ケイケイの映画日記
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2004年05月25日(火) 「スキャンダル」

「女の年はクリスマス・ケーキ」と言う例えを、聞いたことがおありでしょうか?23、24はピークでバンバン売れて行く。25は買い忘れが買っていく。26になったら三つ幾らの叩き売り・・・

こんな失礼な例えが、只今42歳の私の若い頃はまかり通っていました。事実21歳の時に売り急ぎ?した私は、23〜25歳くらいの時、友人達の結婚ラッシュに、お祝い金の算段に頭を痛めたものです。週刊誌などで読むと、ヨン様熱烈支持層は、どうもこの「クリスマス・ケーキ神話」から上の年代らしいのです。

比較的結婚が早く、それ故恋愛経験の乏しい40前後から60代の人妻が、一度燃えるような恋をしたいけど、不倫は怖い。誠実且つ優しそうなヨン様なら、体の関係のない清らかな不倫が夢見られる、ざっとこんな感じらしいです。私にもあてはまる項目があるんですけど、ヨン様ファンでない私は、何となく少女のようないじらしさを感じてしまいます。

さて、「スキャンダル」。何度も映画化されたラクロの原作を下敷きに、18世紀の朝鮮王朝の時代を背景に描いています。私は在日韓国人なのですが、日本生れの日本育ち。学校もずっと日本の学校で、韓国の歴史については、日本の人より若干知っている程度なので、どんな豪華絢爛たる王朝絵巻が見られるか、楽しみにしていたのですが、出だしこそ法事や舟遊び、貴族夫人の朝の身だしなみなど、当時のしきたりや風習を映してくれるのですが、中盤以降全然そのような描写がなく、中々見られない設定なので、その辺にすごく興味のあった私は、少し物足りませんでした。

その代わり期待していなかったストーリーの充実と、主役3人の好演に目を見張りました。ヨン様は、「冬ソナ」とは一変するプレイボーイの役ですが、いやらしさよりも色気を感じさせ、遊びのつもりが本気になって
いく過程の演技も繊細に演じ、正直上手くてびっくりしました。今までたんぱく質は植物性で取っているイメージの彼だったのですが、今作は、肉もうなぎも山芋も食べている感じで、立ち回りも見せるなど、男らしさ満点です。

裏であやつるチョ夫人役のイ・ミスクは、製作当時は今の私の年齢らしいのですが、成熟したゴージャスな色香を振りまき目が眩むよう。早くに結婚したせいか、小娘からおばちゃん一直線の私は、女として成熟の色香など発した記憶がなく、羨ましい限りでした。同性から反感のもたれやすい役ですが、満たされない哀しい妻の心を透けて見せるなど、魅惑の悪女ぶりでした。

ヨン様ファンが自分を重ねやすいヒヨン役・チョン・ドヨンは、未亡人という設定のため、地味なチョゴリ、お化粧もごく控えめながら、返って持ち前の愛らしさが引き立ち、この役を清楚で聡明な女性とだけに終わらせず、女の情念も感じさせていました。3人相応の結末が待ち受けているのですが、韓国の儒教の考えが日本の方よりは、少し余分に入っている私には、結構深みのある結末でした。

でもこのお話、チョ夫人が夫の子供を生んでいれば、全然展開が変わっているんですよね。女の年はクリスマスケーキでなくなったけれど、妊娠・出産にまつわる哀しさは、現代と通じるものがあると感じました。


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