びっと日記


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		びっと

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■　カオスフレア・プレイレポート“癒せない病”

　今回のシナリオは、ちょっと前のシナリオ“機械仕掛けのオレンジは電気羊の夢を見るか？”の続きのシナリオです。伏線だけ張って投げっぱなしにしてあったのですが、富獄の艦長スクナヒコに、平賀源内を調べるよう命令が下ったところで終わっていたはず…です、よね？
　というわけで、今回はスクナヒコ、遠山、ヴィヴィの３人のシナリオで…。

ヴィヴィ「え？　でもヴィヴィ、今日はキャラシート持ってきてないよ。そういうことはちゃんと事前に言っておいてくれないと…」
スクナヒコ「遠山さんも、今日は来れないみたいなんですケド…」

　というわけで。

ＰＣ①　スクナヒコ（光翼騎士／艦長）

　本名スクナヒコノヒメ（？）。スクナヒコというのはコロボックルのことです。というわけで、艦長席に背が届かず、クルーを癒しまくる女艦長。ここで美少女艦長っていうとなんだかナデシコみた（以下割愛）。
　光翼騎士は迫害されているとしか思えないほど微妙ですが、波動砲と一斉射撃が（エラッタで）大幅に強化。というか、これってもうエラッタじゃなくてバランス調整のような。

ＰＣ②　カエデ（執行者／ファイター・エンシェント）

［ゲーム開始前の会話］

カエデ「ところで、<やがて来る過去>ってドリームだよね」
ＧＭ「？」
カエデ「敵のダイス最低値になるまで振りなおさせたり、こっちのダイス目クリティカルになるまで振り直したり…いいよね…（夢見る瞳になりつつ）」
ＧＭ「いやあの、それエラッタ入ったから…って、もしもし、聞いてる？」

　というわけで、実は遠山以来久しぶりのマルチミーム。
　設定は「元々凡庸な戦士だったが、富獄の刀“カエデ”を拾って優秀な戦士となった冒険者」なのですが、本篇のロールプレイはこの設定とはまったく関係ありません（笑）。では、どんなキャラクターだったかは、おいおい話すとしましょう。すぐわかると思いますが。

オープニング①

　富獄の旗艦にして首都、“宝永”のドックの一つ。係留されている戦艦“雷電”は、平賀源内の所有艦です。周りを重武装の武士たちが取り囲んでいます。ＧＭの中ではスター・ウォーズによくあるようなシーン。
　そして、指揮を取るのは、あの信長ちゃん。

信長「源内！　船ごと丸焼きにされたくなかったら、とっとと出てきやがれ！」
スクナヒコ「えーっと、どんな状況です？」
ＧＭ「前回のシナリオで、バベルストーンを動力装置にした“駿河”と“飛騨”を作ったのが平賀源内だ、っていう話が出てきたと思うけど、信長が出頭を命じて事情を聞こうとした途端、拒否して篭城した、ってとこです」
スクナヒコ「ナルホド…」
ＧＭ「で、信長の呼びかけに応じたのか、降参する、という合図を出してきてるね」
スクナヒコ「？！　…自分の艦の部下には、合図を信用しないで気をつけて、って連絡しますです」
ＧＭ「その読みは当たりだね。信長の部下が近づいたところを、レーザーみたいな光が一閃して、ドックは火の海になるね」
信長「くそ！　源内のヤツ！」
スクナヒコ「（ちょいちょいと信長をつつき）それでは、平賀源内を追跡してきますです。あとは、お任せあれ」

オープニング②
　
　カエデの元には「村外れの塔に、怪しい魔法使いが住みついたので、何をしているのか調べてほしい」という依頼が。なお、ヴィヴィを想定しハンドアウトを用意していなかったため、カエデには「バベルストーンを追いかけている」という設定にしてほしい、と伝えてあります。

カエデ「（ちょっと考えて）じゃあ、フレーバーでエキストラの幼馴染みのプリースト連れてます」
ＧＭ「（幼馴染みのプリースト…？　どこかで聞いたような）」
カエデ「で、『どうする？　○ト』とか聞く」（笑）
ＧＭ「ちょぉぉぉぉぉぉぉっとぉぉぉぉぉぉぉ！？」（笑）

　村外れの塔に住みついた謎の魔法使いというのは、実は富獄を追われた平賀源内その人だったりします。塔の一室でからくり人形の群れに襲われ、追い詰められるカエデ（実はこれ、クライマックスフェイズに登場する「肉体」防御属性を持つ敵トループの伏線だったのですが、すっかり忘れてました）。

源内「わははは、まだまだ青いのう！（と言って、召使いっぽい少女と共に窓の外の“雷電”に飛び移る）」
カエデ「エ○、ターンアンデットを頼む！」
ＧＭ「オイィ！？」

　漫才を繰り広げている間に、源内はどこかへと飛び去ります。

ミドルフェイズ①

　源内の戦艦の着陸地点を探しに来たスクナヒコ。“雷電”がティラナスの近くに降りたのを調べます。
　そして、カエデはというと…。

カエデ「ファミリアを買います」
ＧＭ「ほうほう」
カエデ「で、ファミリアにこう言います。『ディー○、源内の居場所をシルフに聞いてくれないか？』」
ＧＭ、スクナヒコ「オイィィィィィィィィ！？」（笑）

　「自由騎士」と名乗り始めたあたりから雲行きが怪しいと思っていましたが、ついにすっかりパー○に。
　平賀源内を追う２人はティラナスの街で交流します。そして、“雷電”が“飛騨”のすぐ側に着陸したのを見たというパットフットの商人（エキストラですが、実は“聖杯の行方”にも登場した商人です）に道案内を頼みます。

ミドルフェイズ②

　かつて、スヴェン伯が支配していたその場所は、今は人の寄りつかない死の荒野となっていました。そして、その荒野に２隻の戦艦の姿。一方は“雷電”ですが、もう一方の“飛騨”の姿が…？

スクナヒコ「前に壊したはずなのに、おかしいです。傷もないし、新品の戦艦みたいです」
カエデ「○ィード、シルフに聞いてくれないか？」（笑）

　シルフ物知りすぎ（笑）。
　艦に近づくと、平賀源内の隣にいた少女が姿を現します。

鈴夏「あなたたちはなぜここに？」
スクナヒコ「信長様のご命令です。平賀源内に会わせてほしいのです」
カエデ「この中にバベルストーンがあるはずだ。見せてくれないか」
鈴夏「源内様は、今出かけておられます。お戻りになられるまで、誰も艦の中にはお通しできません」
カエデ「キミは一体誰だ？」
鈴夏「私は三田村鈴夏、源内様の第一の弟子です」
カエデ「弟子？」
スクナヒコ「三田村…」

　三田村といえば、スクナヒコの「恩人」。前回のシナリオでは、登場時には既にグレズによって殺されていた、この“飛騨”の艦長です。
　そして、通す、通さないで押し問答になったところでシーンを変えることに。

スクナヒコ「あ、シーンが変わるなら買い物がしたいです」
ＧＭ「さすがに、この状況で買い物は…。誰から買うの？」
スクナヒコ「（エキストラのパットフットをぴっ、と指差す）」
ＧＭ「何を買うの？」
スクナヒコ「（あっさりと）多弾頭ミサイルです」
ＧＭ「ちょｗｗｗｗｗおまｗｗｗｗｗｗ」

ミドルフェイズ③

　結局、渋る鈴夏を押し切る形で艦内へ。
　ＧＭは冷や汗モノです。というのは、この時点ではまだ見られてはいけないものがいくつか、“飛騨”の艦内に残されているのです。

ＧＭ「主動力室と艦橋にロックがかかってるね」
カエデ「じゃあ壊すよ、力ずくで。まずは艦橋からかな」
ＧＭ「（ま、まずい！）」

　慌てて、後で使う予定のプロミネンスを使い、キーアイテムを移動します。
　というわけで、艦橋は空っぽです。

スクナヒコ「え？　艦長席には三田村さんの遺体があるはずなのですが？」
ＧＭ「空っぽだね」
スクナヒコ「…」
カエデ「じゃあ、次は主動力室だ！」

　そちらも、慌ててプロミネンスを使ってキーアイテムを移動します。

　　　　　◇◇◇　

　ここで、読んでいる方は「？」と思ったかもしれません。「本当はどうする気だったんだ？」と。

　実は、今回のシナリオのダスクフレアは、カエデが遭遇した平賀源内（実はこの男は二代目）ではありません。一見すると、迷惑な師匠に振りまわされているように見える、“三代目平賀源内”こと鈴夏がダスクフレアです。この事実にたどり着くには、二つの方法がありました。

・鈴夏と三田村の関係を聞き、三田村の遺体をどうしたのかと尋ねる。

あるいは、

・平賀源内が、なぜいつまでたっても戻ってこないのかを問いただす。

　鈴夏は自分の兄の死を受け入れることが出来ず、彼はまだ生きていると思い込んでいます。それはもはや、狂気や妄執とでも呼ぶべき域に達しています。彼女は、自分の師が罪を問われ、再起を期すために“飛騨”へとバベルストーンを回収しに来たのを好機と考え、自分の兄の「治療」を師に懇願します。
　しかし、師に「死人を生き返らせることなどできん」と一蹴され、激情に駆られて師匠を殺してしまいます。

　つまり、艦の外で待ち、いつまでたっても戻ってこない源内のことを不審に思うか、または三田村のことを問い詰めればよいわけです。今回はカエデが少々急いでいますが…。
　ちなみに移動したキーアイテムは、最初が「三田村の遺体（バベルストーンつき）」、次が「源内の死体」です。

　　　　　◇◇◇

ミドルフェイズ④

　艦内をうろつく二人を、憤慨して睨みつける鈴夏。その姿は一見まともに見えますが…？

スクナヒコ「そういえば、お兄さんのことは残念だったです…」
ＧＭ「（よし、来た！）そう言うと、鈴夏は不思議そうな顔でスクナヒコを見つめる」
鈴夏「何をおっしゃっているのですか？」
スクナヒコ「え？　ですから、お兄さんが亡くなって」
鈴夏「お兄様は死んでなんていませんわ。怪我はなさいましたけど、ちゃんと生きています。それもバベルストーンの力で間もなく治りますわ」
スクナヒコ「…！」
鈴夏「（完全にイッちゃってる目で）お師匠様と同じようなことをおっしゃらないでくださいまし。お師匠様はあんまりうるさいものですから、静かになっていただいたのですけれど」
スクナヒコ、カエデ「もう一回艦橋だ！」

クライマックスフェイズ

　艦橋の艦長席に、うつむくような形で座る男がいる。いや、座っているように見えるだけで、メタボーグやメタビーストによって命を奪われた男の身体は、もはや半ば白骨化している。その眼窩は暗くうつろで、光を映さないただの「穴」であることは、誰の目にも明白だった。
　だが、少女は男の膝の上にするりとよじのぼり、いとおしげにその頭を頬をすり寄せる。
　足元には、一人の老人が転がっている。無念の表情を刻んだその死骸は、自分が殺されたことを最後まで納得していないようにも見えた。
「あなたたちまで、お兄様の治療の邪魔をするの？」
　心底心外そうに、少女は頬を膨らませる。その目には、もはや目の前の事実さえ映っていないのだろう。らんらんと輝くその瞳には、紛れもない狂気が浮かんでいた。
　兄の「死」が、たとえバベルストーンの力を用いようと、決して癒すことのできない病だとするなら、妹の「狂気」もまた、決して癒すことの出来ない病。
　三代目平賀源内を襲名するはずだった少女の背後に、漆黒の太陽が浮かぶ。

スクナヒコ「波動砲発射！　なのです！」
ＧＭ「（トループでからくり人形出すの忘れてたけど、どっちみちこのシーン攻撃で死んでたな）
　じゃあ、鈴夏が手を振ると、背後から巨大なからくり人形が現れて、彼女はその中に吸い込まれるよ。この人形はＭＴ（モナドトルーパー）相当でよろしく」
カエデ「ロボか…（ルールを見て）ん？　もしかしてそいつ、防御属性持ってる？」
ＧＭ「【防御属性：肉体】持ちだけど」
カエデ「えええ、俺肉体でしか攻撃できない！」
ＧＭ「<精霊剣>を使えば…」
カエデ「手持ちの経験点がないから<精霊剣>は取れないし、星読みがいなくて<夜明けの星>もないから【根源】にもできない…（頭を抱える）」
ＧＭ「（そうか、今まで「星読み」がいなかったことほとんどなかったから、気づかなかった！）」
　
　イラナイ子と化したかに思われたカエデですが、そこはさすが場数を踏んだプレイヤー。ダメージではなく、追加効果の「束縛」で相手の行動を制限する作戦に出ます。
　結果、リアクションを封じられたダスクフレアは、全力を出せないまま沈みます。

エンディングフェイズ①

　再び、旗艦“宝永”。信長が「放せ！　オレが出る！」と言って暴れている。そこに、ひょっこりと帰ってくるスクナヒコ。

スクナヒコ「どうかなさいましたです？」
信長「スクナヒコ！　源内はどうした？」
スクナヒコ「…死にました…（そして事情を話す）」
信長「そうか…（沈鬱な面持ちで）三田村はいいヤツだった。妹まで死なせちまうとはなぁ…」
スクナヒコ「二人を弔ってあげたいのですが、よろしいです？」
信長「ああ、丁重にな」

　回収された“飛騨”。その船体が、富獄の故郷である宇宙へと解き放たれる。

スクナヒコ「全員、礼ッ！」

　偉大なる戦士に皆が黙祷を捧げると、その船体に無数の砲火が浴びせられ、“飛騨”は宇宙空間の巨大な華と化す。
　直立不動で敬礼を取るスクナヒコの耳に、ドックで話す兄妹の、他愛ない会話が入る。

兄「バベルストーンを使った新型船の建造が失敗したそうだよ」
妹「あら…そうなのですか？」

　聞き覚えのある声に、スクナヒコが振り向く。

兄「俺はああいうのは、どうも好かん。どうせ使うなら自分が隅々まで知った艦でないとな」
妹「そんなことをおっしゃるから、お兄様はいつまでも時代遅れだと言われるのですわ」

　三田村兄妹のはずがない。二人は死んだのだ。兄妹の顔は、二人とは似ても似つかない顔だった。ただの気のせいだったのだろう。
　しかし、スクナヒコの耳には、生きていたならば交わされていたであろう会話がこびりついて離れなかった…。

エンディングフェイズ②
　
　オリジンのどこか。小高い丘の上で休む一人の地球人の少女。そこに、一人の青年が走ってくる。

カエデ「サクラ殿！　ついにバベルストーンを手に入れましたぞ！」

　張り切って駆けてくる青年に、サクラと呼ばれた少女は苦笑する。

カエデ「これを、いかがしましょう」
サクラ「あなたが持っているといいわ」
カエデ「俺が…ですか？」
サクラ「バベルストーンは自ら持ち主を選ぶの。石があなたを選んだのなら、私が手にすることはもう出来ないわ」

　そして、サクラはカエデの瞳をじっと見つめた。

サクラ「気をつけてね。バベルストーンは人の心を狂わせる。あなた自身も、あなたの周りにいる人間の心も。決して、その力に惑わされては駄目」

　そういうと、サクラはさびしそうに微笑んだ。

エンディングフェイズ③

　そして、時は流れ。オリジンのどこかにある、とある魔術師の館で、カエデはその言葉を思い出していた。
　カエデの仲間の一人、盗賊（シーフ）の男がバベルストーンを手にしている。

カエデ「そいつをこっちに渡すんだ！　惑わされるんじゃない！」

　だが、男は首を左右に振った。

男「俺の人生は、今まで負け続きだった。こうして世界の敵を倒しても、注目されるのはいつもお前たち。俺はずっと脇役のままだ。
　だが、この石があれば、俺は脇役じゃなくなる。主役になれるんだ」
カエデ「馬鹿なことはよせ！　そいつは夢を叶えてくれる石なんかじゃない！」
男「あばよ、カエデ。俺は、お前のこと嫌いじゃなかったぜ」

　そういうと、男はバベルストーンを手に、オリジンの闇へと姿を消した…。

2006年05月25日(木)

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■　カオスフレア・“聖杯の行方”プレイレポート

　実は、今回は（わかる人にはわかるかもしれませんが）“夜の刃”に登場したＰＣ、キャスター向けのシナリオです。

※キャスターは「フェイト／ステイナイト」というＰＣゲームの登場人欝で、聖杯を巡る事件に関わるキャラクターが元ネタなのです。

　…と思ったら、キャスターのプレイヤーは今回参加できなくなってしまいました。うーん、残念。というわけで、今回のＰＣは次の二人です。

バーン（聖戦士／ファイター）
　もう、いいかげんに「冒険者の戦士」という肩書で紹介するのに良心の呵責を覚えるＰＣ①。むしろ「ロダーシュとロシュナードの間で暗躍するクロマク」と言った方がしっくりきます。いやプレイヤー本人は「ちゃんと冒険者のファイターですよ！」と言ってますが…どこがですか（笑）。

ノエル（星読み／バード）
　前回までと相変わらずのバーンに対し、まるで別人のように生まれ変わったのがノエル。新発売のサプリ“インペリアルジェイド”で追加された新特技を縦横に操り、華麗に…情報収集判定で達成値２０を叩き出します（笑）。前回、前々回のダイス目の不調もどこ吹く風。…まぁ、なんとなく、キ○○イに刃物を渡した感もありますが。

オープニング①

　夜の帳が広がる闇の中、天に向かって聳える一本の巨大な樹。広がる枝の下、広大な草原のあちこちに人の姿が浮かぶ。辺りは、夜になると光を発する夜光草の明かりに照らされてぼうっと輝いている。
　一人のパットフットの青年が、バーンに歩み寄る。
「俺たちには見慣れた光景だが…あんたたちには珍しいんだろうな」
　幻想的な光景を眼下に見下ろす丘の上で、ノイエシュヴィントの長、アスティスは静かに語る。
「あんたたちとの商談はいつでも大歓迎だ。俺たちは来る者は拒まない。
　だが、それ以上の干渉については御免こうむる。俺たちはいかなる勢力にも与しない。いかなる勢力にも敵対しない。それが俺たちの掟だ。
　あんたの主、シュナックにもそう伝えてくれ」
　そう言うと、青年は踵を返し、森の中へと消えていった…。

オープニング②

　数年前、ティラナス公の屋敷。
　ノエルの奏でる旋律の最後の一音が空に吸い込まれると、まばらな拍手が巻き起こる。というより、拍手しているのは領主夫妻だけだ。同席している他の騎士や貴族たちは青い顔をしている。
　当然だろう。一国の領主の目の前で、国が滅び国王が斬首される歌など歌う詩人は、首を刎ねられても文句は言えまい。
　しかし、公もその奥方も気を悪くした風ではなかった。むしろ、奥方は感慨深げに眼を閉じる。
　公は部下に命じて金貨の袋を持ってこさせると、悪びれない様子の吟遊詩人に笑いかけた。
「また、気が向いたら遠慮なく立ち寄ってくれ」

　しかし時が過ぎ、ティラナス公は倒れ、妻は子供と共に姿を消す。ノエルが再び彼らの前で歌を披露することはなかった…。

オープニング③

　バーンとノエルはロダーシュ商工会議所の会頭代理、ラスールに呼び出されます（一応断っておくと、会頭はキャスターです）。

ラスール「お２人にお願いしたいことがあります。実は、現状我々の最大のライバルである、ノイエシュヴィントのことなのですが」

　ノイエシュヴィント。それは、ティラナスとバーラムにほど近い森の中にある、パットフットの隠れ里です。
「来る者は拒まず、去る者は追わず、いかなる勢力とも中立を保つ」…ノイエシュヴィントにはこんな掟があるため、ティラナス公亡き後商売ができなくなった商人たちが大量に逃げ込んだのです。
　もちろん彼らの「もう一つの亡命先」はロダーシュですから、ライバルと呼ばれるのもむべなるかな。

ラスール「実は、彼らがここ最近、グレズにまつわる品を大量に買い付けているという噂がありまして。お２人にその真偽を確かめていただきたいのです」

　もしキャスターが参加できれば依頼内容はこうなる予定でした。

ラスール「実は、最近ノイエシュヴィントに“聖杯”と呼ばれるモノが持ち込まれたという噂がありまして、お２人にその真偽を確かめていただきたいのです」

　でも、バーンが関わるのであれば「謎のアイテム」よりも「政治的な問題に発展しそうな軍事物資」の方がノリやすいと考えたのです。…予想通りでしたが。

ミドルフェイズ①

　とりあえずノイエシュヴィントに向かう２人。長に謁見していると、見覚えのある人影が２つ、見覚えのない人影が２つ。

ＧＭ「アスティスの隣に立っているアスティスそっくりの女性は、彼の双子の妹。ルーミラだね。あと、カストゥル･ティラナスの妻、御子神静とその付き人…忍者の彩華という女性。それと、フォリナーの遠山次郎。ＡＩＢＯもいるよ（笑）」
バーン「ここにいたのか（笑）」

　彼らについては“時計仕掛けのオレンジは電気羊の夢を見るか？”参照のこと。

ＧＭ「あと、君たちのほかに別の客人もアスティスを訪ねてくる」
ノエル「誰？」
ＧＭ「バーラム伯の使者」
バーン・ノエル「ばぁらむぅ？」

　バーラム伯、すっかり悪役です（笑）。
　ノエルが立ち聞きしたところ、どうやらバーラム伯の目的もバーンたちと同じのようです。

ミドルフェイズ②

　前回までのパターンだと、だいたいこのタイミングの情報収集でノエルの達成値が奮わず、バーンの助けを借りることになることが多かったのですが…。

ノエル「じゃあ、聖杯のことが噂になっているかどうか調べるね。<天上の楽器>＋<伝承学>で達成値２４」
ＧＭ「…お前なんかノエルじゃないッ！（夕日に向かってダッシュ）」

　と、まるで別人のように冴え渡るノエルのリサーチ（でも天上の楽器の外見は「勝ち栗」）。バーンの「ファミリア」も合わせ、２人がかりで順調に真相に迫ります。
　そして二人は、パットフットの商人（エキストラ）から、

・スヴェン伯領に墜落した“飛騨”の探索している途中に「聖杯」と呼ばれるアイテムを拾ったこと
・「聖杯」を使った途端、襲いかかろうとしていたメタボーグの群れが大人しくなったこと

　を突き止めます。

バーン「“聖杯”ってまさか、グレズのコントロール装置？」

　正解。特定の周波数の音波を発信して（？）メタボーグをコントロールする（※）装置なのですが、外見はパラボラアンテナのようなもの。杯に似てますよね？

※パットフットの特技の説明には「笛を吹いてメタボーグを操る」とある。

ノエル「聖杯は今何処に？」
商人「ルーミラ様が持っていますが…」

ミドルフェイズ③

　街外れに向かって歩いていくルーミラの後をつけると、そこはノイエシュヴィントの地下に広がる巨大な地底湖。そして、湖面の下に沈むのは、数万体にも及ぶ、休眠状態のメタボーグ…。

ルーミラ「自衛のためとはいえ、いくらなんでもこれはやりすぎでは…」
彩華「何をおっしゃいます。カストゥル様を謀殺したバーラム伯の軍勢が、明日にもここに押し寄せるかもしれないのですよ？」
ルーミラ「でも…（悩みつつその場を去る）」
彩華「…そろそろ、潮時か」

　バーンとノエルは、アスティスに事情を報告します。

バーン「さて、アスティス。あんたはどうする？　あれだけの兵力があれば、バーラム伯を蹴散らすのも簡単だと思うが」
アスティス「前にも言ったろう。俺たちはいかなる勢力にも干渉しない。それに、そんな数のメタボーグ、もし間違って暴走したりすれば大変なことになる」
商人「た、大変です！　ルーミラ様が何者かに刺されて重態です！」
ノエル「“聖杯”は？」
商人「そういえば、見当たりませんでしたが」
バーン「ついに始まったか。（アスティスに向かって）俺たちに任せてもらうが、それでいいな？」

　肯くアスティスを後に、地底湖へ。

クライマックスフェイズ①

　数万体のメタボーグが、アイカメラを怪しく真紅に輝かせる中、一人の忍びが地底湖の前にたたずんでいます。

彩華「来たわね。…貴方たちだって、バーラム伯のことは快く思っていないでしょう。私たちと利害は一致しているはずよ」
バーン「俺たちは自分では制御できない力を使ってまで、バーラム伯を倒そうなどと思ってはいない。利害が一致しているというなら、まずはその聖杯を捨てることだ」
彩華「我が主、静様は祖国を二度失った。それも、二度とも卑怯な裏切りによって。貴方にその気持ちがわかるとでも？」
バーン「俺の友人もまた、祖国を滅ぼされた。しかしそんな力に頼らず、一から祖国を復興したぞ」

ＧＭの心の声「しまった、バーンにこの方向で議論をふっかけるのは鬼門だった。何しろ祖国復興の立役者本人だものなぁ」　

彩華「ティラナスの人々は、墜落した駿河の部品を売って身を立てた。グレズの力を利用して主を守る私とどこが違う？」
ノエル「あなたの目的はなんなの？」
彩華「私は、カストゥル様を殺し、静様を悲しませた全てを許さない。バーラムも、アムルタートも、ロシュナードも、思い知ればいい！」
バーン「…それを聞いたからには、もう引き下がれないな」

ＧＭの心の声「ふー、安心安心（ダスクフレアを倒すのはこのゲームの最終目的なので、説得されてしまうとちょっと困るのです。説得したい気持ちはよくわかるのですが）」

　戦闘開始。
　セットアップを宣言しながら、不気味な笑いを浮かべるＧＭ。今回のダスクフレアは“インペリアルジェイド”仕様にパワーアップしています。そう簡単にはやられませんよ。
　そして、戦闘２ターン目。

バーン「さて、相手のＨＰもゼロになったし、カードは少ないけど、いつもの<捨て身の覚悟>で差分値２倍入れるとするか」
ノエル「それに<女神の祝福>ね」
バーン「じゃあ、ダメージ８０、と」
ＧＭ「まだ生きてるよ」
バーン、ノエル「なんだってぇぇ！！！！１１」
ＧＭ「バーンのその技、使うと死ぬんだよね？　次はこっちの攻撃、と」
バーン「<伝説の詠吟>で特技の回数を増やしてくれないと死ぬんだｇ」
ノエル「私、それ使っちゃった」
バーン「じゃあ、俺が<ヤオー>取るかｒ！！」

　ちょっとヒヤっとしてもらえたようで、ＧＭとしては満足です。
　いやあ、インペリアルジェイドのプロミネンスはどれも強いから、どれを取るか迷います。

クライマックスフェイズ②

バーン「じゃあ、ＧＭ。最後に仕上げをするよ」
ＧＭ「？」
バーン「<万軍撃破>で、動かないメタボーグを一体残らず破壊する」
ＧＭ「おお！　バーンがカッコいい！」

　粉々になって沈んでいくメタボーグ。その時、地底湖に一人の人物が現れます。

静「彩華を殺したのね…？」
バーン、ノエル「…」
静「あの子は、私が富獄にいた頃から付き従ってくれた、数少ない臣下。そして私の大切な友人だった」
バーン「…それで、あんたはどうする？」
静「（刀を抜き）抜きなさい。私はあの子を殺した人を許せない」
バーン「相憎だが、俺はあんたを斬るつもりは毛頭ない」
静「！」
ノエル「あなたには、子供がいるのでしょう？　いつか祖国を再興できるかもしれない」
バーン「ここで無駄に死ぬことはないだろう」
静「…行って頂戴。そして、私の前に二度と姿を見せないで…」

エンディングフェイズ

　ノイエシュヴィントは、バーンたちの活躍によって平穏を取り戻した。迷いの森の魔力が再び発動し、ノイエシュヴィントは敵の侵入を許さぬ隠れ里の姿に戻る。
　一方、バーンとノエルの２人は、再びティラナスの地を踏んでいた。新たなるビジネスチャンスを狙ってか、あるいは次なる争乱の気配を感じ取ったのか。彼らの心中は彼らだけが知る。
　そして、そんな２人の姿を遠くから眺める２つの人影がある。
　その２つの人影は、まるでこれから起こる全てを見通しているかのように、わずかに微笑みを浮かべていた…。

2006年05月24日(水)

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■　カオスフレア・プレイレポート“Ｐｒｉｓｏｎｅｒ　ｉｎ　ｔｈｅ　ｓｅａ”

カオスフレア・プレイレポート“Ｐｒｉｓｏｎｅｒ　ｉｎ　ｔｈｅ　ｓｅａ”

ＰＣ①　エグゼス（星読み／コーポレイト）

ＰＣ②　ニア（執行者／バイパー）

　今回は、“海が見たい”のネフィリムコンビのシナリオです。前にも思ったのですが、本当にシナリオが作りやすい取り合わせ。しかも前回に続けてエグゼスの神プレイが炸裂。アンタすごすぎるよ！

オープニング①

　“海が見たい”のエンディングから続くオープニング。エリザベス・パーラメントの命令で、極寒の作戦行動に従事させられるニア。そのニアの脳裏に、突然テレパシーが飛び込んできます。

ルドルフ「ようやく、私の声を聞いてくれる者が現れたか…。私の名はルドルフ、君の力を貸してほしい」

　ルドルフは、現在彼と彼の仲間たちが「暗く、周りの見えない場所」に閉じ込められているのだ、と打ち明けます。仲間たちは長期間の監禁生活で衰弱しており、このままでは長くはもたないのだと。

ニア「あんたたちは何で捕まってるんだ？」
ルドルフ「それは、君にこうやって話しかけている力、我々の持つ精神感応の力のためだろう。我々を閉じ込めている者たちは、この力を兵器に転用するつもりらしい」
ニア「あんたたちは超能力者の一族か何かなのか？」
ルドルフ「そんなところだ。…ああ、もう時間がない。頼む、助けてくれ…！」

　そこでテレパシーは途切れます。
　ニアは休暇を取り、ルドルフが「自分たちが閉じ込められている場所」だと言った南へと向かいます（引きとしては弱めなのにちゃんと乗ってくれたので助かりました）。

　…ちなみに余談ですが、エグゼスはこのシーンだけでルドルフの正体がわかったそうです。
　エエエェェェエエエ。

オープニング②

　対するエグゼスは、ニューマンハッタンのエリザベスのオフィスに呼び出されます。

エリザベス「申し訳ないのだけれど、あなたがロダーシュの街で進めていたプロジェクトは、他の者が受け継ぐことになったわ」
エグゼス「ほう…一体誰が引き継ぐのですか？」
エリザベス「“ウロボロス”のフェルディナンドという人物よ」
エグゼス「“ウロボロス”？」
エリザベス「今度新たに発足したセクションなの。社内の様々な部署から人材をスカウトして作ったセクションでね。発言力も大きくて、私一人の反対ではどうしようもなかったの」
エグゼス「…社の決定であれば、もちろん従います」

　そして、オフィスの外でフェルディナンドとすれ違い、言葉を交わすエグゼス。実はこの男、前回のシナリオに登場しているのですが、エグゼスとは会っていません。

エグゼス「仕方ない。社内でぼけーっとしてます（笑）」

ミドルフェイズ①

　ルドルフの声に導かれ、南へ南へとやってきたニア。ロダーシュの街の近くでテレパシーはまた途切れてしまいます。そして、ニアはふと、ロダーシュの沖合いに見える奇妙な建造物に気が付きます。

ニア「なぁ、この間来たときにはあんなモノなかったと思うんだが、アレは一体なんだ？」
通行人「ネフィリムが作ろうとしてる観光施設さ。“アナコンダ”って言ったかな？　詳しくは商工会議所の人じゃないと知らないけどね」

　するとそこに、後任者のプロジェクトをその目で確かめるためにやってきたエグゼスが通りかかります。

ニア「なぁ、アレってあんたが作ったのか？」
エグゼス「いや、違う。私はプロジェクトから外されたんだ。アレを作ったのは私の後任者だよ」

ミドルフェイズ②

　エグゼスが通りかかったのは偶然ではありません。彼にはちゃんとした目的があったのです。それは…。

エグゼス「ハサウェイ親子が住んでるログハウスに向かう」

　さすが、冴えてます。エグゼスが半ば予想した通り、親子の姿はそこになく、娘のアンナの置き手紙だけが残っていました。

　“父さんの行方がわからなくなったので、探しに行きます。アンナ”

ミドルフェイズ③

　“アナコンダ”のことを聞くために、商工会議所に向かうニア。会頭代理のラスールが出迎えます。

ニア「早速だけど、あの施設のことを聞きたいんだ。アレを作ることを、君たちは承知したのかい？」
ラスール「ええ。観光施設だという話でしたし、オリジンとネフィリムの同盟を証するモノとして、相応しいと思いましたから」
ニア「同盟？」
ラスール「ええ、ネフィリムの担当の方は我々に理解のある方でしたので」

　実は、ラスールが言っているのはエグゼスのことです。その後、ネフィリムの担当はフェルディナンドに代わっており、そのことはラスールも知っています。
　しかし「オリジン人の商人」であるラスールには、「セクションが違えば、同じ組織の人間でも敵対することがある」という、ネフィリムの感覚がよく理解できず、エグゼスとフェルディナンドを完全に混同して話をしているのです。

ニア「しょうがないな、エグゼスを呼び出そう。直接ラスールと話してもらえば話が早い」
エグゼス「（ニアから事情を聞き）冗談じゃない。絶対行かないし、電話にも出ないぞ」
ニア「は？」
エグゼス「私は、あくまでもネフィリムの人間だ。今の私が行ったところで、フェルディナンドとまったく同じことしか話せないし、まったく同じことしか、できない」

　フレア乱舞。エグゼスお見事。

ミドルフェイズ④

　逆に、フェルディナンドに関する調査を進めるエグゼス。

エグゼス「プロジェクトを引き継いだのはともかくとして、ハサウェイ親子に手を出したのは何故だ…？」
ＧＭ「フェルディナンドは元々研究部門から転身した人間みたいだね。獣鬼兵の研究もしている」
ニア「…それでアンナのことを知ってるって、まさか…前回俺が会ったあの研究者？」
ＧＭ「正解」

　ここで、エグゼスが驚愕の一言を。

エグゼス「ＧＭ、ちょっと確認したいんだが…最近Ｙ．Ａ．Ｃ．Ｏ．Ｂ．を通過したモノのリストを確認したい」
ＧＭ「できるけど、何を確認したいの？」
エグゼス「（ニヤリと笑い）水槽でもいいし、コールドスリープでもいいんだが、Ｙ．Ａ．Ｃ．Ｏ．Ｂ．を通じてオリジンに持ち込まれた、水棲哺乳類のリストだよ。イルカとかクジラとか」　
ＧＭ「ちょｗｗｗｗｗ　おまｗｗｗｗｗ」

　そのリサーチ、ピンポイント過ぎませんか？　ねぇ！？

ミドルフェイズ⑤

　本当は、アナコンダに乗り込んでから、水槽と衝撃の対面をしてもらう予定だったのですが…エグゼスの勘が冴え渡りすぎました。

エグゼス「あとは…（手元の端末にコール音）」
エリザベス「会長の許可が下りました。フェルディナンドが観光施設と偽って、軍事用の研究をしているなら、見過ごすわけにはいきません。現場を押さえてください」
エグゼス「了解しました。（回線を切り）これで一安心ですね」

　エグゼスが心配していたのは「もし、アナコンダを軍用施設として使うことを会長が黙認していたなら、フェルディナンドを押さえる理由がない」ということでした。ちなみにエグゼスは、念のために休暇届まで用意していました。まさにコーポレイトの鑑です。
　一方のニアは、最初から休暇中ということもあって、がぜんやる気満々。前回も言いましたが、この対比がこのコンビの面白いところなのです。

ミドルフェイズ⑥

　アナコンダに向かうエグゼスとニア。施設にはまだ陸路では入れませんが、ペガサス相当の輸送ヘリを使って突入を開始します。
　施設全体はちょうどお椀を伏せたような形をしています。中身は簡単に言えば水族館、なのですが…事務室らしきところから物音が。

アンナ「（扉を叩いて）ちょっと！　ここから出しなさいよ！　誰か！」
エグゼス「（ニアの銃弾で鍵を吹き飛ばし）お元気そうで何よりです」

　本当は、アンナがフェルディナンドに再洗脳されて敵に回るという展開もありました。ただ、それは情報収集に手間取った場合の話で…今回は、どちらかといえばその対極の展開。
　なので、ハサウェイもアンナも無事ここで救出されます。

アンナ「（ばさりと翼を広げ）本当はお手伝いしたいんだけど、父さんが心配だから…」
ハサウェイ「エグゼスくん、面目ない」
エグゼス「いえ。お大事に」

クライマックスフェイズ

　飛び去るハサウェイ親子を見送り、二人はアナコンダの中心にある設備に向かいます。
　回遊型の巨大な水槽…一頭のシャチが、ガラス越しにニアに近づきます。

ルドルフ「感謝する…！　まさか本当にここまで来てくれるとは…」

　ルドルフによれば、彼やこの水槽にいる他の動物たち（シャチだけでなく、クジラやイルカも）は、元々エルダの海に住んでいたのだといいます。しかし、大戦でエルダからは海が消え去ってしまい、自然の中で生きることは出来なくなってしまいました。
　そんな折、彼らの持つ精神感応の力に目を付けた研究者によって捕らえれ、長い間人工の水槽の中で暮らし続けることになってしまいました。そして最後には、とうとうここに連れて来られたのだと…。

ルドルフ「彼らはここオリジンで、我々の“兵器としての力”を実験するつもりなんだ」
フェルディナンド「（物影から現れて）その実験もあと一歩で実戦段階だったというのに、とんだところで邪魔が入ったものだ」
エグゼス「その姿…あなたも獣鬼兵、いや“グリゴリ”のメンバーですか」
フェルディナンド「（強化された自分の身体を見下ろし）いかにも。私にとって最良の実験材料、それは私自身の身体だった。だが、兵器の研究に終わりはない…！」

　そしてフェルディナンドは、二人に跳びかかった…。

エンディングフェイズ

　ニアの銃弾がフェルディナンドの額を撃ち抜くと、水槽から溢れた水の中へと死体は沈んでいった。銃弾によって砕けた水槽からは次々と水が溢れ出し、アナコンダは徐々に徐々に海の中へと沈んでいく。

エグゼス「“都市建設”の特技を使う。ルドルフたちがいつでもここを訪れることが出来るように、施設を改装することにしよう」
ＧＭ・ニア「ぜ、前回に引き続き今回も！　エグゼス巧すぎ！！！１１１」

　人工の施設から、オリジンの海と融合した半自然の施設へ。
　エルダの海が失われてから長きに渡り、大洋で泳ぐことのなかったルドルフの仲間たちの姿が波間を跳ねる。彼らは、異界の地で初めて故郷に帰れたのかもしれない。

ニア「俺、決心しましたよ」
エグゼス「ん？」
ニア「いつか必ず、エルダの海を取り戻してみせます。ルドルフたちが帰ってこれるようにね」
エグゼス「…そうか」

　私もその日を心待ちにしているよ、というルドルフの声がどこからともなく響く。
　白と黒に彩られた彼の身体は大きくうねり、夕日に沈むオリジンの海へと消えていった…。

2006年04月13日(木)

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■　カオスフレア・プレイレポート“Ｐｒｉｎｃｅｓｓ　ｈａｓ　ｃｏｍｅ”

カオスフレア・プレイレポート“Ｐｒｉｎｃｅｓｓ　ｈａｓ　ｃｏｍｅ”

ＰＣ①　バーン（聖戦士／ファイター）

　今回のシナリオは“クルムワイセの幻影”と“夜の刃”の続きにあたる話です。というわけで、“クルムワイセの幻影”からの続投キャラ。
　まさにプレイヤーの本領発揮というべきでしょうか。二人の「王女」の狭間で暗躍するそのロールプレイに、ＧＭを含め他のプレイヤーは驚愕の嵐です。もはや、「冒険者のファイター」という言葉からは想像もつかないキャラクターと化している気がするのは気のせいでしょうか…？

ＰＣ②　ノエル（星読み／バード）

　バーン同様、“クルムワイセの幻影”からの続投キャラなのですが、こちらはこちらで我が道を邁進。
　相変わらず楽器の代わりに勝ち栗で持ち歌を披露する楽師なのですが…今回、ＧＭの予想を完全に裏切る形で、基本に極めて忠実な吟遊詩人であることが判明しました。詳しくは本文を参照。

ＰＣ③　ラスター（聖戦士／シーフ）

　こちらは“夜の刃”からの参戦です。
　二人の強烈な個性と行動に引っ張られているように見えますが、実は彼も我が道を驀進しているキャラです。ＧＭさえも知らない設定がいっぱいありそう。

オープニング

　３人がそれぞれ別の場所で、「リリィ王女が、アムルタートの支配を脱するため、ついに挙兵した」という噂を耳にする…というオープニングは共通です。ただ、バーンには、平和だった頃のリリィ王女と、彼女が信頼する女騎士リディアとの思い出を回想するシーンがあり、ラスターには今回のダスクフレアであるアムルタートのジェネラル、ドルファスと出会うシーンがありましたが。
　別のシナリオでプレイ済みのキャラクターは導入が楽でいいな…と思ったのは、実はここまで。ミドルフェイズからは予想外の展開が待ち受けていた訳で…。

ミドルフェイズ①

　のっけからＧＭがミス。
　３人のＰＣは２本の違うシナリオに参加していますが「リリィ王女が現在どこで何をしているか知っている」という点は共通しています。なので当然といえば当然ですが、いきなりロダーシュの酒場に乗り込みます。

バーン、ノエル「リリィ！　出てきなさい！」
リリィ「え、えぇ？　なになに？」
バーン、ノエル「やっぱり向こうは偽者か…」

　ミドルフェイズ開始１５秒で真相判明。
　本当は、この時リリィ王女は見つからないことにするべきでした（最初はそういうプロットだったのです）。ただ、ここでリリィ王女が見つからないと、結局見つかるまで他のことができず、情報収集が停滞するかも…と思い、いきなり会わせることにしたのです。

　　　◇◇◇

　実は、このシナリオのミドルフェイズの目的は「挙兵した王女は何者か？」を調べることではありません。
「本物は事態を打開する力はあるがその気がなく」
「偽者（実は、騎士リディアが王女の名をかたって挙兵している）は事態を打開する力がないのにやる気だけが先走っている」
という状況を見て、ＰＣがどう動くか、が問題だったのです。
　現在の事態を打開する、とはすなわち「ダスクフレアを倒す」ことです。王女が挙兵して王国を復興すること、はＰＣの目的にはなりえますが、シナリオの目的はあくまでも「ダスクフレアを倒すこと」。
　言い方を変えるなら、リリィ王女の王国復興が成功しようが失敗しようが、ダスクフレアを倒すことさえできれば、シナリオの目的は達成されるわけです。
　と、今後の展開で考えられるのは大きく分けて二通り。
「リリィ王女自身が反乱の中心となるように説得する」…①
か、あるいは
「リリィ王女が反乱の中心となるように説得はしないが、現在の状況だけは打開してもらう」…②　
です。

　①はいわば、「クルムワイセの幻影」から連続するストーリー。父親である国王と、二人の兄王子を殺された王女が、信頼する家臣の反乱に触発されて兵を率い、敵国アムルタートを打倒して王座に返り咲く、復讐の物語です。
　①の展開の障害は「現在、リリィ王女は王家を再興する気がない」ということです。原因は、後述するナイトブレイドの存在が示すように、彼女自身が自分の力量を信じていないことにあります。リリィは二人の兄王子に強烈なコンプレックスを抱いており、自分では人の上に立つ資格がない、と思い込んでいるのです。
　これをクリアするためにＧＭが用意した条件は次のようなものです（どれかを満たせばＯＫです）。

　「リリィ王女をリディアに直接会わせる」…女騎士リディアは王家の血を引いていますが傍流であり、カリスマにおいても秘めた力においてもリリィ王女には及びません。そのリディアが、アムルタートの支配下で困窮する人々のために頑張っている姿を目にすることで、リリィ王女の心に何かが芽生えます。

　「二人の兄（特に、最後にバーンと会話を交わして死んだ弟王子）が、リリィのことを頼むといって死んだことを伝える」

　「リリィ王女に、自分に秘めたる力があることを認めさせる≒ナイトブレイドの存在を否定する」…ナイトブレイドはあくまでもリリィ王女が生み出した仮想人格であり、その剣技や魔力は紛れもない王女自身の力であることを自覚させること。

　そして、最後に重要なのが「今、王国の人々は困っており、それを打開するにはリリィ王女が兵を率いて挙兵するしかないのだと説得する」ことです。

　対して、②は「夜の刃」から続くストーリーです。リリィ王女がもう権力や王家に関わらない、自由な生き方を欲しているのだ、とＰＣがそう考えるのであればこちらの物語です。
　②の展開であっても、敵がアムルタートのジェネラル＝ダスクフレアであることには変わりがありません。この場合「リリィ王女は王家を継がないが、ダスクフレアを倒すために力を貸す」という展開になります。
　このために用意してあったのが、次のような情報です。

　「ロシュナードの王城の地下には、“フィフス”というコラプサーが眠っている」

　「“フィフス”はデミウルゴスとの戦いで『ダスクフレア化』し、今は王家に伝わる聖剣によってその力を封じられている」

　「聖剣を制御できるのはロシュナード王家の人間だけである」

　「王城に王家に連なる者がいない今、聖剣の力は失われつつある。城にいる者はフィフスの力によって徐々にダスクフレア化し、王国全体も闇の力によって汚染されようとしている」

　「ダスクフレアを倒し、聖剣を使って魔王“フィフス”を再封印すれば、危機は去る」

　こちらは、特に難しい条件はありません。ただ情報収集を重ねて上記の情報を集め、ナイトブレイドに聖剣を手渡せばいいのです。

　　　◇◇◇

ミドルフェイズ②

　では、実際の展開がどうなったか、順を追ってみましょう。

　まずは、バーンです。上を見ればわかりますが、バーンがリリィ王女をリディアの元に連れていくだけで、このシナリオは半分終わったも同然です（①の展開になる）。
　ところが、ＧＭはバーンの策士っぷりを過小評価しすぎていました。バーンが最初に取った行動は、何とリディアのところに直接乗り込むことでした。そして…。

バーン「久しぶりだな、リディア」
リディア「（はっとして）…偽者の私を糾弾しに来たのね」
バーン「いや、違う。あんたは俺がやろうとしたことを代わりにやってくれた。だから、最後に本物のリリィ王女に入れ替わってくれるなら、兵隊を集めて下準備を整えてくれた功に免じて、王女の名を語ったことは不問にしようじゃないか」
ＧＭと他のＰＣ「げぇぇぇぇぇぇ！！！１１１」
ノエル「どこが冒険者のファイターなのよ！？」

　実は、これはバーンの目的からすれば理に適った行動です。天羅的に言えば「因縁に沿って忠実に行動した」だけのことです。
　しかし、シナリオ的には、バーンはまだフィフスのこともドルファスのことも調べておらず、リディアが直接王城に乗り込めば、聖剣なしでダスクフレアと戦うことになってしまいます。
　慌ててＧＭはもう一人のダスクフレア、ヤクシニー（「クルムワイセの幻影」参照）を登場させます。

ヤクシニー「また会ったわね、ボウヤ」
バーン「お前…また何か企んでるのか」
ＧＭ「（ここに来るのはまだ早いよ、他のことを先に調べて…。リリィを連れてきてもいいけど！）」
バーン「リディアの近くにこいつがいるんじゃ、放っておくのは危険だな。リディアに張り付くよ」
ＧＭ「（ええええ！　それ逆！）」

ミドルフェイズ③

　次は、ラスターです。彼はオープニングで「ドルファスと戦って負け、退却する」というシーンがあったので、ドルファスを調べるだろうと思っていました。
　でも実際は…。

ラスター「ナイトブレイドを探します」
ＧＭ「（ｍｊｄ！？）」

　①に進むのであれば、ナイトブレイドのことを知っているのはラスターだけですから、ナイトブレイドの存在を否定すれば（というか、ナイトブレイドもリリィ王女の一部なのだ、と説得すれば）いいし、②の展開に進むのであれば「ダスクフレアを倒すには聖剣の力が必要だ（だからナイトブレイドの助力がいる）」という情報にたどりつければよかったのですが…。

ラスター「お前は王国を復興したいのか？」
ナイトブレイド「いや、僕はそのつもりは毛頭ないよ。僕はリリィが生み出した幻に過ぎないからね。自分の意志なんてものはないのさ」
ラスター「ふむ…」
ＧＭ「（リリィのことを考えろ、とか、本当の自分に戻れ、とか言って！）」
ラスター「…ふむ、わかった」
ＧＭ「（スルーですｋ！！！）」

ミドルフェイズ④

　最後がノエル。
　結果的には一番予想外の行動を取ったのがノエルでした。ノエルはラスターがまだ調べていなかったドルファスの情報を調べ…。

ノエル「じゃあ、王都に乗り込みます。一人で」
ＧＭ「（そこはダスクフレアが待ち構えてるってオープニングで言ったじゃん！！）」

　至極当たり前ですが、単身敵陣で囚われの身となったノエル。
　急遽プロットを変更して、展開②の情報を一気に渡します。ノエルがフィフスの情報にたどり着いた以上、もうラスターがわざわざフィフスを調べ直すとは思えなかったからです。情報を掴んだノエルは、聖剣を手にして王城をからくも逃げ出します。

ミドルフェイズ⑤

　ここで、予想外の事態が起こります。リリィ王女と合流しないまま、リディア率いる反乱軍が王都に進軍することになったのです。
　これは、トリガー情報である「反乱軍の駐屯している“よどみの湖”には魔王フィフスの胴体が眠っており、近くにいるものはデミウルゴスの呪いによって徐々にダスクフレア化する」という項目を調べたためです。
　本来はリディアが進軍を開始した場合、展開①ならリリィが聖剣を使い、展開②ならナイトブレイドが現れて聖剣を使うはずでした。…聖剣がノエルの手によって、持ち去られてさえいなければ。
　このままだとリディア率いる反乱軍は、聖剣なしでアムルタートとぶつかることになってしまいます。

　一方その頃、リリィを説得しようとするノエルとラスター。

ノエル「あなたが聖剣を使ってくれないと、みんなダスクフレアになっちゃうんだけど…」
リリィ「兄は聖剣を持ったと言ってたけど、私は聖剣に拒絶されたことがあるのよ」
ノエル「え？」

　今の状態のまま、リリィが聖剣を持てることにしてしまうと、彼女がナイトブレイドの存在（つまり二人の兄の存在）を克服することはできなくなってしまいます。逆に、最初のシナリオの流れで行くと、ナイトブレイドの人格が現れている状態ならば、聖剣を使えるのですが…。

ノエル「そっか、じゃあしょうがないね。剣はリディアのところに持っていこう」
ラスター「しょうがないか」
ＧＭ「（エエエェェェエエエ？！）」

　ようやく、ＧＭは悟りました。今のままでは①の展開も②の展開ももう無理だと。
　ＧＭは慌てて、第③のプロットを作成します。

クライマックスフェイズ

　ロシュナード城下。急ぎかき集められ、何とか軍隊としての体を成すのがやっとという軍勢の前に、アムルタートの龍人たちが立ちはだかる。戦力差は圧倒的だ。
　声をはり上げて部下たちを鼓舞するリディア。しかし劣勢はいかんともしがたい。ついにその聖剣が重みに耐えかね、地上に落ちようとしたその時…。
　軍馬にまたがった一人の剣士が、聖剣を拾い上げた。
「リリィ様…？」
　剣士はリディアの問いには答えず、聖剣を天に向かって掲げる。悪鬼の群れと化したアムルタートの龍たちは次々と自分を取り戻し、一人また一人と戦場を離れていく。
　そしてついに、反乱軍は城へと突入した。

ＧＭ「さて、君たちの前にはドルファスとヤクシニーが立ってるよ」
ノエル「どっちがダスクフレア？」
ＧＭ「どっちもだよｗｗｗｗｗ」
全員「このド外道！！！１１１」

　とはいえ、二人の聖戦士によるフレアの連続投入で、ダスクフレアはあっという間に瀕死に。もうおわかりでしょうが、テンパっているシナリオほど、フレアはたくさん回るものなのです。
　しかし、ここからが長いのがカオスフレア。フレアを消耗したＰＣに、ダスクフレアの全力攻撃が襲いかかります（ぶっちゃけると…ＰＣ３人に最初のラウンドで殺されないためには、ダスクフレアを二人に増やすのが一番早いのです…）

バーン「ここは俺が一回死んで特技を」
ラスター「いや、むしろ俺が死んで特技を使った方が」
ＧＭ「二人とも死ぬ特技ばっかりですｋ！！！！」

　今回は前回のような計算間違いもなく、ついに最後まで残ったヤクシニーも倒れます。

ＧＭ「じゃあ、ふらふらとバルコニーの方に歩み寄ったヤクシニーめがけて、天から一本の投げ槍が飛んでくる」
全員「誰？！」

エンディングフェイズ①

ＧＭ「城の地下に眠るフィフスに、リリィは聖剣を深々と突き刺す」
ラスター「これでアンタもナイトブレードじゃなくて、デイブレード（太陽の剣）だな」
リリィ「（意味ありげに笑う）どうかしら…ね」

　城を覆う暗雲は晴れ、王城は再び主の元に戻った。しかし、これで全てが終わったわけではない。王女（プリンセス）から女王（クイーン）となった娘は、そのことを知っていた。
　一つの戦いの終わりは、新たな戦いの始まりなのだ。女王の心の中で、もう一人の“王”が雄叫びを上げる。それは、新たな戦いの先触れだった。

エンディングフェイズ②

バーン「ロダーシュに戻って、外からリリィ王女の活動を手助けするよ」
全員「策士だ！」
ＧＭ「じゃあ、商工会議所の会頭代理が君の前に現れる」
ラスール「では、バーン様。ネフィリムとの同盟の件についてはどのように…？」

　豪商たちの夜は長い。ロシュナードを巡る戦いは、まだ始まったばかりなのだ…。
　そして、ある日…。

ＧＭ「君がロダーシュの街道を旅していると、一人の男が君の前に現れる」
男「すまない、久しぶりなもので道に迷ってしまってね。ロシュナードに向かうにはどちらに行けばいいかな」
バーン「俺も城に用事があるんで、一緒に行くかい？」
男「おお、そうしてもらえると助かるよ。君、名前は何と？」
バーン「バーンだけど、あんたは？」
男「私はカストゥル。カストゥル・ティラナスだ。よろしく」

　握手を求める青年の背には、一本の漆黒の槍が妖しく輝いていた…。
　

エンディングフェイズ③

ノエル「その辺の街で、リリィ王女が城を取り戻すまでの顛末を歌ってるね」
ＧＭ「ふむ、そうすると漆黒の鎧をまとった女騎士と、道連れらしい少年がやってくるよ」
少年「お姉ちゃん。続きを歌ってくれない？」

　好奇心で瞳を輝かせる少年。
　詩人は歌う。一人の少女が、自らの王国を龍から取り戻す歌を。
　だが、詩人は言う。この歌はまだ終わりではないと。
　「そして、王国は平和を取り戻しました」…その最後の一節が歌われる日はまだこないのだと。
　少年は笑って礼を言い、闇の中へと消えていく。
　彼こそが、ロシュナードにとって最大の脅威であることを、詩人はまだ知らない…。

2006年04月12日(水)

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■　たった今発見したバトン

■Ｑ１.２００６年(１月から１２月)は何回ぐらいＴＲＰＧを遊びそうですか？

　何事もなければ２４回くらいは遊びたいです。つまり二週間に一回。スランプに陥ったり病気になったりしなければ！

■Ｑ２.今年はどんなＴＲＰＧでＧＭ(DM,ST,RL等)をしそうですか？

　カオスフレアばんざーい。アレはいいゲームですよ（宣伝宣伝）。
　あとはダブルクロスとエンゼルギアかな。ＮＯＶＡは…ＲＬというよりプレイヤーがやりたいほうにシフトしつつあります。ブレカナは様子見、かな。
　実際現物を見なければなんともいえないけれど。
　

■Ｑ３.今年はどんな論考(コラム,雑記等)を書きたいですか？

　つい最近ちょっと酷い目にあったばかりですからねぇ。論考はちょっと。
　アリアンロッドトラベルガイドに触発され、カオスフレアのトラベルガイドを書きたいというか執筆中。

■Ｑ４.マスターの醍醐味ってなに？

　この日記のプレイレポートでも時折書いてますが、「プレイヤーがマスターの予測を超えて、物語を展開させたとき」です。
　最近だと「海が見たい」のエグゼスの「思い出の品」とか。

■Ｑ５.上級者ってなに？

　ＴＲＰＧ全般の上級者？　コミュンケーションの上手い人、かなぁ…。
　マスターの上級者は定義できないですが、プレイヤーの上級者は私の心の中に定義があります。「他人のキャストを活躍させてあげられる人」です。

■Ｑ６.ハンドアウトってなに？

　最近のＴＲＰＧで新たに誕生し、極めて重要なもの。
　…そして私が最も苦手とするものの一つ。

■Ｑ８.ＴＲＰＧは人生の役に立つ？

　役に立つからやっている、というわけではないのですが。趣味なので。
　でも、広い意味では役に立ってると思います。

■Ｑ８.ゲームタイトルは隠す？

　これ、どういう意味でしょう。
　「プレイ当日までどのゲームをやるか秘密にする」ということかな？　だとすればＮｏ。経験点やルールブック持ってきて欲しいので。まぁ、当日まで決まらないことも時折ありますが。
　「シナリオタイトルを隠す」という意味だとしてもＮｏ．かなぁ。アクトシート書くときわかっちゃいますから。

■Ｑ９.貴方が参考にするＴＲＰＧ関連書籍、ネット文書を挙げて下さい。

　ネット文書は参考にしません。読んだとしても話のネタ程度。例外的に、ある人のブログを参考にすることがありますが、名前は秘密。
　関連書籍…最近だとＦＥＡＲ系のルールブックにほぼ必ずある、プレイングに関する注意やアドバイスの類。ＧＦやＲ＆Ｒ誌の記事も同様。
　究極的にはＦＥＡＲ系に限らず、購入している全てのＴＲＰＧ系書籍と言いたいところですが、参考にならないものも多いですね。
　

■Ｑ１０.一緒にこういった質問について楽しく考えてくれる
　（かもしれない）と思う人、６名にバトンを渡してください。

　６人って多くないですか？　私のこの日記見てる人（バトンくれた所長を除く）全部で６人とかそんな感じでは。

　とりあえずここを読んでいる貴方。そう、貴方にバトンをあげましょう。
そーれ

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2006年03月05日(日)

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■　カオスフレア・シナリオ“海が見たい”プレイレポート

カオスフレア・シナリオ“海が見たい”プレイレポート

ＰＣ①　エグゼス（星読み／コーポレイト）

　ＮＯＶＡでいえば「ミストレス／エクゼク」といったところでしょうか。他キャラのサポートから情報収集までそつなくこなしていました。「謎の後援者」の使い方が、ＧＭも驚愕するほど鮮やかでした。

※しかし、最新のエラッタで「謎の後援者」は１シナリオに１回しか使えないようになってしまいました。うーん、残念。

ＰＣ②　ニア（執行者／バイパー）

　こちらは生粋のスナイパー。今回のシナリオのテーマと真っ向から向き合うエグゼスに対して、どちらかというと斜に構えた態度が対照的でした。年配のエグゼスに対して、まだ若いシア、という二人の年齢差もその図式に一役買い、なかなかの良コンビだったのではないかと思います。

今日の一言

ニア「ダブルガンスリングの特技を使いたいんだが、片手にトムキャット持ったら駄目か？」
ＧＭ「トムキャットは戦闘機なんだけど…」
ニア「じゃあ、フェニックスでいいや」
ＧＭ「それは空対空ミサイルだってば！！！１１１」

オープニング①

──それは５年前、毒蛇に毒蛇の名が贈られるより前の物語。

　ネフィリムの母星、エルダのどこかにある雑居ビルで、エグゼスとニアは作戦行動の最中だった。彼らが所属しているのは、自社、つまりネフィリム社に損害を与える社内の悪性細胞を消し去る部隊。狙撃用スコープの向こうには、標的の男の姿がはっきりと映っている。部屋の中には彼らの他にも、数人の男女が忙しく行き来し、狙撃の瞬間を今かと待ち受けていた。
　と、そこに壮年の男がやってくる。隊長のハサウェイだ。
「どうだ、様子は」
言いながら、ブランデー入りの水筒を放る。
「動きはまったくありませんね」
「そうか…」
と、別の男がわざとらしく大きなあくびをした。
「煙草買ってくるわ」
そう言って部屋を出ていく。
「ハロルドのヤツ、いいんですか？」
「よくはないが、あれで腕は確かだからな」
ハサウェイの声も苦々しい。
　と、ニアがスコープを覗きなおす。
「標的、動きました」
室内に緊張が走る。引き金にかけた指に力が篭る。観測手が素早く周囲を確認して、肯く。銀色の火線が、二つビルを隔てた遠くの男の頭を撃ち抜く…はずだった。
　しかし、引き金が引かれた瞬間、男は何かを取ろうとしたのか、体の向きを変える。三発の銃弾がガラス窓に蜘蛛の巣のようなヒビを作り、吹き飛ばす。が、男は無傷だった。
『失敗した…？』
だが、それは想定済みの事態。素早く二人目の狙撃手が続く三発を撃とうとし…驚きで指が止まる。標的はまっすぐこちらを見ている。それはつまり、狙撃位置が完全に知られていることを意味していた。
　あり得ないことだった。狙撃位置は、事前に入念な下調べをし、周到な準備の上に用意されたもの。しかもその場所は、彼らチームしか知らない。
「裏切りか」

オープニング②

　清掃車に偽装した車に飛び乗り、急いでその場を離れる。エグゼスが眉をひそめた。
「セーフハウスの場所はハロルドも知っています。向かうのは危険では」
しかし、ハサウェイはハイウェイの先を見つめていた。
「私のセーフハウスに向かおう。次のゲートで降りてくれ」
　ハサウェイが案内したのは、うら寂れた観光地のような場所に建つ、一軒のログハウスだった。
「入ってくれ」
埃が積もってはいるが、よく整理された家だった。そして…奇妙に生活感がある。逃げ場として用意したようには思えなかった。
　ハサウェイは窓に歩み寄り、戸を開け放つ。そこに広がるのは、不毛の荒野だった。
「…私が若かったころは、ここから海が見えたんだが」
「戦争、ですか」
エルダを二つに割る大戦の影響は、地形や海岸線まで変えてしまったと言われている。
「シアは戦後世代だったな。私の娘も同じだ。ここに連れてきた時に、よく言われたよ。『海なんて見えないじゃない』と、ね」　

　何故、昔を思い出したりしたのか。エリザベス・パーラメントが差し出した書類の一番上に、懐かしい顔を見たからかもしれない。
「ハサウェイ・パルマー。ＶＩＰＥＲの設立に尽力した人物ですが、獣鬼兵一体を連れてＹ．Ａ．Ｃ．Ｏ．Ｂ．を無断使用、オリジンに向かったようです。
　今回の貴方の任務は、彼を捕縛し、試験型の獣鬼兵を取り戻すことです」

ミドルフェイズ①　

　今回、エグゼスとニアは「かつての同僚」という関係。標的であるハサウェイは二人の上官です。とはいえ「世界設定がＮＯＶＡでシステムがカオスフレア」と来れば手馴れたもの。しかもミーム：ネフィリムは元から社会が高いので、ファミリアのような変化球も要らず、ガンガンリサーチに入ります。

・ハサウェイには娘がいて、重い病を患っていたこと。
・獣鬼兵は「企画６課」というセクションの実験体であり、素体は人間であること。

　ここまで調べた時点でエグゼスはピンときたのでしょう。直接オリジンに向かいます。

　逆にニアは、オリジンに向かうのが早すぎるとリサーチできなくなると踏んだのか、「Ｙ．Ａ．Ｃ．Ｏ．Ｂ．を警備していたＶＩＰＥＲ隊員が入院している病院」や「獣鬼兵を開発した研究所」など、ネフィリムで丹念にリサーチを続けます。

ミドルフェイズ②

　ハサウェイ関連のリサーチはニアに任せたエグゼス。というより、もう大体事情は察したのでこれ以上のリサーチは必要ないと踏んだのでしょう。逆に、ハロルドがこの事件に関わっているのでは？　と予想し（当たり前ですが）そちらに重点を置いて情報収集を始めます。
　オリジン側のネフィリムの拠点、ニューマンハッタンに到着したエグゼスは、ハロルドと企画６課についての項目をしらみつぶしに調べ始めます（この辺り、演出はほとんどＮＯＶＡそのものなので、演出で行き詰まったり膠着することがほとんどありません。…いいゲームですね）。

　一方、ネフィリムに残ったニアは、

・ハサウェイの娘が、多臓器機能不全という病を治すため、臓器を人工細胞と取り替える…つまり、獣鬼兵化するという治療法を選んだこと
・企画６課の試作型獣鬼兵は、戦闘力が高い代わりに人間であった頃の記憶が失われていくという副作用があること

…などを調べ上げます。これ以上ネフィリムで調べられることはない、と判断したニアは、エグゼスを追ってオリジンへと向かいます。

ミドルフェイズ③

イリア（※）「よう、久しぶりだなエグゼスの旦那。何か用かい？」

※イリア・ルゥ・レグニッツァ。ルールブック記載のＮＰＣで、通称「ガンドッグプリンセス」。　　

エグゼス「ハサウェイ・パルマーという人物の行方を知りたいのですが」
イリア「ああ、ありゃあんたの連れだったのかい。随分目立つヤツだったから、こっちでもいろいろ噂になってるぜ」
エグゼス「（苦笑して）そうですか。それで、彼は今どこに？」
イリア「ロダージュっていう街にいるらしいな。（一瞬言葉を切る）こっちでは『海が綺麗な街』ってことで有名な場所さ。…何か心当たりでも？」
エグゼス「…ありがとうございました。この埋め合わせは、またいずれ」

ミドルフェイズ④

　ロダージュの街にやってきたエグゼスとニア。早速酒場で聞き込みを始めます。

エグゼス「（プリントアウトされたハサウェイの写真を見せて）この人物を知りませんか？」
リリィ（前回のシナリオ参照）「あら？　この人、毎朝浜辺に来ている人じゃないかしら」

　果たして、二人が張り込んでいると、ハサウェイと娘のアンナとおぼしき二人が、海を見渡せる浜辺へとやってきます。

ハサウェイ「アンナ、見てごらん。これが本物の海だよ」
アンナ「この場所にどのような意味があるのですか？　私は作戦行動に戻らなければなりません」
ハサウェイ「あんなに海を見たがっていたじゃないか」
アンナ「（表情を変えず）記憶にありません」
ハサウェイ「（ため息をつく）」

　白状します。実は、このシナリオではハッピーエンドを用意していませんでした。用意していた選択肢は「アンナを倒すかどうか（アンナと戦う場合はハサウェイとも戦うことになる）」であって、アンナの記憶が戻る予定はなかったのです。
　ところが…。

エグゼス「お久しぶりですね、ハサウェイさん」
ハサウェイ「エグゼス君か…追ってくるなら君だと思っていたよ」
エグゼス「娘さんの記憶は、戻らないのですか？」
ハサウェイ「アンナは小さい頃から海に憧れていてね。病気が治ったら海を見に行くと言っていた。だが知ってのとおり、エルダの海は酷い状況だ。それで私は思ったのさ。オリジンの海なら…本当の青い海を見せれば、ミラの記憶が蘇るかも、とね。甘い考えだったが」
エグゼス「ふむ…。ＧＭ、特技使ってもいいですか？」
ＧＭ「ん？　何を使うの？」
エグゼス「“謎の後援者”を使って、『アイテム：思い出の品』を買います。で、５年前に、ログハウスでペンダントを拾っていたことにします」

ＧＭ・ニア「う、上手すぎるッ…！！！１１１」
　
　ＧＭも驚愕で言葉を失うクールな展開。急遽頭の中でハッピーエンドを組み立てます。

エグゼス「（アンナにペンダントを手渡し）これは君のペンダントだろう。君に返しておくよ。さぁ、思い出して。あのログハウスに、お父さんと一緒に出かけた日のことを…」
アンナ「そ、そうだわ…私、パパと一緒に…海が見えるからって…それで…私…」

クライマックスフェイズ

　と、その時後ろから拍手の音が。

チャールズ「いやはや、茶番をありがとう。感動で涙が出てくるね」
エグゼス「ようやくお会いできましたね、企画６課長チャールズ。いや…久しぶりですね、ハロルド。と言った方がよろしいか？」
チャールズ「おやおや、バレてたのか」
ニア「娘の病気を治したいっていう隊長の弱みにつけ込んで、昔の意趣返しを目論んだわけだ？　相変わらず陰険なヤツだな、お前はよ」
チャールズ「（肩をすくめて）昔から、あんたたちは俺の邪魔ばかりする。ここらで一つご退場願おうか」

　そういうと、物影から戦闘ヘリと獣鬼兵が姿を表します。

チャールズ「Ｉｔ’ｓ　ａ　ｓｈｏｗ　ｔｉｍｅ！」

エンディングフェイズ①

エグゼス「ＧＭ、“謎の後援者”をあと二回使います。一回は、ロダージュの浜辺に、あのエルダにあったのと同じログハウスを建てるのに使います」
ＧＭ「（今日の“謎の後援者”は神がかってる…）あと一回は？」
エグゼス「ネフィリムの部門を一つ買収します。で、エリザベスパーラメントに報告書を書きます」

　その報告書には…ハサウェイ親子が、追跡の途中で不幸にして事故で命を落としたと書かれていた。さらに追跡の途上、ロダージュという風光明媚な街を発見したこと、ロダージュをネフィリムの一大観光地にするため、土地に詳しく、ネフィリムの事情に通じた『現地のガイド』二人を雇ったことも記されていた。

エリザベス「（全ての事情を察し）会長は、好きにおやりなさい、とのことです。あとは任せましたよ、エグゼス」

エンディングフェイズ②

　一方その頃、オリジンのどこか。吹雪の吹き荒ぶ中を行軍しながら、ニアはぶつくさ愚痴をこぼしていた。

ニア「なんで俺がこんなところに飛ばされなきゃならんのだ…」
獣鬼兵（※）「ぼやくなよ、俺たちの命はあのメスゴリラが握ってるんだからな」
エリザベス「（通信機からぼそりと）それに耳もいい」
ニア＆獣鬼兵「直ちに任務に戻りますッ！」
エリザベス「よろしい（ぶつっ）」

※クライマックスに登場した獣鬼兵。チャールズが倒された時点で命令が消失し、ニアを通じてＶＩＰＥＲに回収されたのです。

おまけ

ＧＭ「なんか、今日のエグゼスは冴えてたねぇ」
エグゼス「いや、ＧＭが開始前に『老人Ｚ』がどうしたとか言ってたんで、話の筋は予想がついてたんですよ。だから、ずっとクライマックスの演出考えてたので…」

　うーん、脱帽。

2006年03月02日(木)

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■　カオスフレア“夜の刃（ナイトブレード）”プレイレポート

カオスフレア“夜の刃（ナイトブレード）”プレイレポート

　今回のシナリオは、前回の「クルムワイセの幻影」の続きの話になります。キャンペーンは話が作りやすいですね。さらに、まだファンタジー月間継続中なので、今回のキャストも二人とも冒険者という設定です。

ＰＣ①　キャスター（執行人／メイジ）

キャスター「私のキャストは『キャスター』です」

　キャスターというのは「フェイト／ステイナイト＆ホロウ・アタラクシア」に登場するキャラクター（ネタバレするのであまりここに詳しくは書けませんが…）。

ＧＭ「（セブンのように）ああ、キャスターみたいな外見なんだ？」
キャスター「いいえ。『キャスター』です。聖杯戦争を戦うために、オリジンに召喚されて（以下略）」
ＧＭ「ちょっｗｗｗｗｗｗ」
キャスター「…でも、フォーリナーとのマルチミームにすると“流星召喚”とか“原子分解”が使えないので、シングルミームですけど」

　後を読むと分かるのですが、今回ＰＣ①にはある仕掛けが施してあります。なので、この設定を聞いたときは内心ちょっと焦りましたが、記憶喪失という設定を聞いて開き直りました。
　蓋を開けてみればリサーチ、戦闘共にそつなくこなす立派なメイジ。もちろん（？）ファミリアつきです。よく考えると「相手の達成値を下げる」ってすごくキャスターっぽい設定ですね。

ＧＭ「では、初期パスはリリィという女性です。酒場のウェイトレスですが、冒険者の話を聞くのが趣味なので情報通でもあります」

ＰＣ②　ラスター（聖戦士／シーフ）

ラスター「うーん。“輝く紋章”って、『装備スロット：片手』の武器にしか入らないんだよな？」
ＧＭ「説明にはそう書いてあるねぇ。特にＦＡＱも出てないよ」
ラスター「射撃武器ってほとんど両手だからなぁ…片手で持てるのっていうと…拳銃か」

　というわけで拳銃使いのシーフです。ＯＰとＥＤを見る限りではいろいろな過去やら裏設定やらがありそうです。ハードボイルドですが、もちろんファミリアつき。

ＧＭ「ラスターの初期パスは“ナイトブレイド”。ロダーシュで有名な暗殺者です」

オープニングフェイズ①

　まずはラスターのオープニングですが、ＧＭ指定ではなくプレイヤー指定のシーンです。
　暗い洞窟の中で、謎の首領っぽい人から拳銃（紋章入り）を受け取るラスター。

首領「（よく聞き取れない）の転覆のため、（よく聞き取れない）を暗殺せよ」
ラスター「ははっ」

　そして街（今回のシナリオの舞台となる、交易都市ロダーシュ）に出るラスター。あー、かったるい、だるいとか言いながら夜道を歩いていると、血塗られた剣を下げて商人の屋敷から飛び出してくる、仮面の人物と鉢合わせします。

ラスター「よう。妙なところで会うな」
ナイトブレイド「あんたがラスターか。話は聞いている。ここで僕とやり合うかい？」
ラスター「いいや。どうせまた会うだろう？」
ナイトブレイド「あんたが闇の中を歩き続けるなら、また会うさ」

オープニングフェイズ②

　そしてキャスターのオープニング。ロダーシュの酒場“不死鳥の宿”で、他の冒険者にも誘われず一人不遇を囲っています（そりゃあ○○○だもんね）。
　と、そこに料理を載せたトレイを抱えたウェイトレスがやってきます。

リリィ「どうしたの？　景気の悪い顔して」
キャスター「仕事がなくて…」
リリィ「それじゃあちょうどいいかな。商工会議所の副会頭がお呼びだよ。仕事の依頼、だって」

　ラスターと合流し、商工会議所へ。開放的という印象を持たせるためか、窓もドアもほとんどない建物です。

ファルード「よく来たね。私が副会頭のファルードだ。早速だが、キミたちに頼みたい仕事というのは他でもない。“ナイトブレイド”と呼ばれる暗殺者を捕縛してほしい」
ラスター「ほう…暗殺者、ね」
ファルード「既に１６人の商人が、“ナイトブレイド”の手にかかって殺されている。これ以上被害を広げるわけにはいかないのだ。頼んだよ」

　この依頼のシーンだけで「ファルードへの疑惑」というパスを取るのはさすがというか何というか（笑）。

ミドルフェイズ①

　さて、リサーチですが…前回、今回とやってみて、一つ学んだことがあります。
　「カオスフレアでは、最初はある程度リサーチできる項目を制限しないとダメ」ということです。というのも、Ｎ「神業」などの縛りがないため、段階制の目標値を用意するだけでは、リサーチの最初のシーンで全部の項目が調べられてしまうのです。
　前回もそうだったのですが今回はさらに顕著で、いきなりリリィに関する秘匿情報が抜かれたのは計算外でした。
　リサーチでは往々にしてそうなのですが、早い段階で一部の情報についてだけ細かく知ってしまうと、進行がかえって滞ってしまうことがあります。今回はまさにそれでした。でも、ＰＣたちのリサーチの仕方が悪かったというわけではありません。何というか、運が悪かったというか私が悪かったというか。

キャスター「じゃあ、酒場へ行ってリリィさんにでも話を聞くとしましょうか」

　そう、キャスターにパスを渡すとき「リリィは酒場のウェイトレスだけど、冒険者の話を聞くのが趣味で情報通」と説明したために、リリィ相手にリサーチを始めたのです。これ自体はごく普通の行動です。
　ところが、実は“ナイトブレイド”の正体はリリィ本人（の別人格）なのです。このため詳細な情報をリリィから渡すわけにもいかず、酒場の別の客から情報を渡したところ…。

ラスター「怪しい」

　当然ですね（笑）。ですが、ナイトブレイド関連の情報のうちいくつか（特に二重人格関連）はキーイベント（後述するゼメディアのイベントのことです）を進めないと情報が入らないことになっていました。
　しかし、中途半端に情報を掴んでしまったため、二人ともあらゆる項目で情報収集判定にチャレンジしようとします。プレイヤーとしては当然の心理で、これはＧＭの情報の渡し方に問題がありました。

ラスター「うーん、どうしても（情報の）穴が埋まらない…」

　最後には、リリィ王女の侍女や従者と目をつけたエキストラ（仮称サラとジャッキー。「名前が偽名っぽい」と言われましたが、それもそのはず。その場ででっち上げた名前です）にまで体当たり取材を敢行する羽目に…。もっと早く、「その情報はイベント発生後だね」と伝えるべきでした。

　調べたことはというと…。

・“凶賊”ナイトブレイドに殺された１６人の商人は、大きく２種類に分かれる。
・うち７人は、人身売買や中毒性の極めて高い嗜好品の密売など、旧ロシュナード王国が禁じていた商取引を行っていた者たち。剣の腕が立つ暗殺者によって斬殺されている。
・うち９人は、違法取引とはまったく関係なく、渓谷を挟んで反対側にあるバーラム公国のやり方に反対する者たち。殺害方法は毒殺から射殺までいろいろ。
・バーラム公国は、政治的な空白地帯にあるロダーシュを実質的な支配化に置こうと画策している。
・依頼主のファルード副会頭は、バーラム公国派の商人である。
・後は、前回までのシナリオの経緯を一通り。

　高い目標値を用意していた項目は、序盤で軒並み調べ尽くしてしまいます。でも不思議なことに、前回のバーンが「ロシュナードの現在の状況」を調べなかったように、今回も抜けた項目があります。それは「商工会議所の会頭は何者で、今はどこで何をしているのか？」という項目です。

ミドルフェイズ②

　依頼主のファルードがバーラム公国派であることを知り、殺された商人の葬儀の場でそれとなく探りを入れる二人。というかむしろキャスターは既に臨戦体制です。

キャスター「今回の依頼は、なかったことにして頂きましょう。これ以上あなたに協力は出来ないわ」
ＧＭ、ラスター「おおー！」

　鮮やかに見得を切った後、速やかに反バーラム派のリーダー、ゼメディアという商人の元を訪れます。
　ファルードの雇った人間など信用できない、というゼメディアを説き伏せ、屋敷で警備にあたるキャスター。そこに、仮面を着けた剣士が現れます。
　月夜の下、対峙する二人。実は、この時点までリリィ＝ナイトブレイドであることに気付いていないと、彼女と戦闘になり、途中で仮面が外れるイベントがあるはずでした。
　そこにラスターも駆けつけます。

ラスター「お前はリリィなのか？」
ＧＭ「『そうでもあり、そうでないとも言える。僕は、リリィが二人の兄に抱いていた理想の姿、なんだよ。だから無法な行いは許せない』」
キャスター「どうして殺すの？」
ＧＭ「（肩をすくめる）『正当な法の裁きに掛けろっていうのかい？　ここを支配する国はもう、ない。ここは無法地帯なんだ。…それに、死に値する罪は、死を以って償うべきだ』」
キャスター「反バーラム派の人間は？　死に値する罪があったとでも？」
ＧＭ「『それが僕にもわからない。僕が殺してない人間まで、僕が殺したことになってるのが、どうしても納得いかなくてね。それで話を聞きに来たんだ。ゼメディアさんにね』」
キャスター「（鋭い目で周囲を見回し）…遅かったかも」

　屋敷に響き渡る断末魔の叫び声。ゼメディアの私室に向かうと、そこにはゼメディアの死体が転がっており…。

ＧＭ「使用人が『ひ、ヒィィ！　冒険者がナイトブレイドの手引きをしたぞ！　こいつらが犯人だ！』と言う」
ラスター「分かりやすい冤罪、どうもありがとう（笑）」
ＧＭ「ファルードが、衛兵を連れてやってくる。『まさかキミたちが犯人だったとは…連行しろ！』」
キャスター「…」

ミドルフェイズ③

　バラバラの牢獄に入れられた３人。このままだと処刑されてしまいます。

ラスター「あー、どうするかね…」
ＧＭ「と、キャスターに面会人があるよ。特徴のない顔立ちの商人だ」
キャスター「顔見知り？」
ＧＭ「そいつは人払いをして看守を遠ざけると、キミに頭を下げる」

　「お帰りをお待ちしておりました、会頭」

キャスター、ラスター「ええええええ！！！！１１１１」

　我ながら無茶だとは思いますが、これが冒頭で述べた「仕掛け」です。ちなみにリサーチで会頭のことを調べると、キャスターのプロフィールがわかるようになっていました。他には伏線らしきものは一切なしです。最初はノエルを罠にはめるつもりだったのですが…。

キャスター「ちょ、ちょっと待って。会頭って、私が？」
間諜「はい、ご指示のあった通りにいたしました。ファルードは油断しております」
キャスター「（頭を押さえて）ちょ、ちょっと待ってね。整理するから」

　余りにも突然な展開に、二人でああでもない、こうでもないと相談した結果…。

キャスター「会頭の名前で次のように指示します。『３人は公開処刑にする』『私は会頭を退き、ファルードに後を譲る』『ロダーシュはバーラム公国に忠誠を誓うことにする』と…」

　ロールプレイまできっちり決めて、すっかり会頭に適応。

クライマックスフェイズ

　ラスター、キャスター、ナイトブレイドの三人は広場にしつらえられた断頭台に引きずられていきます。正面では満面の笑みを浮かべたファルードが待ち構えています。

ＧＭ「ファルードは人々の前で一演説ぶつよ。『皆さん！　私は会頭より、今後のロダーシュの運営を任されました！　我々は今後、隣国バーラムと緊密な関係を築くことになります！』
　人々はざわつく。元々独立気質が強いから、みんな諸手を上げて賛成って感じじゃないね」
キャスター「（ニヤリと笑って）やっぱりね。じゃあ、ファルードに話しかける。『最期の一言、ってヤツはないの？』」
ＧＭ「『今さら何を言いたいというんだね』」
キャスター「『あなた、会頭に会ったことある？』」
ＧＭ「『何をバカなことを。あるに決まってるだろう』」
キャスター「『そうね。確かに会ったことあるわ。…だって、今もこうして会ってるもの、ね』」
ＧＭ「『なにぃ…？！』」
キャスター「（手錠を外して）『茶番は終わりよ、ファルード。あなたを告発します』」
ＧＭ「『ば、バカな！　お、お前が…！　く、くそっ！　やれ、やってしまえええ』」
ラスター「（紋章付きの銃を構え）やれやれ、ようやく正体を現したか、ダスクフレア」

　崩壊する大地で、吹き飛ぶエキストラたち。

ＧＭ「さて、じゃあ戦闘開始」
ラスター「ふふん、行動値３０っと」

　ここまで描写してませんが、ほとんど毎シーン、食事を取ったり買い物をしたり、地道に判定値などをブーストしていました（それはもう、ＧＭが「もうそろそろいいんじゃない？」と言い出すほどに）。

ＧＭ「じゃあ“那由他の一瞬”で先手」
ラスター「エエエェェェエエエ」

　当たり前です（笑）。
　実は、カオスフレアのキャンペーンをスタートして今回初めて、星読みのいない組み合わせだったりします。どうなるんでしょう。ドキドキ。
　ダスクフレアの一撃をしのいだラスターの一撃目…。

ラスター「ほい、達成値１５０」
キャスター「大いなる力で達成値２０下げ、と」

　今までとあんまり変わりませんね（笑）。

ＧＭ「『ば、バカな。あと少し、あと少しでロダーシュが…バーラムも我が手中に落ちたものを…』そう言って、ファルードは倒れる」
キャスター「あ、ナイトブレイドは？」
ＧＭ「姿を消したようだ。いないね」

エンディングフェイズ①

　薄暗い洞窟の中、闇に包まれた空間に響き渡る声がある。
「よくやった、ラスター。首尾よくファルードの暗殺に成功したようだな」
ラスターがうやうやしく頭を下げる。
「これからも引き続き、バーラム公国転覆のために尽力してもらいたい」
「ははっ」

ＧＭ「あ、バーラムのことだったんだ？」
ラスター「ああ、というか、今そうした（笑）」
ＧＭ「（上手いなぁ…（笑））」

　ラスターは、銃を差し出す。
「では、これを…」
任務に成功したら、銃は返すのが「組織」の掟だった。…これまでは。
　しかし、闇の中の声はそれを押し止める。
「そのまま持っているがいい。すぐに必要になるからな」
「は…？」

　そして、数日後。いつものようにかったるい、だるい、と呟きながら夜道を歩くラスターの前に、一つの人影が立ちはだかる。
　夜の闇そのもの、とでも言うべき漆黒の鎧をまとった、一人の女剣士だ。
　ラスターが銃を抜く。
「なるほど、すぐに必要になるってのはこのことか…」
返事の代わりに、女は剣を抜き放った。

エンディングフェイズ②

　いつもと変わらぬ酒場の喧騒。キャスターは、またいつもと変わらぬ浮かない表情でため息をついた。
　その目の前に、野菜を満載した皿がどさっと置かれる。
「どうしたの？　また景気の悪い顔して」
リリィだった。彼女は、ナイトブレイドだった時に起きたことを、何も覚えていなかった。自嘲気味に「彼」が語ったことを思い出す。
『僕は、ロシュナードそのものの亡霊なんだ。たまたまリリィの身体を借りているだけさ。彼女には申し訳ないけれど』
「仕事がないのよ。いつものことだけど」
リリィがくすくすと笑う。
「いい話があったら紹介してあげる」
「お気遣いなく」
立ち去ろうとしたリリィの足がふと止まり、その“気配”が一変する。
「…僕を助けてくれたことには、一応お礼を言っておくよ」
キャスターはふっと笑う。
「どういたしまして。…あなたはこれからどうするの？」
振り返ったナイトブレイドは、キャスターに呼応するように、笑みを漏らした。
「さてね。故国の復興というのも月並みな話だ。…君はどうするべきだと思う？」

　そう問いかけて、ナイトブレイドは姿を消した。

2006年03月01日(水)

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■　カオスフレア"クルムワイセの幻影（かげ）"プレイレポート

カオスフレア"クルムワイセの幻影（かげ）"プレイレポート

　今回もまたハンドアウトを用意できませんでした。でも、やりたいシナリオははっきり決まってます。キャンペーンプレイの利点はやっぱり「シナリオのネタを思いつきやすい」ことだと思います。
　元々考えていたシナリオのネタに加えて、アリアンロッド・トラベルガイドに毒された私の頭が考えたのは…『カオスフレアでファンタジーをやってみよう！』でした。
　何しろ今回は『人々を困らせる、山奥のドラゴンを倒し、王国に平和をもたらす』のがシナリオの目的ですよ！（一部誇張あり）　これぞファンタジーの王道！
　果たして、結果がどうなったかは、キャラ紹介を読んでいただければだいたいわかるかと…。

ＰＣ①　バーン（聖戦士／ファイター）

　（背後にＯＶＡ版ロードスのテーマ曲が流れている）

バーン「…今回ってファンタジーなんだよね？」
ＧＭ「うん。そうだよ」
バーン「じゃあ、名前はバーンにします」
ＧＭ「ちょｗｗｗｗｗ　待っｗｗｗｗｗ」
バーン「アギトの方がいいかな？」（「銀色の髪のアギト」のこと）
ＧＭ「その二択なのか！！！１１１」

　というわけで、主人公のＰＣ①。命名の由来はともかく、ちゃんと主人公してました。しかも、ＰＣ②のノエルを遥かに越えるリサーチ能力（具体的にはファミリア）で、シナリオの機密情報をカードも使わずガンガンぶっこ抜くリサーチのプロ（ファミリアが）。
　でもアーマーはソフトレザー。

ＰＣ②　ノエル（星読み／バード）

ノエル「ＧＭ、ルールブックに楽器が載ってないんだけど、バードがいるのに楽器ないの、この世界？」
ＧＭ「（ルールブック）あ、ホントだ。たぶんルール上の効果がないからじゃないかな？　フレーバーで好きな楽器持っててもいい…」
ノエル「じゃあ、勝ち栗で」
ＧＭ「ちょｗｗｗｗｗ　あんたもかｗｗｗｗｗ」
ノエル「勝ち栗お手玉しながら歌います」
ＧＭ・バーン「それのどこがバードだっ！！！１１１」

　というわけでＰＣ②。ちゃんとＰＣ①をサポートしてＰＣ②をやってました。しかし、バードなのにリサーチがまったくできないのは何故でしょう（ダイス運が悪すぎます）。ファイターがソフトレザーだというのにチェインメイルを着込んでいます。

ＧＭ「あんたら装備交換しろ！」
バーン・ノエル「「イヤです」」
バーン「ファミリア手放す気、まったくないから！」
ＧＭ「…じゃあ、コロナとクラスを交換しなさい（笑）」

オープニング①

　ロシュナード王国。南を海に面し、東をアレウル山脈に隔たれた王国です。その歴史は２００年の長きに渡り、本来なら気候も温暖で平和な王国のはずでした。しかし、この国は先年より、半年以上も止むことのない猛吹雪に悩まされていたのです。
　自然の悪戯、と片付けるには余りにも異常な事態。しかも悪いことに、吹雪と前後してアムルタートの軍勢が、王国の北方に陣を構えたのです。仮に戦ったところで勝ち目は薄いでしょうが、それ以前に寒波のため、ロシュナード軍は軍の様相さえ呈さない有様。
　そんな中、冒険者としての栄光を求め、王都ロナウルの酒場で情報収集にいそしむバーン。一番の当たりはもちろん「この吹雪を止める方法」なのですが…。

ＧＭ「『バーン、いつもみたいに冒険の話聞かせて！』と、女の子がキミを訪ねてくる」
バーン「誰だろ？」
ＧＭ「リリィ王女（バーンの初期因縁）だよ」
バーン「王女だったんか！」

　話をせがむ王女を軽くあしらうバーン。この辺はPC①の宿命ですね。

オープニング②

　吹雪の吹きすさぶ中勝ち栗芸を披露しても誰も見に来ない（当たり前）ので、仕方なく酒場に戻るノエルの前に、一人の男が現れます。

ＧＭ［『私の名はシュナック…』］
バーン「（露骨に嫌な顔をする）エエエェェェエエエ」

　シュナックというのは「銀色の髪のアギト」に登場する、ムスカを３倍ぐらい情けなくした感じの悪役です。
　シュナック曰く「この寒波は、東のアレウル山脈に住む氷龍クルムワイセの影が原因だという噂があるので調べてほしい、そしてもし本当に龍が原因なら、倒して吹雪を止めてほしい」とのこと。クルムワイセと言えば、この世界で最初のダスクフレアにして、先代の氷龍将です。
　あからさまに怪しいシュナックを疑いの目で見つつ、前払いの報酬はもらってオープニングは終わりです。

ミドルフェイズ①

　さてこの場面、リサーチでバーンの本領発揮です。
　王女の友人ということでロシュナードの第１王子である魔術師レイディス、第２王子の騎士カルラックの元へ向かい、聞き込みを開始。

バーン「シュナックのことを調べるよ」
ＧＭ「おお、依頼主から調べるなんて、なんだかサイバーパンクっぽい（笑）。…目標値は１０、１５、２５だよ（オリジンの社会は低めで５ぐらいだったはずだし、２５なら６ゾロかＡかジョーカー以外は届かないはずだよな）」
バーン「じゃあ、ファミリア使う。『いけ！』と言って鷹を放すと、戻ってきたときには結び文に情報の記された手紙が以下略」

　ファミリアは、魔術で情報収集判定ができるようになるアイテムです。オリジン出身者は社会は低めですが魔術は高め･･･。

バーン「能力値が１１、ダイスが１１で２２か。じゃあカードで３追加で、２５」
ＧＭ「うはｗｗｗｗｗおｋｗｗｗｗｗ」

　この調子でガンガンリサーチを進め、なんと１シーン目で…

・シュナックというのがアムルタートの氷龍将ハイゼンガーの偽名であること
・アムルタートがロシュナードに侵攻したのはクルムワイセの影を調べるためだったこと
・「クルムワイセの影」がアムルタートに古くから伝わる魔法の鏡によって生み出されたものであること

など、シナリオの重要情報を調べ上げてしまいます。

バーン「（哀れむように）まだ１シーン目だけどこれでよかったのか？」
ＧＭ「…」

ミドルフェイズ②

　対する吟遊詩人ノエル。本来は情報収集は十八番のはずなのですが、ひたすらダイス目に見離され、しかもファミリアもないため判定に失敗しまくり、ついにはいたたまれなくなったバーンがフォローすべく、シーンに乱入してくるというダメっぷり。

ノエル「…いじけて暖炉に勝ち栗投げつけます」
ＧＭ・バーン「いいからファミリアを買え（笑）」

　そして二人は、余ったカードを有効活用すべく、ひたすら買い物に邁進します。

ノエル「ドラゴンウィスキー！　ドラゴンウィスキー！」
バーン「フォルテ風ステーキ！　フォルテ風ステーキ！」
バーン・ノエル「（哀れむように）いいの？　本当に」
ＧＭ「……」

今日の一言①
バーン「アイテムもファミリアに買ってきてもらうってのダメ？　こう、アイテムぶら下げて飛んで来るとかさ」

ミドルフェイズ③

　町をふらつくノエルの前に、謎の占い師が現れます。ファンタジーっぽいよね！

ＧＭ「『哀れな冒険者たちよ、お前たちはあのシュナックという男にだまされているのじゃ』」
ノエル「…（もうシュナックの正体を知っているが黙っている）」
ＧＭ「『鏡を壊したところで龍は消えぬ。龍を消すためには鏡の中に入ってクルムワイセの影を倒すしかないのじゃ』」
ノエル「…（占い師のフリをしても、背が高いからアムルタートの龍人なのはバレバレですよ、とツッコミたいが黙っている）」

　そして、あんまり謎じゃない謎の占い師は姿を消します。

ミドルフェイズ④

　さて、いよいよ吹雪の山脈踏破。シュナックが二人の前に現れ、一緒に行くと言い出します。

ＧＭ「『大丈夫だ、自分の身ぐらいは自分で守れる』」
ノエル「いえ、そこはまったく微塵も心配してないけど（笑）」

　で、リリィ王女も一緒に行くと言い出します。

バーン「お前はいろんな意味で心配すぎるーーー！！！１１１」

　むずかるリリィは放置して、二人はシュナックと共にアレウル山脈へと出かけます。
　すると、途中でアムルタートの女将軍と鉢合わせします。彼女の名はヤクシニー、ハイゼンガーの副官です。

ＧＭ「『ハイゼンガー様、お戯れはほどほどに。クルムワイセ閣下の亡霊を倒すのであれば、アムルタートの戦士たちを派遣すればよいではないですか。なぜオリジンの人間などに力を借りるのです』
『アムルタートの龍人の中には、今もクルムワイセに好意的な者が少なくないからな。第２のクルムワイセを生みたくない』
　…ところで、君たちシュナックの正体を聞いて驚いたりしないの？」
ノエル「しません（きっぱり）。ところで今この人、クルムワイセ“閣下”って言いましたよね？」
ＧＭ「（鋭い…）言ったよ」

ミドルフェイズ⑤

　山の中腹にぽっかりと開いた洞窟に、その鏡はありました。噂どおり、そこには死んだはずのクルムワイセが映っています。

ＧＭ「『その占い師は、鏡を壊してはならない、中に入ってクルムワイセを倒せと、そう言ったんだな？』」
ノエル「ええ」
ＧＭ「『では、私は行くしかないな。このままクルムワイセを放っておくわけにはいかない』
　そう言って、ハイゼンガーは鏡の中へと消えていくよ。で、彼が完全に消えたのを見て、ヤクシニーは笑い出す」
バーン「やっぱりかぁぁ！」
ＧＭ「『あはは、ハイゼンガーめ、お前などに我が愛しき人の代わりなど務まるものか！　クルムワイセ様の手にかかって死ぬがいいわ、あはははは！』」
バーン・ノエル「げーっ！」

　さて、ここで二人は悩み始めます。ハイゼンガーを追って鏡の中へ入るか、それともヤクシニーを倒すか。

バーン「プレイヤーとしてはクルムワイセなんてどうでもいいからヤクシニーを倒したいんだけど、俺の『闘争』って、『栄光』なんだよな…」
ノエル「じゃあ、煽ってあげる。『勇者バーンよ、何をためらうことがあるのですか。龍退治は英雄の誉れではありませんか！』」
ＧＭ「マジヒドスｗｗｗｗｗ」
バーン「（頭を抱えつつ）いいや、クルムワイセをやる。鏡に飛び込むよ」

クライマックスフェイズ

　鏡の中では、クルムワイセとハイゼンガーが死闘を演じていますが、二人がたどり着いた瞬間ハイゼンガーが倒れ込みます。

ＧＭ「『フハハ、お前たち脆弱な人間ごときにこの俺が倒せるものか！』」
バーン「何言ってんだ。あんた一回人間に倒されてるだろうが」
ＧＭ・ノエル「おおーっ」
バーン「英雄の強さを見せてやるよ」

　というわけで戦闘開始です。行動値はクルムワイセの方が下ですが、プロミネンスを使って先手を取って攻撃してきます。

バーン「うーん、避けるのは無理だな、切り返し特技はあるけど、特技重ねられないし、そのまま食らって“覚醒”する。
　で、次の攻撃でコロナの特技“捨て身の覚悟”を使って、差分値２倍攻撃」
ＧＭ「さすがに強いなぁ…。でも、それって自分もダメージ来るよね？」
バーン「コロナの特技でＨＰゼロ、ＬＰ１になって復活する“不死鳥の炎”があるからそれ使うよ。（カードを全部オープンにして）この一撃で敵も倒れるはずだから無問題」
ＧＭ「…え？　ＬＰがまだ残ってるけど…？」
バーン「…しまった！」

　一撃で倒せるはず、と全部のカードを注ぎ込んでしまったバーン。ノエルと二人して長考モードに入ります。

ノエル「“伝説の詠吟”で、“不死鳥の炎”を増やせばあと一撃は何とかなるわよね」
バーン「問題はその次だな、また先手を取って攻撃されると防ぎきれない。特技の使用回数は“ヤオー”でも増やせるんだが、取れないか？」
ノエル「経験値があんまり…」

今日の一言②
バーン「じゃあ、俺が“ヤオー”取ってノエルの“伝説の詠吟”増やして永久機関」

　悩みまくる二人ですが、結局相手の出方を見るということに。

ＧＭ「じゃあ、クルムワイセの攻撃で達成値これだけ」
バーン「（直前のロールプレイで得た数枚のカードを睨み）よし、切り返そう。ダメージ増加なくても何とかなる、はず！」

　運命のダイスは…クルムワイセにダメージ１１を与えて止まります。

ＧＭ「１かｙ！！！１１１」

エンディングフェイズ①

　さて、もうプレイヤーたちは気づいているようですが、今回のシナリオは、前回の「機械仕掛けのオレンジは電気羊の夢を見るか？」のサイドストーリーになっています。
　というわけで、クルムワイセを倒した後もしばらく鏡の中をさまよった３人は「何者かが鏡を割ってくれたおかげ」で外に出ることに成功します。

ＧＭ「君たちが鏡の中から飛び出すと、そこは見覚えのない場所だ。死体がいくつかと、あと武器を構えたアムルタートの将軍やオリジンの神官、あとは変わった格好の人間たちが何人もいる」
バーン「もしかしてここ、ティラナスの領主の屋敷か！」
ＧＭ「そう。ハイゼンガーはそこにいるジェネラル（アーシュラのこと）に頭を下げ、そして飛龍に乗って飛び去っていく。きっと彼は今回の不祥事の責任を問われるんだろう。
　で、立ち去る寸前に君たちに耳打ちする。
『こうなったのは私の責任だ、すまない。一刻も早く国へ帰るんだ。…ロシュナードが危ない』」
バーン・ノエル「！！！」

　ロシュナード王宮は、悲愴な雰囲気に包まれています（実は、リサーチの時に「ロシュナードの今の状況を調べる」と、ロシュナードの窮状につけ込んでボルドフという軍師が暗躍し、アムルタートとの同盟を画策している、という手掛かりが手に入ったのですが…）。

ＧＭ「国王はこう言う。『事情はともあれ、我らは龍の誇りを傷つけた。ただでは済むまい。この命をもって贖うしかなかろう…』
『父上のお命だけで彼らの怒りを鎮められるかどうか。私もご一緒します』レイディスはそう言うと、バーンとノエルに頭を下げる。
『君たちはカルラックとリリィと共に、南方の港町ラダーシュまで逃げてくれ。そこで再起を期すんだ』」
バーン・ノエル「（頷く）」

　王宮には、寒さで疲弊しきった、しかし国王のために命を捨てる覚悟を持つ近衛騎士団たちだけが残ります。もう、戦闘力が残っているのは彼らしかいないのです。
　そして、龍が怒涛のごとく押し寄せます。城門は破られ、近衛騎士たちも為す術なく次々と倒されていきます。城下を見晴らすバルコニーの片隅まで追い詰められた彼らの前に現れたのは、白銀色の鎧を着けた、三つの頭を持つ女将軍でした。
　龍が口々に唱和します。
「恥辱には命を！　卑怯者には死を！」
かばおうとした王子もろとも国王を一刀両断すると、女将軍は翼を翻して王城を後にし…。

　ここに、ロシュナード２００年の歴史は終わりを告げたのです。

エンディングフェイズ②

ＧＭ「リリィ王女は何が起きたか分かってないみたいで、『お父様はどこ？　お兄様は？』といって泣きじゃくる」
バーン「じゃあ、全部の事情を話してこう言う。『おとぎ話は終わったのですよ、姫』」
ＧＭ、ノエル「おおおーっ！」
ＧＭ「で、カルラック王子はノエルを呼ぶ。『ここで二手に分かれよう』」
ノエル「どうして？」
ＧＭ「『アムルタートの手の者ではないようだが、我々を追ってくる者がいる。リリィを連れていては振り切れん』」
ノエル「……」
ＧＭ「『…後のことは、頼む』」

　そして、数人の近衛騎士と共に、南に向けて馬を飛ばすカルラック王子の前に、ゆらりと一人の女騎士が現れます。
　「な、何者！」誰何する騎士を一刀で切り捨て、その黒い鎧を着た騎士は歌うように呟きます。
「ロシュナードでも、ティラナスでも、バーラムでも民草にとっては同じこと。ただ、あなたたちが悪あがきをすると、余計な犠牲が増えるのよ。ここで消えて頂戴」
剣が閃くと、カルラック王子の利き腕が愛剣と共に宙を舞います。
「ところで、あなたの妹さんはどこにいるの？」
「…話すと思うか？」
「愚問だったかしらね」
次の瞬間、カルラック王子の意識は闇の中に消えました。

エンディングフェイズ③

　ロシュナード南に位置する交易都市ラダーシュに、からくも辿りついたバーンたち一行。

バーン「ノエル、頼みたいことが二つある。まず、リリィ王女が死んだという噂を流してくれ」
ノエル「ええ。もう一つの頼みというのは？」
バーン「簡単だ。…リリィ王女が、実はまだ生きているという噂を流してくれ」
ノエル「！？」
バーン「頼んだぜ。俺は…まだやらなきゃいけないことがある」

　オリジン世界のどこか…闇の中を歩く龍人の前に、バーンが姿を現します。
「あなた…まだ生きてたの？」
「ああ。俺は、お前の冒した過ちの証人だ。お前の眠りを安らかにはしてやらない…お前はずっと、自分の行いに責め苛まれ続けるのさ」
ヤクシニーはくくっ、と笑います。
「クルムワイセ様が龍であることを捨ててダスクフレアになったとき、私もまた龍であることを捨てたのよ。今さら良心の呵責など感じはしない」
「どうかな…」
　バーンの姿は消え、ヤクシニーは目を覚まします。
「ふっ…」
遠い空の下にあるであろう戦士の怒りを思い、ヤクシニーはいつまでも闇の中で笑い続けるのでした。

　そして、ラダーシュの街の、とある宿屋の二階に、一人の少女の姿がありました。
　幾度日が登り、沈んでも、季節が移り変わっても、彼女はずっと、北へと向かう街道を見つめ続けます。そこから彼女の愛する者が、いつか帰ってくると信じて…。

2006年02月03日(金)

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■　アリアンロッド・トラベルガイドの秘密（追記しました）

　今度新しく発売された、アリアンロッドのサプリメント「トラベルガイド」。タイトルから考えて、たぶん今までのサプリメント同様、Ｂ５版での発売だと思いきや、なんと基本ルールと同じ文庫本サイズ。

基本ルール／トラベルガイド
　：初心者向け、ライトユーザー向け。
　　ルールに慣れさせ、世界を理解してもらうために敷居を低くする。

上級ルール／シナリオ集など、その他のサプリ
　：アリアンロッドに慣れた人間、あるいはＧＭ向け。
　　そのため、多少ハードルが高めでもよい。

　という差別化を図ろうということなのだろう(*1)。付言すると、これまでゲーマーズフィールドから発売された、いわば「敷居が高め」のサプリメントに掲載された情報の「プレイヤー向け」の部分もちゃんとこの本にまとめられている。

　書式は今までのＦＥＡＲゲームのフォーマットに近い。後書きによればラーメン屋などを紹介するタウンガイドを参考にしたとあるが…文庫本サイズにこれだけの情報を無理なく詰め込んだことは評価に値する。ただ、さすがにこの版形だと詳細なデータを載せるわけには行かなかったようで、ゲストデータについては簡単なプロフィールの紹介にとどまっている。
　後半はブレイドオブアルカナのランドオブギルティのように、ゲームマスター専用情報が掲載されたページがずらっと続く。他のサプリメントのプレイヤー情報をまとめた部分については、出典となったサプリメントも明記されている。読み応えとしてはＢＯＡほどではないけれど、それは致し方ない。

　そんなことを考えつつ読み進めていくと…。

　ん、これは…地域ごとの専用クラス…？（要は、特定の地域、特定の国出身者などしか選択できないクラスのデータ）
　どこかで…？
　そうか、アレだ！

　もう、覚えている人もほとんどいないかもしれない(*2)。実は、国ごとに特殊クラスがある、というルールを持つゲームが、昔たった一つだけ存在した。
　Ｄ＆Ｄの背景世界、ガゼッタシリーズ(*3)である。これは、世界初のＴＲＰＧのために用意されたスタンダードな世界のはずが、かなりハチャメチャなバランスになっている(*4)というある意味狂ったワールドサプリである。

　…そして私はその狂いっぷりが、ガゼッタが大好きなのだった。(*5)(*6)

　うはｗｗｗｗｗアリアンロッドやりたいｗｗｗｗｗ
　それも文庫本のみ（つまり基本ルール＋トラベルガイドだけ）で！！！

(*1)基本ルールがハードカバーでシナリオ集が文庫本、などという某ゲームに見習わせてやりたい。

(*2)そもそも当時でさえ、Ｄ＆Ｄのことを汎用ＴＲＰＧと考え、ルールブックに世界設定が附属していたことを意識していなかった人も多いのではないだろうか。

(*3)「ガゼッタ」というのは、新和翻訳版の名称である。メディアワークス版ではガゼティアという名称になっていた。メディアワークス版の翻訳を手がけたグループＳＮＥは発音にうるさいので、恐らくガゼティアというのが本来の発音に近いのだと思われる。
　メディアワークスはこのガゼティアシリーズで紹介された「ミスタラ世界」の魅力をかなり前面に押し出すつもりであったらしい。リプレイもミスタラを舞台にしたものになっている。
　…が、しかし。メディアワークスは展開の途中でＤ＆Ｄから撤退。ガゼティアという名称のサプリメント発売は幻のまま終わった。
　私は新和原理主義者ではないから、メディアワークス版の翻訳についてどうこう言うつもりはないし、窓からルールブックを投げ捨てた伝説のプレイヤーの真似をするつもりはない。
　しかし、新和版のことをさんざんけなしておきながら、途中でＤ＆Ｄを投げ捨てたＳＮＥの「ガゼティア」という標記には全く親しみが持てないのである。
　なお、今Ｄ＆Ｄの展開の中心となっている「Ｄ＆Ｄ３ｒｄエディション」は元々ＡＤ＆Ｄの背景世界だった「グレイホーク」「フォーゴットンレルム」を舞台としており、どちらかというとＡＤ＆Ｄの系譜を引く作品であるといえる。

(*4)どれくらいハチャメチャかというと、例えば、ガゼッタの「帝国の曙」には、アルファティア帝国という魔法帝国が存在する。この帝国の設定には「３６レベルマジックユーザー１０００人の評議会が存在する」などとさらりと書かれている。
　３６レベルというのはこのゲームのレベル上限である。３６という数字だけみると凄さがわかりづらいが、海外のゲームなのでとにかく必要経験値だけでも尋常でない。３６レベルの次に待っているのは「神」の領域だ（比喩ではなく、次は神になるためのルールブックが待っている！）。
　その３６レベルが１０００人いるのだ（ちなみにあの灰色の魔女カーラでも恐らくレベル１８程度。アシュラムでさえ１５前後である）。オフィシャルＤ＆Ｄ誌の記事を読んだ当時の私は、空いた口がふさがらなかった。
　それだけではなく、例えば基本ルールではレベル１２までしか上げられないエルフが２５レベルまで成長できるようになったりする（「アルフハイムのエルフ」に収録された、エルフ・ドルイドのルールによる）。
　圧巻はハーフリング。基本ルールではレベル８までしか上げられないはずのこの種族は、ガゼッタシリーズの追加ルールを使うと３５レベルまで成長が可能になる。クラス名はその名も「ハーフリング・マスター」。呪文を使わずファイアーボールを跳ね返したり、ドラゴンブレスを受けても無傷だったり、レイズデットフリー（いわゆる「死者蘇生の呪文」）が使い放題だったりと、ゲームバランスという言葉が裸足で逃げ出すようなとんでもないデータである。

(*5)どれぐらい好きかというと、昔新和版で最後に発売された「アルフハイムのエルフ」という、ボックス版のガゼッタが欲しくて欲しくて仕方なくて、新和の営業を小一時間問い詰めたり、あちこちのゲームショップを放浪したりした挙句、ヤフオクで定価の○倍の価格で落札したりするぐらい。
　しかもそれでも懲りずに冬コミで私訳版を買いあさるぐらい。

(*6)きくたけのゲーム歴の長さから言って、ガゼッタのことを知らないとは思えない。彼と私の古いゲームに対する趣味はよく似ているので、なんとなくそう思うのかも知れないが。パクりというより、これはきくたけ流のＤ＆Ｄへの賛辞なのではないだろうか。
　今回の後書きにあった「昔、よくＴＲＰＧのワールドガイドだけを読んでニヤニヤしていた」なんてくだりはシンクロしすぎで驚いた。

(*おまけ)後書きを読むと、今回の本が文庫で発売された立役者は村山氏（元ＲＰＧマガジン編集長Ｍ氏のこと。その後ＳＮＥに勤める）だとか。
　助言はまったくもって適切だと思うけど、他社製ＴＲＰＧの前に、自社の○○とか××とかの展開でその慧眼を生かすべきじゃないかな…？

　最初の原稿を午前二時に書いたら、途中があまりにも飛躍しすぎていたので追記や修正など入れてみました。

2006年01月19日(木)

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■　カオスフレア・プレイレポート「時計仕掛けのオレンジは電気羊の夢を見るか？」・下

ミドルフェイズ②

　閑話休題。

　スクナヒコとアーシュラが一緒にリサーチを始めたので、遠山とルネを同じシーンに登場させることにします。カストゥルを交えて「異世界からの旅人」ロールプレイを始めたところで、アーシュラが登場。予告通りカストゥルに宣戦布告します。
　これでつながっていないのはヴィヴィだけなので、ヴィヴィのシーンに遠山を登場させ、間接的に全員の顔合わせを済ませます。私の場合、大人数のシナリオで一番気を使う（そして一番失敗しがち）のがここです。慣れていないからなのだと思いますが、こういうテクニックはやはりコンベンションなどで磨くものなのでしょうか。

ミドルフェイズ③

　そろそろ“飛騨”を調べようということになり、調査に赴く５人…もとい、４人。遠山だけは登場していません。ちょうどいいので、予定していた「ダスクフレアとフォーリナーが対面するシーン」を次に挟むことにします。
　戦艦を調べたメンバーは、カストゥルとの会話と会わせて「戦艦の墜落した場所がティラナス領内の封建領主、スヴェン公の領地であること」「戦艦が落ちてからスヴェン公の姿が見えないこと」「ボルドフは元々スヴェンの部下だったこと」を調べます。
　さらにヴィヴィは、バベルストーンを搭載した動力炉の付近で大量のメタビーストが出現したらしいことも突き止めます。

アーシュラ「やっぱり元凶はグレズなのね…」
スクナヒコ「やっぱりね…」
ヴィヴィ「そそそ、そんなことないですじょ？」

ミドルフェイズ④

　今のところ一番シナリオに参加する動機が薄い遠山。それもそのはず、一番重要な「遠山の兄が実はハイゼンガーである」という情報を掴んでいません。もっともこれは予定通りで、最初からリサーチ後半で明かすつもりだったのですが。

　というわけで、スヴェンの城に一人さまよい込んだ遠山。城の一室から兄の声が聞こえてくるのに気がつきます。
　意を決して踏み込むと、そこにいるのはスヴェン公ただ一人。後は大きな鏡しかありません。

ＧＭ「『キミが異世界からの旅人という青年だね？　どうだい、私と手を組まないか？　私と手を組めば、キミを元の世界に返してあげられるぞ』…“砕け散る天”を使用します」
遠山「おお、コンビニだ！」（笑）
ＧＭ「その代わりに条件がある。（魔法で他のＰＣたちの映像を作り）彼らを殺してもらいたい」
遠山「うーん。どうしようかなぁ」
全員「迷うんかい！！」（笑）

　答えを保留し、スヴェンの前を去った遠山は、ばったり他のＰＣたちに出くわします。

ルネ「…どうかしました？　何かありましたか？」
遠山「なんでもない、なんでもない」

　そこに襲いかかる村人＆富嶽兵のゾンビ軍団。これもプロミネンスです。
　とはいえ、ＰＣ５人の前には敵ではありません。

スクナヒコ「やっぱり…みんな、もう殺されてる…？」

ミドルフェイズ⑤

　そして、次のシーン。マスターシーンっぽい演出でスタートします（かなりズルいなのですが、プレイヤーから「このシーン登場できる？」と言われたら、聞かれた時点で「できます」と答えるつもりで、誰のシーンとも明言せずに描写を始めています）。

　ＰＣたちに先んじ、カストゥルの前に現れるスヴェン。お見せしたいものがある、とカストゥルを呼び寄せて、いきなり斬りつけます。カストゥルもアソウギと剣の腕を競うほどの腕ですから一撃をなんとかしのぎますが、ダスクフレアの猛攻には耐えきれず返す刀で倒れ伏します。
　カストゥルの死を確認したスヴェンはテラスに駆け寄り、狼煙を上げます。すると、湖の対岸で待機していたアムルタートの軍勢が続々と押し寄せ、ティラナスの軍勢を蹴散らします。
　呼応するように、スヴェン指揮下の部隊（実はリターナーの軍勢）が街のあちこちで破壊活動を始めます。

アーシュラ「まだ登場できない？」
ＧＭ「はい、できます」
全員「先に言えーーーーー！！」（笑）

　ごめんなさい、卑怯でしたね。

クライマックスフェイズ

　ティラナスの領主屋敷で、スヴェン＆ボルドフと対面するＰＣたち。５人いるんだからこれくらいの戦力で大丈夫でしょう、たぶん…。

ヴィヴィ「敵は何人？」
ＧＭ「２人です。２人ともダスクフレア」
スクナヒコ「…今、なんて…？」
ＧＭ「（明後日のほうを向き）ダスクフレアが２人」

　スヴェンは遠山に向かって語りかけます。その傍らには飛騨から持ち出したバベルストーンと、ハイゼンガー…遠山の兄の姿が映った、いや閉じ込められた巨大な鏡。

ＧＭ「『さて、答えを聞こうか、遠山くん』」
遠山「断る、お前と手は組まない」
ＧＭ「『…兄に似て愚かな男だ』」

　地面に叩きつけられ、粉々になった鏡が宣戦の合図になります。

ＧＭ「スヴェンは“万軍撃破”で攻撃してきます」
アーシュラ「じゃあ、それを“龍皇軍”で受けようかな…」
ＧＭ「では、それに“因果の果て”を使って達成値を入れ替え…」
全員「え！？」

　…前回アソウギに使われてイヤだった特技をそのまま返したつもりだったのですが…この特技、ＰＣが使うのとＮＰＣが使うのでは、かなり意味が違う特技です。折角稼いだフレアが特技一回の効果で全て無駄になるのは気分のいいものではありません。
　うーん。考えが浅かったです。大反省。加えて「手元のフレアを全て捨てる」のもＮＰＣでは微妙な処理になりますし。

　というわけで、今後は“因果の果てに”“存在しない刻”などの「手元のフレアを全て捨てる」あるいは「フレアを全て消費する」特技のＮＰＣによる使用は自粛しようと思います（ご意見求む）。

　ともあれ、それも悪あがき。今回は「差分値二倍」の特技がないのでさすがに３００は越えませんが、１５０オーバーのダメージを受けて撃砕。
　うーん、やはりダスクフレア２人ぐらいでちょうど、１人だと無理がありますね…（行動が全員回らないうちに戦闘が終了してしまう）。あとはモブで調整を取るぐらいでしょうか。

エンディング①

　スクナヒコは、動くもののなくなった“飛騨”へと向かいます。艦橋には、矢尽き、刀折れ息絶えた三田村の姿と、辺りに散らばる無数のグレズのメタビーストの残骸が残っていました。最後まで抗戦したのでしょう。
　落ちた戦艦の残骸に火を放ってだびに臥し、スクナヒコは富嶽に戻っていきます。
　信長からの次なる命令は、動力炉の開発者、平賀源内を探し出すこと。
　戦艦“打出の小槌”は再び宇宙の闇へと漕ぎ出していきます。

エンディング②

　将軍アーシュラは、浮遊城エヌマ・エリシュでイルルヤンカシュと対面します。
　「甘んじて罰を受ける」というアーシュラにかぶりを振った女帝。
　「ダスクフレアを相手によくやってくれた。人間の策にまんまとはまったハイゼンガーだけは不問とはいかないからジェネラルの地位を剥奪するが…あの男のことだ、すぐにまた這いあがってくるだろう。あの男のような存在が、アムルタートには必要なのじゃ」
と言い、配下の女将軍を労ってその場を後にします。
　その後ろ姿を見送りながら、アーシュラはロシュナードに報いを受けさせることを誓って、浮遊城を後にしたのです…。　

エンディング③

　砕け散ったはずの鏡は元に戻り、中から仮面の男、ハイゼンガーが現れます。「兄さん」と声を掛ける遠山に、その男は冷たく「キミの兄など知らない」と言い放ちます。
「この世界を訪れたフォーリナーで、命を落としたものは大勢いる。キミの兄は、恐らくもう死んだのだろう。諦めることだ」
それだけ言うと、仮面の将軍は自分の冒した過ちを償うため、飛龍に乗って大空に消えていったのでした…。

　そしてしばらくたち、また行き倒れている遠山の前に、馬車に乗った一行が現れます。
「あらまぁ、大丈夫？」
そう言って馬車から降り立った黒髪の女性が、遠山に駆け寄ります。
「多くのものを失った私だけど、食べ物ぐらいならあるわ。一緒に来る？」
その言葉に誘われ、機獣とともに馬車に乗り込む遠山。
　…こうして、カストゥルの妻と娘は、１人のフォーリナーと共にティラナスの地を後にしたのです…。

エンディング④

　スヴェンを倒した後、ルネはカストゥルの私室へと急ぎます。そして、扉を開け「遅かったのね…」と呟きます。
　そこには、明らかに致死量に達する出血の後はありましたが…死体は影も形もなく、そして、開いた窓からは風だけが吹き込んでいたのです。
　領主は死亡、夫人は失踪…うち沈む屋敷に、音を立てて乗り込んで来た者がいます。隣国バーラム伯領を治める、若き…というより、まだ幼い少年領主。ですが、彼は不敵に微笑み、居並ぶ騎士たちにこう宣言します。
「カストゥル殿のこと、心からお悔やみ申し上げる。…それでは、古の盟約に基づき、領主不在の間、ここティラナス領は我々バーラム家が管理すること、異存あるまいな？」

エンディング⑤

　スヴェンの持っていたバベルストーンを回収したヴィヴィ。破壊するか、それとも…。迷った彼女は、同じようにバベルストーンを持つ、友人のサクラに相談します。
「じゃあ、私が預かってあげる」
そういってバベルストーンに手を伸ばしたサクラですが、その手の中から忽然とバベルストーンが消え去ります。
　壊しておけばよかった、そう言って歯噛みするヴィヴィの前に、一頭の機獣が現れます。そう、あの体内にバベルストーンを宿す、遠山のアイボです。
「バベルストーンは、フォーリナーの手によってしか破壊できない。…いや、むしろ逆に、バベルストーンを破壊するために、フォーリナーはこの世界にやってきた、そうは思わないか？」
アイボは一息つくと、
「もしかしたら彼は、キミと同じように、私を破壊するために私の前に現れたのかもしれないな」
どこか淋しそうにそう言うと、アイボはヴィヴィの前から姿を消したのです…。

2006年01月13日(金)

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初日