ケイケイの映画日記
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2005年09月14日(水) 「運命じゃない人」

昨日梅田ガーデンシネマで観てきました。ネットでお付き合いのある方全部が絶賛の作品です。なのに大阪では、ここのみ上映で時間は12時55分とレイトのみという冷遇ぶり。本当は今日のレディースデーに観ようと思っていましたが、昨日はきちんと定時の12時過ぎに仕事が終わり、迷わず電車に飛び乗りました。でも1800円ではありません。シネフェスタの会員券で300円引いてもらえます。意地でも1800円は払わないもんねぇ〜。

人を疑うことを知らない日本一のいい人宮田(中村靖日)は、婚約者のあゆみ(板谷由夏)に逃げられたばかり。そんな宮田を心配する親友の探偵神田(山中聡)は、レストランで婚約を破棄したばかりの真紀(霧島れいか)をナンパ、宮田に話すよう薦めます。そしてその時やくざの組長(山下規介)は・・・。

もうこれ以上書きません。書いたのは始まってほんの10分くらいの出来事です。全然ストーリーを頭に入れずに観て欲しいです。その方が絶対面白いから。一夜の出来事を宮田、神田、組長のそれぞれの視点で描き、そこへ複雑と意外性で女性二人が絡むのですが、もー面白いのなんの。こうなった理由は、あ〜そうだったのぉ〜と、時間があちこちに飛んで描かれますが、すごくわかり易くて、一つ一つジグソーパズルが埋められていくようです。

セリフも下世話で気が利いています。「30過ぎてまだ偶然の出会いなんて信じてんの?もうクラス替えも文化祭もないよ。」「やくざが本気出したら、警察よりいい仕事するよ。」「人一人殺して始末するのは、お金がかかっちゃうの。そんなリスク犯してまで殺す値打ちのある人なんて、まずいないよ。」などなど、書き出したらきりがないくらい。読むとそうでもないかもしれませんが、俳優さんが喋るとその場にピタっとはまって、始終くすくすしっぱなしでした。

あれ〜、この人そういう人だったのぉ?の意外性というかやっぱりというか、人間がその人の職業や状態、外見についての思い込みや先入観など、意外と当たらないもんなんですね。サスペンスかと思ったらコメディだったり、手に汗握るかと思ったら、まったりしょぼかったり、その辺も変幻自在です。

監督はこれが初監督の内田けんじ。ぴあのフィルムフェスティバルで賞を取り、PFFスカラシップの権利を得て、この作品を完成させたそうです。出だしこそ自主制作のような素人っぽさが感じられますが、ウェイターや上司、タクシーの運転手、やくざの若頭など小さな役まで隅々目が行き届き、観客に強い印象を残します。

この映画日記は、あまり映画を観ない方にも、大作話題作以外の小品でも、面白い作品がたくさんあると知っていただけたら、と思う気持ちを込めて書いています。無名の出演者と監督でこんなに面白いものが出来るのかと、きっと楽しんでいただける作品です。一番名が知られているはずの山下規介は、お父さんのジェームズ三木にそっくりになっていて、びっくり!ちょっと濃い目のお顔が災いして、イマイチ出演作に恵まれませんが、この手のちょっと変な人路線はいいかもしれません。

何か上手くやられたなぁと、ニコニコ劇場を出た後、じーと帰りの電車で思い起こすと、観ている時は軽く感じたせりふやシチュエーションの重みが、じわじわ心に広がっていきます。私は本当に神田クンは宮田クンのこと、心配してたと思いますよ。賛同の方は、どうぞ私までご連絡下さい。


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