SS‐DIARY

2021年03月07日(日) (SS)どちらも酔ってる



バーで軽く飲んだ帰り道、進藤の知り合いに出くわしてそのまま少し立ち話をした。


「そういえばおまえ結婚したんだっけ? 相手はどんな人だ?」


尋ねられて進藤はえへへと照れくさそうに笑う。

どうも年賀状代わりのラインでそんな重要なことを気軽にばらまいていたらしい。


「え? あっ! うん。実はこいつがおれの奥さん」


嬉しそうに隣にいるぼくを指さすので、ぼくはその手を思い切り叩いた。


「指さすな! それにぼくはキミに娶られた覚えは無い!」


じろりと氷点下の瞳で睨み付けると進藤は少し考えて再び口を開く。


「えっと、訂正。これがおれの夫デス」

「これとはなんだ! それからぼくは、こんながさつで口の悪い嫁なんていらない!」


きっぱりと突きつけると進藤は深く眉を寄せ、深く深く考え込んだ。そして。


「えーと、こいつが生涯を共にするおれの人生のパートナーです」

「正解だ!」


知人男性は終始目を白黒させていたけれど、進藤の答えにいたく満足したぼくは、彼にご褒美のキスをしてやると、さらにぐりぐりと頭を撫でて、その場から二人で立ち去ったのだった。



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