが観ても大丈夫のはずや。」とのことなので、ラインシネマ会員サービスデーの昨日観て来ました。1時まで診療点数の入力、ダッシュで帰って三男の昼ごはんを作り、1時50分の回に滑り込みセーフ。いやもう素晴らしい!コテコテの大阪弁のノリと笑いが炸裂するなか、「初恋」に勝るとも劣らない(若干こっちの勝ち)、乙女の恋心の切なさが、画面いっぱいに広がる作品でした。

高校生の小泉リサ(藤澤恵麻)は身長170cm、大谷敦士(小池徹平)は159cm。同じ高校に通う二人の共通のコンプレックスは身長でした。お互い「デカ女!」「チビ!」と口げんかしながらも、「学園のオール巨人・阪神」と呼ばれる気の合った友人でした。しかしある日の出来事を境に、リサは敦士への恋心を自覚し始めるのですが・・・。

前半の二人の男女を意識していないあっけらかんとした明るい友情から、リサが敦士に片思いし始めるまでの過程に説得力アリ。乙女って自分が世界で独りぼっちであるかのような、おセンチな気分になることがあるのですよー。わけもなく不条理に思うと時もあるくらいなので(不安定な思春期の女性ホルモンのせいか?)、設定時期がクリスマスというのは、定番ですけどわかりやすい。そうそう、リサちゃん。あんた海坊主(寺島進)のライブに行きたかったんちゃうねん。敦士と二人でライブに行きたかってん。自分自身の気持ちに気づいていないのに、先に涙が出るリサの少女特有の感受性に、元乙女の私はここで大きく肯きながらリサといっしょに涙涙。

それ以降のリサの描き方が、マンガチックで笑えるのですが、これもわかるわ〜。敦士がご飯を食べてもくしゃみしても輝いて見え、全身からハート光線出しまくっているのに、親友から恋心を指摘されても「何でわかるのん?」。そらわかるがな!明るくハツラツ、女のいやらしさなど微塵もない、同性受け抜群の彼女をきちんと描いているので、恋心を告白出来ないウジウジした様子に、あ〜、もう!はよ言わんかい!と、猛烈に応援したくなります。

藤澤恵麻は、NHKの朝ドラのヒロインだったそうですが、失礼ながら名前も顔も初めて見ました。体全部使うような大きなリアクション、顔をくしゃくしゃにしながらの泣き顔笑い顔もとっても可愛く、大変好感が持てました。香川県出身だそうで、会話のテンポも早く若干イントネーションが違う程度で、完全に浪速っ子のノリでした。

そしてそして、小池徹平は、

めっちゃ可愛い!ムッチャ可愛い!死ぬほど可愛い!

叫んだので満足しました。今まで可愛い子だと思っていましが、土着の大阪出身の利を生かした敦士役は水を得た魚のようで、今まで観たことないくらいカッコイイ!大阪弁で早口でまくしたてながら、男臭さではなく、フェロモンのない爽やかな男らしさと可愛さが満開です。こんな若い子でも、売られたケンカは負けるとわかっていても買わねばならん、男には男の意地があるんやなぁと言うシーンでは、おばさん思わず心の中でパチパチ拍手。こんだけ見えまくりやのに、あんたまだリサの気持ちがわからんか?の超鈍感な様子も、「あぁ、おるわおるわ、こんな奴」と、場内埋め尽くす元〜現〜未来の乙女を妙に納得させるも、腹が立たないのは、徹平ちゃんが演じているからにちがいありません。ホント、タッキーに入れあげる細木和子の気持ちがわかりましたよ。こんなに可愛いねんから、チビでもいいではないかと思うのですが、反面男としてはとっても重要なことなんだろうなと、容姿端麗の彼が演じるので、説得力もありました。

コンサート、お祭り、学園祭、修学旅行、クラブ活動などをバックに繰り広げられる高校生の恋愛を、楽しく上手くまとめていました。惜しむらくは時間がちょっと長い。これはカットしてもいいなと思う箇所もあり、後10分削ってちょうど90分にしたら、この手のラブコメはグーンと鑑賞後の値打ちがアップすると思います。それから二人の身長差が、それほど感じられません。徹平くんは公称167cmなので、多分165cm切っていると思われますが、それでも異端のカップルには見えません(画像参照)。恵麻ちゃんはヘアスタイルをお団子にしたりアップにしたり工夫はしていましたが。昔々「青い珊瑚礁」のブルック・シールズは、長身のため相手役とツーショットの時は、砂場に穴を掘って立たせたと読んだ記憶がありますが、そういう工夫は出来なかったのかな?

他の出演者は、玉置成実が意外な好演で、将来は立派な豹柄・スパンコール好きの大阪のおばちゃんになりそうなムードをかもし出し、ちょっとおせっかいで気のいいリサの親友を好演していました。舞竹先生役の谷原章介は、「嫌われ松子の一生」の小さな役だけではフラストレーションが溜まったようで、引き続き白い歯がキラ〜ンの先生役です。ええかっこしいが全くいない大阪の生徒の中、標準語のキザな貴公子風の対比が大笑い出来ます。この人、こんなんが好きなんでしょうか?目張りまで入れていたのを、私は見逃しておりません。「ちびまるこちゃん」の花輪君が大人になったような、マンガチックな雰囲気を楽しく演じていました。

随所に出てくる二人の身長コンプレックスの感情は、今も昔は変わらないのだなぁと、しみじみ。今でも男の子の方が背が高くなくちゃだめなんですね。これはやっぱり男子は女子を守りたい守られたい、リードしなければして欲しいという、古式ゆかしい男女の有り方の残像なんでしょうか?その良し悪しはともかく、若い頃はその他、いっぱいコンプレックスにまみれて欲しいと思います。受け入れたり乗り越えたりした後に、リサと敦士のように、確実に一皮向けた自分がいるから。頑張ってね、若い人。よろしQueen〜!


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