ケイケイの映画日記
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2005年01月21日(金) 「約三十の嘘」

昨日観てきました。大阪の公開は今日までなので、ぎりぎりセーフでした。最近は公開後すぐか、ぎりぎりかが多いです。公開前は割りと期待していましたが、評価がさほど上がらず期待値が下がってしまいました。でもそれが良かったようです。ちょっと息抜きに気楽に観られました。

かつてチームを組んでいた詐欺師達。落ちぶれてしまった元リーダー志方(椎名桔平)、才色兼備の宝田(中谷美紀)、アル中の若手佐々木(妻夫木聡)が、メンバーでは目立たなかった久津内(田辺誠一)に声をかけられ、又仕事を組む事になります。今回は現在の宝田の相棒横山(八嶋智人)と、チームが分裂してしまった原因を作った今井(伴杏里)も加わって、総勢6人。小ざかしい詐欺商法を企んでいます。しかし、仕事を終えた帰り、トゥワイライト・エキスプレスの車中、現金七千万円の入ったトランクがすりかえられます。そして犯人探しが車中で繰り広げられます。

面白いっちゃ、面白いです。まず登場人物のキャラが全て立っている。志方と佐々木がもう一つわからないですけど、椎名桔平とブッキー(と呼ぶらしい。相変わらず良い)が演じるので、きっとこういう人なんでしょうと、検討が付けやすいです。私の御贔屓中谷美紀は、今回もクールな美貌で知性も感じさせますが、やっぱり温かく女らしいし、軽薄で一番詐欺師っぽく見える八嶋も、鬱陶しいお調子者を演じて良かったし、頭良さそうだけど実践はダメ、気弱でどこから見ても詐欺られそうな田辺誠一が、私は一番良かったです。ミルキーちゃん・伴杏里は棒読みでヘタクソ。でもちょっと鼻が天上を向いた男好きする可愛いお顔と巨乳と、男に媚びさえすればほとんどOKの役なので、気になりませんでした。と言うかこの子覚えておこうと、私は結構気に入りました。でもなぁ・・・。

全体にメリハリにかけ、誰が犯人か、各々疑心暗鬼になる様子も薄っぺらく、心理作戦で目星をつけて追い詰めることもなく、各自自分の内面を見つめるようにはなるのですが、それも詰めが甘いので、こちらに届きません。
テーマは二流賛歌とでも言うか、生き馬の目を抜くような世界で、人を蹴落として一流になっても孤独が待っているが、二流でも好きな事に熱意を傾けられて、仲間も友情もある方がいいぜ!みたいな感じだと思うのですが、でもこの人たちって、ちんけな詐欺師なんです。それはちょっと無理があります。

市井の人々を騙して、不良品の羽毛布団を売って一儲けして喜んでいるような輩に、宝田に「もう一度みんなで頑張りましょう、私たちなら出来るわ!」と熱弁ふるわれても、あんたこそ美貌と知性の無駄使いだよと思ってしまいます。これが悪徳政治家や会社を相手に詐欺をする、社会的弱者を救う詐欺なら共感出来たんですが。ぬるくゆるくちょっと笑わせて終わりの感じです。役者はみんな良かったんで、脚本をもうちょっと練って欲しかったです。

どんな手口で詐欺をするのか語られていませんでしたが、そういうシーンや語りがあれば、ふんふん、気をつけようとなるので、あっても良かったかなと思います。エンドクレジットの最後にまたもでかでかと出た、「支援・文化庁」。「恋の門」の時は、おぉ〜やるやんと思いましたが、この作品ではあんさん、大きな勘違いでっせと思いました。


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