Love Letters
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2007年08月28日(火) 最後の恋


 10月の連休に会う約束をしました。
 
 その日までにあなたに好きな人が出来れば、

 私達が恋人同士に戻る可能性は本当にゼロになるでしょう。



 食事するお店はあなたが決めました。

 あなたと初めてそのお店で食事した日、

 私達は本当にお互いに夢中でした。

 お店のご主人にからかわれる位、

 あなたは私との恋に有頂天になっていました。



 あなたが私とあのお店へ行けば、

 私達は今も付き合っていると

 ご主人も仲居さんも思うでしょう。



 私達は戻れるのでしょうか。

 あの頃の二人に。

 いいえ、多分期待をしたら後で悲しくなるだけ。

 今回の別れは

 今までの幾つかのお別れごっことは違うのです。

 あなたは本気で私と別れようとしている…



 毎朝あなたとメールを交わし、

 毎晩あなたと電話をする日々。

 けれど、

 あなたのメールから

 愛の言葉はすっかり消えてしまいました。



 夜更かしをして、

 ホルダーにびっしり詰まった

 あなたからのメールを取り出しては

 過去の言葉を拾い集めてみました。




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 愛していると言ったら

 冷たくはね返されてしまう今になって、

 私は幼稚な愛し方しか出来なかった自分を後悔しています。



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2007年08月22日(水) 微風


 お盆休みの間、

 あなたに3日間会いました。

 あなたはあまり私には会いたくなかったでしょう。

 でもほんの少しだけ会いたい素振りが見えたから、

 あなたに会いに行きました。




 ホテルの予約は私がしました。

 夜は友達との予定を入れておきました。

 知らない街での一人ぼっちの夜は寂しいから。

 二日目の夜の友達との予定は

 あいにくキャンセルになってしまったけれど。




 二日目はあなたが丸一日時間を空けてくれたので、

 外のうだるような暑さを避けて

 お部屋でのんびり過ごしました。

 テレビを見ながらお喋りをして…

 あなたは一切の欲望を見せませんでした。




 「もう、電話もメールも一切しないでくれ。」


 あなたが冷酷な言葉を吐いたあの日から

 数週間が経過していました。

 お別れの日、

 私はあなたの頬を打ったのでした。

 私にとっては愛おしい5年間の歳月が

 あなたにとっては単なる遊びに過ぎなかったと思ったから。

 私があなたに手を上げたことで

 あなたは私に憎しみを持ちました。

 行為そのものよりも

 感情が高ぶった時にそのような行為に至る女が怖いと

 あなたは冷たく言いました。




 あの時のお互いの憎しみをオブラートに包んで、

 私達は普通に話をしました。

 あなたは椅子に腰掛けて、

 私はベッドの上にしゃがんで…

 あの時の話には一切触れずに

 他愛の無いお喋りを続けました。




 お酒を飲みながらのお喋りのせいで、

 柔らかい空気が流れ始めました。


 「ねぇ、友達のキスをして。」


 私は今にも蕩け出しそうな欲望を隠してお願いしました。




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 「もう少し、ちょうだい。」

 
 あなたは遠慮がちに、幾つかのキスをくれました。


 「好き?」


 「それは聞かないほうがいいんじゃない。」


 「もっとキスして。」


 「単なる遊び相手でもいいってこと?」


 悲しみで胸が押し潰されそうでした。


 私達はそのままキスを止めて、

 またお喋りを始めました。

 私は、面倒な女になりたくなかったので、

 泣き出しそうな気持ちを抑えていました。




 夜、あなたとお蕎麦の美味しい居酒屋さんへ行きました。

 温もりのある木のカウンターに

 あなたと並んで座りました。

 まるで出会った頃のように、

 あなたは沢山話をしてくれました。

 あなたは携帯の中にある

 お店のリストを見せてくれました。

 私と行ったお店の名前もあれば、

 まだ一度も行ったことのないお店の名前もありました。


 「私、ここに入ってるお店全部、

  あなたと一緒に行きたいな。

  別れるのはそれからでもいい?^^」


 拒絶されるのが怖くて少し冗談めかして聞きました。

 そっと見たあなたの横顔は

 久しぶりの穏やかな笑顔でした。




 三日間あなたに抱かれずに過ごしました。

 抱かれない方があなたの心の動きがわかると

 今回初めて気付きました。

 私に対するあなたの気持ちは

 「まだ微妙。」であり、

 「修復には時間が必要。」なのだそうです。




 抱いてくれなくても

 私はあなたが好きだということもわかりました。

 家に帰ってからあなたとメールをしました。


 「私が素っ裸でお部屋を歩いていても

  あなたはもう何とも思わないわね。(笑)」


 「我慢しました。(笑)」


 「ほんとは欲しかったの?」


 「一度別れると言ったから

  我慢しました。(笑)」


 「じゃあ、私はまだ女として大丈夫?^^」


 「まだまだ大丈夫でしょう。^^

  あの葡萄は無敵です。(笑)」




 今年の夏はとても暑い。

 息も苦しくなるような暑さです。

 お互いに自分が傷つくことを恐れて、

 心に強固な壁を立てて再会した二人だけれど、

 ほんの一瞬だけ

 二人の間に風が吹いたのを

 あなたは感じたでしょうか。



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2007年08月05日(日) チャイナドレスで抱かれて


 もう二度とあなたは戻らないと思ったあの夜に

 あなたと選んだチャイナドレス。

 最後になるかもしれない小旅行へ持って行きました。




 私達にとって今年が三年目になる小さな和風旅館。

 美味しい夕食の前にあなたと温泉街を散歩しました。

 お風呂上がりに私は浴衣ではなくチャイナドレスを着ました。

 旅館の前で数枚、

 あなたは携帯のカメラで画像を撮ってくれました。


 「二人で撮りましょうか?」


 仲居さんに尋ねられたけれど、

 私達は笑って首を振りました。




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 あなたにそっと腕を絡めて、

 一年ぶりの懐かしい街を歩きました。

 少しだけ遠く感じるあなたの心。

 でも、手を伸ばせばまだそこに

 あなたの温もりがありました。




 旅館の近くの和食屋さんのカウンターで

 お酒を飲みながら、美味しい食事を頂きました。

 あなたはいつものように私の右隣に座っていました。

 束の間、話題が途切れて沈黙が流れた時、

 私はあなたの左手をそっと取って、

 ドレスの裾の中に誘いました。


 「ねぇ、ここ。」


 私はその日、腿までの黒いストッキングを穿いていました。

 ドレスの中に忍び込んだあなたの手は

 私の熱い素肌に直接触れたのでした。

 私はそっとあなたの横顔を見たけれど、

 あなたの表情は相変わらず穏やかでした。


 

 その夜

 チャイナドレスであなたに抱かれました。

 薄暗がりの中で

 あなたは既にベッドにいました。

 私は寝ているあなたの膝にしゃがんで、

 あなたの唇にキスをしました。




 絡み合う熱い舌。

 ドレスの裾を巻き上げられて

 Tバックに包まれた私のヒップラインは

 あなたの手でいやらしく撫でまわされるのでした。


 「小夜子、いやらしいね。」


 「あなたはいやらしい女が好きなんでしょ。」


 黒のストッキングはそのままにして

 あなたはTバックを剥ぎ取りました。

 チャイナドレスとストッキングと

 剥き出しになった私の下半身。

 あなたのものに触れると

 そこは既に硬くなっていました。




 ドレスとストッキングを脱いで、

 あなたに抱かれました。

  
 「ずるい…」


 抱かれながら、私は何度も

 その言葉を呟いていたそうです。



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 私はそう言いたかったの。

 快感に乱れて、呟いた言葉さえ忘れていたけれど。


 
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2007年08月04日(土) どうしても会ってしまう


 もうあなたの気持ちはかなり冷めていたと思います。

 それでも別れられないから、

 情熱を奮い立たせて会うことになりました。

 
 「初めてこのお店に行く時は小夜子と行こうと思う。」


 あなたがそう言ってくれた洋食屋さんへ行きました。

 こじんまりとしたアットホームな感じのお店で、

 味も期待していた通りとても美味しかったです。




 ホテルに着くとすぐに

 二人でベッドに転がりました。

 今までと変わらないキス。

 あなたと唇を重ねて、抱き合って…

 別れの予感が遠くへ薄れていくのでした。




 お部屋に差し込む明るい日差しの中で

 あなたと愛し合いました。

 身体に刻み込まれた

 5年間の愛された記憶…

 あなたの動き一つで

 私はすぐに満たされ、濡れてしまうのでした。




 抱かれた後にあなたに横を向かれるのが恐い…

 そんな臆病な気持ちであなたに抱かれたことが

 今まであったでしょうか。




 あなたを求める気持ちは

 関係が穏やかだった頃よりもずっと強いのに、

 それを全て曝け出すのが怖くて




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 身も心も全てあなたに委ねられた頃と

 何も変わらないセックス。

 唯一つ違っていたのは、

 愛してるって言えなかったこと。

 愛してる?って聞けなかったこと。



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小夜子

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