+シコウカイロ+
此花



 死体検証。

生活様式

紫斑 カラダ

死亡推定時刻

午後三時。

死因

空腹につき
ガシ。

夕方
息を吹き返す。

犯人の追跡

反対に襲われ
本日二度目の検死。

死因

退屈により
自滅。
そのまま霊安室のベッドに横になる。

明日の起床は7時。
目覚ましは枕元に置いてクダサイ
という遺書を発見。

翌朝、
朝叩き壊された時計のみ発見される。

死体は行方不明。



朝食を食べているのは
生きているから死体じゃないもの。

2001年04月07日(土)



 流。

人として生きるには
人の中で生きなくてはならない。

それぞれの境界線は
ゆるやかにあたたかく
その流れを少しずつ交わらせながら
お互いの存在を認識し
そこに己の存在を確認する。

人として生まれたがために
味わう業苦もまた
人であるため。

故に そのなかにほのかにある
潔い流れの中に光るものの価値を
知ることができるは
人であるからこそ。

その境界線を広げて両手に受け入れる物が
今よりも多くなれば
傷つきもするし 苦しみもする。
されど
柔らかな温かい感情に
抱擁されることもある。


見出される輝きは 十人十色。


人として生まれたことは
人でしか味わえない幸福のためにあるのだろう






2001年04月09日(月)



 雪蝶

雪下の花を求め

紅い蝶がひらひらと舞っている

春はまだ先だというのに
何故か生まれ出でたソレは

ひらひらと舞いながら
雪が溶けて 露となり消えるように
美しくも儚いのであろう

しかし
この違和感たる景色が
妙に胸を打つのは

そこに
生命の神秘と
たくましいまでの
生命力が

限りなく広がる灰色の空を
艶やかに彩っているからなのかもしれない。


2001年04月10日(火)



 終止符

足に食らいついてきた
俺に
「捨てないで」
としがみ付いた。

何もかもがウザかった。
お前のその瞳はいつだって
俺を監視して
言いたいことの一つも吐かずに
ただ黙って寄り添っていた

それが愛だとお前は言った。

そんなモノ 必要なかった
ただ一緒にいれば
数倍楽しいんじゃないかと思ったから
前より確実に近づける方法を選んだだけだ
なのに
お前は前より愛を意識して
どんどん慎重になって
やがて何も言わなくなった

そうさせたのは俺なんだろう

だから「別れよう」と言った。

お前は泣いた。
俺の心もどこかで泣いていた。


2001年04月11日(水)



 煌。

死んだコトバを
いくら書いても
伝わるものは
何も無い。

蠢いた 言の葉の
そのつぶやきに耳を傾け
生きた証を
そこに標した

生きたコトバを
書き連ねた

はずなのに

そこには何も残らなかった。

描いた夢も
生きたコトバも
望んだものも
果たされないことで
煌くと言うのか

それはチガウ。

ただ
環境に馴染む肌のように
その時の流れに
左右されているだけで。

死んでいったコトバ達は
一瞬の煌きのために
生まれては消え
また生まれ変わる。

そして
発せられたその瞬間に
煌きが押し寄せて
波に浮かぶ光のように
静かに輝くのだ

波間を跳ねる
魚のように

躍動する鼓動が聞こえるだろう

遠く さざめく
波の音に




2001年04月13日(金)



 回路


浮世離れした思考回路の中で
かなりキチガイじみた生活をしていた。
気がする。
現実逃避は今さっき始まったゲームではないのだが
最近は妄想が暴走する辺りヤバイかもしんない。

認めちまえば楽なのに
悪魔が耳でササヤクのさ

「お前ならできる」
ってね!性質が悪ぃゼホントにさー
何を根拠に言ってんだっつーの。
お陰でヤバイくらい自信過剰のアイツは調子に乗るし
ドウシヨウモナク落ち込みの激しいアイツは
恐ろしく凹んでる。

オーバーヒートしながら最悪のコンディションで
疾走する真紅のスポーツカー
オープンウィンドウから身体を乗り出して
叫び声がモーターと絡み合って
流れる熱い血はニトロの匂いがする。


悪魔のささやきは
極限まで俺を追いつめていく
上り詰めた坂の先にあるのは
DEATH or HEAVEN?
落胆する太陽を嘲笑いながら
空しい声は海に吐き捨てて

要らないしがらみも全部
お前ごと
捨てたら

出会った頃の俺より
更に恐ろしく冷たい血が
このカラダの中 廻って

二度と笑わないと誓うよ
お前にだけに見せたかったものだから。


俺の心は永遠に閉ざされ
俺はまたあの闇の中へ戻る。


2001年04月14日(土)



 月の雫。

秋の夜は
空気が澄んでいる

静まり返った
冷たい空気が心地よく

明るい月が
地上を照らしている

月下美人の花が咲いた

白い透ける肌のような
その美しくなめらかな肢体からは
夢見心地になるほどに
甘い香が溢れている

月の雫のように
輝くその姿は

一夜の幻

命とは
何と儚く美しいのだろう

それは夢へ誘う甘い香

遠い 異国の地
アルハンブラ宮殿の庭園の
真珠の受け皿を溢れさせる
噴水のたもとに

この花が満開で
月下に照らされている

そんな夢を見る。




2001年04月15日(日)
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