Diary?
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お正月に、NHKでシルクロードの新シリーズを父と二人で見ながら母のことを思う。一緒に見たかったなと思う。
母は、それはもうシルクロードやらアラブ世界やらを愛していた。オタクであった。終戦直後、大学に進む女性自体がそう多く無い時代に、大学でアラビア語を学んだ人である。一体なぜアラビア語だったのか。それを尋ねておかなかったのが悔やまれる。そんな時代にアラビア語ができたからといって別に何の得にもならなかったらしく、しばらく貿易関係の翻訳などしていたようだがその後の人生はアラビアとは全く関係無く暮らしていた。しかしアラブオタクであった。「タリバン」にしても「王国のサバイバル―アラビア半島300年の歴史」にしても、まさか日本の農村で70代の婆さんがこの本を読破していたとは著者も出版社も思うまい。
そもそも気質としてオタクの素質があったようで、鉄道関係にもうるさかった。地図マニア、時刻表マニアで、やはり70代になってからのことだが「廃線になるローカル線があるから乗りに行ってくる」と一人で出かけて行ったりした。
母がそういう人だったので、私は「変人」についての基準が少しシビアだ。「私って変わってるってよく言われるのー」「彼はアーティストだから少し変わってるんだよ」などと聞かされても、うーんママほどは変わってないなと思ったりする。わがままで、高慢で、家事はまったく苦手であまりお母さんらしくはなかったけれど、とにかく見てて話してて面白かった。ほんと飽きなかったわ。
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