海津ほろよい日記
湖畔の酒蔵 ほろよい社長の日常

2006年01月26日(木) 醪(もろみ)三態




↑おとつい「留仕込」を終えた「純米吟醸/雪花」の醪。しっかり蒸米を締めたのでごはんの姿が残っていますが、K1401酵母君の活躍で発酵が始まり炭酸ガスによる泡がみられます。




↑こちらは昨日「添仕込」を終えた「大吟醸」の醪。明日の「仲仕込」に備え、今日は一日仕込みを休んで酵母の増殖をはかる「踊(おどり)」の状態です。泡がさかんに出ているのは酵母が元気な証拠。がんばってフィーバーしてください。

吟醸仕込みもいよいよ佳境、蔵の中には仕込みを終えた直後のもの、仕込み途中のもの、発酵の中期にはいっているものもあって、いろんなお顔をしています。

吟醸酒は1ヶ月前後の長期低温発酵に絶えるため、普通酒にくらべると蒸米を硬く締めますので、仕込み直後は米の姿がけっこうそのまま残っています。

これを糖化力の強い吟醸麹がじわじわと液化し、糖化してブドウ糖を造り、吟醸酵母が食べてアルコールと炭酸ガスを生産する中で、醪(もろみ)は流動性を増し、おかゆ状態から、おもゆ状態となり次第にお酒としての成分がととのってきます。

夜見廻りをしていると、シーンと静まり返った蔵の中で、あちらこちらのタンクから「ピチピチピチ」と炭酸ガスの泡がはじける小さな音が聞こえてきます。

御先祖様はなんとすばらしい家業をはじめられたのかとうれしくなっちゃいます。

↓こちらは年明け早々に仕込んだ「純米吟醸/吟花」の醪、16日目です。いまさかんにアルコールを生産中です。絞るのは2月上旬の予定。




2006年01月25日(水) 吟醸ウイーク




↑10kgずつ小分けして袋にはいった山田錦。今日は477kg洗いました。


ほろよいの蔵でも、今、吟醸酒の仕込みが最盛期です。1月17日から2月2日までかかって、以下のように各種吟醸6本の仕込みを済ませねばなりません。

徳島山田錦55%、総米990kgの仕込み2本(純米吟醸/雪花、竹生嶋/吟醸)
マキノ山田錦50%、総米810kgの仕込み2本(純米大吟醸/花嵐)
マキノ山田錦40%、総米670kgの仕込み1本(竹生嶋/純米大吟醸)
兵庫山田錦40%、総米720kgの仕込み1本(竹生嶋/大吟醸)

吟醸仕込みで手間なのが原料米の洗米です。山田錦は軟質米で吸水も早いので10kgずつ小分けし時間をはかりながら、大量の水を使用して(米10kgあたり200リットル強必要)、専用の洗米機を使って4人がかりで洗っていきます。

55%の留の掛米ともなると400kgになりますので、同じ作業を40回繰り返し、8000リットルを超える水を一気に消費してしまいます。

吟醸を造るのには必要な作業なのですが、経営者としては、「高い原料米」に加え、人件費と上下水道代がかさむアタマの痛い問題です。

できたお酒が自分の思うとおりの価格で売れれば問題ないのですが、今は2000円の後半くらいで結構高いスペックのお酒が出回っているので、価格設定も押さえ気味にしなくてはなりません。

同じ結果が出せて、もっと安上がりな方法がないか工夫のしどころです。




↑洗米のスケジュール表。自分の蔵の設備や能力とにらめっこして、ムリのないように計画します。酒造りのドラマでは1本の仕込みにかかりきりになっているようですが、数本の仕込みが同時進行していきます。
「徳」は徳島山田錦、「兵」は兵庫山田錦、「マキノ」はマキノ山田錦のことをさし、数字はその日洗うお米の重量です。





↑タンクに書かれた洗米時間表、40個も洗うと途中でわからなくなったりしますので、こんな風にチェックしていくのが一番間違いないようです。



2006年01月20日(金) やっとこ辛口




待ちに待ちかねた「辛口純米」がやっとこ絞れました。

昨年はモロミが切れずに「旨口純米」になってしまい、辛口純米ファンをガッカリさせ、特に東京方面の酒屋さんからは三下り半を出される寸前だったのですが、ようやく待ち望んだタマができました。

高島市安曇川町の清水光男さん栽培の「玉栄」100%使用。酵母は滋賀県工業技術総合センター保存のKKK-9。アルコール分18.5%。日本酒度+5.5。酸度1.9。というスペックです。

実をいうとモロミ末期でちょっぴりすねかけたのですが、なんとかなだめすかしてキチンとした「辛口」に仕上げました。

朝の蒸し取りと吟醸の手洗いはお手伝いするのですが、あとは杜氏におまかせで、四六時中、蔵にいられる身分ではありません。こんなときほど(体力的にしんどいでしょうが)モロミと一緒にいる時間が充分にとれる蔵元がうらやましいと思うことはありません。

両親が年老い、自分自身も体力が落ちて製造の現場から引き離され、取引先や銀行への対応、資材の仕入れや、近所づきあいといった酒造りとは離れた煩瑣な事でつまらぬ時間をとられてしまいます。

グチを言ってもはじまりませんが、とりあえず「辛口純米生原酒」のにごり酒を、1.8リットルで100本、720mlで100本ほど詰めさせていただきました。

小売希望価格は1.8リットル2.625円。720ml1.365円です。御希望の酒販店様、消費者様よろしければ御注文ください。

無ろ過生原酒は来週ビン詰予定(価格はにごり酒と同じ)ですので、こちらもよろしければ御注文をお待ちしています。






2006年01月19日(木) 巡回指導

ほろよいの蔵の醸造指導のために、大阪国税局鑑定官室から鑑定官がお見えになりました。

傘下に「灘」と「伏見」という二大産地をかかえておられますので、日本の酒類技術指導の中核となる格式の高い部署ではあります。

仕込みのシーズンに1度か2度、鑑定官が醸造所を訪れて指導されるのは例年の事で、高島市内の5蔵を昨日と今日で一巡されました。

年に数回、鑑定官室のある大阪国税局合同庁舎(大阪城のすぐそばです)を訪ねる機会があるのですが、下の階には国税局の「査察部門(マルサ)」や「調査部門」がありまして、エレベーターに同乗している方が、該当する階で降りられますと悪いことはしていなくても緊張してしまいます。

鑑定官室はといえば理科系の大学を出た「技術系」の方々ばかりなので、他の階の皆さんとはカラーがまったく異なっていて、われわれ醸造家は「○○先生」と呼んでいます。

以前は巡回指導が終わったら先生をまじえて酒席をもうけ、公式の席では出ないようなお話や情報が聞けたのですが、そういう接待が遠ざけれるようになり、上っ面をなでたような行事になってしまったのは残念なことです。

今日はいくつか指導がありましたが、まずまず順調なようで一安心でした。



2006年01月18日(水) 別世界の話

ライブドアショックでマスコミは大騒ぎですが、ほろよいには別世界の話にしか思えません。

ほとんどすべての会社の株が下落しているようですが、キチンと物を生産し、販売している会社は、この事件とは関係がないのだから、またしばらくしたら活況を呈していくのではと思います。

しかしなんですね、バブルの頃のような上ついた空気が一瞬にして凍りついた感じです。お正月番組でホリエモンをバラエティに出演させたマスコミは大反省してもらわないと。

ライブドアのニュースを検索していたらこんなフラッシュムービ作品をみつけました。御参考まで(音が出るのでご注意)。

堀江の拳http://zaraba.livedoor.biz/flash/horienoken.html



2006年01月15日(日) お代官様、むごうござります。



金曜日、税務署から突然の電話。「清酒製造業者実態調査」の提出期限が本日までなので、早く出してくださいとの督促です。

この調査は毎年この時期にあるのですが、去年までは2月に出せばよかったはずです。あわてて記入要領を見ると、今年は1月13日が期限となっておるではありませんか。

12月12日付けの依頼文で、提出が1月13日!記入内容もアンケートのようなものではなく、決算書や課税移出の記録からこと細かに数字をひろわなくてはならない詳細な調査です。

12月の需要期(平均月の2.5倍から3倍売りあげねばならない月なのです)、1月の寒仕込み(いよいよ大吟醸やら純米大吟醸を仕込む月)と、零細な蔵元は社員が総出で、大車輪になって働かなければならないときに、こういう報告書を提出せよとおっしゃるところを見ると、我々「水呑み」蔵元の「実態」が御理解いただけていないようです。

ともあれ、お上にはさからえません。週明けにがんばって提出できるようがんばりましょうか。



2006年01月14日(土) 12月の総決算

ようやく年末の売上の整理ができました。

奥様もほろよいもお疲れモードなのでやっとこです。「ようやく低迷の底を打ったかなあ」というのが第一印象です。

あいかわらずレギュラーの金紋本醸造、銀紋普通酒は低迷していますが、大幅に前年対比を割らなくなりました。

代わりに「初しぼり」(今年は当たり年のようです)がこれをカバーして、純米酒、純米吟醸酒も堅調です。

劇的な売上増はありませんでしたが、1月2月の新酒の売上によっては好転の兆しありという感じです。

いつもはお酒を売るより、仕込みにガンバル1月ですが、新酒の販売促進にも力をそそがねばなりますまい。



2006年01月09日(月) 「初しぼり」評論家

年末年始、友人知人に会う場が一巡し、今年の「初しぼり」の評価がおおかた出そろいました。

なにせ私が高校生の頃に発売を開始し、30年近く売れつづけているロングセラーです。今やマキノの年末を飾る風物誌となってしまい、竹生嶋愛飲家の注目するところとなりました。

発売開始からしばらくすると、口の悪い友人どもがにわか評論家と化し「今年は甘過ぎる」「2年前のが一番うまかった」「去年は今イチだった」などなど、歯に衣を着せぬシビアな意見が専務の耳に入ってきます。

今年は原料米を奮発した(安曇川玉栄1等95%以上、仕込みの都合で5%ほどマキノ吟吹雪がまざってます)せいか皆さん評価が高く、一番口の悪いほろよいの悪友S尻君も「うまかった」といってくれたので、一安心です。

まあ、こんな風に注目していただいているうちが花でしょうね。



2006年01月08日(日) 雪落とし



連日の積雪で、いよいよ屋根雪が場所によって1メートルを超えるところがでてきました。

マキノでも雪の多い小荒路や北牧野では、軒が雪の重さで折れてしまった家が続出しています。

子供たちは雪合戦やら、かまくらがつくれると大喜び(もう2階建てのかまくらがつくれるくらい降っているですよ本当に)ですが、大人は除雪に疲れ果てています。

ほろよいの蔵は昔ながらの太い梁が縦横に組まれた建築で、少々の積雪にはビクともしませんが、もう一晩同じ調子で雪が降れば、ちょっと危ないかなあと思う程になってきましたので、気になるところだけ雪落としをしました。

仕込みの蒸し米取りが終わったあと、営業の小林君とお昼までの作業でしたが、体が冷え切ってしまい、午後は昏々と寝てしまいました。まだ少し年末の疲れが抜けていないようです。









2006年01月01日(日) めでたさも中くらいなりおらが春

あけましておめでとうございます。

今日は朝から飲んだくれておりました。
去年のことは去年のこと、仕切りなおしてがんばらねば!

まだ年末の疲れがとれず全身がダルイ(特に肩こりがキツイ)ですが、明日は道の駅で甘酒サービス、海津3区の総寄(そうより)とイベントが続いていきます。

酒造の方は、吟花、雪花、吟醸、花嵐、大吟醸、純米大吟醸と手間のかかるものが目白押しです。

今年もおいしいお酒を造ってまいりますので、なにとぞよろしくおつき合いください。


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