かなり気侭に腐的
K/A/R/A/S/U



 初、歌舞伎見物

あまり詳しい感想を書くべきか迷ったんですが、ようこさんの御所望に応えて。

http://www.shochiku.co.jp/play/shochikuza/0610/index.html
行って来ました
『染模様恩愛御書 細川の男敵討』
(そめもようちゅうぎのごしゅいん ほそかわのかたきうち)
歌舞伎といっても現代歌舞伎なので、さほど小難しい事はなく楽しめました。演出もいろいろ工夫してあったし、普通の演劇を観るのとさして変わらない感覚で楽しめます。
で、1幕と2幕とありまして、(16:00開演、17:55に一幕終了。二幕が18:25開演、19:25終了)
結構長いですね、3時間は観てるんだ。
粗筋はリンク先で読んでもらったほうがいいです。
こっからネタバレ。

1幕はまず事の始まりから時間軸を順に追って始まります。(数馬の仇討ちの事情ですね)発端が起こってからの数年後(逆算すると6年後?)に本編の主人公達の登場。
気になる衆道は……やっぱりBL的な部分もありつつ、でもやっぱり衆道とBLは違うなーと。(笑)でも、この人たち初恋でなんかオロオロしてて可愛いんですけど!お互いに好きになる瞬間は、もうなんていうか王道うぶい恋愛型でむずがゆい感じですけど、きゃー!!(照)なにか、「恋に落ちる瞬間」をまざまざと見せられます。その気持ちのあまりに自分の家柄を捨てて、友右衛門は数馬の仕える細川家に現れます。
格好わるいくらいに切ない恋心!(相手は男だけどねー)ビば初恋!
と、思って観ていたら……、恋の成就の暁には契りのシーンもちゃんとあってびっくり。契った後にいそいそ身支度をするのはなんか生々しい!(照)更にその後の、義兄弟の契りのほうがエロい……。腕を切り付けて、お互いの血を啜りあう……。やばい。そして数馬は自分の仇討ちの事を全て友右衛門に明かし、硬くお互いの気持ちを確かめるのでした。
初恋が実ったら、すぐに義兄弟。この場合、義兄弟の儀式ってまるで「婚姻」なんだよねー。
でもその行為がすぐにバレちゃって、『不義密通』のかどで裁きを受けることに。私の心の奥で「不義密通って、所帯持ちが間男とか浮気で問われる罪だと思ってたっんだけど、単なるお小姓も『不義密通』問われるの?あ、待てよ。見初められてお小姓になった数馬は既に細川の殿さんのお手付きだから誰とあれ関係しても駄目なの?っていうか、そりゃ衆道が悪とされたのは結構近年ではあるけどさー。待て待て、ってことは友右衛門はこの場合、間男扱い???ていうか、だったら友右衛門と細川越中守は穴兄弟!!????」とかいろいろぐるぐるしました。(恥)
いや、衆道の考え方が私や今の人が感じているものと異なると思うので現実に照らし合わせても意味はなさそうですが。なんていうか、もっと生きて行くのに身分制度とかそういったものと一緒に混在しているもので当たり前にあるような……。って私のいい加減な見解はどうでもいいか。
ともあれ、細川の殿様は、相手を友右衛門の気持ちに打たれて、二人を許し、更に取り立てる、というところで1幕終了。(殿さま度量深いぞ)
30分の休憩後の開始。
最初はちょっと物語りとは直接関係のない登場人物が出て、笑いをとった後(これって、能のあいまにやる間狂言的なのか)
いよいよ2幕は仇討ちと忠義の見せ場。1幕の友右衛門の出奔から4年後。
衆道色はあまりなくなります。仇討ちシーンもちゃんと殺陣というか舞いのように沢山あるし、派手て見ごたえあります。これがかなり絵的にも美しい。あざみ、結構頑張ってた。この女性、可哀相だよなー。数馬が好きだったのに振り向いて貰えないだけじゃ無く、友右衛門にとられちゃうんだもの。女の嫉妬って怖いけど、哀れだ。
それから、クライマックスは『火事』なのですが、マジにがんばって演出しててびっくりです。隣の席に座ってる人が「やりすぎやろ……」と呟くほど。(笑)焼け落ちシーンは降ろされた幕に炎を模した大きくうねるような赤い波紋、煙りに見立てたスモークと飛び交う赤い照明、火の粉に見立てたキラキラ(紙吹雪なんだけど、アルミみたいな)がブワ−!って上から降るわ降るわ、目の前がまさに火事。(笑)クライマックスには二階席の奥から観ていたら1階席は火の海でした。(笑)火の粉と煙の演出でマジに1階客席がまったく見えないし!ちょっとあれは圧巻。1階席だったらどんな感じかな、アレ。火の粉(というかアルミ吹雪)がものすごい客の降りかかってたもの。
友右衛門は、火中に飛び込み、御朱印(これを焼いてしまったらと仕えている細川家は大変なことに)を守ろうと、火の海の中、自らの腹を捌きその臓物をえぐり出すと御朱印をそこに入れ、死してそれを守るんです。そこらはかなり悲愴なシーンなんですが、わざと「勧進帳」と洒落をかまして笑いを取るなど、少しその悲愴感をゆるめます。
(私は悲愴な演出のほうが良かったのに、と思いますが)*他のシリアスなシーンもわりとわざと笑いを取る演出があります。
焼跡から見つかる友右衛門の遺骸。そのぼろぼろになった身体に縋り泣く数馬。すると焼けてしまったと思っていた御朱印が。自らの命を引換に忠義を極めた友右衛門。細川の殿様たちは、誉めたたえます。お約束シーンといえばそれまでなんですが、私は「肝心腸」で少し気が削がれたものの、もう御朱印を腹に納めるシーンあたりからウルっと来てて、マジ泣きそうになった。でも周りの観客はそんな空気ないんで恥ずかしいから我慢我慢。(私こういうシチュにまじに弱いんですよ)
そして、最後のシーンは、数馬とふたりの出会いのきっかけになった杜若の花で美しく締めて終了。


かなり満足しましたー!
いやはや、ホントに面白かったです。BL的にはちょっと照れたけどねー。
つか、血の契りのシーンはオペラグラスを持ってこなかった自分をかなり呪いました。

ふと疑問。
衆道=少年愛、というのが基本なんだろうけど。この場合は行為も含みます。でも受(少年)が成長しちゃったら関係はどうなるんだろう。根底にいつまでも主従関係はあるのは分かるけど。戦国時代だと、小姓からとりたてられて領土を貰い、側近として活躍するじゅないですか。
身体の関係ってのは、前髪上げたら終わりなのかなー。どうなんだろう。勉強不足で分からないやー。

長くなった……。もっと端的に感想かければいいんだけど。ようこさん、どうでしょう?そうそう、ようこさんが「パレット文庫で〜」とおっしゃていた事がピンときて無かったんでですがコレの事だったんですね。パンフレットを読んでたら紹介ページがあったので。こんなコラボもありなんだー……。



2006年10月09日(月)
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