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5周年おめでとうございます の続き

2013年07月28日(日)

 前回の日記更新の後でTwitterで「質問ありましたら答えますよー」と呟きましたら、下記のご質問を頂いたので回答します。

■ぱーぱぱーぱーぱぱぱーぱーぱぱーぱーにゃーにゃー の誕生秘話、制作秘話などがありましたら是非!

 個人的に「よくぞ聞いてくださいました!」的な質問でした。ありがとうございます。
 「ぱーぱぱーぱぱぱ……」こと「いたずら猫にご用心!?」、この曲はazure studioで制作したBGMの中で唯一作曲段階から私が参加しています。なのでこの曲に関してはとても語りやすいのです。
 作曲段階からと言ってもあまり大したことはしていないのですけれども。
 azure studioのBGMは八乙女葦菜さんが一から十まで制作を担当しています。私は必要に応じてある程度オケが出来てからお手伝いすることはあるのですが、ボーカル曲ほど関わることはありません。
 というのも私はBGMの制作に関しては素人なので、「これこれこういう雰囲気でお願いします」という指示を見て、それをどんなアプローチでひとつの楽曲として仕上げていくかというスタートからゴールまでの回路が私の頭の中ではさっぱりつながらないのです。でも楽曲を作られる方の頭の中にはその回路があるんですよね。

 この曲は他の曲とは発注の雰囲気がちょっと違っていて「鼻歌っぽい感じで」ということだったので、葦菜さんと相談して先に私の方で「鼻歌っぽい」部分を作ることになりまして、実際私の「ぱーぱぱー」な鼻歌に合わせて葦菜さんにオケを作ってもらいました。自分の鼻歌がとてもかわいい曲になって、嬉しかったです。葦菜さんすごい。曲を作る人ってすごい。
 完成した楽曲はオケに合わせて改めて「ぱーぱぱー」を録り直してあるのですが、気の抜ける感じを表現するのが難しくてかなりたくさん歌いなおしています。提出したデモの段階では本当に鼻歌っぽい感じだったので、ディレクターのアダシノさんにとっては「まさか本当に鼻歌が来るとは」だったかも知れません。もしかしたら狙い通りだったかもしれません。どちらかはわからないのですが、他の曲とはかなり異なる雰囲気の曲になったのでドキドキしながら確認していただいて、OKを頂いたときは快哉を叫びたい気分になったのを覚えています。

 ちなみにこの曲、制作段階では特にきゃふぇ・まだらのテーマとは指定されていませんでした。でも頂いた資料やシナリオを拝見していてきっときゃふぇ・まだらで流れそうだなと思ったので、きゃふぇ・まだらやまだら・ぶち姉妹をイメージして鼻歌部分を作りました。「にゃー」も鼻歌の時点で入ってます。
 制作段階ではきゃふぇ・まだらやまだら・ぶち姉妹はまだ文字資料だけで、CTMな会話イベントも詳細はわからなかったのですが、作中で確認したらとてもぴったりで嬉しかったです。

 なおタイトルにある「いたずら猫」はまだら・ぶち姉妹のつもりでしたが、スタッフさんの中には高虎くんのテーマだとおっしゃる方もいらしたようです。虎もネコ科ですね。
 悪魔虎vs総毛立つ猫、な某イベント絵が浮かびます(笑)

 折角なので葦菜さんにも制作にあたって気を使った箇所など聞いてみました。
 “コメディパートBGMの作り方として、気の抜けたシンセ音を使ってテクノ調にまとめるという手法があると思うのですが、この楽曲ではドラムの音色を1oct.上げて使っていたり、レトロゲームっぽい音や生楽器系の音を混ぜたりするなど、音色選びにこだわって作ったのを覚えています。
 結果的に、音色が他のBGMとの橋渡しになり、多少の異彩は放ちつつも同じ世界観の中に収まってくれたように思っています。”

 とのことです!
 制作期間中はあまりこういった話を聞く機会がなかったので、私にとっても「へえーそうだったのか!」なお話でした。
 ご質問ありがとうございます。

 そんな、5年越しの制作秘話でした。

「あさき、ゆめみし」5周年

2013年07月25日(木)

あさき、ゆめみし

 2008/7/25に発売された澪(MIO)さんのPC用乙女ゲーム「あさき、ゆめみし」、なんと本日で5周年だそうです。
 おめでとうございます!

 5周年を記念して、MIOさんの公式サイトにて壁紙セットが配布されています。みんなでDLしよう!
 当時は雑誌掲載のイラストまではチェックしていなかったので、今回初めて拝んだイラストが結構あって、嬉しいです。


「あさき、ゆめみし」は、最初に企画書を拝見した段階からとても魅力的で、イメージラフやシナリオを拝見しながらどんな作品になるのかわくわくしながら制作にあたったことを今でも覚えています。
 外注のBGM制作のお仕事って、ケースバイケースだと思うのですが、制作の段階で完成してない部分は資料や指示がざっくりしたものだったりして、どの曲がどのシーンでどう使われるかみたいな具体的なことは完成したものを拝見してからでないと曲を制作した側の人間でもわからなかったりします。
「あさき、ゆめみし」をプレイされた方は、いくつかのルートのEDで「ここでこの曲が……!」みたいな体験をされてると思うのですが、あのへんは私も実際プレイしてみて知りました。
 特に真EDは、MIOさんの演出にいい意味で裏切られましたね……!
 もう製作時の思い入れとか相俟って号泣しながら拝みました。

 そんな、自分たちの手で制作したのだけどシナリオや演出の力で制作した側も気づかない表情を見せた曲もあったりして、いい化学反応を起こしたというか、作品世界の中でしっかり根を下ろしてひとつになれたんだなという感じで、とても幸せなお仕事をさせていただいたなと思います。
 作品の世界観と楽曲の一体感がすごいですよね。
 自分のことのように書いていますが実際曲を作ったのは、azure studioの八乙女葦菜さんとTynwald musicの樋口秀樹さんです。すごいのはこのお二方です。そして和楽器の奏者さんです。生演奏ってすごい!
 Tynwald musicさんのBGMもすごいですよね。BGMが分担制ということは伺っていたのですがどんな形で割り振られているのかまでは把握していなかったので、ゲームをプレイして妖サイドのシーンのたびにいちいち震えた記憶が。壱人の登場シーンとかあの曲なくしてありえないってくらい雰囲気完璧でした。WHITE-LIPSさんの挿入歌も儚くそれでいて心が温まる雰囲気で素敵でした。ご一緒できて本当に良かったです。

 その「あさき、ゆめみし」が5周年ということで。
 BGMについては私は補佐的な立ち位置だったのでひとまず置いておいて。
 主題歌とEDに関しては、5年前の歌です。5年も経過すると、歌い手として新しく得られたものもあり、どうしても拙く聞こえてしまう部分が出てきてしまったりします。以前の曲だと、また今の自分の表現で歌い直したいなと思ったりもします。
 でも「あさき、ゆめみし」と「鎮魂歌-しずめうた-」に関しては、歌の技術的に拙い箇所はあるのだけど、歌い直したいという気持ちには不思議となりません。
 制作当時の感受性や日々の生活から生み出すイメージがこの2曲のために研ぎ澄まされている感じで、ディレクターのアダシノさんの情熱に応えなければな熱いテンションも合ったりして、生まれるべくして生まれたのがあの2曲です。詞・歌ともに、当時の自分の100%が詰まっていて、当時のazure studioの完成形だと思っています。今同じ発注で制作しても、まったく異なる曲になるだろうと思います。それくらい当時のazure studioでないと作れない曲でした。

 それから、主題歌は当初「夢の続き」というタイトルで納品する予定でした。
 なのだけど、もっとインパクトのあるタイトルが良いというお話になって、ディレクターのアダシノさんから「楽曲歌詞ともにゲーム全体を表すに相応しい」というお墨付きを頂いて、「あさき、ゆめみし」というタイトルを付けて頂きました。
 これがどれだけ嬉しいことか……!
 制作者冥利に尽きましたね。本当に幸せな曲です。


 あんまり制作した曲についてあれこれ語るのは得意でないのですが、5周年ということで温度高めに語ってみました。

 そんな大変自信作な「あさき、ゆめみし」楽曲の数々、まだ聞いたことの無い方は是非「あさき、ゆめみし」本編でご確認ください。サントラ単品で聞くよりも本編の演出込で聞いたほうが楽しいです。
 5年目にしてまさかのファンディスク!な「あさき、ゆめみし〜ひととせ〜」とともにおまとめセットなるものが出るそうなので、この機会にまとめてゲットしちゃえばいいんじゃないの!? という宣伝もあわせて(笑)

澪(MIO)『あさき、ゆめみし 〜ひととせ〜』

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