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2002年10月06日(日)
■学会2日目■

 本日、学会2日目。内容や感想を簡単に羅列しておきます。


■シンポジウム(2) コーパスを利用した英語教育と英語・英文学指導−実践報告と今後の可能性−

▼コーパスを英語教育に生かす

 コーパスの言語教育における、直接的な利用(ex. concordance lineから傾向をつかませる)と間接的な利用法(ex.辞書作り)について紹介された後、authentic text(生の英語データ)利用の有効性について発表がなされた。発表者自身も述べておられ、筆者も思ったこととして、その学習の評価方法が挙げられる。「この人は、この語法を理解しました」と、どう判断するのか、その学習効果の測定法を考えていかないといけない。


▼コーパスを現代英語教育の共時的研究指導に生かす

 ここでは、大学で実際に行った授業についての報告がなされた。holidayとvacationの違いを調べさせた、とか、英語と米語の綴り字の違いを調べさせた、とか。その結果として、concordance lineを読むだけの英語力が学生に無く、英文解釈の指導も同時に行うハメになった、と嘆きにも似た感想を述べておられた。


▼コーパスを通時的研究指導に生かす

 英語史の指導におけるコーパスの利用について発表がなされた。正直言って、英語史にはあんまり関心が無い。印象的だったのは、「学生に受講理由を聞くと、『教職で必要だから』という答えが返ってきて、純粋に英語史に関心を寄せる学生が少ない」と軽い愚痴のようなことを仰っていたことだ。確かに、「英語史、おもしれ〜」と思う人は希少かもしれない。


▼コーパスを英文学研究指導に生かす

 発表者の口調が、とっても営業マン。滑らかで軽快なトーク、笑いも一番取れていた。お手本的プレゼンだと言える。内容は、ある作家の作品と、大規模コーパスを比較し、その作家特有の高頻度使用語彙を明らかにしようとした研究について。「それはどうなの?」と疑問に思ったのは、大規模コーパスと比較し、そこから得られた差が、本当にその作家特有の高頻度使用語彙と言えるのかどうか、である。大規模コーパスは、様々なジャンルの英語をまとめているが、その量が多いからという理由だけでは、その比較から出た差は、有効とは言えないんじゃないだろうか。と思っていたら、案の定、他の先生から、この点に関するツッコミが入った。それから、これを学生にやらせようとすると、その文学を読めるだけの英語力が無いと話にならないワケで、この点でも教育への利用に課題を残していると言える。


▼特別講演 Corpus Linguistics: past, present, future.

 1時間強の講演。もちろん英語、通訳なんて居るワケ無し。その後の質疑応答も、言わずもがな、英語のみ。聞いてて理解できたのは、「バランスの取れたコーパスは、作るのが難しい」ってコトと、「著作権の絡みがうっとうしい」、「パラレルコーパスを作りましょうよ」という3点のみ。落ち着いた口調で、眠気と格闘する先生も何名か見受けられた。それにしても、サラリと言われる英語のジョークは理解しづらい。



 というワケで、2日間に渡って開催された学会が終了。コーパスが、いろんな分野(文学・英語史・辞書編纂などなど)でガンガン利用されている現状を知ることが出来て、今後の参考(特に、英語教育)にしていきたいと思う。それから、兎にも角にも、己の英語力をもっと上げんことには、ジョークも分からんということを痛感し、今後も精進せねばと思う今日この頃。





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