椰子の実日記【JOYWOW】
2003年10月31日(金)
QOLコンシェルジェ
福井に行くので、宿を探していた。年末にも旅行の 予定があるから宿探しが必要だ。初めての土地に 行く時、ホテルの「質」はなかなかわからない。 客室数とかアメニティとか施設などの、「見える もの」はデータとしていくらでも手に入るが、 QOLはわからないのが普通だ。せいぜいウェブサイト で建物や部屋の写真を見て、想像をふくらませる のが関の山。そこで、「こんなサービスがあったら なあ」と発想したのが、「QOLコンシェルジェサービス」 だ。ぼくのこれまでの宿泊履歴を記憶していて、 好みを知悉した専用のコンシェルジェがつく。 「阪本さんなら、Aホテル、Bホテルがお勧めです」と、 その土地にあるホテル・旅館の中からいくつか推薦 してくれるのである。クレジットカードのプラチナ 会員などは、高額なホテルへの割引サービスを未だ に売りにしているが、そういう物量的アプローチ ではなく、価値的アプローチをしてほしい。 だれもやらないのなら、ぼくが事業化しようか。
2003年10月30日(木)
俳句で歩く江戸東京
中央公論新社編集部S氏から 『俳句で歩く江戸東京』を寄贈戴いた。 現在、マイブームは「江戸」であり 「東京」なので、非常にぴったり。嬉しい。 それにしても、S氏の精力的な仕事ぶり、 企画力・遂行力には舌を巻く。
『漱石2時間ウォーキング』 『東京2時間ウォーキング』 『横浜2時間ウォーキング』 『パリ2時間ウォーキング』 『絵画の着想』 『猿之助 夢見る姿』
知遇を得てからまだ一年経っていないのに これだけの本を企画・遂行・上梓された。 一体いくつ引き出しがあるのだろう。 私が仰ぎ見るリーダーの一人である。 実はS氏とはまだ実際にお目にかかったこと がない。学問所オープニングパーティでの 初対面を、心待ちにしている。
2003年10月29日(水)
どやっ!!
森家、もとい、六本木ヒルズにおじゃまして、 違った、行って来た。ついつい「森さんの 豪邸におじゃまして参りました」という気分に させる場所だ。 言いたいことは山ほどあるが、それはSurfin'他 別の機会に譲るとして、一つだけ。 それは、ぼくがずっと主張している、「これから の商品は五感商品で、人間サイズ((c)横内謙介) であるべき」が裏づけされたということである。 六本木ヒルズが全身を使って叫んでいるのは 「どやっ!!」である。 すごいやろ。びっくりしろ。金があればここまでできる。
ところが、20世紀の田舎モノならいざ知らず相手は 21世紀の日本人生活者だ。「どやっ!」の身体の裏に 札束が透けて見える人工物など、だれも感動しない。
昨年の丸ビル、汐留シオサイトと共に、また、 花のお江戸の真ん中に、鉄とコンクリートのオブジェが 一つ、増えただけ。色即是空。空即是色。
2003年10月28日(火)
京都人気
京都のタクシー運転手さんと話していたら、今年は 「ごっつ人、多いですわ」とのこと。「人」という のは観光客のことだ。たしかに市内の道路は混んで いて、ほんのちょっと移動するだけでもかなり時間 かかった。
「えーっと、エーズとか(阪本註:サーズである)、 テリーとか(テロだ)、いろいろありまっしゃろ、 外国は。せやから、京都がええんとちゃいまっか」
昨日は沖縄ナンバーの車を、おとといは函館ナンバー を見たという。若い男女四人組から、ラブホテルは どこか聞かれたので、いろいろ吟味した結果を 教授してやったと威張った。
「すると運転手さん、いまだにラブホテル、現役 なんですね」 「いやいやいや(テレ笑い)」(なんだ現役じゃん)
白髪の、楽しい六十代だった。
2003年10月27日(月)
ひのきの力
舞子に行った。垂水の一つ先、明石の手前である。 天気が良く、橋が駅すぐ前にあり、淡路島が 手の届くところにある。そういえば二日前は この先の先にある徳島にいたのだったなあ。 ぐるり回って、瀬戸内を挟み、戻って来たよ。
学問所の机を探していて、ここに本社を構える くにけん http://www.kuni-ken.co.jp/index.html
にひのきの机があるので、ひとつ、実物を体感 させていただこう。五感で感じよう。
舞子の町は海を見下ろす丘、そして橋が見える ところ、サンフランシスコに似ているなあ。 こんないい場所にいたら、毎日ニコニコだろうね。 そして、ひのきの机のいい感触。 海を見、山を見ながら、ひのきに毎日触れていたら、 それはそれは幸せだろう。 木のもつ力。海のもつ力。山のもつ力。小春日和 の中、気持ちよく過ごしたひと時だった。
2003年10月26日(日)
商人たちの夢
ずっと気になっていた「大阪企業家ミュージアム」 を観覧することができた。大阪産業創造館B1F。 産創館は2001年1月こけら落としセミナー以来、 1周年記念イベントではネットベンチャーズライブ、 ほか恒例年二回の講座を通じてしょっちゅう 足を運んでいるのだが、これまで機会がなかった。 「ミュージアム」は、丁寧かつ簡潔、いい内容で、 とても勉強になる。起業家に限らず、すべてのビジネス パースンが一度はじっくり見て、先輩たちの夢を フォローしてみることをお勧めします。 天井の低い話が多い昨今、気宇壮大なビジョンを 描き、実現に走った商人(あきんど)たち。 ここには商人のマイナスイオンがたっぷり漂って いる。たっぷりと、吸い込もう。
2003年10月25日(土)
サービスは顧客がリスクを負う
先週鼻をぶつけた空港内ヘアサロンに立ち寄る。 リベンジというわけではないのだが、何か気に なったので。いつも行くところではシェービング サービスがない。だから飛行機の待ち時間で一つ、 剃ってもらおう。
サービスは顧客がリスクを負う。お金を払う時に サービス品質を検討できないから。 サービスを購買した後、気に入らないからと返金 してもらうわけにはいかないから。
見事に失敗した。アマチュアもいいところで、 これは現在の御時世ではあるのだが、何でこん なに恥ずかしげもなく、アマチュアがサービス しているのだろう。
立地の良さと商売品質は反比例する、という原則、 ここでも適合した。
2003年10月24日(金)
翼に押されて痛いいたい
JAS機では、「羽田-徳島」往復とも、稲光を見たよ。 人工の光。着陸するため、高度を下げて行く。 雲の中に入る。翼と雲が擦れ合って、稲光が発生 する。今度初めて見たから、きっと、飛行機の 大きさとかによるのだろうね。 離陸後、高度を上げていくときには光らないから、 下がるときに、翼に雲がぎゅーーーーーーと 押されて、「痛いやんかっ」と怒って光るのかな などと考えておりました。 さて、あと数時間したら、またもや機上の人に なります。
2003年10月23日(木)
脱力土産
空港の売店で脱力系のB級土産を物色するのが 楽しみだ。 よくぞこんなものを・・・ という土産を発見すると、その商品の企画会議 でみんなが「あ。それ、ええやんええやん」と 話し合っている姿を想像し、楽しい。 昨日も徳島空港で何やかやと楽しんでいたら、 なんでこんなものが空港に? という本を見つ けた。『押して健康 手のツボ』『押して健康 足のツボ』。和綴じ本。著者は東洋医学に詳しい 坊さん(手と足、それぞれ別人)。 特におかしいのは『手のツボ』で、著者の人柄 が表れている。ものもらい、動悸・息切れ、等 症状ごとに処方箋が書いてある中に、「主婦 湿疹」という症状がある。寡聞にして知らない のだが、一体何なのかと考えながら読んでいたら、 「山間の僻地に移り住んで原始の生活をしても よろしい。必ず治ります」だと。これを書いて いる時、「主婦」と何かあったのだろうか。
2003年10月22日(水)
ピーの人
なんだかここのところ「air」に住んでいるような 気分であるが、そんな中、一つの発見をした。 手荷物検査って、あるでしょう、空港で。 前に並ぶ人が「ピー」と鳴るかどうか、自分で 目算をつけてみる。慣れてくると、「あ。この 人、『ピーの人』だな」と、わかるものだ。 そう、「ピー」と鳴る人は、雰囲気でわかる。
・飾り物をつけている ・携帯を出すような繊細さがなさそう ・小銭じゃらじゃらもっていそう ・ドレッドヘア(ホームレスヘア)
は、だいたい、「ピーの人」である。 そういえば・・・と知人の誰彼を浮かべる。 O君は間違いなくピーの人、N君はピーじゃない、 Y君はピーだなあ・・・。
あなたも、いかが?
・・・とネタにしようと考えながら通ったら ぼくがピーやられた。徳島空港って、厳しいのね。
2003年10月21日(火)
嗚呼国語乱誤用
こんにちわ こんばんわ
いずれも間違いである。にも拘わらず、この用法も 怖いことに一般化しつつある。
役不足
「私など、まだまだ役不足ですから・・・」 間違いである。「私」が「役」に足りないと 謙遜しているが、正しい意味は、「役」が 「私」に不足しているのである。
ありがとうございました。
これも間違いである。例えば英語で無理やり過去形に するとthankedで、意味が通じない。英語では常に thanksあるいはthank youと、現在形である。 謝意を過去形にするというのはねじれている。
正しくは「ありがとうございます」である。常に。
2003年10月20日(月)
夜の動物園
明日から徳島なので、予習をしている。徳島市のサイト を見ていると、「夜の動物園」というのが目に入った。 開園 午後6時 閉園 午後9時 で、昼間とはまた違う 動物たちの生態を観察する試みだという。 面白い。空港に着くのが夜だし、ちょうどいいや、 参加しようと思ったがあいにく10月26日一日だけの イベントだとわかった。うーーー。残念至極である。 夜の動物園といえば、たしかシンガポールZOOも やっていたのではないか、とネットでぐるり調べた ら、あったあった。ナイトサファリだ。 http://www.nightsafari.com.sg/visitor/gen-info.html
Sun - Thur / Public Holiday : 7:30pm - 11:00pm. Last Admission is at 10:00pm. Fri & Sat / Eve of Public Holiday : 7:30pm - Midnight. Last Admission is at 11:00pm.
こちらは年中やっていて、しかも午後11時、午前零時まで だ。こういう思い切ったことは、日本の地方自治体には できない。否。できないのではなく、やる気がないのである。 否。やる気があっても、社会全体のインフラが深夜対応に なっていないから、できない。シンガポールの地下鉄SMRT はたしか24時間運行していなかったか。ただ、ZOOに行くに はMRTではなくバスかタクシーだろうけど、いずれにしても 都市インフラが24時間だからできるのだろうなあ。 うー。久しぶりにシンガポールの英国英語を読んだ。
2003年10月19日(日)
果報は寝て待て
昨日録画した『新・三国志3』を流しながらパソコンに むかい、同時に岡本綺堂『半七捕物帳』を読むという 荒業をやっていた。 ページを繰ると『勘平の死』(第三話)と、タイトルに ある。ト、画面で「われこそは関平なり」と段治郎が 見得を切った。漢字こそ違うが、音は同じ「かんぺい」 であり、シンクロである。さて、こういうシンクロ、 これまでも何度もあったが、いつも何か「いいこと」の 予兆だった。 楽しみである。 ちなみに、このシンクロ、別名セレンディピティとも いい、日本語に訳すと、「偶然のいたずら」、 転じて、果報は寝て待て。
2003年10月18日(土)
天然入り始めたのかもしれぬ
フライトまで時間があった。どうしようかと歩いていたら ヘアサロンに気づいた。見るとシェービングだけでもやって いる。入ろうとしたら鼻をしたたかにぶつけた。何と ガラスの壁にぶつかったのだった。中にいるスタッフ たち3人口をあんぐり。 バツが悪いので、入口から入りなおし、焦っている 人間特有の「相手より先に口を開く」をやって、 「すみません、シェービングやってもらえますか」 すると、「申し訳ないですが、受付は7時までなんです」 その間、後ろに控えるほかのスタッフたち、依然と して呆けたように口あんぐりだった。 そんなに不思議なことだったのかなあ。
機内サービスで「テーブルをお出しいたしましょうか」 と客室乗務員(『スッチー』が用語規制になったのは いつだ)に言われたので、いやいやご心配には及ばぬ、 ほれこの通り自分で、と右ひじのところをかっぽり 開けたら要するにそれは座席を壊したのだった。 テーブルが潜んでいるのは左ひじ。
おかしな一日だった。
2003年10月17日(金)
『新・三国志3』放映だよ
学問所開設に伴う色々な要件が一気に。 仕事やカウンセリング、企画ものもおかげさまで 次々と。 さらに原稿締め切りがどっさり。 翻訳は今月一杯が納期。 セミナーツアーで来週は徳島、京都、大阪と、 殆ど家にいない。途中、所用で舞子にも立ち寄る。 困ったことだ、昨日録画した永ちゃんのテレビ を観るひまがないではないか。
と、グッドニュース!
「学問所」発想の源になったスーパー歌舞伎『新・三国志3』 がテレビ放映されることを知った。
10/18土曜日 NHK BS2 13:30-17:30
皆さんにも、お勧めです。
2003年10月16日(木)
お先に失礼しまーす
文句ばかり言っているがこれもぼくの芸なので、ご辛抱 願います。深夜、腹が減ったので一杯やりながら遅めの 晩飯を、と、浅草を歩いていたと思いねぇ。雨。浅草 の道は舗装屋を値切ったのかどうか知らねえが、ところ どころ水溜りがぴしゃぴしゃ。
閉店時間が早いっての。
10時と言ゃあ、宵の口だ。大人の酒を広島で覚えたので、 10時に浮き足立ち、「ラストオーダー10時半なんですけど」 と客あしらいの素人即ちフリーターから言われたらムカつく。 ようやく見つけた魚屋は12時までOKという。ラストオーダー 11時半。そうこなくちゃ。 ところが、座ってしばらくしたら 「お先に失礼しまーす」 またしばらくしたら 「お先に失礼しまーす」 店員がフロアにいる店主に挨拶して帰るのだ。 酒がまずくならぁ。店員にどんな教育してんだい。 ト、おもての電気を落とした。窓際に座るわしらの席も 暗くなった。 ここも、店の性根が腐ってるんだ。 浅草という、観光ゾーンに甘えて、ぬるぬるの、 ぼんやりの、太平楽の、モモンガーの、宇宙ロケットだい。
2003年10月15日(水)
グラスが濡れている
浅草。昼飯を食おうとホテルで貰った近隣マップを見たら 天丼のイラストがあった。天丼は大好物なので、真っ直ぐ 向かった。一歩店内に入って、いやな予感がした。 だれも迎えてくれない。やっとでてきたオババが二階へ 誘導する。一階に空席があるのに二階へ誘うのは店の 都合しか考えていない店が往々にしてやる手であり、 要するに店に入ったときの満席感が客を「あ。満席なら ほかに行くわ」とさせるのがいやなのである。 ここで既にこの店の「性根」が悪いことがわかったのだ が、腹も減っていることだし、雨だ、しかも浅草は火曜 が休みで、他、どこが開いているかわからん。 テーブルについて出たお茶の椀で、決定的となった。 濡れているのである。 先日は銀座で店張っている天ぷら屋のビールグラスが 濡れていた。案の定、店の性根が悪く、「これで よく銀座で天ぷらやってますって、言えるよなあ」だった。 テレビがいけないのである。テレビがおだてるから、 この天丼屋、例によってロケットに乗って、あらぬ 宇宙の真空空間を飛ぶようになってしまっている。 教訓。グラスが濡れている店は、即座に出ることだ。 生涯でただ一度、天丼を全部食べられずに残した。 老舗にうまいものなし。
2003年10月14日(火)
毎日がTDL
いよいよ学問所始動、という時に、トム・ピーターズ師匠 の新作がどさり、と届く。これは師匠からのエール以外、 ない。これまで師匠の本を読むたび新しいことに挑戦 してきた。『エクセレントカンパニー』ではへーベルの 新キャンペーンを企画したし(旭化成時代)、『経営 創造』ではSurfin'を発刊した。その影響で数年後 独立し、アメリカで会社を作った。 新作『Re-imagine!』は、間違いなく学問所へのはなむけ だ。ただ、熱くなりすぎてもいけない。ワーカホリックは 逆に創造性を蝕む。 よって今日は猿之助歌舞伎を堪能しに行く。 毎日がディズニーランドみたいに、楽しい。
2003年10月13日(月)
肩こり治った
歯を抜いたおかげで肩こりがなくなった。 風が吹けば桶屋、の段。 右肩、右腕、右腰と、右方面がタテにずっと痛かった。 呼吸法と柔軟体操で都度メンテナンスしていた。 電車に乗っていても荷物棚に腕をかけ、身体を伸ばして いた(ヘンなおやじである)。 ぐい、ぐい、と筋肉を動かすたび、右の奥歯(親知らず) の根っこの神経にも反応があった。これは 1.肩の筋肉 2.親知らず の順で痛みがバトンされる、要するに「痛みの震源」は 肩だと思っていたのだが、実は逆で、親知らずが悪の根源 だったのである。 抜いたその日から、肩こりが消えた。
肩こりで悩む皆さん、歯が原因ということもありますよ。
2003年10月12日(日)
自動語
昨日の日記に「ワープロ、パソコン、携帯メール全盛の ご時世」と書いてしまい、あとで気づいた。 手垢がついている。こういう「自動語」を書いてはいけ ない。そもそもワープロなんてもう作っている会社はない。 「自動語」他にどんなものがあるだろう。 「長引く不況で」「多様化した価値観」「デフレスパイラ ル」「若者好みの」と思って調べてみたら、あるわあるわ 新聞にはこれでもか、という自動語ばかり。最近熱心に読 まなくなったのでわからないが、ひところ日経は「**を にじませる」「と胸を張る」が好きだった。 「悔しさをにじませた」「トップシェアは確実と胸を張る」 という具合である。 だから新聞だけ読んでいるとボキャ貧になるのだよ。 あ。「ボキャ貧」も自動語かも。
2003年10月11日(土)
いつまでも見ていたい文字
今日も歯科医通い。治療に通う時間が取りにくい当方の 事情を汲んでくれて、先生は今日ですべてをフィニッシュ してくれた。時間は多少かかったが、そのほうがありがたい。 歯科衛生技師が今後のためのメモをくれたが、そのメモの字 がとても気持ちよかった。字は人を表わす、というが、まさに。 いつまでも見ていたい文字だった。そういえば思い出した のだが、旭化成時代、営業サポートをしてくれていた Nさんの文字が同じく気持ちよく、同僚と、「あの字で 『折り返し電話くださいとの由です』とメモが書かれて いたら、思わず折り返し電話しちゃうよなあ」と話した ものだ。 ワープロ、パソコン、携帯メール全盛のご時世だからこそ、 気持ちのよい手書き文字の魅力は大きい。
2003年10月10日(金)
ついさっき抜いた
商売(しょうべえ)に関係ねえ歯なんか、とっとと 抜いちまえ! てなもんで、親知らずを抜いた。 ついさっき、抜いた。 昨日ここで話題にした歯科医に抜いてもらった。 腕は確かで、段取りよく、的確だった。先生、 ありがとう。あなたの腕は素晴らしい。
抜いた歯を、持って帰りますかと聞かれたが、 土産に置いていった。
今はまだ麻酔が効いているがぼんやりと痛い。 痛み止めを飲んでいるのでまだましだ。 痛みはこれから本格的になるのだろう。
それでも、仕事の手は休めるわけにはいかない。 これから、翻訳にかかる。 今度の翻訳書の第3章冒頭の部分は、そういうわけ で、親知らずを抜いたその日の翻訳文です。 出版されたら、そう思って読んでみてください。
2003年10月09日(木)
うーむ。
医師に必要不可欠な能力はコミュニケーション・スキル である。ニューヨークのぼくの主治歯科医は抜群の説明 能力だった。もちろん、腕は神の手。 日本に戻ってきてから中途半端な医師にしか、出会えて いないのが哀しい。昨日やむなく行った歯科医は、説明 能力が貧しく、だらだらだらだらと話すので、その都度 ぼくが整理して箇条書き風にしてあげなければならな かった。そうしないと、医師自身も、自分の中で優先 順位がつけられないのである。まだ若く、父親の開業 した医院を継いだのだが、古参の看護師(これ、いつから 看護婦という言葉を言い換えるようになったのだろう。 と、英和辞典でnurseの項をひくと2002年3月1日に施行 された由。ここにもまた、『表面だけの』『無意味な』 言い換えがなされている)や事務をやっている母親たち に囲まれて育ち、医院内が女天下で動いている。ボク ちゃん、なのである。要するに、そういう、「擬似家庭」 という宇宙ロケット内でしか育ったことがなく、外 とのコミュニケーションで苦労したことがないから こういう頼りない医師ができる。 ・・・は、いいが、いずれにしても、現在のところ、彼に しか頼れないのだ。信じよう。
2003年10月08日(水)
飾りじゃないのよ涙は
こんど辞める、よく泣く監督は同い年である。 昨日は昨日で公衆の面前でまた泣いたらしい。
なぜ泣けるのか。
わからない。泣いたほうが楽なのだ。 泣かずにふんばるほうがキツいし、泣いて済む話なら だれだって泣く。 親が泣いても、あそこまでは泣かなかった。泣いても 物事は前に進まないからである。歩かなければならない からである。だれも始末してくれないからである。 生きていかなければならないからである。
泣ける人は、幸せである。
2003年10月07日(火)
お水の花道
学問所の物件探しで不動産会社営業マンと接触する。 これが面白い。最初に会った人は子供の頃学習塾で 黒板見上げている姿が浮かんだ。できる営業マンが 持っている「寄らば斬る」迫力が全くなく、物件も カビ臭くて、話にならなかった。
次に会った人(女性)はこどもを叱りつけている姿 が浮かんだ。彼女の紹介物件も、気に入らず。
最後の彼は、水割りを作っている姿が浮かんだ。 これは、と思ったら抜群のセンスだった。 聞いてみるとやはり前職は「お水」だったようだ。 ぼんくら営業マンはしばらく水商売に奉公に行かせる のが良い、と、昔から主張しているが、その仮説を 実証するような、素晴らしい人物だった。 それ以降、もうほかの会社に打診するのはやめて、 彼に賭けることにした。 さて、どんな物件が出てくるか。楽しみである。
2003年10月06日(月)
よりにもよって
新幹線ではなく飛行機にする理由の一つは、座席空間自由度 が停車駅ごとに変わることにある。言い換えると、隣が空い ていても、次の駅で乗ってくるかもしれないので、「自分の 自由空間」が都度、変わる可能性があるのでゆっくりできな いのだ。通路側であれば、寝てられない。
スケジュールが読めなかったので大阪からの帰り、やむを得 ず新幹線に乗った。隣が空いていた。京都、乗らず。次の 名古屋で誰も乗らなければ新横浜から乗ってくることはない から、下車駅品川までは空いているな、と思っていたらさに あらず。名古屋から隣に来た。来たどころか、おすもうさん である。「すみませんねえ」と微苦笑しながら隣にどっか、 と座ったら、一気に空気が濃密になった。鬢付け油のにおい が、その場を健康ランド温泉の脱衣場に変えた。
やがておすもうさんは眠り始めた。寝ていて動く人って、 いるじゃないですか。腕をぴくっ、と。彼がそのタイプ だった。ぐぅーーー、ぴくっ。ぐぅーーー、ぴくっ。 ぐぅーーー、ぴくっ。ぐぅーーー、ぴくっ。ぐぅーーー、 ぴくっ。その都度、ぼくの側の腕が上がる。間違ってこっち に飛んでこないかとびくびくものだった。鬢付け油の噎せ 返るにおいとぐぅーーー、ぴくっ攻撃。やがてぼくもおすもう さんと一緒にぐぅーーー。
2003年10月05日(日)
blind
昨日のつづき。
印象的だったのは、スティービーの仲間が「blind」という言葉を はっきり言っていたことだ。日本のような用語規制をしていない。 the man who can't see wellのような婉曲な言い方をしていない。 デリケートな言葉だからこそ、使う時にはそれなりの勇気が必要 になる。決意が必要になる。必然が必要になる。相手(スティービー) への思いがたっぷりこめられていなければならなくなる。
表面的な用語の言い換えより、こちらのほうが、とても大切だと思う。
2003年10月04日(土)
Isn't she lovely
スティービー・ワンダー『キィ・オブ・ライフ』 メイキングDVDに、『可愛いアイシャ』(Isn't she lovely)で歌われている娘Aishaが成長した 現在の姿で出てくる。 気持ちよくいい環境で育ったことを思わせる、 透き通った空気を持ったお嬢さんになっていた。 話しぶりも素敵だ。きれいな英語。顔つきがいい。 『アイシャ』の歌詞に、「I can't believe what God has done」というのがあり、こちらも 感慨深い。おそらくスティービーは生まれてから 何度も「なんでオレだけ・・・。神様は何を 考えているんだ」と思ったに違いない。 しかし、この曲では、愛娘の誕生に手放しで 喜ぶ父親の心境を表現するのにこの言葉を 使っている。人生正負の法則、感慨深いのである。
2003年10月03日(金)
TO DOリスト
なんだか忙しすぎて、自分のやるべきことに優先順位が つけられないまま、ただ強迫観念的に「忙しい」思いが 胃の中に石ころのようにたまってしまう。 改善のため、ものすごくシンプルなのだが、昔に返り 「TO DOリスト」を作ってみた。旭化成から独立する時 後輩からもらった販促備品のメモなので下欄に「ロッキン ウォール」とか「ノイザラス」といった商品名が並んで いる、ごく普通のものだ。そこに、
1.**準備 2.**スライド作成 3.お礼 (1)**氏 (2)**氏 ・・・ と、書く。パソコン画面上で使えるメモや付箋サービス も利用したことがあるが、やはり手書きが一番だ。 コツは、「TO DOは細いボールペンで、やった後の消しこみ は太い筆ペンで」だ。太い筆で黒々と線を引くと 「済ませた!」と、実感が高まる。やはりここでも、 デジタルな時代だからこそアナログ、が有効なのである。
そして、一日一枚を原則にする。やり残しは当然出るが、 翌日、新しいメモに、再度優先順位を考えながら書くのだ。
2003年10月02日(木)
トオルちゃん
HMV渋谷でスティービー・ワンダーの名作アルバム 『Songs In the Key Of Life』メイキングDVDを 探したついで、JPOPの棚を見ていたら山咲トオルが CDを出していることに気づいた。ジャケットはスケ スケ衣裳でにっこり妖艶に微笑んでいる。絶好調の 頃の田原トシちゃんに似ているなあ、としげしげ見て いたら人の視線を感じ、誤解を受けそうだったので 慌てて元の棚に戻そうとしたが、何しろトオルちゃん のスペースはCD二枚だけ、しかもそのうちの一枚は ぼくが持っているので空いているのは1センチにも 満たないため、うまく入れられない。気がつくと 隣の山崎ハコのコーナーに押し込もうとしていた。 冷や汗の午後だった。
2003年10月01日(水)
宇宙ロケット
商店街の問題は、自分が時代とズレてしまい、そう、 宇宙ロケットになって遥か宇宙空間に飛んでいること に気づいていないことである。 そして、この、「自分の姿は見えない」問題、 商店街だけではない。中にいると見えにくいものだ。 先日も、さる食品メーカー担当者の話を聞いていて、 「顧客の立場」から考えるとどう考えても納得いか ない点があったので指摘したら呆然としていた。 こちらの言うことが理解できないのだ。 彼もまた、宇宙ロケットに乗ってどこか遠くへ 飛んで行ってしまっているのだろうなあ。
宇宙ロケットから「正気」に戻る方法は、外部モニター の声を聞くことである。 アンケートは無意味だ。アンケートとして項目を 作ったその段階で、既に「聞きたいこと」が決まって しまうから。聞きたいことを、宇宙ロケットの乗員 が決めてはいけない。このあたり、市場調査のワナ として、話し出せばきりがないのだが。
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