Love Letters
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私は
一人の人とお付き合いを始めると
結構長い方なので、
今までに経験した恋の数は
決して多いとは言えないでしょう。
それでも
かつての恋愛経験を振り返ると、
自分なりに
ルールみたいなものがあるようです。
例えば、
同時に複数の人と付き合ったことがないとか、
恋は盲目という言葉があるけれど、
私はそんな風にはなれなくて、
誰かを傷つけるような、
或いは
自分が傷つくような恋は
初めから避けているのだと思います。
そんな私だけれど、
一度だけ
密かに心惹かれていた上司と
一夜だけの関係を持ったことがあります。
私が
OLとして働いていた頃の話です。
その日、
残業で遅くまでオフィスで仕事をしていた私は、
5歳年上の上司に食事に誘われました。
彼と私は同じ課で、
職場ではいつも
冗談ばかり言い合っていました。
その日も
食事をし、お酒を飲みながら、
仕事の話、
学生時代の話、
お互いの恋愛の話などに
夢中になっていたら、
あっという間に
時間が過ぎてしまい、
彼の終電の時間に間に合わなくなってしまったのです。
「小夜子ちゃんのところに、泊めてもらおうかな?(笑)」
断ろうとすれば簡単に断ることが出来そうな
悪戯っぽい言い方でした。
その頃、
私は
実家からさほど遠くない1DKのマンションで
一人暮しをしていました。
『今夜は、一人で帰りたくないな。』
そう思った私は、
「じゃあ、家に遊びに来ますか?(笑)」
と軽い気持ちで言いました。
毎日机を並べて仕事をしている人。
スーツ姿しか想像出来ない彼に
抱き締められて、
キスされている自分が不思議でした。
書類を持つ指。
PCのキーを打つ指。
普段見慣れている仕事をする指が、
男の指になって
私のパジャマのボタンを外していく…
まるで
誰もいないオフィスで抱かれているような
そんな錯覚に陥りながら、
彼の愛撫を受けていました。
翌朝、
私は
二人分の和食の朝食を作り、
新婚さんみたいに仲良く食べました。
彼とはそれっきり。
その後もしばらくは
同じ職場で働いていましたが、
やがて
彼は他の支店へ異動になりました。
「また、会おうか。」
彼が異動になってから、
一度だけ家に電話があって
誘われたことがあったけれど、
その時、私は婚約していて、
もう彼に会うことはありませんでした。
彼は今どうしているでしょうね。
街ですれ違っても
お互い気づかないほどに、
お互いを忘れてしまっているかもしれません。
あの夜の記憶は
今でもはっきりと
呼び起こすことが出来るのに。
小夜子
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