一度うそをつかれると それから起こる出来事を信じることが出来なくなる。
信じないでいてもどうにもならないじゃないか、とわかっている。
のに。
昔、疑うことなど100%知らなかった濃縮ジュースが たった1%の他人のうそによって 濃縮ジュースになれなくなってしまった。 無条件にして人を信じることの出来ない うすく、あやふやな、たぶん果汁20%ぐらいのジュースだろう。
だけどその体は今までのように「100%果汁」と書いたラベルでまかれている。 でももう その中身は、100%なんかじゃない。 うそつき。
店先に並んだそのジュースは自分に対する人々の認識と 本当の中身が違うコトを知っていて、 棚の中で外を観察する。
人が自分のことをおいしいおいしい100%濃縮ジュースだと あたりまえのように思って棚の前を通りすぎる。 苦しい・・・・・・。
本当は違うんだ、本当はおいしくないんだ。
100%ジュースに戻りたいよ、 お願い、カンのふたをあけて濃い液体を入れて・・・・・・。 私には濃縮液が、必要なんです。
・・・・・・でも、100%として並べられているこの20%のジュースは 人が100%だと思いこんで飲めば、きっとわからないくらい 自然な味。
まさか中身が20%になっているなんて誰も想像すらしない。
だから、並べられている時も、人が飲んだ時も、
誰もそれに
気付かない。
ずっとずっと仲良くやってきた、隣の棚のパイナップルの缶詰すら それに気付かない。
「私は100%ジュースではなく、20%果汁の者です。 棚の場所が間違ってるんです、早く場所、かえてくださいね。」
と正直に言えば棚をかえてもらえるかもしれない。 だけど**ジュースは100%だ**というプライドを持って 生きてきたこの缶にとって そんなこと、 できない。
だから、そうしなくてもいいように 早く100%ジュースに戻ろうとしている。 必死だ。
だけど、できない
液体に染み込んでしまった砂糖が、果汁のフリをしているいろいろな物質が
100%果汁にもどしてくれない。
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