ケイケイの映画日記
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2006年04月18日(火) 「ドット・ジ・アイ dod the I」&「闇に裂く一発」

ここへ来て体調回復が足踏み状態、まだ劇場復帰出来ていません。昨日と今日とケーブルで観た作品です。二つとも面白かったです。今月まだ放送があるので、ご紹介します。

「ドット・ジ・アイ」

「ムービープラス」で観ました。人気のガエル・ガルシア・ベルナル主演のミステリー。一昨年の夏、テアトルで公開でしたが、夏休み中で見逃した作品です。結婚直前の女性(ナタリア・ヴェルベケ)が、ふとしたことで知り合った男性(ベルナル)に心を揺さぶられ、婚約者と三角関係に突入するが・・・。もちろん裏があるのです。その裏というのは、伏線の張り方でだいたい予想がつき、一回目のびっくりは、あぁやっぱりね、という感じです。

ここまで来るのが長いし、ヴェルベケ演ずる女性が、あまりにエキセントリックで自分勝手なので、観ていて少々辛いです。後述に「『ベティ・ブルー』」のような女性」と出てきますが、ベティは、「私あなたを尊敬したいのよ」(←これ私の好きなセリフNO.1)のセリフに表れる、一途さけなげさが、その狂気のような愛を純粋に感じさせましたが、ヴェルベケは魅力的だけど、一緒にいるとしんどいやろなぁ、と思わせます。それとガエルと結構なベッドシーンがあるのですが、何故かブラつき。ヨーロッパは(アルゼンチンの人)脱ぎっぷりの良い人が多く、この人も艶やか系なので、そこが謎でした。あれはとった方がいいぞ。いや別に親父目線じゃないですが。

しかしそれを救うのが、ガエル君。小柄な男性特有の、艶っぽく若々しいセクシーで、作品を救います。ヴェルベケも綺麗でスクリーン栄えはするので、まあ堪忍したろうという気分に。最初のびっくりの後にまた二転三転するのですが、それはエンディングまでお楽しみに。結構にやにやする終わり方で、ビデオやケーブルなど、家庭で観るのに向く作品かもです。多少一発芸っぽいですが、まずまず楽しめます。


「闇を裂く一発」

大映作品。子供を人質に逃げ回る前科のある狙撃犯(佐藤允)を探す捜査一課は、射撃で時のオリンピック候補である警察官たち(峰岸龍之介(現・徹)、平泉征、青山義彦)を、捜査に加え、犯人を追い詰める作戦を立てます。

いつもお世話になっている北京波さんからの強力な推薦作。名前も知らなかった作品だったのですが、これがすっごく面白い!オープニング映像から、音楽一切なしで射撃練習する若い警察官たちを映し、流れるのは蝉の声だけというタイトさが、期待を盛り上げます。

若い警察官たちは、それぞれベテラン刑事たちと組むのですが、面々が露口茂や加藤武など、のちの役柄で刑事役が持ち役の人達なのが、ご愛嬌。峰岸と組む露口は、生涯一刑事を貫く平刑事ですが、同期が出世して警察署長になっても悠然としている様は、現場が好きで、プライドを持って仕事をしている人隣を、自然に描写しています。

峰岸は拳銃が扱いたくて警察官になったと語り、露口を苦笑させます。今も昔も、若いのは困ったちゃんが多かったのかと思う私ですが、骨の髄まで刑事の露口と行動を共にすることによって、峰岸の警察官としての挫折や正義感の芽生えを、これまた的確に描写します。

複雑な犯人の環境や心も、他者によって上手く浮かび上がらせていますし、出演場面は少ないですが、強い個性で佐藤允が犯人を好演、空しさ哀れさを感じさせ、ただの凶悪犯に終わらせません。

掘り下げや人物描写のキャラ立ちも優れ、時代が持つ光と影の描写も的確。オリンピック候補選手が題材というのも、きちんと生かせていますし、ハードボイルド作品でありながら、爽やかさを感じさせるのは、題材からだと思います。この作品はビデオやDVDになっていませんので、「日本映画専門チャンネル」で、今月あと2回放送されますので、ご興味のある方は、是非ご覧下さい。こちらは絶賛です。


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