日々の泡・あるいは魚の寝言

2007年11月25日(日) 朝のスパイス

とんとんと仕事が片づいていきます。
よきかなよきかな。

いつもゲラを送り出す朝は、どこかのカフェか喫茶店、ファミレスあたりで、朝ご飯いただきながら、お仕事を終わらせます。
大きな窓から、きれいな陽射しが差し込んできたり、お店の人たちが手際よく働いていたり、通りをひとが通り過ぎていったり。

そんなのをみながら、自分も朝の街の一部になったような気持ちを感じながら、そうちょうど、一枚のジグソーパズルの、自分もひとつのかけらになったような気分で、しっかりと働くのです。

好きなことをしている仕事ではあっても、そこは「仕事」で、これでお金をいただいていますので、気楽なものでもありません。
けれど、はりつめた気持ちもまた、スパイスのように味わいながら、窓越しの光をあびて、仕事を仕上げてゆくのです。

ひとつの仕事を終わらせ、また次のお仕事をする。
そのくり返しを、今日もまた続けられたことに、心の隅でなにか貴い存在に感謝して、明日もまた無事に続けられますように、と、ひっそり祈るのです。

いれたてのコーヒーの温かさにも、それをいれてくれたひとの手にも感謝しながら。

店内には、今日もクリスマスのうた。
働くひとと私と同時に、手を止めて、音楽の同じ部分に耳をすませた瞬間が、今日、たしかにあった、と思いました。



2007年11月19日(月) 日々

☆今くらいの時期の作家というのは、もう来年の仕事をしています。
で、原稿の中では、違う季節のことを大体書いているので、季節も月日も曜日も、感覚が狂いまくりです(笑)。

えーといま何をやっているかというと、来年一月刊行になった「レミ」のゲラをみています。あと少ししたら、岩崎書店さんの動物アンソロジーのゲラもくるのでありましょう。
ゲラが続くと、神経がすり減っていくのがわかりますが、でも、本作りの最後の過程なので、粛々としてやるだけです。

このゲラが終わったら、教育画劇さんのお仕事に戻らないと。

☆今夜お仕事のともにして飲んでいるのは、ルピシアのクリスマス巻の紅茶。ストロベリーとバニラ風味なのかな、これは。子ども向けみたいなかわいい柄の、カフェインレスのものがでていたので、三つお買い上げしてきました。
クリスマス時期は、街にかわいいものがあふれるので、幸福になります。

…アフタヌーンティーの先着順プレゼントだったトナカイのチャームをもらいそこねたのを、ふと思いだして、ちょっとブルーはいりました^^;

☆もうじきにまた都内です。
仕事しながらふと、クリスマスの新宿のようすや、空港からのバスが走る高速道路の眺めなんかを思いだし、うっとりするようなわくわくするような気分を味わったりしています。
そんなとき見上げる仕事部屋の窓越しの空は、もう都内の高い空と二重写しになっているのです。



2007年11月13日(火) クリスマス先取り空間

☆今の時期のスタバは素敵ですね。
もうクリスマスソングが高らかに鳴っていて、店内の飾り付けもクリスマスだから。
カフェミストに、キャラメルのシロップで香りをつけてもらって、少しずつさましながらいただけば、もう気分はクリスマス。
嬉しいなあ。十二月のクリスマスまで、この気分がずっと楽しめるのかしら。

お買い物のついでに、あるいは最初からパソコンをかかえて、スタバで過ごす時間が、誰かからの贈り物のように思える今日この頃です。

お仕事は、もう、年末を通り越して、新年とか春以降の本のうちあわせがスタートしていますが、クリスマスソングを聴きながら、楽しくはたらいていこー、と、心でそっと誓っています。

いつも美味しいコーヒーをありがとうです。長崎のスタバのパートナーさんたち。
まだ職業を明かしていないので(笑)、たぶん「ちょっと謎の人」状態でしょうね。
都内にいるときならともかく、長崎市では、微妙に怪しい人間に見えるんだろうな、とわかってます、はい^^;
ひらひらした格好した老けた女で、妙に小さいノートパソコン持参で来店して、延々とテキスト打っていて、妙に限定メニューやタンブラーに詳しくて、支払いはいつも少額でもカードだもんなあ。

…私がお店の人なら、「なんだろう、あの不思議な人」と思うもの^^;



2007年11月05日(月) 誰かの夢を葬る

あるコンクールの審査員をしていたのですが、そろそろ結果も発表ということで、手元に置いていた応募作のコピーを始末させていただくことにしました。

昨日のことです。

一作一作、とじていたホチキスのしんをはずし、手で一作一作破いて、ふくろにつめてゆきました。
大事に、誰かの小さな夢を眠らせるような気持ちで。
このコピーの中に、見知らぬ人々の夢や思いがこめられているのがわかっていますから、大事に葬りました。

私も十代の終わりからコンクールにだして、そして受賞して作家になっていった人間です。用が終わったコピーといえど、粗末にはできません。
はさみで切ることも、痛い感じがしてできない。
だから手でばらし、手でちぎってゆきました。

コンクールにだされた原稿には、下選考がありました。そのあとさらにふたつにわけられたものの、ひとつのグループが私の手元に来ました。
審査はしないといけないので、落とした原稿もありますが、でも、一作一作、大事に拝読いたしました。

今回のコンクールはとても狭い門になってしまったので、落選した作品がほとんどです。
でも、私が読んだ中で、本当に惜しかった作品はいくつもありました。作品としては未熟(ごめんなさい)でも、想いがあふれた作品もありました。一部分にきらめきが感じられる作品もありました。
でもほんと、狭き門になってしまいましたので…

私がいいたいのは、今回落ちた方でも、ここでめげないでほしいということです。すぐに切り替えて、次の作品を書き始めてほしい。
私だって、延々と落選した原稿の山を築いた時代がありました。でも、なんだかんだで投稿し続けて、ちゃんと作家になりましたから。
だから、落選しちゃったあなたも、あきらめないでほしいと思うのです。

もしあなたに才能があり、努力を続けてあきらめなかったら、きっとなんとかなると思うから。

そしてもし、作家になりたかったわけじゃないけど、自分が書いた作品が大事だった方がいたら。愛情をこめて、なにかの記念のような思いで書いた作品を投稿してくださっていたのだとしたら。
今回の審査と相性が悪かっただけだと、そう思ってください。入選したかどうかなんて、作品の価値には関係ありません。
あなたがその原稿を大切なら、それはあなたにとって名作なんですから。



2007年11月03日(土) 新宿茶話会鴎

さて、旅行が終わって、長崎に帰ってきたわけですが。
気がつくと、サークル立ち上げていました。
「新宿茶話会鴎(しんじゅくさわかい・かもめ)」といいます。
えーと、数ヶ月に一度、新宿近辺のお洒落な喫茶店で、児童文学の書き方についてお話ししたり、知的な会話を楽しんだりする、サロンみたいな会です。

お仕事忙しいのに、なにやってるんだ、という感じですが、うーん。なんていうのかな。私もこの年になると、自分が知っていることを、人に伝えて残しておきたい、という気持ちが強くてですね。
たとえば私には、「誰かを必ず人気作家にする」というスキルはありませんが、「その人の限界まで、上手に作品を描けるようにする」というスキルは、どうやら、たぶんあるのです。
で、それは魔法ではなくロジックなので、教えれば、教えた人が自分で応用を利かせて伸びていくことができるし、そうすることで、その知識を、あとに、道の誰かへと残していくことができる。

まあそういうわけで、そういう場を作りました。
営利目的ではないどころか、完全な私の赤字です(笑)。
いいの。趣味で生き甲斐だから(笑)。

ただ実は、初期のメンバーはもう数が埋まってしまっています。少人数ではじめて、第一期のみんなに試行錯誤につきあってもらって(笑)、うまくやっていけるとわかったなら、またメンバーを募集すると思います。
茶話会に興味がおありの奇特なみなさまは、今回の茶話会スタートがうまくいくように、お祈りの力添え、とか、お願いいたします。

☆さて、今回の東京滞在の間に、教育画劇の新しい担当さんとのうちあわせがありました。マリリン最終巻についてのうちあわせと、そのあとの新シリーズ(ありがたいことです…)についてのお話です。
担当さんと、とーっても、好きなものの趣味があってしまったこともあり(笑)、ノリノリの担当さんで楽しかったということもあり、一気にいろいろかいちゃおう、という気持ちになってしまっています。

これから年末年始と、レミの再校があり、児文協の長編新人賞の選考があり、と、いろいろありますが、あとひとつ、なんとかマリリンが描けたらなあ、と、思っています。
(マリリン5「終わらない詩」は、描くのにものすごく疲れるのがわかっている話〜ひとが大量に死ぬシーンをかかないといけないからです〜だから、どうしても腰がひけるんですが、それでもハッピーエンドだし、かけば達成感があるだろうから、年末年始の大仕事にふさわしいなあ、とか、思っているところです)。
…ただ、一冊で終わらせようとすれば、一体何百枚になるのかなあと(遠い目)。

☆部屋のオイルヒーターに電源を入れました。
いよいよ冬が近づいてきましたね。
今日は仕事しに兼猫缶買いに街に出たのですが、繁華街はもうクリスマスになってきていました。一年でいちばん楽しい季節がきたなあ、と、電飾をみあげて、幸せな気分になっていました。


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