なごり雪。
『チルソクの夏』を観た。 佐々部監督が好きなのと、巷では何気に評判がよいので。
70年代の高校生女子4人組の話なのだけど、これがまたヒジョーに 恥ずかしいのだ!ひゃー!こんな恥ずかしい台詞をよくも!とか 思いつつも、ラストとか号泣してるんだけど。
「親友と友達は一体どう違うの」という台詞があって、ドキリとする。 この映画は恋愛映画であるけれども、わたしにとっては女子の友情 物語だったんだよなぁ。彼女らの一喜一憂に一緒になって泣いたり 笑ったりしてた。上野樹里ちゃんてやっぱりいいなぁ。
その映画の核となっている歌が「なごり雪」 女子4人でそれを歌うシーンがまたコテコテで、あんな恥ずかしいこと できなーい!とか思っていたのだけど、げげ、わたしにもあるじゃん! 「なごり雪」の思ひ出!…そういう時代だったのかな。
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札幌に住んでるHちゃん。彼女は高校に編入してきた転校生だった。 彼女の類稀なる純粋さゆえ、彼女を天使のように思っていたひとも たくさんいたはず。彼女は高校んときも、そして今も変わらない。 いつもぽわぽわとしている。
人に気を遣いすぎるところは、たぶん転校ばかりしてたから。 そんな彼女は高校3年のとき、また東京へ行くことになる。
ウマが合ってたかどうかはわからない。 四六時中一緒にいたわけでもない。 けれど一度だけ彼女が私の家に遊びにきたことがある。 冬の寒い日だった。
いろんなことを話した。たぶん人生のこととか。 18歳の語る人生なんて可愛いものだったけれど、わたしたちには 大きな問題だった。たくさん話した。話すというより語ったという 感じ。お互いを分かり合えた気がしたのもそのときだった。
高校生だったので、夕暮れ時に彼女をバス停まで送っていった。 たぶん彼女とこうして話すのも最後という日だった。
バス停までの15分もの距離を、わたしたちは他愛のない会話で やり過ごした。やっと親友になれた気がしたのに、彼女はもういなく なるのだ。今のように携帯やメールのない時代。次に会えるのは 年単位だということもわかっていた。
バス停に着いた。雪の日だからバスも遅れているらしい。 どっちから歌い始めたかは覚えてない。バスを待っていたからふと 口ずさんだ…その程度だったんだろう。
♪汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる 季節外れの雪が降ってる〜
2人で静かに歌ってた。
♪動き始めた汽車の窓に 顔をつけて君は何か言おうとしている 君のくちびるがさようならと動くことが怖くて下を向いてた
泣きそうだった。でも泣かなかった。 でも彼女が「バイバイ」と何回も言い、バスに乗って去って行った 瞬間、ぶわっと涙が出た。涙を拭きながら歩いた帰り道。 火照った頬に、雪が冷たかったことを今も覚えてる。
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なんだか今思うとちょっと恥ずかしい。青い思い出。 でもあの頃は、いろんなことにヒタムキだったなぁと思う。 文字や映像にすれば恥ずかしいことだろう。 うわ、こんなことやってたのかよ!みたいなそんな出来事。
だけど、それをいい思い出だなーと思える自分もちょっと好き。 彼女とは今も変わらずいろんなことを話せる相手。 この間も、電話で少女のような悩みを打ち明けてきた。 一喝しておきましたがね。きみ、もう少しスレたほうがいいよと(笑)
『チルソクの夏』、恥ずかしい青春を送った人にはオススメです。 感想はいずれ映画のコーナーで。(今日は無理。寝る。)
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