ここ2、3日続けたことの延長で、ちょっとやってみたいことがあります。 あたくしは、戯曲やシナリオを書くのがこう見えて、超不得意です( ̄∇ ̄;) プロットまでは、正にシナリオっぽく書いたりもするのだけど、 それを「作品」として搬出するには、あんまりにもお粗末過ぎるし、 何にせよ、脚本家に自分の作品を委ねてしまった時に、セリフのひとつひとつに 奇妙な違和感があってはならない。
それを避けて、今まであたくしの書いたプロット止まりの戯曲っつうかシナリオっつうか そういうものは、大学ノート数十冊の量に上る。 未だ日の目を見ないこいつらに、一度くらいは何らかの形で、目の触れるところにおいてやっても 罪ではないだろう。
と、いうわけで、抜粋。 【表題】 未定 【設定】 女性二人 【背景】 とにかくややこしいので割愛
大学ノート、約2ページ分の1シーン。 あなたはこのシーンから、何を導き出せますか・・・・?
今日子 (窓の外を見遣り)美しい夜ですね。見て御覧なさい、月があんなに綺麗。 ・・・・こんな日に果てることのできる人間は幸せなのかもしれませんね。いい週末だわ。
馨 ・・・・・・。
今日子 私はこの街が好きです。この空も。そして下卑たネオンも。
馨 姐さん・・・・。
今日子 馨、今、何時になりますか。
馨 そろそろ、24:30ですが。
今日子 (ため息をつき)そろそろだわ。
馨 何がですか?
今日子 もうあなたも気づいているでしょう。どうして哲明と正登が冬子に張り付いているのかを。
馨 ・・・・・・。
今日子 私が冬子に頼んだのです。個人的にキャッシュを切って、兄さんを消してもらうことにしました。
馨 何故ですか!? あの人は姐さんにとって・・・・
今日子 (煙草に火をつけ)昨夜、ついてくる気があるのなら仕度をしておけと言われました。 ・・・・無論、私がここを後にすれば、哲明とあなたに実権の凡そを譲ることになるでしょうが、 私は心配だったのですよ。自分の好きなこの街が、ストッパーのいない荒れた街になるのが嫌で、 随分悩みました。
馨 それで出した結論が、これですか。
今日子 兄さんを止める人間も必要だということです。
馨 しかし、あんまりじゃありませんか! 何も消さなくても・・・・
今日子 どの道、いい死に方をする人ではありません。 ならば、この街でゆっくりと最期の引導を渡して差し上げるのは餞別として最高と考えました。
馨 哲明たちに連絡をとらせてください!
今日子 なりません。
馨 このままでは逆に冬子が潰されます!!
今日子 あの二人はそうならないようについているのでしょう?
馨 ですが!! 冬子の手の内は兄さんにも漏洩しています。危険すぎます。
今日子 私はあの子の腕を信頼して一億積みました。これは個人契約です。 組織とは無関係のヤマです。あの二人が動くとなればそこはそれ、冬子も考えるでしょう。
馨 私や・・・・哲明ではこの街は不安ですか・・・・?
今日子 ・・・・そういうわけじゃありませんよ(笑)。
馨 でも・・・・。
今日子 そうですね・・・・哲明はいつまでも特攻隊長気質の抜けきらない猪突猛進タイプ、 前線に置くにはいいですが、一処にじっと構えていられる性質ではないわ。 あなたが哲明のストッパーになってくれるといいのですが、あなたを仕込んだのが彼では、 暴走列車を止めるに足らないわ。確実に止められる保障がない限り、大きなヤマは動かせない。 そうなれば、いずれこの街も廃れます。あなたも・・・・そしてここにいる子たちも・・・・冬子のような 金の卵も他へ流出。居場所を追われて、他に構えて、一からキャリアを積み直せるほど、 女の人生は甘くありませんよ。
馨 私のことは・・・・
今日子 兄さんがこの先、五年永らえたとして、廃れたこの街をご覧になった時、あなたはどうなるのかしら?
馨 そ・・・・それは・・・・
今日子 長生きしたければ頭を使うこと。この世界でなくとも常識中の常識ですよ。 あの男を消すのは今。タイミングを逸すると次はありません。 あなたも私も引退して隠居するにはまだ早いわ。もう少し稼いでからでも遅くはありませんよ。
馨 要は、堅気になるのに必要な資金を捻出してから・・・・ということですか、我々の人生とやらは。
今日子 あなたとはいい茶飲友達でいたいのよ。・・・・これから先、寂しくならないように。
馨 姐さん・・・・。
今日子 Keyは冬子が握っていますがね。
馨 それが私にとっては史上最悪の皮肉なんです(苦笑)。
今日子 日本にいながらロザ・ムーナが見られるのを祈りたいわ。・・・・伝票、きちんと揃えておいてくださいね。
馨 はい・・・・わかりました。
と、ここから、話に出てきた「冬子」という女が「兄さん」と呼ばれる1人のマフィアを暗殺するシーンに 移行するわけですが、たった2人の短い会話に、冬子、兄さん、哲明、正登と、 あたくしがこの物語の中で主要人物として扱っている人間がほとんど出てきています。 まぁ、設定のややこしさからいって、どうして冬子にその白羽の矢が立ったかなんてのを説明し始めると 読者が減ってしまうので(爆)あえて割愛したのはそのせいです。 皆様のご想像にお任せしますわ。
しかし、自分が昔書いたものとはいえ、背筋凍りそうなシーンですよ。 自分の愛した男に対して、その愛の表現として刺客を差し向けるだなんて、 この上なくグロテスクだけれど、本能的・・・・まるでこの間見てきた映画「あずみ」に似てるわ、「冬子」は。 そして、この今日子姐さん。飄々としているようで、一番稼いでいるのはこの女で、 一番グロテスクなのもこの女。 言葉尻は柔らかだが、内容は、「冬子」ものけぞらせた最強の命令だったりもする。
ちなみに、このシーンの前に、直下の馨に対して、軟禁をしかけます。<伝票整理など愚の骨頂(爆) 書いた本人、そんなつもりなかったんですけどぉ・・・・( ̄∇ ̄;) さらさらと猛毒を吐くこの、今日子という女性が今あたくしの中で熱い。 (主人公は「冬子」なんだけど) 愛する人の為に、刺客を雇って1億積んで、確実に殺して、美しき余生を送りたい・・・・。 女としての最上級の贅沢のような気がするわぁ。
色恋、強姦、仕込み、銃撃戦、乱闘、発狂、等々のシーン、数えればキリのない話だけど どうしてこんなのが自分に書けたのかが凄く不思議ですけどねぇ。 資料をかき集めては、高校時代くらいからはこのくらいのネタをガンガン書いていたから あたくしってやっぱ異常なのかもなぁ。
ここに連載してもいいんだけど、明らかに、R16とか18とかきちんと掛けとかないと、 犯罪の一歩手前(爆)。 自分が犯罪に手を出さないものだから、小説ん中ではかなりハードコアなところに切り込みます。
戯曲とシナリオは苦手だけれど、プロットを立てるだけなら、これが一番向いているようで、 しかしながら、それが作品として認められるかというと必ずしもそうではない( ̄∇ ̄;)
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