ケイケイの映画日記
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2005年07月17日(日) 「イン・ザ・プール」

精神科医・伊良部役の松尾スズキが、浮気したあげく男を乗り換えた女に未練たっぷりのオダギリジョーに代わり、「腐れ売女!」を連呼して罵る素敵な作品(そーじゃなくて・・・)。先々週の木曜日に観て、次の日検診で結果が悪く、ガク〜と来て書くのに間が空いてしまった作品です。でも上に書いたシーンが気に入ったので、それだけでも書きたいなぁと。

伊良部総合病院の精神科医の伊良部(松尾スズキ)の元には、少々奇妙な患者が診察にきます。24時間勃起しっぱなしの継続性勃起症のサラリーマン田口(オダギリジョー)、ガスを止めたか?鍵は閉めたか?いわゆる強迫神経症になってしまい、まるで仕事にならないルポライター涼美(市川実和子)などが、彼を頼って診察に来ています。診察予備軍にはエリート管理職で、仕事のストレスをプールで泳ぐことで解消していたはずが、いつの間にかプール依存症になってしまった大森(田辺誠一)がいます。

伊良部総合病院の伊良部ってことは院長なのか?こんないい加減な診察でいいのか?の伊良部センセーですが、刑事になりたいという彼に、涼美は「止めて下さいよ!先生みたいな人でも頼ってるもんがいるんですから!」ということで、伊良部にかかった患者は適当すぎる診察なのに、それなりに快方に向かう過程を、クスクス笑いながら納得も説得力もありで観る作品です。

要するにみんな原因は「ストレス」。知らず知らずに貯まったストレスは、無自覚なため心が沈む前に行動や体に先に出てしまうのです。コメディなので、ゲラゲラ笑って観ていますが、いかにもありそうな症状ばかりで、特にガスの元栓や玄関の戸締りなど、不安になったことがある人はいっぱいいると思います。私も何日か続けてエレベーターのボタンを押しては、もう一度玄関まで戻るというのを繰り返したことがあり、ちょっとやばいぞと思ったことがありました。後で振り返ってみると、やはりストレス全開の時でした。

この作品を観て、あぁこれって自分と思う人は多いのではと思います。ストレスは色々深層心理を探って解消方法を見つけようとしがちですが、素直に恥ずかしがらず喜怒哀楽をいっぱい出す、これでいいみたいです。出演者はみんな軽く飄々と演じて、こちらも笑いっぱなしの作品ですが、気持ちが明るくなることは確実。前半テンポがちょっとのんびりですが、後半加速するので問題なしです。それこそストレス解消には、ぴったりの作品ではないかと思います。

で、浮気して夫を乗り換えた元妻に、一度も怒らず離婚したオダギリジョーは、その怒りが下半身に出たというわけ。なんと彼は未練たらしくそんな女の夢まで見るのだ!回想シーンでは、「ごめんね、あなたに対しての最後の妻の仕事」と言われて、おしいそーにアボガド丼など食すのです。男なら「お前みたいな女の作ったもん食えるか!」と、ちゃぶ台ひっくり返さんか!そしてストーカーみたいに別れた嫁と現夫のマンションなんぞにまで行くのです。あー、情けない情けない。

理由が彼女だと突き止めた伊良部に付き添われ、彼女を罵りに行ったのに何も言えず。「あなたが結婚するかと思ったのに。私だけ幸せになって申し訳ないと思っているの・・・」。なんだぁ、お前は!可愛い顔していけしゃーしゃーと!申し訳ないと思っているなら、今の夫と地獄に落ちろ!と私が噴火していると、伊良部センセが同じようなことを仰って「腐れ売女!」を10数回連呼して下さったので、私は大受け。私は男の浮気と女の浮気は違うと思っている、時代錯誤も甚だしい絶滅種寸前の人間なので、昨今の彼女がかる〜く他の男とエッチしちゃっても、「僕のこと捨てないでね。」風の男子にイライラしていたので、このシーンには溜飲を下げたのでした。(監督はそんなつもりだったのだろうか???)

他にはエリートの田辺誠一はあまり家に寄り付かないみたいですが、たまの夫婦二人の夕食が、スパゲティミートソースと小さなサラダ、これまた小さなスープと、レディースセットみたいなのです。一緒に観た友人と「あのミートソースの赤さ加減はレトルトやな。」「あの量で一人前の男が、次の日仕事出来るわけないやんなぁ。うちやったら旦那も子供も怒るわ。」と、観た後御主人様に出す夕食の内容の貧困さで盛り上がること、この上なしでした。


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