きまぐれがき
目次pastwill


2005年08月21日(日) 月の光のなかを

月を見ると秋の気配を感じる。
白い光が優しくて哀しくてモーツァルトの音楽のよう。

そんな月を今夜も二階の窓から眺めていると、ずっと向こうから
こちらを目指して猫が歩いて来るのに気がついた。
光に照らされて、リズムのよい歩調で歩いてくる。
この真夜中、何を思ってどこへ行くのか。。と姿を追っていると
うちのガレージの前で直角に向きを変え当たり前のように庭に入
ってきた。

ユキちゃんが眠っているハウスの前を通り抜けたところまで見届け
たが、そのあとは視界が遮られて見えなくなった。
ユキのやつ眠りが深すぎて、すぐそばを猫が通っても目など覚める
はずがないよなと思っていると、家の裏のほうでガラガラバッタンと
いう大音響。

そっと見に行ってみると、2個並べて置いてあるゴミバケツが見事
にひっくり返り、蓋は転がり生ゴミが散乱したいた。

この間から朝起きるとゴミバケツがたびたびこのような状態となって
いたのは、あやつの仕業だったのか。
これは、白い光の中をわき目もふらずに歩いていた美しい姿のあや
つの稼業なのだ。

はじめて見た猫だった。
でも猫は、私のことを知っているのかもしれない。
どこかから見られているのかも知れない。




2005年08月12日(金) 歩幅

出掛けにクローゼットで見つけたスカート。
昨年買って、一度もはかないまますっかり忘れていた。

長めの裾5センチほどが透けていて、涼しげでよいではないか
といそいそと着たところまでは問題なかった。
靴を履いて外に何歩かでたところで、苛立ってきた。

このスカートの裾幅と私の歩幅が恐ろしく合わないからだ。
裾幅が狭すぎるのだ。
あ〜ん、だから放置したままになっていたのだ。

着替えるのも面倒なので、今日は小股で歩こうとそのまま出かけ
たが、いかにせんこのペンギン歩きでは。。とイライラしてきて
そこのお店で裁ちバサミを借りて、裾を切り裂いてしまいたかった。

何年か前に、女子の自衛隊の行進の歩幅は70センチだというの
を知って、私も同じ歩幅で歩いてみた。
この70センチ、背筋がピン!とのびて絶妙なのだ。
なんだか身体が鈍っちゃっているな、ピシッ!としたいと感じた時
には、歩幅70センチの行進を誰もいない夜道などでしてみると
息は切れるけれど、背筋が伸びたぶん背が高くなったような気分
となって、ついでに敬礼でもしたくなる。

こんなことをしていたのだもん。
ふつうに歩く歩幅だって、いつの間にか広くなってしまったという
わけね;;






2005年08月07日(日) ほんとは臆病もの

ある日

油壺夫人のパパの肝臓の手術が終わるのを手術室のそばの
待合室で、油壺夫人と私がまだかまだかと気をもみながら待っ
ているところへ、スリッパをペタンペタンと音立てながらたびたび
やって来て「まだ?終わらない?」「遅いなぁ」と言っては戻って
いく入院患者。

その男は有名な○○組のヤ○○さんで、何日か後にパパと同
じ手術をするものだから落ち着かないらしいと、油壺夫人から教
えてもらった。

ヤ○○さんは暇でしょうがないらしくて、子分みたいなのを一日
中怒ったり命令したりしている。
ママがパパのところに来ていることがわかると、それってどうな
の?と思いっきりひくようなエンジ色のサテンのガウンを、本人
はおしゃれなつもりで羽織ってフラ〜とパパの病室に進入して来
るのだよ。
そして愛想笑いをしながら家族の一員のようにそこにいる。
パパは面白がってヤ○○さんの話を聴いている。

ヤ○○さんのところに女がお見舞いに来ている時は、病室のドア
が閉まっているのですぐにわかっちゃう、と油壺夫人が言うので
「女って、その男の情婦かな」と、うっとりキム・ベイシンガー
などを想像してみた。
「うぅん、サンダルつっかけた安い女」にガクッ。

油壺夫人のパパが入院した日、油壺夫人とママが廊下で看護士
さんと話をしているところへ、そのヤ○○さんはどこからか忍び寄
ってきて、「こすげです」とさも懐かしそうに挨拶をしたのだそうだ。

ママは「こすげ。。。??」
。。。。。。
しばらく考えてから「ああ、小菅。拘置所ね」。

ヤ○○さんにしたら、小菅にある東京拘置所に拘置されていた時に、
ママが仕事で拘置所を訪れたことを知ったらしく、間違いなくお友達
感覚♪での挨拶となったらしい。
保護司のママ、拘置所で講演でもしたのか?
それにしても姓を名乗らず小菅を名乗るとは、ずいぶん拘置慣れして
いるもんだ。ヤ○○のサガか。。。

パパの手術が終わる予定時間をとっくに過ぎても、手術室の出入り
口に動きはみえない。
だんだん心配になってきている私たちのところへ、またペタンペタン
とスリッパの音もけたたましくやってきたヤ○○さん。

「(手術)失敗しちゃったんじゃないの」

の一言を残して去っていった。


後日談。
パパの手術は成功した。
ヤ○○さんは、ご自分の手術の前日に病院から逃亡したのでした〜
ふふふ〜臆病者\(^o^)/




2005年08月02日(火) ユキちゃん逃亡

昨晩ユキちゃんを散歩に連れて行った夫が、
「首輪がはずれて逃げた」と言いながら、はずれた首輪とリードだ
けを持って戻ってきた。

「門さえ開けておけば、そのうち家に帰って来てるだろう」
なんて悠長にかまえている夫は、ユキちゃんを買い被っている。

自分の名前さえ1年経っても覚えられなかったあのユキちゃんが、
自分の家に帰れるはずがないじゃないか(パリになんか行けるは
ずないじゃないか!。。。リュドヴィーク入ってます;;)、それに
誘拐や交通事故が怖いとわめき散らして、私と小豆は自転車で捜し
に出た。
夫もそう言われればそうだと納得したのか、自転車の籠にユキち
ゃん愛用のおもちゃやテニスボール、好物のチーズを入れて出陣。

幸い月夜で明るい。
田んぼの中の一本道、遠くの方にユキちゃんの白い影が過ぎった
りしないかと目を凝らしてみても、大声で名前を呼んでみても、動く
ものは見つからない。

3時間が経ち、捜し疲れて門の前で呆然と立っていた小豆と私の
前に、向こうからフルスピードでやってきた車がつんのめる様に止
まった。
と、同時に中から飛び出てきたご近所のおじさんが
「通りがかりに見かけた犬が、どうもお宅のユキちゃんらしい」
道端にきょとんと立っていた犬がいたので、「ユキちゃんか?」と、
声をかけてみたところ尾を振りながら逃げたそうな。
「あいつ。。。」

おじさんの車の後を自転車でついて行くと、田んぼの稲の間に見
え隠れしながら動く白いもの。やっと見つけた。
ところが、捕まえるのにまたひと騒動。
迷子になった子供が親の懐に飛び込んでくるように、どうしてなら
ない?
そんなに飼われるのが嫌なのか?

やっぱりチーズか;;
チーズに釣られたユキちゃんを、どうにか捕まえることができたもの
の、帰宅後はみんなフラフラ。
ユキちゃんは「もっと、もっと」と日ごろの3倍のお水を飲んだけれど、
気分が高揚しているらしくて落ち着かない。
家族から離れて初めての自由は、不安と恐怖でもあったのだろうな。

お腹を撫ぜながら「箱根強羅ホテル」で麻実と内野が歌った子守唄

    いたずらやさんの〜坊や〜♪

を、今夜は何回も歌ってやった。






ギブリ |HomePage