日々の泡

2001年08月30日(木) 秋の香り

久しぶりに通る道で、向こうのほうからいい匂いがしてくると思ったら。
だんだん近くなるその匂いは金木犀に似て、
もう少ししとやかな感じがしたのだけれど
傍まで行ってみると、果たして
薄い黄色と白の花を咲かせた木犀の大木に出会いました。
いい匂いだね、と言いながら子供と先を急いだけれど、
その日の帰りがけには激しい雨にあって、
駅の近くに自転車を置いてくるはめになりました。

翌日、自転車を取りに同じところを通ったら、
白と黄色の小花は、案の定ほとんど地面に打ちおとされて、
あたりの匂いはだいぶ弱まってしまっていました。
落ちた星屑みたいな花を子供が両手で掬って投げ上げると、
雨に洗われてなお残っていた花の香が、最後に明るく散りました。


金木犀より白っぽいから、銀木犀というのかと思ったけれど、
本当の銀木犀は真っ白な花で、あまり見られないらしいです。
白と黄の花をつけるのは薄黄木犀というのだそうで、
その匂いはやはり、金木犀のそれより若干明るいと思ったのですが、どうでしょう。



2001年08月29日(水) ねぇムーミン♪

先日ちょっとムーミンの作者の話をしたついでに思い出したこと。
むか〜しやっていた、ムーミンのアニメ(「カルピス劇場」という枠でした)で
一番印象に残っているのは主題歌と(けっこう好きでした/笑)
ムーミンの声(岸田今日子)。静かな呟き口調で、ちょっと鼻にかかった中性的な声が、
すごくムーミンの顔かたちに合っていたように思います。
声優さんで、次に覚えてるのはムーミンパパ(高木均)。なんか怪談っぽい役柄のイメージが
漠然とあるのですが、ずっと後の「となりのトトロ」の大トトロもこの人ですよねえ。
スノーク(広川太一郎)をよく覚えてる、という人もいます。

原作の挿絵にくらべてアニメは目が大きくて、お話もマンガらしく
いかにも日本のものになっている、と子供の目にも写りました。
途中、たしか制作が東京ムービーから虫プロへ変わったときは、
さらに目が大きく、お話も抒情的になって「日本のアニメ」らしくなったような記憶が…。
アニメのスナフキンはとてもかっこいい、飄々として賢げなお兄さんなのですが、
あとで原作に戻ってみると、もっと悪ガキらしく気ままなハックルベリィというか
自然児のイメージが強かったような気がします。

近年のバージョンはもっと原作寄りだったみたいですが、さすがに見てません…。
そういえば、ムーミンのガールフレンドであるノンノン(新版ではフローレン)が、
原作ではただ「スノークのおじょうさん」という名前で、子供心に不思議でした。
なんか、「○○の女(むすめ)」とか、肩書きしか残ってない
平安女流文学のスターたちみたいで、案外古めかしい印象(笑)。

ところでムーミンって、二度もアニメになったせいか
知名度が高いわりに詳しく知られてなくて、本気で河馬だと思ってた人が多いのも
忘れられません。フィンランドに河馬がいたらおかしいって…。



2001年08月22日(水) 予感の快感

久しぶりに全国をカバーする台風が来ると、
ニュースだけでなくお昼のワイドショーも台風画像一色になりますね。
台風は大物芸能人として扱われているのかも…。
「風雨に吹き飛ばされそうな現場アナウンサー」を見ないと始まらないなんて
(危険なせいか、最近は少なくなった気もしますが)ファンもいるのでしょうか。

嵐が近づくと人はソワソワわくわくしてしまう、という話は
映画だと「台風クラブ」なんてのがありましたが。
私はトーベ・ヤンソンの『彫刻家の娘』を思い出したので、久々にコラム更新。

大きな台風が直撃すると被害が心配だけれど、
夏の夕立の前の、空気の色が妙に黄色く変わって
水の匂い、埃の匂い、雷の匂い(なんでしょう? 焦げ臭い匂いかな)が
するようなひとときはいいですね。
今年の東京周辺の夕立は、そういう前触れなしに唐突に降り始めて
近くに雨宿りの場所がないとバケツの水を被ったような目に遭うことがありました。
ヒートアイランドの影響で、大都市の周辺はそうなりやすい、とか
新聞で読んだのですが、詳しいことはよくわかりません。
やっぱり予感のある夕立がいいなあ。



2001年08月08日(水) 昆虫の図解

勢いあまって『昆虫の図解』(学研)という子供の図鑑を借りてきた。
「うえぇぇぇぇ」と少々怖がりながらも、見開きいっぱいに描かれた昆虫をつい見てしまう。
いや実際、図鑑などに載っている博物細密画というのは、
昆虫が一番見栄えがすると思いませんか。精密なメカって感じだよねえ。
メカらしさではアリが一番かな…(でもぬいぐるみ系が好きな私)。
うちの子はやはり、「ぬいぐるみみたいで可愛い〜」と
オオスカシバ(昼間飛ぶ蜂みたいな蛾)が気に入り、模写し、紙で模型を作ってる…。

カイコの断面図(うへぇ)を見て、
この虫(蟲って書きたくなる)はホントに全身を
「糸を作ること」に捧げているんだと実感してせつなくなる。まさに生体絹糸工場。
なんか、自分の蛹を包む繭を作るためだけに、こんなに全力を挙げて
(桑食いまくってうんこしまくって)大量の糸を出す必要があるんだろうか?
人間に絹を与えるために神様が遣わしてくれた生き物だと思われても
無理ないかもしれない。

あ、あとトンボとかカマキリのようにぐるぐる回せる首ってのは、昆虫では珍しいそうです。
そういえばトンボの前で指をぐるぐるすると、目を回して落ちるとまではいかなくても、
不審げに首をかしげたりしてくれるね。あれは愛嬌がある。



2001年08月07日(火) 虫づくし・ぬいぐるみ系

日光で見かけた虫の中に、大きくて鮮やかな青リンゴ色の、
ふわふわの毛皮を着た芋虫がいました。
コドモと一緒にそっと触ってみたけど、本当に柔らかい毛が生えていました。
たぶん蛾の幼虫なんだろうけど、形もちょっと平べったいし、
種類がわからなかったのが心残りです。
ああいうとこの虫は持って帰れないし、食草もわからないから、
成虫になるのを見届けることはできないのです。

虫は、見るのはまぁ平気だけど触るほど好きではない私。
実は、固くて油で磨いたような羽を持つ甲虫の類が、案外苦手です。
ふわふわした毛が生えてておとなしげなデザインの青虫とか、
ビロードみたいな毛が生えてる蝶や蜜蜂の体のほうが好きなんです
(でも敢えて触りたいというほどではないが…)
結局、ぬいぐるみっぽいのが好きなのでしょう。お子様趣味。

自分に手芸の心得があったら、作ってみたいのは蛾のぬいぐるみだと思ったことがあります。
蛾そのものは、どっちかというと嫌いです。粉が散るし。
蝶に比べてでっぷりと太った胴や大きな頭や羽のような触角が嫌らしい感じですが、
これを可愛いと思える人は好きになれるでしょう。目はつぶらだし(笑)。
一番好きなヨナクニサンの図解を見ながら、
こことこことここは風合いが違う別珍、こことここはスエードのパッチワーク、
脚はフランス人形の指のように針金を芯にして…などと考えたものです
(本当に作ったら偉いんだけどね)。

そんな私の趣味がうつったのか、うちの子供も「ふかふか系」が好きです。
日光で一番心に残った虫のひとつは、あのフカフカ芋虫だったらしいし、
蛾とか蜂はちょっと怖いくせに、毛深い部分がたまらなく可愛いと言います。
さらに、(苔の写真絵本なんか見せたのが災いして)
どこへ行ってもいろんな苔に反応して、触り心地を確かめにいくようになりました。
もちろん、湿原と山道も苔の宝庫だったので大騒ぎでした。
なんか、マイナー趣味に走りそうだなあ…。

そうそう、毛といえば、図鑑で見て知ったのですが
蝶や蛾は、「頭の毛」で風の流れを感じて飛ぶんだそうです。
そうか、禿げてちゃいけないのね。



2001年08月06日(月) 日光・虫づくし

先日は奥日光に行って、湿原歩きなどしてきました。

文字通り「佃煮にするほど」のアキアカネが飛んでいた。
「これが全部ハエだったら嫌なんだろうな…」と思ったけれど(笑)
鬱陶しいくらい沢山いるけど、トンボは殆ど羽音がしない。
平地で見るトンボよりも大人しく、動きが鈍くて
人一倍とろいうちのコドモでも簡単に捕まえられる。
そんなところが、かわいげがあります。蝶や蛾みたいに粉も飛ばさないし。

蛾をつかまえて、一心不乱に食べているところも何度か見かけた。
あんなにばりばりむしゃむしゃ食って、細い腹のどこへ入ってしまうのだろう。
あとで本で読んだのだけど、
アキアカネは飛ぶと体温が気温より10〜15℃も上がってしまうので、
気温が高いところでは死んでしまう。だから真夏は高原で避暑して、
秋になると真っ赤になって平地へ降りてくるらしい。
あんなに小さく細い体の中が、40度くらいに熱くなるのだろうか。
確かに飛ぶ虫たちは羽を激しく動かしているので熱くなりそうだけれど、
どうも赤い血が流れていない生き物は、体温が低いようなイメージがあって…。

アザミの花にはヒョウモンチョウが止まりに来る。
よく、図鑑の写真を見ると、この蝶は決まったようにアザミに止まっているけれど
(アザミは蜜が多いらしくて他にもいろんな虫が来る)
紫のフェイクファーみたいな花にヒョウ柄の蝶という派手な取り合せ、
やたらと目についた。見栄えのする背景がわかっているのかな?

あと、よく知らないけどハンミョウやカメムシの類など、ふだん見かけない
鮮やかな色柄のものがいっぱい。
黒とターコイズの染め分けのバッタも飛んでいたし、
トンボ玉みたいな2色の妖しい星があるテントウムシは、珍しい種類らしくてラッキー。


・ちょっと虫系のネタが続くかと思いますので、ムシ嫌いな方はごめんなさいねξ



2001年08月05日(日) ポケモン映画と夏休み

去年のように劇場に並ぶ気力はなかったので、
公共施設に回ってきたのを見ました(空いてるのと、
交通費とか余分なお金を使わないのが取り柄)。

ネタバレはしませんが、最後の山場?で(更にその少し前のシーンでも)
またもや劇場版アンパンマン「ゆうれい船をやっつけろ!」を思い出してしまったけれど
黙っていたら、
コドモの方から「アンパンマンの、あのお話に似てたね」と突っ込んできました。
そうね、君はあのビデオがとくに好きで、去年は繰り返し見てたものねえ…
(そっくりだったよね)。

ユキナリ少年の将来をとくに考えてなかったけど、
エンディングを見ていて笑ってしまいました。
直前に「ジュブナイル」のビデオを見てしまっていたこともあって、また既視感が…
でもタイムスリップねたを使うと、知ってる人のところに戻ってくる話にはなりがちだよね。
気にしてません。

・ちと脱線。
夏休みの物語というと、特別なところへ出かけていって、特別な体験をして、
また遠く離れてしまう人との友情とか恋が切なく(あ、大人の話でも同じか)。
日常の身の回りを見ても、本とか作品の形になったものを見ても、
「夏」とか「夏休み」って、めいっぱい生きなきゃ!参加しなきゃ!みたいな
一種のお祭り扱いになっていて、それは生き物としても自然ななりゆきなんだろうけど
プレッシャーも感じませんか。なにか思い出つくらないといけないような(笑)。

祭りをいっしょに楽しんだ友達と、別れて帰るときの寂しさ。
時の壁に隔てられたところへ帰るときは(フィクション限定だけど)なぜ切ないんでしょうね。
空間的に遠いところへ行く人にも、また会えるかわからないのに、こっちはあまり切なくない。
やっぱり時空を共有していて、連絡がとれるという場合とは、随分気持ちが違うのね
(不便な時代の人だったら、遠い土地へ旅立つだけでも、ものすごく切なかっただろうけど)。
人間がタイムスリップできないのは、記憶をよりどころに生きてるからかもしれない。
歴史とか、経験とか、なにかを覚えること・知ることを
意識しないでいられる生き物たちは、実はタイムスリップなんて平気でしてるのかも
しれないなぁ(してても全然意識してないから)。

・脱線おわり。
絵的に好きなシーンはやはり、最初のセレビィが森の中を飛び回るシーンかな?
「スターウォーズ/帝国の逆襲」の好きなシーンと同じですね(笑)。
あと、湖面を飛ぶところ
(アクロバットの飛行機みたいに、手を水面につっこんだまま飛ぶ水をけたてて)
あれって空を飛べたら絶対やってみたいことの一つだと私は思うんだけどな。
高いところを飛ぶのの次に、夏だったら絶対やりたい! 涼しそうだし…。
(ジェットスキーとか、大きな道具に頼るんじゃなくて、
身一つで飛べるってのはやはり、すごい憧れだよね)
コドモはすごーくすごーく憧れると思うんだけど。
ああいうふうにサトシだけが楽しそうに(空まで飛ばせてもらって)遊んでるシーンで、
カスミとタケシは羨ましがりもせずにニコニコして見守っているだけなんだよね。
彼らはコドモじゃないのかしら? 今更だけど、お父さんお母さんの代わりなのだろうか?
お子様向けアニメの中で、本当にコドモ特権使ってるのは、主人公とか
ごく限られた人だけなのかもしれない。そうだよね。
本当のコドモは観客席にいるはずなんだものね。

このように常に、飛んでる虫とか鳥とか走ってる子犬の視点で流れる映像が
大好きなお子ちゃまの私ですが、そういえば
アニメのオープニングで好きなのは、ポケモン劇場版一作目の
「ミュウツーの逆襲」です…海の上をどんどん走ってってぶつかった
巨大迷路みたいな島を俯瞰するとタイトルになるやつ。
オーソドックスだけど、やっぱり素敵だった。これは劇場で見てないのが惜しまれます。



2001年08月01日(水) 暑いときにどんな音楽を聴きますか

私はジャンル問わず音楽に暗いです! すごく。
音楽を聴きながら何かをすることが基本的にできないし、
ナマは大丈夫なんだけどスピーカーを通した大きい音が苦手なので
本来、ある程度以上の音量で聞くべき曲を正しく鑑賞してないと思います。
だからクラシックも弱いのよね…お抱え楽団がいて、一流の生演奏がいつでも聴けるほどの
お金持ち(ていうか王様?)だったら、きっと音楽好きになってたのに(贅沢いうな)。

という言い訳をした上でですが(笑)
う〜ん、夏だったらカリブ海方面が無難なところですか。
レゲエ流行りだった頃は、漫然とよく聴いてました。
英国系ロックが比較的好きだったんで、そのつながりで。
スティール・パルスなんて、暑そうでいてスーッと冷たい感触があって好きでした。
ライブに行くくらいに(でもライブで聴くと、暑いんだよね)。
あと、もっと脱力したいときはサルサとか。

一見涼しいようで、実は暑い音楽というと。
チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」という
やたら古典なアルバムがあります。その昔、流行ったときに
ジャズ喫茶にあったレコード(CDじゃないよ)が軒並み擦り切れたという…。
最初はスーッとするんだけど、アルバム通して聴いてると、
だんだん体感温度が上昇してくんですね。
辛いもの食べた熱さじゃなくて、なんかこう、カラダの奥から熱が上がっていくような。
この辺が「ラテン」なのかなあ…私は好きですけど。


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蟻塔

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