ケイケイの映画日記
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2005年07月01日(金) 「宇宙戦争」


昨日ラインシネマで観て来ました。SFは苦手の私、それでもスピ&トムのコンビの前作「マイノリティ・リポート」は割と面白かったので、今回も難しい出来ではないだろうと、そこそこの期待でした。この日はネットで2枚1100円で落札したラインシネマの招待券の使用期限の最後の日。「バッドマン ビギンズ」で一枚使用、この日ものほほんと受け付けに差し出した私ですが、引換券をもらった後に横の看板を見ると、「宇宙戦争」は公開後一週間は招待券使用は不可と書いた看板がありました。いやみ一つ言うわけでなく通してくれた劇場の方に感謝感激。気持ちよく鑑賞と相成りました。

レイ(トム・クルーズ)はブルーカラーの腕のいい労働者ですが、妻(ミランダ・オットー)とは離婚。今日は二人の間の子供ロビー(ジャスティン・チャットウィン)とレイチェル(ダコタ・ファニング)との面会日で、2日ほど二人を預かることに。ぎくしゃくする子供達と、距離の取り方がわからないレイでしたが、前触れもなく突然晴天だった空に暗雲がたちこめ、稲光が走ると、地面が激しく揺れ地割れが起こります。建物は次々と倒れ、街は崩壊していきます。急いで家に戻るレイは、必死に二人の子供を守るため、奔走するのです。

SFだと思って観に行ったら、王道のパニック映画なのでした。ので私はホクホク。「ポセイドン・アドベンチャー」「大地震」「ジュラシック・パーク」などなど、ちょっと彷彿させるシーンありです。原作がウェルズということもあり、宇宙人が地球を襲うという古式ゆかしさが、古臭いのではなくノスタルジックに感じます。しかしまったり郷愁を誘う作りになっているのではなく、ハラハラドキドキ、次はどうなるの?、この危機はどう切り抜けるのか?と、意外と言っては失礼ですが手に汗握ります。思えば「激突!」「ジョーズ」「ジュラ〜」など、怖がらせるのは得意の人だったなぁと、ちょっと感慨に浸りました。

地味だけどオーソドックスに作ってあるところが私は好感が持て、底は浅いながらも永遠のスピのテーマであろう、家族の絆にも触れています。今回のトムは出ずっぱりながらも、全然カッコよくなくしょぼいオヤジに終始しています。流浪の民と化した民衆を率いるモーゼにもならず、国の崩壊などどうでもよく、ひたすら逃げまくって子供たちを守ることのみに専念。長男が自分も軍隊と一緒に宇宙人と戦いたいと願うや、「そんなことより、妹の気持ちを考えろ!妹を守るほうが大事だ!」って、あんたそれは父親の仕事やろが。元々小柄なトムの体が、もう一回り小さく感じる人間のちっちゃさです。

しかしこの子供たちを守りたいという一念が、ダメダメ親父を一人前の子供に頼られる父親に変貌というか、成長させます。娘役のダコタは相変わらずの芸達者ぶりで、瓦礫の山と化した町にショックを受け、始終キーキーキャーキャー、パニック状態の子供を演じているのに、何故か大人の女にいてるよなぁ、こういう時うるさいのと、きちんと味付けもする演技派ぶりです。古いたとえで申し訳ないですが、私のパニック映画の金字塔「ポセイドン・アドベンチャー」のキャロル・リンリー的な感じなのですが、キャロルよりず〜とイライラさせてくれます。さすが!(褒めているのか貶しているのか・・・)。そういえば孤独で小心者だけど心優しいレッド・バトンズが、キャロルを守ることで男らしく変貌していく様子と、トムの父親としての成長が重なります。

ここまではいいじゃないか、問題なしよ、もしかして問題ないと思っている私が問題?とか思っていたら、出た!問題のシーン!宇宙人の行く末とラストがしょぼいというか、脱力しまくり。よってたかってあまりにも無理な展開です。聞けば原作に忠実に描いているとか。でもこれは映画なんだから、原作と違う展開なんて世の中にはごまんとあらぁな。もうちょっと映画的カタルシスが欲しかったです。

他には軍隊の出動シーンが、相手が侵略する宇宙人なんで、大いばりでアメリカの正義を表現しているみたいで、なんだかおかしかったです。ティム・ロビンスもよい人なんだか、気持ち悪いのかわからん人で出演しています。ぜいたくな使い方ですが、全然彼でなくても良かったです。最後に腰砕けになった感はありましたが、全体としてはまずまず面白かったです。でも超大作と思って観に行くと肩透かしをくらいますので、くれぐれも肩の力を抜いて、リラックスしてご覧下さい。


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