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2003年04月11日(金)
◆『ローラン・プティ グラン・ガラ』ルグリ、ツィスカリーゼ、ベランガール、ボニーノ、上野水香、リエパ


いやぁ〜良かったです。大人のバレエ・ガラという感じで。
予定されていた、ルンキナは怪我の為、出演できず(早い回復を願います)、代わりにオペラ座のエオノーラ・アバニャートが出演しました。
このアバニャートが、私的には気に入り、ルンキナには気の毒ですが、良かったかな。あと、イルゼ・リエパ最高だったし!!

ロビーに入ると草刈民代さんが立っておりました。最近良く遭遇するなぁ。
他にも何人かそれらしき人が観に来ていたようです。
会場は特設みたいな作りで、人が歩くとずんずん響き、あまりいいホールではありません。当初、本当に特設のつもりで建てたと思いますが、そのまま直さないのでしょうか?

私の位置は、舞台まで約3m位、手の届きそうな中央のベストポジションで鑑賞。足も切れずにとても良く見えました。



【第1部】

『アルルの女』よりパ・ド・ドゥ
(E・アバニャート&J・ベランガール)

初めからもう、涙が出そうになりました。
この作品を見て、思うところがあるのは、実体験があるから?なーんてね。冗談です! 
でも本当に切ない内容で、最初のプログラムなのに、すんなりこの作品世界にのめり込んでしまいました。それ程素晴らしい作品。
ルグリの出演した映像で御存知の方も多いと思いますが…。

《婚礼を控えた若い男女。女は一途に男を愛し、私を見て!以前のように愛して!と自分の全てをかけて懇願しますが、男は女の知らない誰かを苦しいほど思っている。
しかも、そんな男の気持ちを女は痛いほど解っているが、どうする事も出来ません。
男は自分が以前に一目惚れした別の女を想い、現実とのはざまで悩み苦しみ、狂気に陥って窓から身を投げる。》

こういった話に私は弱いし、結構好きなんですね。アバニャートは落着いた雰囲気ですが、全てを投げうち“愛”を思い出させようと必死に懇願、アピールする演技は心が痛くなったし、ベランガールも心ここに在らずで、苦悩に満ちた表情が良かった。最後の爆発力も!


プルースト『失われた時を求めて』よりモレルとサン・ルーのパ・ド・ドゥ
(M・ルグリ&M・ムッル)

この場面は初めて観ました。「眠る女」の部分はマカロワ主演の映像で見た事ありますが、それとは全く違う雰囲気でした。
物語の一部というよりもモダンの小作品という印象でした。
(一応、美しき侯爵と美貌の天才ピアニストだそうです)

このときのルグリがなぜか別人に見え、一瞬登場時は解らなかったです。最後に笑顔を見たら若返ってルグリだったんだと安心しました。動きはもちろん良かったと思います。
ムッルは細い身体でルグリとまるで違う筋肉のつき方。一瞬「戦場のピアニスト」の主演俳優、エイドリアン・ブロディに似ていると感じました。余談ですが…。


『ダンシング・チャップリン』 ・「ティティナを探して」「小さなバレリーナ」
(L・ボニーノ)

本当は2幕20場の作品だそうですが、ボニーノが出演する「ガラ」公演では、よく演じられる部分ですね(踊るというよりも)。
私も生では、この短いソロ場面を見るのは2回目ですが、今回の方が劇場も大きすぎず、客席の反応が良く伝わり良かったと思います。
まるでパリの小劇場で鑑賞する作品のような印象でした。
ボニーノがチャップリン風に演じコミカルでありながら、何ともいえないその古き良き時代に想いをはせ、温かみと切なさも感じました。

「ティティナを探して」は椅子を上手に使った作品で、映像でもマルセイユバレエの海上特設ステージで行われたガラ公演のものに収録されています。音楽は映画「モダンタイムズ」より。

「小さなバレリーナ」はボニーノの首に白いチュチュを巻きつけ両手にトゥ・シューズを履かせて、手と腕を足とトゥに見立てさせてクラシックバレエを踊らせます。
2演目とも、観客はとても反応良かったですね。笑い声が漏れていました。後味も良かったですし、ボニーノでないと演じきれない気がしました。


『ノートルダム・ド・パリ』エスメラルダとカジモドのパ・ド・ドゥ
(上野水香&N・ツィスカリーゼ)

1部の最後はプティがパリ・オペラ座の為に創作した大作『ノートルダム・ド・パリ』からノートルダム寺院の鐘楼の前で踊るパ・ド・ドゥ。
エスメラルダを演じる上野水香はプティ好みの脚線美とコケティシュさを兼ね備えたダンサーで最近は大人気ですね。ツィスカリーゼはボリショイバレエの人気プリンシパルで柔軟な踊りが特徴です。

今回は、うーんあまり2人が合ってなかった印象。水香さんはいつもの水香さんという感じで、以上、以下でもない。
期待としては前以上の彼女を見たかったかな。
いつもと同じ表情と演技で少し物足りない感じ。
最初に彼女を見たとき素晴らしくて、日本にもこんな雰囲気のダンサーがいたんだと感心しましたので、さらに良くなっていてほしかったかな。勝手なファンとしての希望ですが…。
ツィスカリーゼは役に合っていなかったように感じました。
彼は不具なカジモドを演じるには、個性的過ぎる柔軟さが気になってしまう。メークはかなり醜悪に作りこんでいて、彼の役に対して手を抜かない、本気ぶりは好感が持てますが…。

もっとも、私がオペラ座のゲランやスーパーエトワール達が出演している映像の影響で、それと比べてしまっているせいなのかもしれません。



【第2部】

『マ・パヴロワ』より「タイス」パ・ド・ドゥ
(E・アバニャート&J・ベランガール)

とても優雅で美しいバレエ。リフトも多様に使われていて、空気に溶け込むような柔らかで滑らかなE・アバニャートの肢体が、観ている者に感動的に伝わってきました。
よくガラでも見かけるパ・ド・ドゥですが、今回は特にそのクラシカルな美しい作品世界に浸る事ができました。
J・マスネの音楽も美しいですし、今回の2人がフランス的でとても良かったです。


『枯葉』ソロ
(M・ムッル)

木枯らしが吹き、枯葉が舞っている夜のパリの街。プティの傑作『ランデヴー』に出てくるJ・コスマ「枯葉」を、ムッルの為に新しく振り付け直したそうです。
はじめは、柔軟のウォーミングアップのような体勢の動きから入り、詩的な雰囲気でした。特に悪くは無いのですが、全体から見ると、印象が薄かったです。


『チーク・トゥ・チーク』
(上野水香&L・ボニーノ)

プティの愛するジジ・ジャンメールと今回出演のルイジ・ボニーノの為に創作した、粋で洒落たミュージカル風の楽しい作品です。
去年、ルグリの公演でも大変盛り上がった作品でタキシード姿で楽しげに踊るルグリの印象がまだ残ってます。

しかし今回のお二人は大人の洒落た世界というよりも、優しく元気なパパと大人になりきっていない娘という感じで、もともとの意図した設定にはまるで見えませんでした。
水香さんが色っぽく腰を振ってポーズをとってもなんだか不自然に見えてしまう。
ボニーノの優しいサポートは素晴らしかったです。水香さんは今すぐというより今後、もう少し表情や演技に、違うアクセントを付けられる事が出来れば、数々の作品世界に広がりが出ると思いますので、期待して見ていきたいです。


新作、世界初演『カルメン〜ソロ版』
(M・ルグリ)

今回、私が大変楽しみにしていた新作「カルメン」はどのような作品か?
きっとホセの立場で苦悩な雰囲気で踊る作品ではないか、と想像しておりましたが、この考えは見事に裏切ってくれました。
まさか、一人で、ホセ、カルメン、エスカミーリョを踊り演じてくれるなんて!!
この作品でのルグリは若さに満ち、新作にチャレンジして新たな魅力を観客にみせてくださいました。

録音された男性の声や手拍子が入った「セギディージャ」「ハバネラ」の音楽にのせ、間と歯切れの良いバリアシオン。ルグリの足の美しさが際立ちます。カルメン(女性)での踊りは無理に女性らしく演じるよりも粋な感じで、扇をうまく使い、洒落た感じです。テクニックも普段女性が行うフェッテをジャンプ付きで行ったりと観ていて楽しくなりました。
ソロなので、カルメンが刺されるところは自ら扇を閉じたものをナイフに見立てて腹に刺していました。
終わった時は水をかぶったように汗びっしょりの大熱演でした。

作品としては、最後のとって付けたような終わり方と、サポートの黒子の登場に違和感を覚えました。
さらに上演を重ねてシンプルで素晴らしいものに変わっていってもらいたいですね。



日本初演『スペードの女王』よりパ・ド・ドゥ
(I・リエパ&N・ツィスカリーゼ)

これはもう、言葉に表せないくらい凄かったです。
最後にこのようなメイン・ディシュをもってくるなんて!!
イルゼ・リエパ大迫力。こんなに強烈な演技のできるダンサーはなかなか思いつきません。
ツィスカリーゼも先程とは別人のように濃い演技をしていて、全幕観たわけでは無いのにとにかく強烈に印象に残りました。そして2人は初演のオリジナルキャストとの事。

これを観た後では、日本のバレエは何?ここまで到達できるとは正直思えません。ダンサーがこの芸術対して全てをさらけ出し、入り込んでいるのを観てしまうと、もう、テクニックでは無く、他の様々な事を学んでほしいなと...。
なんて偉そうに言える立場ではないですが…。

チャイコフスキーのオペラで知られているこの作品を、プティはオペラ曲を使用しないで、交響曲6番「悲愴」を用い創作しました。

話は、《青年士官ゲルマンはトランプ賭博で勝てるようにと、特別な秘法を知っている叔母の伯爵夫人の所に忍び込み、3枚のカードの秘密を聞き出そうとしますが教えてくれません。脅しのつもりで出したピストルに驚いて夫人は死んでしまいますが、夢に伯爵夫人があらわれ、カードの秘密を教えてくれます。しかし…》

伯爵夫人が憑依したかのような、大人の女リエパに尽きます。
意外に、今までのようなロマンティックな役ではなく悪い男が板についていたツィスカリーゼ。
観ていて本当に怖かった。狂気に満ちていて…。
バレエというより演劇のようでした。
プティもこういったダンサーとの出会いは喜びでしょうね。
是非、全幕をもってきて、観(魅)せて戴きたいです。


【カーテンコール】
ずらりと出演者が並びカーテンコール。最後にプティが登場し、観客の大きな拍手に応えていました。彼は挨拶のたびに、色々なダンサーの間に入り場を和ませていました。
ツィスカリーゼはいつもカーテンコール時に愛嬌が無いのですが、今回は、プティがいたせいか、ニコニコ笑顔が見られました。

この日改めて、プティ作品の幅の広さと素晴らしさを堪能できました。