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どうして あんな些細なことが
どうして あんなにも大きな幸だったのだろう
たわいもない日常 かけがえのない日々
どうして 簡単に 壊れてしまったのだろう
どうして 君は 躊躇なく 私を殺すことができたの?
いつか聞かせてよ
君がここにくるのを いつまでも まっているから
君がつけた傷は ふさがないまま
どんなに この容貌が衰えようとも この傷だけがかわらない 目印だから
あの時 君の手を振り払ってしまったことを いまさら後悔しています
でも 狡猾な私は あの時に手を取らなかったからこそ 記憶の中のあなたが きれいなままだということを知っているのです
本当を知ってしまえば 壊れていくだけだから
きれいなものは 檻の中 閉じ込めたまま 眺めているのが 一番なのです
それがどんなに 残酷か わかっていても
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