株式会社JOYWOW
椰子の実日記【JOYWOW】
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2003年08月31日(日)


読書体験

坪内祐三『新書百冊』(新潮新書)を読む。
著者はぼくと同い年、新書との出会いから始まる。
ぼくが新書に出会ったのは中学生の時、国語担任の先生
から戴いた『人間にとって科学とは何か』と、もう一冊、
湯川秀樹先生とどなたか(お名前を失念!)の対談集だった。
担任の先生は、ぼくの作文を高く評価してくれた。
おそらく教育上の方針から、わざと実際の実力以上に持ち上げ
てくれていたのだと思う。子供はそういうところは、実は敏感に
感じ取るものである。それでも、「期待にこたえなければ」と
がんばったのだから、先生はさすがお見通しだったのだ。

『科学』のほうは、たしか、だれか外国人(ロシア人だった
か?)が著者だった。中学生には難しかったが、しかし、
「知」の世界にはこんな光り輝くものが待っているのだよ、
早くこちらにおいで、と言ってくれているような、非常に
刺激的な体験だった。

新書をがんがん買い出したのは大学生になってからだから
77年以降になる。坪内氏と重なる。彼が読んだ本もかなり
ぼくと重なっているので、読み方が似ているところでは
嬉しくなるし、違う読み方は、「ほう、こんな捉え方も
あるのか」と面白い。渡辺昇一氏『知的生活の方法』で
坪内氏が「ざらつき」を感じた箇所はぼくも同じくざら
ついたので、非常に親近感をもつことができた。

いつか自分も、このように、読書ノートを書くことが
できたら、きっと楽しい仕事になるだろうなあ。
でも、難しいかもしれない。なぜなら、ぼくは本を
どんどん捨てるので、手元に残っていないからだ(笑)。

 

2003年08月30日(土)
Bスクェア

阪本塾卒業生の倶楽部活動『軽音楽部』バンド「Bスクェア」
初顔合わせ。ブルースハープ、キィボード、ベース、ギター、
Didjeridu(オーストラリアのアボリジニの笛)、ボンゴ、
パンディロ、タンバリン、ギター、バイオリン、がこの
バンドの手持ち楽器だ。はてさてどんな音になるのやら、
とりあえず、今日は第一回目の音出し。

学問所開設お祝いパーティで披露しようということ
になっているので、リハーサル期間は二ヶ月しかない。
かつ、みんな忙しい。リハーサルは土日のどちらかを
使うほかなく、各自手帳とにらめっこで、リハ日程を
8日、確保した。それにしても8日「しか」リハできないの
である。人生劇場の場合、全員が自由業なので、やろうと
思えば平日の昼間でも可能だが、Bスクェアではぼくを
除く全員まっとうな会社勤めの身、そうはいかない。
とりあえず今日は課題曲と各自のだいたいのパートを決め
るにとどまった。次回実際に音を寄せてみると、いろいろ新しい
課題が出てくるだろう。スタジオ受付のスタッフが「あれ?
今日は違う(バンド)んですね」と驚く。たしかに「浮気」
の気分である(笑)。

明日は学問所開設お祝いパーティのプロジェクトメンバー
と打ち合わせ。いよいよ学問所が前進を始めた。
気持ちが引き締まる。

 

2003年08月29日(金)
認識の面白さ

友人がアレルギー反応検査をしたとき、「あなた、
アルコールに弱い体質ですね」と言われた。
それ以来、酒が一滴も飲めなくなった。それまで
は、強くないまでも、たしなむ程度は飲んでいたのに。

ストレスを感じたとき、日本人はたいてい胃が痛くなる。
米国人は頭痛だ。
フランス人は背中が痛くなる。
オランダ人は腕が痛くなる。

聞いた話だが、「肩こり」を知らない外国人に「肩こり」
という言葉を教えると、肩こりに悩むようになったという。

人間の認識能力とは、かくも面白い。

 

2003年08月28日(木)
語彙を増やす方法

は、自分に「縛り」をつけて文章を書いてみると良い。
禁句なり禁文字をしてみる。「バカ」とか「あ」を使
わないようにする、ということである。数日前のこの
日記では「伏字」があるが、あの場合は、自主規制で
一番楽な方法。しかし、楽をしてはいけない。
パソコンで文章を書いていると思うので、検索機能を
使いチェックする。かつて作家筒井氏が文字が一つずつ
世界から消えていく小説を連載、いきなりある文字が
消滅していて、当時うなることしきり。
ということで、この文章もある一文字を使わない「縛り」
でものしている。濁音も不可。何かおわかりかな?
見つけるには、「不自然な言い換え」を探すといいです。

 

2003年08月27日(水)
copy cat

モノマネ商品、がある。マーケティングではコピー・
キャット(copy cat)と呼ぶ。アート引越しセンター
とたった一字違いで、しかもアイウエオ順でいうと
「アート」より先に来る引越し会社がある。ぼくは
タウンページの裏広告で発見し、目を疑った。
こういう恥も外聞もない社名をつけるほうもつける
ほうだが、広告を載せるほうにも問題がある。
「ひとさまの真似っこで稼ぐたあ、ちっとは恥ずかしい
とは思わねえのかい、こちとらゼニカネには困っちゃ
いねえんだい、おととい来やがれ!」と追い返して
ほしかった。金さえもらえばなんでもあり、という
のも貧しい風潮である。

かくいうぼくも既にコピー・キャットの犠牲に
なっている。本では三冊。
『パーミション・マーケティング』では、別の名前
で表現した拝金コンサルタントが本にした。
『マーケティング・サーフィン』は「ビジネス絵本」
「薄い」「軽い」「おしゃれな装丁」という新機軸を
すべて真似された。書いたのはマーケティング専門家
というが、コピー・キャットについては知らないようだ。
この本はさらに、スターバックスのエステティクスを
そのまま表紙や装丁に拝借している。米国であれば
これはトレード・ドレス(明確に識別できるブランドの
アイデンティティ要素を指す法律用語)訴訟の対象になる。
パームツリーとスターバックス二社から訴訟を起こされ、
まず間違いなく敗訴する。
『インビジブル・マーケティング』も、某コンサルタント
が別の表現にして本を三冊ほど出している。

恥、という文化が日本にはあったはずだが、拝金の
前には、雲散霧消してしまうのだろうか。

 

2003年08月26日(火)
立ちっぱなし、しゃべりっぱなしの幸せ

昨日の大阪産業創造館セミナーはおかげさまで大盛況だった。
「ある仕掛け」をしたので、ステージへはオーディエンスが
全員着席してから飛び込んだのだが、客席は人、人、人の海
で、感激して思わず当初予定していなかった「まいど」コール
を三回も繰り返してしまった(すみません、セミナーに参加し
た人にしか、わからないです。ま、それも参加者特典、という
ことで(笑))。
3時間立ちっぱなし、しゃべりっぱなしで疲れないですか、
と聞かれたが全く疲れない。
実はぼくは開講2時間前の正午には会場入りしている。
事務局との約束が12時30分なので、それより30分も早い。
それから音合わせ(が、必要なのです。ぼくのセミナー
では)やキューの合図、スライド作動、などをみっちり
打ち合わせる。ちょっとしたライブと同じだけの手間ひま
をかけているのである。その間ずっと立ちっぱなしなので、
5時間立っていることになる。用意戴いた講師控え室でも呼吸と
ストレッチをしているので、立っている。日本実業出版社
の担当編集者O氏がエールを送りに顔を出してくださった時
だけ、ちょっと腰掛けたくらいだ。

背中にはびっしり汗をかいているが顔にはかかない、まさに
芸人向きの体質。つくづく、ステージが好きなのである。
ひとまず、サマー・セミナーツアーは一段落。
間髪いれず、9月のツアーが始まる。天候が不順だが、ステージ
で汗をかける。しあわせな毎日である。

 

2003年08月25日(月)
起業家いろはがるた2003年夏版

が完成し、今日大阪産業創造館で行うセミナーで参加者
全員に配布する。とはいえ、全部ではなく、1/3にあたる、
「た」の文字までだ。「た」と言われても、そもそも
「いろはにほへと」以下全部言える人は平成の御世では
少なくなっているかもしれない。

「い」 - いつもニコニコ現金商売
「ろ」 - 論より現場
「は」 - 早(速)い返答七難隠す
「に」 - ニコニコ笑顔は福を呼ぶ
「ほ」 - 褒めて育てよ

という具合に続く。最後まで全部が欲しい人は
アンケートに回答して事務局へメールすると
折り返しメールで全文がもらえる、という仕組みだ。

かるたの骨子にあたる部分は「起業家十訓」として
セミナーの中で披露する。基本的な考えは

・努力しよう
・勉強しよう
・考えよう
・働こう

といった、いつものぼくの姿勢だ。

だれか、イラストの上手い人と組んで、本当に
カード式のかるたを作ってしまおうと考えている。

 

2003年08月24日(日)
   の壁

不遜なことを書く。

『  の壁』はベストセラーというが、ベストセラーとは
   が読む本のことを言う。しかし、この本は   には
到底理解できないと思うのだ。何百万人が読んだか知らん
が、おそらく内容の半分も理解できていないはずである。
脳だけで、意識だけで、言葉だけで生きている、そう、
何日か前のここに紹介した、東京湾クルーズが「セレブ」
と考えるような   には、まず、身体の底のほうでは理解
できないと思う。

ぼくも100%理解できたとは断言できないが、結構役に立つ
知見を得た。即ち、「    には理解してもらおうとしても
無駄」ということである。たまたま   にからまれる時期と
重なっていただけに、きれいに割り切ることができた。

関西弁で「  」というと、本当の   であり、「アホ」
には愛嬌がある。可愛げがある。ぼくがここで言っている
のは、  のことである。

*註:自主規制により、用語を一部伏字としております

 

2003年08月23日(土)
y=ax

養老孟司教授の著作から非常に強い示唆を戴いた。

事実とは何か、情報とは何か。
何かfactがあったとする。同じようにそのfactを
inputしても、outputは人によって違う。人のみならず
生物によって違う。ここでは何をもってfactとするか、
の議論はおいておく。信号と言い換えても良い。

たとえば、珈琲店の店先でよい香りがしたら、人間
であれば「おお、いい香り、ちょっと寄って行こうか」
となるが、犬猫なら知らん顔である。

inputされるfactをxとすれば、動物の脳(身体)に
入ると、そこに何らかの係数aが関わり、「ax」となる。
これがoutput。問題は、この「a」である。
ブランド論における「ポジショニング」はまさにこの
「a」に向けてのメッセージ発信であって、「とんがり」
はこのためにある。
「affinity」も、「a」に関わる活動だ。

一方、aは文化や言語活動、社会規範によって左右され
ているので、たとえばぼくは自分の著作『スロビ』の
ハングル語版を読んでも、「a=ハングル」が自分の
中にないので、原作は自分でありながら、「a=0」
だから、積「ax」はゼロ、という結果になる。

話せばとても長くなるのだが、詳細はいずれSurfin'で
続けよう。

 

2003年08月22日(金)
ダサい

久しぶりに太陽が顔を出してくれたので、海辺に出かけた。
限りある日光を慈しむ気持ちは北欧の人みたいである。
木曜日(昨日のことなので)午後、足の裏に砂の感触を
感じながら歩くことのできる幸せをしみじみ感じた。

夜、テレビを見ていたら、某デベロッパーの提供で、
その会社が経営するビルに入居しているコンサルティング
会社の女性スタッフが「セレブ」として紹介
されていた。サテンだかタイシルクだかの高級そうな
スーツを着て、きれいなオフィスで仕事する。
休日には東京湾をクルーズして、甲板でグラスを傾け
る。これが「セレブ」の生活! というわけだ。

ダサい。

お金にあかしてクルーズしたり高級オフィスにいたり
高級スーツを着たりするより、砂浜で海をのんびり
見ているほうが、よほど楽しいと思うのだが、まあ
人、それぞれだからなあ。少なくとも、ぼくには
ダサく、果てなく貧乏臭く見えた。

 

2003年08月21日(木)
スモールビジネスだからこそ、コンプライアンス

スモールビジネスにとって一番重要なことは何か。
顧客の情報を漏らさない、ということだ。
オンライン・ショッピングでは顧客情報のかなり
深いところまで店側は入手することになる。
カード番号、住所、推測すれば家族構成や名前、
年齢までわかる。カード番号の流出による不正は
インターネット上で流れる情報をハッカーが途中で
盗むことより、店員や社員がこっそりあらぬ
ところに販売したり自分で不正に使ったりする
ことのほうが圧倒的に多い。ある統計ではカード
情報漏洩の95%が社員によるものという。

スモールビジネスだからこそ、コンプライアンス
経営をしっかりやれ、とは起業家に常にアドバイス
していることだ。大企業は、たとえ不祥事があっても
生き延びることができる。しかし、スモールビジネス
の場合は、一つ何かあったら、それでアウトだ。
そして、経営者は家屋敷を抵当に入れたりしている
から、個人としての人生そのものもアウトになってしまう。

スモールビジネスだからこそのコンプライアンス。
affinityを蓄積するのは時間がかかるが、
失うのはたった一本のメール、たった一言の
間違った言葉の使い方だ。くれぐれもご用心。

 

2003年08月20日(水)
空を舞うパフォーマンスin vain

渋谷を歩いていたら人の顔がみな上を見ている。
「あ。あれは何だ。鳥だ、飛行機だ、いや、スーパー
マンだ」のノリで、皆、同じ方向の上を見ている。
何だなんだと見たら、ビル屋上の看板に人が二人
垂直にぶらさがり、サッカーをやっていた。
要するに、広告パフォーマンスである。
暑いのに、ご苦労さん。あれでいくらもらうのだろうか。

「観客」たちは一様に携帯のカメラを向ける例の
ポーズを取っている。距離を置いて見ると、
一種の宗教儀式みたいで、不気味である。
十代とおぼしき女学生たちが「キャー、何あれ」
と騒いでいたが、基本的にはみな、だまって
携帯を向ける。繰り返す。不気味である。

ぼくのマーケティング理論でいうと広告の三原則は
「達・親・測」である。

達:広告メッセージを伝えたいターゲットに達すること
  ができているか?
親:「親しみ」(affinity/まいど)が積みあがる内容か?
測:結果を測定できるか?

さて、あの広告パフォーマンス、上記の三つを満たしている
だろうか。

残念ながら、答はノーである。そもそもぼくは、どこの
企業の広告だったか、忘れてしまっている。
金をドブに捨てる、とは、こういうことを言う。

 

2003年08月19日(火)
一度、めしでも

独立したばかりの頃はよく騙された。

E社社長秘書からメールがきて、『ブランド・マインドセット』
を読んだ社長がいたく感激し、是非弊社のブランド戦略の
コンサルをお願いしたい。当時ニューヨークに住んでいたの
で、日本に出張の折、わざわざ大阪・淀屋橋のE社へ出向き、
社長と面談した。

「いやー。いいお話でした。おつかれさまです」

E社製品のマウスとパソコン鞄を土産に渡され、それで
終わり、である。「また連絡します」とあったが、4年
たったいまだに連絡はない。

M通信。ここも5人ほど出てきて、なんだかんだと自社の
悩みを聞き、話した。「すばらしいお話をありがとう
ございます。またご連絡します」その後2年になる。

R社社長室。「晩飯でも」とプロジェクトメンバー全員と
食事し、悩みをきき、アドバイスして、おわり。

ソフトを売る会社を独立・創業する人へ、はなむけ
として必ず言う助言は、「一度めしでも」「コンサルを
お願いしたいので一度顔合わせでも」というオファには
必ず課金せよ、だ。これは自分自身の苦い経験から
きている。

それにしても、ここにあげた三社、いずれも大阪の
会社である。概して日本人はソフトに価値を見出さない
が、大阪は特にその傾向が強いようである。
同じ関西人として、残念だ。

 

2003年08月18日(月)
acceptance

一週間後に迫った大阪産業創造館の公開セミナーは
200名以上のお申し込みを戴き、現在キャンセル待ち
のにぎわいで、ありがたいことだ。感謝。

さて、準備はというと、実はスライドが一枚も
できていない。ぎりぎりまで発酵させるこのやりかた
はバンドで身についてしまった身体感覚だ。仕事と
全く関係ないことに時間を費やしたりしている。

昨日もそんな中、映画を観た。
『チョコレート』(2001年)。日本公開当時、似た
タイトルの洒脱な映画『ショコラ』との連想からか、
あるたばこメーカーが「大人のおしゃれな映画」テイストの
コラボレーション・プロモーションをした。代官山
オフィス近所のカフェへ、宣伝用のカードが大量に
置いてあったりした。ところが、中身は。
重い、のである。お子様では理解できない重さだ。
この映画のテーマを一言でいうと、

acceptance(受け入れること)

だ。

人生、自分の裁量でチョイスできる選択肢が多ければ
多いほどハッピーな気分になる(本当にハッピー
かどうかは別として)が、歩くうちチョイスがどんどん減って
いく。減って減って減って、最後、「これしかない」
「このほかにチョイスするものがない」
どんづまりまで行ってしまうことがある。あるいは
意に反し流されてしまうことがある。

映画の主人公二人の男女も、そのような「どんづまり」
に行き着く。そこで観客が見るのは、二人の
acceptanceのありようなのだ。

この映画はけっして甘い甘いラブストーリーではない。
人生のacceptanceをじっくり味わいたい人が、時間を
かけて反芻していくべき純文学作品なのである。

 

2003年08月17日(日)
よせやい

姪(小学校1年生)はぼくのファンである。

ぼくは小学生には人気があるのである。
遊びやギャグのレベルが同程度なのだと推測される。
昨日も一日遊んでいたのだが、ぼくのやることなすこと
にハートマークの目で見つめてくれて、若い女性から
そういう視線をいただくことがないだけに、気分良かっ
です。

「けーちゃん(と、ぼくを呼ぶ)、靴、かっこいい」
なわとびをすると、「すごーーーい」
「けーちゃん、ハーモニカ、上手」すべて瞳、キラキラだ。

夜、『007 ダイ・アナザー・デイ』のDVDを一緒に観ていて、
「このひと、けーちゃんに似てる」とつぶやくので、
「よせやい、いくらなんでも、それはいきすぎだぜ」と
鼻をピノキオにしたら、彼女がぼくに似ていると思ったのは
007ピアース・ブロスナンではなく、曲者の中国人
のことであった。自分が自分にかっこ悪かった。

 

2003年08月16日(土)
The Blackout of 2003

ニューヨークに住む娘(代わり)は停電時はロングアイランド
にいて、何があったか知らなかったらしい。バスでマンハッタン
に帰って初めて様子がおかしいことに気づいた由。
85St.でバスを下ろされ、そこから自宅のある213St.までは
到底歩けないので、ぼんやりバスを待っていた。一時間ほど
もしたころ、偶然タクシーがやってきて、手を挙げたら乗る
ことができた。普段からぼー、としている娘だが、こういう、
意外なところで強運を発揮する。彼女のアパートは階段で
上がることができるが、高層だと悲劇だったようだ。
エレベーターが稼動途中で止まって18時間閉じ込められた
女性もいたようで、同情する。ぼくの家は42St.なので
タイムズスクエアと同じストリートにある高層ビル、
きっとえらい目にあったことだろう。日本にいて良かった。
ニューヨークはたいていのビルは屋上に給水タンクを
置き、そこから水を供給するようなシステムである。
これはエンパイアステートビルであろうと一般のアパート
であろうと一緒だ。このシステムは電力を使う。アウト
である。
娘はそんな中でもいたって呑気で、
「道で寝てるひとがたくさんいて、面白かった」
らしい。
昨夜はローソクで過ごしたらしいが、現在は既に復旧して
いて、ともだちも集まりみんなで夕食を楽しくとっていた。
電話したら、停電のことを忘れて、「何で(電話したの)?」
だと(笑)。

ウェストサイドは復旧が早く、イーストサイドはまだ
遅れているそうだ。

街の様子は
ニューヨークタイムズ・ウェブ版
で見ることができる。『Voices in the Dark』音も聞けます。

 

2003年08月15日(金)
NY停電は単純ケアレスミスではないか?

ニューヨークの停電は、Palmtree Inc.の業務に全く支障が
出ておりません。お見舞い、ありがとうございます。
大切な情報インフラとなる会社のサーバーも、今年、それ
まで置いていたフロリダ州マイアミから日本に移しました
し、問題が出ていません。

停電の原因ははっきりしていないが、人災ではないのか。
ブルームバーグに市長がかわってから、拝金ものさしで
すべてが片付けられてしまっている。コン・エジソン(
電力会社)にも、その影響がないとはいえまい。
そもそもぼくが日本に帰ろうと考えた要因の一つが、
ジュリアーニからブルームバーグに変わったことだ。
ブルームバーグは、キャッシュレジスターの音を
聞くのは好きだが、市民の声を聞くのは嫌いなようだし、
まして有色人種の声など、聞く耳はもたぬだろう。

ニューヨークの社会インフラは驚くほど「まぬけ」
なところがあり、つい先日も、ゴムボートでふらふら
流れていた釣りバカ三人組がなんと戒厳体勢の筈の
JFKに上陸したほどである(笑)。警備の警官はだれも
気づかず、釣りバカ自ら出頭したら「驚いていた」
という。いやはや、おそらく今回の停電も、この
レベルのおまぬけな原因なのだろうと思うよ。

 

2003年08月14日(木)
阪本塾的営業ノウハウの書(仮)開発プロジェクト

塾卒業生が自発的にさまざまな活動をしているが、
学問所開設記念プロジェクトとして、
「阪本塾的営業ノウハウの書(仮)開発プロジェクト」
が発足した。言い出しっぺはヨーロッパのハイエンド
なスポーツ用品を輸入・販売している会社のスーパー
営業マン、M氏と、このたび外資系の保険会社に転職
したばかりのT氏。M氏はばりばりの営業マンで、5営業日
に7件新規店開拓などという離れ業を軽々やってしまう
実力の持ち主だ。彼には暗黙知がたっぷりある。一方
T氏には、「営業を科学した結果の可視化した形式知」
が備わっている。彼が所属する外資系保険会社には
営業形式知の宝庫がある。二人が両輪となれば、M氏の
言葉
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言ってしまえば「阪本塾なら商品をこう売る!」というものです。
ちまたの営業ノウハウ本を買う必要がないような内容にしたいですね。
----------------------------------------------------------
の実現は難しいことではない。

プロジェクトは共にe塾出身者(リアル塾卒業生でもある)
らしく、電子会議室上で進められる。卒業生サロン
ClubPalmtreeで有志を募り、続々手が挙がった。
もちろんぼくも、オブザーバーとして参加する。
楽しみである。

 

2003年08月13日(水)
拡大志向は、違うと思う

ある大企業二代目の本を読んでいて、ついつい鼻白んで
しまう。一つには、彼が「ではの守」だということ。
留学してMBAを持つ彼の話は「アメリカでは」ときて、
そして「だから日本は遅れている」。この論法は既に
80年代、マッキンゼーなどのコンサルタントが盛んに言い、
現在となってはいい年をした大人が言うべきことでは
ない、という認識ができあがっているはずなのだが。
第二点は、彼のあくなき拡大志向である。海外展開
を論じながらも、利益は現地に還元し、日本の本社は
吸い上げたりしない、という。これにもざらつく。

・拡大志向の理由がわからない
 「本社が吸い上げます」のほうがよほど正直で、人間の
  気持ちに素直である。偽善を感じる
・「遅れている現地を繁栄させる」という、アメリカの
 大きなお世話グローバリズムのにおいがぷんぷんする。

グローバリズムについてはおくとして、拡大志向で
成功した企業はかつて一つもない。ダイエーしかり、
マイカルしかり。マイクロソフトも、顧客のaffinity
を勝ち得ているかというと別の問題だ。

なんだか、本当にピントがずれている気がする。
久しぶりにケーブルTVで再見した91年の映画『波の
数だけ抱きしめて』の登場人物たちは、茅ヶ崎で
小さくやっていたFM局を、湘南全域に広めたい、と
動く。起業家の陥る拡大志向である。間違っている。
そして最後、荒れ果てたFM局が画面に映る。
起業家の拡大志向の末路を暗示している。

 

2003年08月12日(火)
起業家いろはがるた

「起業家いろはがるた」というものを発想した。
25日大阪産業創造館でやるライブ、じゃなかった
セミナーで披露し、ついでにその何枚かをオーディエンス
にばら撒こうと思う。曲に合わせて(一体どんな趣向
なのか、読者にはわかんないかもしれませんね(笑))。
かるたを思いついただけで、中身はこれからだ。
ぱっと思いつくのはろくなものではない。

い いつもニコニコ現金払い
ろ 論より現場
は  ?
に  ?
ほ 褒めて育てよ

これから、じっくり考えよう。毒は入れないようにして
いるから、難しいのかもしれない。「裏」には、毒
だらけの文言があっても面白いかも。

 

2003年08月11日(月)
知恵を残す

やはりいたのである。

米国のイラク攻撃に参加した日本人兵士。彼らは米国軍
として現地に行っている(2003/8/10付朝日新聞記事による)。
詳細は省くが、理由はどうあれ、彼らの動機は前向きだ。
軍を成り立たせているのは必ずしも法律などによる
強制でもなんでもなく、自発が大きい要因である
ことがこのケースからもわかる。

思うのだが、10年後、日本にも徴兵制が復活している
のではないか。その頃の日本は間違いなく保健制度
が破綻している。税収も現在の1/3程度になってしまって
いるかもしれない。医療など、さまざまな福利制度は
「使う」人が「払う」人を大きく上回る。そうなると
若者はばかばかしくて税金や保健を払わない。彼ら
に払わせるにはどうするか。強制的に法律で縛る。
いやなら、軍に入れ。入ったら、免除してやる。

こういう未来が見えたからこそ、余計に、ぼくは
自分のやるべきことに意義を感じている。
三国志のような、戦乱の世界であればあるほど、
大切なことは、後の世の若者に残す知恵が
大切なのだ。学問所をしっかりと立ち上げなければ
ならない。

 

2003年08月10日(日)
現役感

「懐かしの」「珠玉の」「秘蔵」といった企画ものの
テレビが多い時期だ。お盆だからか。では、なぜお盆だ
とそういう企画になるのか。ここにも企画力の貧困と
「とりあえず定番」というテレビ局サラリーマンの
貧しい頭脳がかいま見える。出てくるのはひばり、
裕次郎ばかりである。そういえばこの時期に日本に
いるのは久しぶりである。だから余計気になるのか。

・・・は、いいとして、そういう番組に、「まだ生きて
いる」「懐かしの」歌手が出たりすると、画面は冷酷で
ある。「現役感」がある人とない人がはっきり映るのだ。
あ。この人はこの曲一発で終わっちゃったな。
この人はいまでも現役で舞台などで活躍しているな。
いま、QOLの高い生活をしているな、とわかる。
芸能界は厳しい世界である。
同じく「何の保障もない」世界に生きる身として、
現役感は常に気をつけていきたいと、肝に銘じた次第
です。まる。

 

2003年08月09日(土)
台風でライブ中止

今日のサザンビーチ茅ヶ崎でのライブは台風のため
中止。イベントはすべて明日の日曜に持ち越される
ことになったが、バンドメンバーの予定が揃わない
ため、人生劇場は出演できず。残念至極である。
イベント中止の知らせを受けたのは昨日リハーサル
スタジオに入ってすぐだった。正確に言うと、スタジオ
に入る直前に携帯へ電話をもらっていたのだが、気づ
かなかったのだ。
スタジオで伝言を聞いて、おやおやおや。
メンバーに伝えたが、とりあえず、全曲流してみようや、
となった。ところがやはり実際にライブがないとわかる
と人間、やる気がしないもので、なかなか乗らない。
ブレイクの時、「今後のリハの方針」について急遽
ミーティングした。結果、「とにかく新曲ばかりだから
曲固めをしよう。いつでもライブができるように」と
決定した。思えばぼくたちのこのバンドは、常に
「ライブが先に決まって、そのためのリハ」という
幸福なパターンを辿ってきている。「下積み」がない
のである。
実際に曲を固めていったら、多い曲で二回、殆どの
曲は一回でばっちり決まった。これも長く一緒にやって
きたためだろうなあ。「こういうとき」に限って、
出来がいいのがくやしい。

人生劇場の次のライブは未定。どこかお声をかけてください。

 

2003年08月08日(金)
日向水

ゴールド会員になっているカード会社からプラチナに
入会してくれないか、というオファのダイレクトメールが
来た。いまやカードなんて、どこでもだれでも無料で
入会できる時代なので、現在のゴールドも無意味に
高い会費だと思い始めているのだが、まあ、興味本位で
プラチナ特典を見てみた。

要するに、海外リゾートでのホテルや航空会社優待、
あるいは高級レストランなどへの優待である。
えーっと。いまは2003年だよね?
1989年じゃないよね?

発想が貧困なのである。田舎者なのである。なぜ
「プラチナ」なら、「高級リゾート」なんだい。
たとえばぼくがいま求めているサービスは

1.旨い蕎麦屋情報
2.緊急時、地域の医療機関への優先受け入れ
3.地震、台風など災害時のヘルプ
4.ブルースハープのレッスン

などである。極めてパーソナルな、毛穴に入り込む
ほどのキメの細やかさだ。プラチナ会員には地球
どこに行っても全員ブロードバンドのネット接続
サービスでもいい。あるいは、健康上必要な会員
のためには、「その人だけのための管理栄養士が作
るメニュー宅配」など、よろこばれるだろう。

ここが満たされたならば、本当の意味でのプラチナ
の価値があるというものだ。

日向水(ひなたみず)のようなぬるい会議で、
つまんないアイデアばかり出してないで、もっと
現場に出なさい、カード会社社員。

 

2003年08月07日(木)
未来を語る同志

LAで創業し、『ライトハウス』をいまや全米一の日本語
情報誌に育てあげた込山洋一氏と久闊を叙す(込山氏の
起業物語は拙著『五感商品の創りかた』に詳しい)。
待ち合わせの帝国ホテル世界時計前に小走りで現れた氏は
相変わらず、エネルギッシュでオーラがある。
氏と気宇壮大なビジョンを語り合うのは楽しい。
氏は未来を語る同志である。
学問所で前向きなコラボレーションができそうだ。
e-learning、国語教育、社会人マナー教室
・・・話は尽きない。未来の話をしていると、暑さ
を忘れた。

 

2003年08月06日(水)
覚えられないっす

受験勉強の時も、仕事が煮詰まった時も、夢に出て
くるなんてことはなかった。一度も。ところが今
取り組んでいる「あること」は、とことん、ぼくを
悩ませている。夢に出た。のどが痛くなった。熱も
出た。

それは、ボブ・ディランの「It ain't me, babe」
である。覚えられないのだ。歌詞もメロディも。
だいたいぼくは歌を覚えるのは早い。一度聞いたら
すぐ曲想が身につく。ハープで吹ける。
ところが、この曲だけは、だめだ。ディランの言葉
の紡ぎ方が予想を超えているということもある。
「in here」など、ぼくの辞書にはない。てっきり
英国人だと思っていたら、ディランって、ミネソタ
出身なんだね。道理でニューヨーカーのぼくには
なじまないはずだ(笑)。
おそらく120回くらい聴きこんだが、全く残らない。
のどが痛くなったのは、身体が「歌いたくない」
とアラームを発信しているのだ。
しかし、こんなことでメゲてはぼくのアーティスト
としての成長はない。苦手は克服しなければ。

悩んだ挙句、だれかカバーしているひとがいたら
ヒントになるかもしれないと調べたら昔、タートルズ
という(ひどい名前だ)グループがカバーしている
ことを発見、アマゾンでカナダから取り寄せた。
一回聞いたら、ずば、と、きた。正解だった。
それ以降、簡単に入った。よーし。

8/9の茅ヶ崎ライブが楽しみだ・・・が、台風かも。
とほほ。

 

2003年08月05日(火)
かまぼこうなぎ

地の利と商いの努力は反比例する。
昨日羽田空港ガレリアで昼食をとるのにさる日本
料理店に入った。高級そうな店構えなので、この時期
わらわらとうるさいガキどももとい、お子様たちは
いないだろうと読んだのだ。
席について驚いた。BGMがロックなのだ。しかもよく
聞くと日本語ではなく、英語でもなく、中国語か
韓国語か。すげー。接客サービスのスタッフは中国人
だった。そして。極め付きは、「宮崎直送」という
うなぎを使った「極上うな重」に小さな鯛焼きが
ついていたことだ。うなぎは、ゴムのような食感が
して、かまぼこを焼いてしょうゆをたらしたのかも
しれない、と思ったほどだ。いや。そのほうがおいしい
かもしれない。念のため。宮崎産のうなぎに罪はない。
要は料理人の矜持の問題だ。

こういう店がうな重1850円の価格で販売し、商いを
続けられるのも、羽田空港内だからこそ、である。

商人(あきんど)と料理人の誇りなど、かけらもない。

 

2003年08月04日(月)
海の家とコンサルタント

近所の海岸を散歩したついでに人気の海の家でビールを
飲んだ。ここはユーミンも毎夜通うほどの、センスの
いい、ナイスな空間を提供してくれる。海を眺め、
太陽にあたり、風にふかれていると、どういうわけか
「羊飼いとコンサルタント」という寓話を思い出した。
パロディしてみる。

砂浜をけたてて、仕立てのいいスーツに身を包んだ
(言うなればTPOを考えていない服装の)男がやって
きた。手には、これまた高級そうなスーツケース。
男は海の家の店主に、言う。
「この店の一日の顧客来店数を正確に当てたら、
そこ(店先)にいる豚を一匹くれますか」
店主「いいよ」
男は早速ノートパソコンを取り出し、パワーポイント
で簡単なプレゼンテーションをしたのち、携帯電話で
どこやらのサイトにアクセスし、GPS衛星ナビを利用
して地域全体をスキャン、「自社独自の経営ツール」
と称するCCS(カスタマー・カウント・システム)を
エクセル表にてぱたぱたぱたとはじいた。結果を150
ページの報告書にまとめ店のレジ横にあるプリンタを
拝借して印刷し、提出した。書面にはカタカナがあふ
れていた。
店主「・・・要するに、何人なんだい」
男「1586人です」
店主「その通りだ。一匹進呈しよう。ただ、あんたの
職業をわしが当てたら、その豚を返してもらえるか」
男「はい」
店主「コンサルタントだ」
男「なぜわかったんですか」
店主「第一に、あんたはだれも呼んでいないのにここへ来た。
第二に、わしが既に知っていることを答えるのに報酬を請求した。
第三に、あんたは世間を何も知らない。あんたが選んだのは豚では
なく、わしの息子だ」

 

2003年08月03日(日)
商い時間

商店街復活の法則をまとめている最中だ。

一部は、早くも4年目に入った雑誌『ぷらっと』
連載で披露しているが(神戸・垂水地区の人
しか読めません。ごめんね)、ここでも
少し、おすそわけ。

営業時間である。

近所の商店街へ夜7時20分に行ったら大半の
店がシャッターをおろしていた。一部は
そのまま永遠に下ろしていそうな雰囲気だが(笑)、
大半はまだ生きてる(毒)。にもかかわらず
なんで宵の口のそんな時間に商いをやめるのか。

この商店街のサイトに行くと「大都市に顧客
が流れ、地元では買い物をしてくれません」と
グチっているが、朝はゆっくり10時ごろから
店を開け、日没とともに店を閉めて一家団欒
している商いがどこにある。

駅前なのである。駅には人が出入りしているの
だ。で、あれば、「早朝と深夜だけ営業」の
商店街があってもいいじゃないか。

ダルい商いの空気は、暑さを増すばかりである。

 

2003年08月02日(土)
あなた真面目にそう考えているのですか

航空会社はマーケティングをどう考えているのだろうか。
Surfin'ネタだがここに書く。

今朝乗った機体にはポケモンが描かれていた。
しかし、どの便がポケモン機体かどうかは事前にわからん。
「ポケモンが描いてあるから、飛行機に乗ろうよ!」と
売上がうなぎのぼりになると機体もとい期待しての
ことだろうか。あなた真面目にそう考えているのですか。

座席ポケットにはキャンペーン案内があって、
往復チケット二枚を貼り付けてもっていくとコーヒー
(ただし、ショート)、ビデオ(ただし、新作は除く)、
ソフトクリーム(ただしバニラ/カップ)がもらえる。

コーヒー、ただしショートが欲しいので、では、飛行機
に往復乗りましょう。

レンタルビデオ、ただし新作除くが欲しいので、では
飛行機に往復乗りましょう。

こういうカスタマーがブランドへのロイヤルティを高め
てくれますから、顧客囲い込みにもつながるはずです。

まじですか? 本気でそう考えているのですか?

affinityを蓄積するためだけだとしても、「ただし」
という、中途半端な条件がケチくさい。
いかにも「ほどほどの落としどころを探る」眠たい会議で
決まりそうなことである。店のコーヒーどれでも、
レンタルビデオ新作であろうが何であろうがどれでも、
と、なぜできない。できない理由は何か。
こういう、往生際の悪い企画が最も腹立たしい。
同じく往生際の悪い肩書き「部長代理」「課長心得」
なんていうものを目にしたときと同じ苦さを感じる。

 

2003年08月01日(金)
こんにゃくと鞄

ここのところ忙しく、今日は睡眠時間が4時間しか取れ
なかった。まともに食事する時間もない。
これではQOL下がりっぱなしである。
そんな日に限って暑く、そんな日に限って、スーツに
ネクタイである。PCの入った重いバッグを下げて渋谷
を歩くと、サラリーマン時代の営業の日々を思い出した。
感傷にひたる間もなく、109前に来ると、ドラッグストア
のにいちゃんのがなる声がさらに汗を促進させる。
歩きながら、ブランド論の新しいアプローチを発見した。
そんな日に限って両手がふさがっており、着想を書き留める
メモができない。しかたないから、鞄を一旦地面に置き、
体勢を整えてから、ペンを・・・
と思ったら鞄を奪われた。
見ると154センチほどの背丈をしたこんにゃくである。
こいつ、こんにゃくのくせに、ひとの鞄なんか取るな、
あわてて追いかけたらあっさりつかまった。
事情をきくと、なかなか苦労人である。あまりに
暑いので、このままでは干上がってしまう。
そこで市民プールにいくお金ほしさに鞄を盗んだ
のだという。かわいそうだから、小遣いをやって、
帰した。こんにゃくは、「ありがとうございます。
ご恩を忘れず、精進します」と、消えた。

というお馬鹿な夢を、帰りの電車内で見た。睡眠時間
のあまりの短さに、自己ルールを破って電車で座る
からこういうくだらない夢を見る羽目になる。
だからといってスケジュールは許してくれない。
明日は飛行機に乗り、日帰り出張。とほほ。

 

Kei Sakamoto |株式会社JOYWOW