| 2007年07月19日(木) |
『善き人のためのソナタ』 |
1984年、東西冷戦下の東ドイツ、ベルリン。 国家保安省(シュタージ)局員のヴィースラーは、劇作家のドライマンと舞台女優である恋人のクリスタが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。 成功すれば彼には、出世が約束されていた。 しかし予期していなかったのは、彼らの世界に近づくことで監視する側である自分自身が変えられてしまうということだった。 国家を信じ忠実に仕えてきたヴィースラーだったが、盗聴器を通して知る、自由や愛、音楽や文学に影響を受け、いつの間にか今まで知ることのなかった新しい人生に目覚めていく。 ふたりの男女を通じて、あの壁の向こう側へと世界が開かれていくのだった。。。
まず最初に。。。
この映画を見た3日後に、ヴィースラーを演じたウルリッヒ・ミューレエが亡くなってしまったなんて…。 まだ54歳の若さ…これから、いっぱいいろんな作品に出演できただろうに…ご冥福をお祈りします。
自由がない世界というのは私には想像がつきません。 もちろん、私の実生活にも不自由な面はあるけれど、おおむね自由に暮らしていると思っています。 親や会社からの規律ではなく、「国家」からの監視なんて、きっと、1週間、、、いや、1日ももたないと思う。
自由のなさが極普通の人達にとっては、自由な暮らしがどんな暮らしか知らない人もいるかと思うと、怖いなどと一言で片付けられない感じです。
ヴィースラーは、ドライマン&クリスタと「出逢った」わけではないけれど、屋根裏からの盗聴が彼を変える立派な「出逢い」でした。
ヴィースラーがモノクロなら、ドライマンとクリスタはカラー。 (私は白黒テレビの時代を知らないけれど)、今までモノクロでしか見えてなかった視界が、一気に色づけされたように映ったはずです。 しかし、実際には屋根裏で盗聴しているだけだから、目には見えていません。 でも、彼の目には、ハッキリと色がついたドライマンとクリスタが映っていたと思いました。
自らを犠牲にしてシュタージ内で左遷され、やがて壁の崩壊。 モノクロでモノトーンな人生だったヴィースラーにとって、初めて実際の目に映ったカラーが、ラストの本だったような気がします。
都会に遅れること数ヶ月、、、自主上映会にて3日間の限定上映。 ドイツの映画は、秀逸な作品が多いなぁ。
♪BGM〜『Lupin The Third JAZZ〜The 3rd』
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■感想予告■(映画見済・感想暫待) 『レミーのおいしいレストラン』 『オーシャンズ13』
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