ケイケイの映画日記
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2004年07月26日(月) 「マッハ!!!!!!!!」

一、CGを使いません
二、ワイヤーを使いません
三、スタントマンを使いません
四、早回しを使いません
五、最強の格闘技ムエタイを使います

を掲げて颯爽と登場したタイ映画、「マッハ!」を暑気払いに最適かと、夫と末息子と3人で観てきました。
場内は男の子同士、アベック、父子など男の子指数がうなぎ上りで、うちのように喜んで母親も観にきたところはいないようで。そう言えば「テキサス・チェーンソー」も、女一人客は私だけでしたねぇ。(しみじみ)

冒頭から高い木に巻きつけている布を誰がいち早く取れるかと言う、えべっさん一番乗りみたいな行事を行っている様子が出てくるのですが、思いっきり皆さん高い木からズドーンと気持ちよく落ちます。隣で息子が、「これほんまにやってるなんて、すごいやん。」と感心しきりでした。

ストーリーは、信仰心の高い村から盗まれた仏像・オンバクの首を、村一番のムエタイの使い手・ティンが、村人の期待を一身に背負ってバンコクまで出かけ、村に取り戻すまでを描いています。

ストーリーは身体を張ったアクションの付けたしだと思って下さい。貧しい村からバンコクへと場面転換しても、街の風景や人々のいでたちは、まるで私が子供の頃テレビで観た、日活や新東宝の無国籍映画のようで、エキゾチックと言うよりあまりの古臭い風景に仰天。観たのが吹替え版だったため、顔立ちは東南アジアの人なのに日本語を喋るため、一層その感を強くしました。賭博場でのいかさま場面、ストリートファイトに登場するツワモノたちのキャラクターに、もう一工夫も二工夫もあれば、グッと作品が垢抜けた印象になったと思います。

しかし!!!
ようやく始まる待ちに待ったアクション場面の連続には、そんな不満は吹っ飛びます。ティンを演じるのは、ハリウッド作品「モータル・コンバット」などのスタントに出演していたトニー・ジャー。有能なスタントマンだそうで、今作が始めての表舞台出演です。ムエタイ以外にも、マーシャルアーツ、テコンドーなどの武術を習得し、体操選手でもあったそうです。予告編やチラシを観た時は、もうちょっとハンサムならなぁと思ったもんでしたが、スクリーンではなかなかどうして、精悍な面構えと大きな鋭い目力で、役柄と技を引き立てます。

ジャッキー映画のように筋立てに面白さはないですが、トニーの抜群の身体能力を生かした軽業師のようなアクションと、ムエタイの技の応酬で、観ていて束の間も飽きません。それどころか次は何を見せてくれるか、もうワクワク。大味なCGや、身体を張ることもない欧米のスター映画にない、生身の肉体の素晴らしさを伝えようとする、出演者、監督、裏方の、若々しい熱気に好感が持てる作品です。

御年50歳のジャッキー・チェンは、自分の後継者を必死で探しているそうですが、同じアジアにちゃ〜んといるじゃあございませんか。誰か教えてあげて下さい。相棒役のペットターイ・ウォンカムラオみたいな舌を噛みそうなタイ式の名前でなく、覚えやすいトニー・ジャーで表舞台にデビューは、世界進出の目論み充分と私は見ました。そのジャッキーに習い、アクションシーンの練習風景やNG集がエンディングに出てきますので、どうぞ最後までご覧下さい。全部終わって、私は思わず拍手なんぞしてしまいました。
あのマフィアのボス、何のために車椅子に乗って声帯に穴開けてたの???なーんて、気にしない気にしない。トニーにしびれて、あなたも私もOK牧場!な、作品でした。


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