Love Letters
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2004年06月12日(土) 身代り


 昨夜

 諒を投げ飛ばした男の子とその母親、

 幼稚園生の妹が

 家へ来ました。



 玄関に出た私と諒を

 その母親と男の子はずっと睨んでいるようでした。



 こういう時のために「平謝り」という謝り方が

 あると思うのですが、




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 「遊びの延長でしたことです。」

 「諒君をターゲットにしていたわけではない。」

 「諒君のことをうちの子は嫌いではなく、

  寧ろ好きな方なんです。」



 息子に悪気はなかったと主張する母親の隣で、

 その男の子は最後まで謝りもせず

 諒を睨みつけたまま黙っていました。



 私は親子の鋭い目つきに怯えて、

 自分の声が震えるのがわかりました。



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 頭を下げたのは私の方でした。

 母親が渡そうとした大きな包みを


 「結構です。」


 と断ると、

 母親は顔を歪めて、


 「迷惑ですか?」


 と吐き捨てるように言いました。




 二度目の暴力。

 相手の子は無傷という状況も

 言い訳がましい形だけの謝罪も同じ。




 この母親が言うように、

 この母も息子も

 諒を憎んでいるのではないでしょう。

 ただ、

 他の誰かに対して

 強い憎しみを持っていることはわかります。

 その憎しみが

 ある日

 罪のない弱者に向けられるのです。



 被害者であるはずの

 私達を

 突き刺すように睨みつけるのは、

 私達が

 この母子の憎しみの対象の身代りとして

 選ばれてしまったからでしょう。



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小夜子

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