読書の日記 --- READING DIARY
 ⇒読書日記BLOGへ
  schazzie @ SCHAZZIE CLUB



 Flip Side of Yesterday(REKINDLED)/Barbala Delinsky

Barbara Delinskyは、『Coast Road』とか『The Vineyard』などでベストセラーになっている作家で、これもまたヒューマン・ドラマっぽい話かと思っていたら、バリバリのロマンスものだった。

主人公クロエは偶然、11年前に別れた恋人のロスに出会う。別れた理由は、クロエの双子の姉妹クリスタルの死。しかし、それがどうして別れる原因になったのかが、今いちよくわからない。
結局、なにやかやと拒否し続けながらも、最後には結ばれるというおきまりのパターン。たいした出来事もなく、会話ばかりが多い、退屈な話だった。

しかしこの後私の本棚には、上にあげたベストセラーの長編が待っている。こんなところで躓いてしまっては困るのだ。これがたまたま退屈だっただけかもしれないし、もう1冊短いのを読んでみよう。。。


2002年03月31日(日)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 サンタと小人の国のお話集/クレンニエミ

この本の舞台になっている、サンタクロースと小人たちが暮らしているコルバトントリは、フィンランドに実在する山。いつからそこに、サンタクロースが住んでいるかというと・・・。

1927年、ラジオの子ども番組で、「サンタは小人たちと一緒にコルバトントリ(耳の山)に住んでいる。サンタには特別な耳があるから、子どもたちのプレゼントのお願いが聞こえるんだよ」と話したのが、そもそもの始まりだった。

というわけで、フィンランドのコルバトントリを舞台に、わりと現代風なサンタと小人たちの心暖まるお話。


2002年03月30日(土)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 小人ヘルベのぼうけん/オトフリート・プロイスラー

プロイスラーはボヘミア生まれのドイツ児童文学作家で、『小さい魔女』や『大どろぼうホッツェンプロッツ』などの作品で知られる。この本は、その挿絵も作家自身が描いているので、お話にマッチした愉快な絵となっている。

ぎざぎざ七つ森の小人のヘルべが、ある天気のいい日に、ひとりで旅に出る。川の向こうの森には怪物が住むと言われているが、途中アリの大群に追いかけられて、その森へと足を踏み入れてしまう。そこで川におぼれたヘルべを助けてくれたものは・・・?

非常にテンポのいい、どんどん先が読みたくなる愉快な話で、最後には大事な友達もできて、幸せいっぱいのヘルべ。小人の世界の生活の描写がとても楽しい。中に出てくる「森の小人パン」というのがとてもおいしそうで、ぜひ食べてみたい。しかしこういった物語を書くには、自然の観察は不可欠だと切実に感じた。


2002年03月23日(土)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 シュペッサルトの森の宿屋―ハウフ童話集掘織Εルヘルム・ハウフ

ドイツ童話の日本の太い柱として、グリム童話とならぶこのハウフ童話は、<わく小説>といわれるもので、枠となる本筋の物語の中に、数編の別の話<話中話(わちゅうわ)>がはめこまれている。
枠となっている物語は現実的な話で、その中に長短の話中話が含まれている。その半分は現実世界の話だが、あとの半分は魔法使いや妖精や幽霊などが出てくる超現実的なメルヘンの世界の話である。この現実と空想の世界が互いに入り混じっているところにハウフ童話の特色がある。

枠の物語もそれはそれでひとつの話になっていて、次はどうなるのだろう?と興味をうしなわせず、話中話もまたわくわくする話なのである。これを喜ばない子どもがいるだろうか?本1冊丸々面白い話なのだから。

この優れた童話は、お金のために書かれたものではなく、ハウフが家庭教師をしていた子どもたちを楽しませようとして創られたものだということだ。「指輪物語」にせよ、「ハリー・ポッター」にせよ、楽しい、面白いと思って無中になれる話というのは、たいがいそういうものだ。

今回は童話集の靴世辰燭里如↓気鉢兇眛匹澆燭い隼廚辰燭、残念ながら在庫切れだった。なんとか手に入れたいものだ。


2002年03月22日(金)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 サンタクロースの忘れもの/ローリー・ムーア

“サンタクロースの忘れもの”とは、クリスマスエルフのことで(クリスマスエルフのことを書いてあるので読んだ)、原題は“The Forgotten Helper”である。しかし、日本ではクリスマスエルフもサンタクロースのヘルパーも馴染みがないので、タイトルにサンタクロースを入れないと、何の話かわからないといった事態になるのだろう。

内容は、いたずら好きで天邪鬼なエルフのアーベンが、クリスマスイブに、やはりいたずら好きでお行儀の悪い女の子アイヴィの家に置き去りにされてしまう。翌年サンタクロースが来るまでの、一年間の二人の物語である。

しかし主人公格の登場人物が、二人とも「悪い」やつ(根はいい子なのかもしれないが)なのが気にいらない。「良い」性格のものだけが主人公になるわけではないが、この設定はどうも面白くない。それでもって「良い子」でなくてはいけないといった教訓めいたことがしばしば出てきて嫌だ。そういうことは言葉に表さずとも、物語の中で語れるのではないかと思う。

「クリスマスなんてだいっきらい!なんでクリスマスなんてあるのかしら?」と書いてあるわりに、クリスマスが嫌いな理由もわからないし、アイヴィが両親を亡くし、寂しいから悪い子になっているのだろうという推測はできるが、理由が明確でないために、はなからそういう性格なのかと思われてもしかたがないだろう。だから可愛くないのだ。

エルフのほうも可愛い必要はないが、お調子者で落ち着かず、こんなエルフには来て欲しくないといった感じ。「心温まるストーリー」というので期待したが、全然温まらないぞ!

もしかしたら翻訳がよくないせいもあるだろう。子どもの本の翻訳は確かに難しいけど。。。読んでいてすんなりとけ込めず、かなり嫌だった。


2002年03月20日(水)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 新版・指輪物語(5)二つの塔(上1)/J.R.R.トールキン

第一部で主人公のフロドとサム、アラゴルン、レゴラス、ギムリの3人、そしてオークにさらわれたメリーとピピンのグループに分かれた旅の仲間たち。第二部では、それぞれの行動が描かれる。
ここでは、メリーとピピンを助けるエントの「木の髭」がいい味を出している。

そして何より嬉しいのは、灰色のガンダルフが白のガンダルフとして戻ってくることだ。やはりこの話に魔法使い、しかもいい魔法使いは欠かせない。ガンダルフのいない指輪物語など、考えられないくらいだ。この短期間の彼の不在でさえ、非常にショックなのだから。モリアで奈落に落ち、第二部でふたたび姿を現すことはわかっているのに、やっぱりショックなのだ。

このあと、アラゴルンたちはローハン(騎士国─リダーマーク)に行く。そこでは戦いとともに、ちょっとしたロマンスも・・・。


2002年03月18日(月)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 シッピング・ニュース/E.アニー・プルー

1) ラッセ・ハルストレム監督の映画「シッピング・ニュース」の原作。

<クオイル>
不器用な三十男。三流新聞を解雇され、二人の娘、叔母と父祖の地ニューファンドランドへ渡る。

<ペタル・ベア>
クオイルの妻。浮気性で夫を苦しめた挙句、交通事故死。


まだ物語の冒頭で、クオイルの三流ぶりと、妻の事故死までしか読んでいないが、この後の展開を考慮に入れずに言うと、この奥さんのような暮らしをしてみたい。こんなに浮気性で、好き勝手なことをやっていても、ダンナが許してくれるというのがうらやましい。あはは!(^^;
結局神様の罰があたって、事故死してしまうのだけど、美人薄命というか、そういう死に方もいいじゃない?なんて・・・。


2) 3分の1くらいまで来た。
もろもろのそれまでの生活を捨てて、叔母と子どもたちと一緒に父祖の地、ニューファンドランドに移り住み、そこの新聞社で港湾ニュース(シッピング・ニュース)を書き始めたところ。今までも失敗ばかりの人生で、ここでもまた今のところ失敗ばかり。それでも子どもたちのために、冗談を言ったり、おもちゃを買ってあげたりする姿には好感を覚える。

でも、ラッセ・ハルストレム監督の映画の原作ということがなかったら、果たして読もうと思っただろうか?なかなか文章に馴染めないので、ひっかかってばかりいる。でももう少しがんばってみよう。登場人物もストーリーもけして悪くはない。


3) 3分の2まで来た。
けしてつまらないわけではなく、むしろなかなか面白いと思うのだが、今まで読んだ小説とは趣が違うので、非常にとまどっている。
ただ、この小説がどこに向かっているのかとか、はっきりしたテーマとかが、なかなか見えてこない。好奇心にかられて一気に読むといった類の小説ではなさそうだ。


4) 結局、行き着く先は何だったのだろう?
燃えるような恋でなくとも、幸せになれるってこと?
ともあれ、主人公クオイルにとっては、めでたしってことだろう。

この小説は、何も急いで読む必要のないものだった。各章が、それぞれ独立した物語となっていて、しかも全章が関連がある。したがって、いつも手の届くところに置いて、1章ずつ読んでも、全く差し支えないような感じだ。クオイルの日常を切り取った断片が、それそれに短編小説となっているのだ。また各章の頭に引用されているロープの結び方などにも意味があって、それぞれの章の内容を象徴しており、それがそのままタイトルのようにもなっている。

ロープの結び方の絵がついているので、そのたびにああして、こうしてと考えていると、やたらに時間がかかってしまう。これは暇な時にでも、パズルを解く感じで眺めればいいのだが、つい気になって、あれこれ悩む。

何より困惑して、時間がかかったのは、省略が多いためだ。誰が、どこで、というのがだいぶ省略されているので、話の途中で、唐突に違う話になり、読み間違ったか、ページでもとばしたかと思い、また前に戻るというのを何度も繰り返した。いまだに、誰がどこでしたものかわからない部分があるほど。これは翻訳者も困っていたようで、そのせいか、日本語として通じていない、理解できない部分も何箇所かあった。この人の本を原書で読むのはかなり困難に違いない。

全体としては、面白かった部類に入るだろうが、なんとなく映画っぽい。映画ではどうなっているだろうと想像しながら、映像を思い浮かべて読む(映画はまだ観ていないが)といった感じだった。


2002年03月17日(日)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 説得/ジェーン・オースティン

「この作品の後半第二巻は全部で十一章であったが、作者は話の結びがどうも些か単調な気がして気に入らなかった。そこで翌8月の或る日、思い立って第十章を書直すことにした。現行の第十章と第十一章がその書直した部分で、もとの第十一章が現行の第十二章である。こうしてホワイト・ハート亭におけるアンとハーヴィル大佐との会話、そしてウェントワース大佐の手紙による愛の告白と云う、イギリス小説の中でも指折りの美しい愛の場面の一つが書加えられることになった。」
――訳者あとがきより

この作品は、これまでに読んだ『自負と偏見』、『分別と多感』、『ノーサンガー・アベイ』とは大きく異なるものだ。もちろん内容は他の作品同様恋愛の話ではあるが、主人公の性格、置かれている状況などが全く違う。
この作品の主人公アンはおよそヒロインとはかけ離れている。それなのに、私の中では最も心に残る、素晴らしい作品だった。上のあとがき抜粋にもあるように、「イギリス小説の中でも指折りの美しい愛の場面」があるためである。この場面では胸が熱くなり、涙ぐみさえした。そして最初ヒロインとはかけ離れていると見えた主人公のアンが、最後には最も素晴らしいヒロインになるからだ。

「ヒロインのアン・エリオットは27歳、今は亡き母親に似て、気立てがよく、控えめで親切で思い遣りがあり、優れた知性と豊かな感受性を併せ持ち、心も顔もともに魅力的な、ジェーン・オースティンが創造したヒロイン達の中でも最も善良な女性である。・・・あまり完璧な人物には読者はともすると退屈しがちなものだが、この作品の場合、読者にそう云う思いを抱かせないところ、流石はジェーン・オースティンである。逆にまともな読者なら誰でもアンが好きになるのではなかろうか。・・・『説得』はジェーン・オースティンの最も美しい作品であり、最も繊細な作品である、とよく云われる。デイヴィッド・セシル卿はそのジェーン・オースティン論(『詩人と物語作家』所収)で、この作品を「愛の交響曲」と呼んでその個性的な魅力を称えている。そこにはこの美しく繊細な作品の姿と味わいが見事に捉えられている・・・。」
――訳者あとがきより

アンが若い頃に知り合い、結婚の約束までしたウェントワース大佐と、周囲の反対によって別れてから8年。忘れられない思いを胸に抱きながら、冷たい家族の中で物静かに暮らしている時、大佐と突然の再会をする。相手の気持ちもわからず、ただ幸せになってくれればいいがと願うアン。

どうしてここまで冷静な分別があるのだろう。もちろんアンとて冷静ではないのだが、周囲の状況をよくよく見極めた上で行動をしているのが、当初この人は自分の意志というものがないのだろうかとさえ思える。周囲に気を使うばかりで。だがそれはすべて、大佐に恥をかかせたくない、反対した当人たちに気まずい思いをさせたくないという一心なのだ。しかし最後には自分の気持ちを貫く。信じていれば必ず気持ちが通じると疑わず。なんて強い人なのだろう。
そして最後の「愛の手紙」である。あんなところであんな風に彼女の気持ちが報われるとは!まるで自分のことのように嬉しくてたまらなかった。

ロマンチックという言葉はいささか恥ずかしいが、なんてロマンチックなんだろう!そしてこんなロマンチックな話は、素直に美しいと思わなければいけないだろう。そして、この話が美しいと思えて、感動できた自分も嬉しい。
ああ、オースティンは面白い!さすが夏目漱石が激賞しただけのことはある。


2002年03月13日(水)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 Tonight and Always(FROM THE HEART)/Nora Roberts

1) これは三作が一緒になった「Three in One」タイプなので、PBながら重たい。寝ながら読む私には、とても耐えられない。1ページでギブアップだった。かといって置いておいても仕方がないので、カッターで3つに分解した。つまりせっかく1冊にまとめてくれたものを、またわざわざ3冊に分けたというわけ。いいのか悪いのか・・・。でも、いつまでも読まずにいるよりも、分解したって読んだほうがいいだろう。

2) ノーラ・ロバーツは、出す本全てベストセラーになるので、ダニエル・スティールくらいの読みやすい、あまりハズレのない作家だと期待していたが、意外にもそうではなくて期待はずれ。たまたまこの作品が、ということかもしれないので、まだ何とも言えないが。

まずパーティーから始まるのって作家が登場人物の紹介の手間を省いているようで嫌。その上、パーティーだから冒頭から人がたくさん出てくる。どんな物語かわからないうちから、これは面白くない。はなからロマンス小説だからと割り切ってしまえばいいのかもしれないが、そこから始まる男女の駆け引きがくだらないし、退屈。「読むジェットコースター」を期待したのは間違いだったか?

そういえば日本語で1冊読んだときも、主人公の女性の自信過剰と厚かましさには閉口したが、今度もやっぱりそういう感じは否定できない。ノーラ・ロバーツの作品の主人公は、そういう特徴なんだろうか?それに共感を覚える人がはまっていくのかもしれない。だとすると、私はダメなくちかも。


3) 以前からチラチラ読んでいて、面白くないのでなかなか進まなかったのだが、今日一気に読み終えた。

アメリカ・インディアンの文化に詳しい人類学者のケイシーは、そのキャリアを買われて、作家のジョーダンの執筆に協力することになる。そこで恋が芽生え、ジョーダンの姪や母親との関係を交えながら、話が進む。しかし母親の妨害による突然の別れ。そして・・・。

結局はハッピー・エンドに終わるのだが、後半ジョーダンの母親の妨害にあうところまでは退屈。その後は一気に進む。最初は自意識過剰じゃないかと思うほど、自信たっぷりのケイシーで、それがちょっと嫌味だったのだが、恋に落ちてからは、あれこれいらぬ心配をして翻弄される。そういうシチュエーションがなんだか気に入らない。別れる日を勝手に考えて、相手にやつあたりするなど、ちょっとどうかと思う。

それに冒頭のパーティーで、たくさんの人物が出てくるのだが、彼らはほとんど無用の人物。ジェーン・オースティンによれば、小説には無用の人物を出してはいけないという作法があるそうだが、全くその通りだと思った次第。

この本は3作合本なので、あとの2作も一気に行こうと思ったが、読む時間がもったいないような気もするし、とにかく疲れたのでしばらく間をおくことにする。
でも、こういうのが毎回ベストセラーになってしまうのかと思ったら、なんだかがっかり。ベストセラーというのは万人向きってことで、絶対面白いってわけではないのだ。ベストセラーに踊らされるのはやめよう。


2002年03月12日(火)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 ノーサンガー・アベイ/ジェーン・オースティン

『自負と偏見(or高慢と偏見)』、『ある晴れた日に─分別と多感』に続いて、3冊目のオースティン。
これはすごく面白かった!笑えたし、ハラハラドキドキしたし、3作の中では、一番面白かった。

この作品は上の2作品の後に書かれたものだが、20年も出版されず、オースティンの死後に兄によって出版されたもの。そういったいわく因縁があるのだが、作品自体がその時代を反映したものなので、20年という歳月は長すぎたのかもしれない。出された当時には、どうも時代おくれであると感じられてしまったようだ。本の冒頭には作者の筆で、わけあって出版できなかったことを考慮してもらいたい旨が書いてある。それにしても、こんなに面白いものを買い取っておきながら、どうして当時の出版社はすぐに出版しなかったのだろう?

物語自体は、他の作品と似たり寄ったりで、ヒロインが年頃になり、ちょっとした都会に知り合いの世話で遊びに行き、そこで素晴らしい男性に出会って恋に目覚め、ああでもない、こうでもないと日々をすごしたのち、めでたく結婚の運びになるというものだ。

しかしこの作品が他のものと違うのは、執筆当時に流行していたゴシック小説『ユードルフォの謎』(アン・ラドクリッフ)をパロディ化しているところだ。
それゆえミステリー的な要素もあり、次に何が起こるのだろうかと、わくわくさせられる。もちろんオースティンの小説は、そんなことがなくても十分に面白いのだが、作中でも『ユードルフォの謎』を読んでいる主人公が、すっかりその気になって、あらぬ事を考えるというのが面白い。

3作品を比べて、世間ではヒロインのお相手として『自負と偏見』のダーシー卿が有名だが、私はこの『ノーサンガー・アベイ』のヘンリー・ティルニーが一番好きだ。年齢もダーシー卿よりは若いため、血気盛んなところがあるのだろうが、最後に絶対服従が決まりの父親に反抗し、結婚を決めに行くところなどは、めちゃくちゃカッコイイ!

それにしても、オースティンの人物の観察力は本当に素晴らしい。主人公キャサリンの親友(のちに絶交するのだが)であるイザベラの描写などは、大笑いだ。これを大真面目にあの切れ目のないような文体で語られると、実に愉快。

しかし毎回驚かされるのが、主人公たちの若さである。今回結婚する二人は、16歳と18歳だ。それにしてはしっかりした分別を持ち、他人を思いやり、人の気持ちを考えるなど、立派な大人だ。今の人間とはずいぶん違う。もちろん自分のことも含めてだが。

ひとつ謎がある。
ヘンリーの妹エリナーの言葉の中に、母が死んだのは13歳の時で、それから9年経っているという部分がある。当然計算すれば現在22歳だ。しかし、最後にキャサリンとヘンリーの結婚が決まったという場面で、二人は16歳と18歳になっている。ヘンリーはエリナーの兄のはずなのだが・・・。


2002年03月11日(月)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 琥珀の望遠鏡/フィリップ・プルマン

1) ライラの冒険シリーズ3巻目。
2巻目までのストーリーをすでに忘れ去っているので、何がどうしたやらさっぱり。読んでいるうちになんとなく思い出してきたものの、これってやっぱり訳が好きではないかも。翻訳のせいとは言い切れないが、いつも冒頭から暗い雰囲気で、どーんと沈み込んでしまう。今回は表紙の絵も気持ち悪いし、なんだか乗らない。

というか、分厚くて重たいのよ!今回は!
寝ながら読もうとすると、めちゃくちゃ腕が疲れる。すぐに疲労して眠くなる。早く疲労を感じさせないくらいに面白くなってくれないと、いつまでも終わらないかも。まだ冒頭なので何とも言えないけれど、とにかく暗くて。。。


2) 1巻目は面白かったけれど、巻を追うごとにどんどん重たく、暗くなっていく。
イオニク・バーニソンが親友のリー・スコースビーの死体を食べるとか、ホラー小説も真っ青な展開だ。いくら熊だからって、親友の死体を食べるなんて!って、この部分が重要なわけではないけれど、なんとも重たい。みんな背中に石のお地蔵さんでもしょってるようだ。本自体も分厚くて重たいので、なおさら重さを感じて、沈み込んでいくようだ。
児童向けなのだから、もう少し希望のある展開にならないものかな?


3) 出だしが暗く、状況もあちこち散漫な感じがして、3分の1くらいしか進んでいなかったのだが、主人公ライラとウィルが再び出会ってから、一気に読んだ。結果、全体の感想としては面白かったが、どうしても会話部分の翻訳に馴染めなくて、最後まで違和感を持っていた。

結局最後は教訓物語で終わったんだなという感じはしたが、いろいろな世界を描き出した割りに、特に矛盾もなく、無事に終わったという感じ。
ただ、オーソリティーとかメタトロンとかの存在が怪しい。それまではずっとアナログ的な感覚だったのに、いきなりデジタルになったような、漫画チックな感覚になってしまった。メタトロンという名前が良くないのか?

ここでのテーマだが、キリスト教的には非難されるだろうが、私は神は宇宙人だと思っているから(あはは!)、この作品の神の扱いに対して、全く問題は感じなかった。ある国では、ハリー・ポッターも魔法を扱っているので邪悪だが、これはその何十倍も邪悪だと言われているらしい。


2002年03月10日(日)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 縛られた男/イルゼ・アイヒンガー

ドイツ現代文学作家の12の作品を収めた短編集。彼女はカフカに似ていると言われているが、本人はカフカを読んだことがないらしい。作品はどれも不条理な世界で、妙な事にスポットをあて、独特の思考で話が展開していく。

例えば表題作の「縛られた男」は、どうしてだかわからないが、気がついたら縛られていて、そのままほどいてくれる人もなく、サーカスに入団し、有名になるという話。最後にそのロープをほどいた結果は・・・?

「私が住んでいる場所」では、引っ越したわけではないのに、なぜか昨日から一階下に住んでいるという男の話。

「鏡物語」では、墓に埋葬される場面から、生まれる前まで、人生を逆戻りしていく。

などなどシリアスなものもあれば、笑ってしまいそうなのもある。日本の作家で例えたら、星新一のショート・ショートといった趣で、最後にえっ!と思わせる。

ただ全ての作品にひとつ共通していることがあるとすれば、「死」である。どの作品も、生死について考えなければ、読めないものだ。わざわざ考えなくとも、嫌でも死を感じる。


2002年03月09日(土)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 新版・指輪物語(4)旅の仲間(下2)/J.R.R.トールキン

この巻では、指輪所持者フロドと旅の仲間がモリアの坑道に赴き、そこでガンダルフと分かれねばならなくなる。失意のうちにエルフの森ロスロリエンの殿ケレボルンとその奥方ガラドリエルに迎えられる。
その後大河アンドゥインを下ってモルドールへ向かう仲間たちだが、ボロミアの欲望が表に出てしまい、途中で分裂してしまう。

指輪所持者は結局誰にも頼れず、自らが事を成し遂げなければならないのだ。しかしフロドに仕えるサム・ギャムジーの忠誠心は、けして揺るがなかった。
この後、フロドとサムの道のりと、他の仲間たちの道のりに話が分かれていく。

とりあえず1部はここで終わるが、この終わり方は物足りないだろうか?映画もここで終わっている。後先考えると、やはりここで終わるしかないし、フロドの決心とサムの決心の強さゆえに、事が成し遂げられるのだという伏線にもなる。

この物語が、けっして戦闘や冒険の面白さを書いたものではなく、人間の内面(ここではホビットだが)を描いた、大きな意味のあるものなのだということが、ここで強調されているのだと思う。


2002年03月08日(金)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 穴(BOOK PLUS)/ガイ・バート

「穴に入ったら二度と元には戻れない。『蝿の王』『蜂工場』を超える恐るべき傑作」、「スピード感と素晴らしいエンディングを持つ力強い作品」、「印象的で、恐るべきデビュー作」、「とてつもなく邪悪な雰囲気をただよわせたサスペンス」、「衝撃的なラストに、読者はただ驚くしかないだろう」

本のオビにはこうあった。
しかし『蝿の王』は名前は知っているものの未読、『蜂工場』に至っては初耳というくらいだから、比較はできない。それを超えるのかどうかはともかくとしても、「傑作」とは言えないだろう。

授業の自然観察旅行をさぼって、仲間たちが学校の忘れさられた地下室に集まる。「人生の真実を知る実験」というその計画を言い出した当の本人が来ないままに、集団生活が始まる。キャンプ気分で楽しんでいたのもつかの間、何かおかしい、なぜ彼は来ないのか、このままでは死んでしまう・・・。

遊びで始めたはずが、実は恐ろしい殺人事件になろうとしていたという話なのだが、すでに映画になっている作品だが、映像なら面白いかもしれないが、文章では若者たちの会話がくだらなくて退屈。最近こういった映像を意識して作られたような小説が多いのには閉口させられる。

この計画を思いついたマーティンの動機もその後も不明なので、唐突に話が始まり、中途半端に終わる気がする。この経験がのちに彼らにどんな影響を与えたかもわからず、最後にはこれを書いた女性(仲間の一人)は精神病であるとなっているなど、わけがわからない。結局精神病患者の作り話だった(これが衝撃のラスト?)ということなのか?

会話が大部分なので、あっという間に読めたけれど、変な小説だと思うだけで、特に何も残らない。いろいろ手を尽くして書いてはあるものの、どれも中途半端で未熟に思われる。どこが傑作なのかよく分からない。


2002年03月06日(水)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 ニルスのふしぎな旅(1)/セルマ=ラーゲルレーヴ

1)児童書だから1日ですぐに読めるだろうと思っていたら、意外にもはかどらない。はかどらないと言っても、悪い意味ではない。まず馴染みのない名前を読むのに時間がかかるのと、次から次へと事件が起きて、しかも日記のように日付がついているので、あれから何日たったっけ?などと気になって、また前に戻ったりする。ニルスの1日はとっても長い。とても同じ24時間とは思えない!はかどらないといいつつも、十分楽しんでいる。

悪い意味の「はかどらない」がひとつあるとすれば、翻訳だ。
日本語として通じていない部分がかなあるので(親子2代にわたって訳しているのに)、そこで考え込んでしまうのだ。

小人になってしまったニルス(動物たちからは「親指さん」か「ちびっこ」と呼ばれている)だが、ドブネズミの集団をやっつける方法は、ハメルンの笛吹きそのもの。この本が書かれたのは1800年代だが、そうするとハメルンのほうはもっと以前ということになる。


2)児童書で文字も大きいのに、だいぶ時間がかかった。
でも面白かった。思いのほか風景描写が多く、北欧の風景などはほとんど未知の世界なので、それを想像しているだけで時間がかかる。

それにしてもニルス、普通の大きさの人間だったときはとても悪い子だったのに、ちびっ子になってからは、急にいい子になり、一緒に旅をしているガチョウのモルテンや旅の仲間のガンのアッカなどを助けようと奮闘する。みんなも「親指さんなら助けてくれる」と全幅の信頼をするまでになる。
それはどうしてだろう?普通の大きさだった時にはわからなかった、弱いものの立場がわかったからだろうか?たまに家や人間の社会が恋しくなるけれど、みんなと旅をするのが楽しいから、元に戻りたいなどとはこれっぽっちも思ってはいない。思ったとしてもすぐに忘れて、あれやこれやの手を尽くして、みんなの危機を救ってやるのだ。

これからまだまだ冒険しながらスウェーデンを縦断していくのだが、ニルスの冒険だけでなく、その中にちりばめられた北欧の神話や伝説も興味深い。


2002年03月04日(月)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.



 Little Christmas Elf/Eileen Curran

クリスマスの絵本。
クリスマスエルフの話なので、参考に読んでみた。特に感想なし。


2002年03月01日(金)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.
初日 最新 目次 MAIL HOME


↑参考になったら押してください
My追加

Amazon.co.jp アソシエイト