ノート

2003年12月25日(木) 1年目を終えて〜早稲田大学・宮本賢〜

 「宝くじが当たったようだった」
宮本賢は今年一年をこう振り返った。

 秋の公式戦、14.2/3回を投げて自責はわずかに3点。
リーグ戦に限れば、14回で防御率0.00と
抜群の安定感を見せた。
とてつもない当選率。宝くじどころではすまされない。
その証に、チームメイトからは
“この人の活躍無しでは、4連覇も難しかったでしょう”と
祝勝会の場で紹介された。
淡々と自分のリズムで、クールに投げ込む姿が印象的。
だがいたって本人は、驚きの表情を隠せない。
「ここまで結果を残せるとは思っていなかった」
これが本音だ。

 別に打者として入学したわけではなく
練習に参加し始めた春前、たまたま打撃の調子が良かった。
それを見た監督が、レフトのポジション争いにと
打者として使っていくことを決めた。
その宮本が投手に戻ったのは夏――
自分も来年から投手として試合に出たいと
走り込みを始めていた頃だった。
突然野村徹監督から“秋からピッチャーも”と打診され
何も考えず「はい」と答えた。
考えていた以上に、早くチャンスを与えてくれた。
そのチャンスに応えたいという一心で夏を越えた。
2軍戦で結果を残し、1軍戦でも好投。
1軍戦といってもマウンドに立ったのは1試合だけ。
たった1ヶ月という短い期間で、投手・宮本に戻ってみせた。

 ところで宮本は、早稲田大学での4連覇や
オール早慶に出場できたことを、強く誇りに思っている。
早大に憧れを持ったのは高校2年の頃。
その憧れていたチームで自分が4連覇の締めを飾ったこと
100年という長い歴史を持つ早慶戦に出られたこと。
これらのことを「本当に凄いこと」と感慨深げだ。

 しかし、余韻に浸っている間はない。
来年は研究されて、マークも厳しくなることは間違いないだろう。
宮本自身も今年よりももっと厳しいシーズンになることを
自覚しているし、「オフも2週間で十分」と言い切る。
有望な新人の入学も決まり、焦りを感じているかと思えば
「切磋琢磨できてチームのレベルアップにもつながる」と
強気な発言。
また、宮本をよく知る高校時代の恩師は言う。
「来年?抑えると思いますよ」
どうやら2004年も宮本から目が離せなくなりそうだ。

<関連リンク>
関西高校時代・センバツを前に
(2002.2掲載)
関西高校時代・尽誠戦を前に
(2002.4掲載)
早稲田4連覇
(2003.11掲載)



2003年12月03日(水) 本音を伝えたい

最近、ビデオを整理していると
今夏の甲子園決勝が出てきました。
あれから3ヶ月近く経ちますが
思わず頭の中に浮かんだ、ある言葉を思い出しました。

「プレッシャーはない」
開幕を前に、常総学院・松林康徳主将はこう言っていました。
押し寄せる報道陣、勝つ度にふれられる
木内監督の勇退について。
・・・プレッシャーはあったはず。
これは暗黙の了解でした。
だから、もし優勝したら、どんなことを言うか
密かに楽しみにしていました。

そして、優勝後に出た松林主将の言葉は
「負けるのが怖かった」
それと同時に流れた大粒の涙は
一気に緊張が解けた証。
プレッシャーは無いという仮面をかぶりながらも
思わず“本音”が出た瞬間でした。

この言葉が、私の今季最も印象に残った言葉です。
今トップページでは「ことばたち」という企画で
毎日1つの言葉を取り上げています。
なるべく“本音”に近い言葉を、選び抜きたいと思います。


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