あの夏の花火。
明日は花火大会です。 8月1日は花火大会と決まっているのです。 だけど、アタシの残業というのも決まっているのです。
今までこの花火大会を見ることができたのは、3回だけ。 偶然にも土曜日に当たったときと、彼氏がいたとき。 彼氏と花火が見たくて、瞳の中にメラメラな炎を燃え立たせ、恐ろしい ほどの勢いで仕事をこなしていたあの日。周りの女性軍も同じ目的の子 が多く、そのときの結束力の凄さったら、まるで甲子園球児並みだった。
死に物狂いで仕事を終え、やっとの思いで彼氏と花火を見た。
今日はそのときのことを書こうかな。
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職場に迎えにきてもらい、彼氏の車でベイエリアへ急ぐ。
浴衣の女の子がやけに可愛かったことを覚えてる。 アタシは仕事で焼け焦げ、もの凄いツラでしゅんとなったことも。
屋台で生ビールを買って乾杯する。
「お疲れ〜」
「遅れてごめんねー」
「ううん、全然大丈夫だよ。ほらまだ始まったばかりだし」
「嬉しいな、働き始めてから初めてここで花火見るよ」
「それは良かったね」
周りの熱気と、人々の流れと、斜め45度の視線。 ビールと枝豆と夜空に咲く大輪の花。 背中には彼の体温。 初めて男の人と一緒に見る花火。手をつないでみる花火。
上気した頬、頬に反射する光の影。 何もかもが花火と一緒に散ってしまうマボロシのように思えた。 シアワセすぎて。
花火を見終わって、居酒屋に行った。 お酒を飲んで、ゴハンを食べて、いつになく上機嫌な私達だった。 私の友達に子供ができたことを話した。彼もとても喜んでくれていた。
すると突然。
「俺達もそろそろ一緒になろうか」
彼がつぶやいた。一瞬なんのことかわからなかった。 今は友達に子供ができたことを話していたのに。
「ミチヨの周りもみんな落ち着いていくもんな。」
「これってプロポーズ?!」
「それ以外のナニよ(笑)」
一生忘れられない日になると思った。 これ以上のステキなことは、起こりえないとまで思った。 付き合って1年2ヶ月と3日のことだった。ミチヨ27歳。適齢期(笑)
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こんな時代もあったのです(笑)
花火大会がくるといつも思い出します。
そしていつも苦しくなります。
理由はこの5ヵ月後、思っても見なかった形で破局を迎えるからなの ですがねー。ミチヨ、あんときゃ死ぬかと思ったわ^^;
そっかー、あれからもうすごい年月がたったんだなぁ。 ヤツのことは全然もう平気なんだけど(未練なんてものは微塵もない)、 花火大会とゆー言葉を聞くと、あの雨を含んだ蒸し暑さと、彼の体温と、 見上げた夜空なんかを思い出して、チクリとしたりなんかするのです。
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