やがて楽しき

日々つれづれ、ときどきSMAP。


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やがて楽しき
2003年05月21日(水) オンリーの論理


綿密な根回しが効を奏し、仕事を抜け出すことに成功。シアターコクーンでNODA・MAP『オイル』を観てきました。

今回は殆ど予備知識ナシだったので、あまりにストレートなテーマと表現に驚いたし、役者各々の持ち味はバラバラだし、
スケール感という点では過去の野田作品に遠く及ばないように感じたのだけれど、
ラスト20分、息を詰めたままに涙が止まらない私が居るのでした。
ナンバーワンを理由に戦争を起こす者もいれば、オンリーワンを理由に戦争を起こす者もいて、
誰もが大切なオンリーワンであるならば、自分にとってオンリーワンな誰かを不条理に奪われた時でも、
奪った相手を恨まずに、復讐は悲劇を繰り返すだけなのだと、私は思うことができるのだろうか?
たぶん、できない。できないけれど、そう思える自分でありたいと思う私もいて、でも、やっぱりできないと思う私もいる。
それから、理性の部分では唯一無二の何者かに疑いを持ちながら、縋りたいと思ってしまう人間の矛盾と弱さ。

永遠に答えが出ない問題をストレートに観客にぶつける方法を選んだことについては、おそらく賛否両論なのだろうし、
台詞=思想だと受け取られてしまう危険も大きいだろうし、けっこう際どい勝負に出たのかもしれません、野田秀樹。
もしかしたら、いつもの気持ちよく観客を幻惑する芝居よりも、観る側が験される芝居なのかも。

客席に河原・ともさか夫妻。夫人は帽子を目深にかぶってはいたけれど、他の観客と一緒に普通に退場してました。
2人ともイイ感じの笑顔を浮かべていて、なんだか、とても幸せそうだなぁと思いましたよ。





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