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干しアンズ/手を振る
2003年09月07日(日)

旅行にしようと思っているので、ユースホステルの会員の更新をして、夜行バスの切符を買った。
青春18切符で行こうと考えていたのだけれども、9月10までが利用期間らしく、残念だが使えない。それ以外では夜行バスが一番安いらしいのだ。

バスで思い出すことがある。
ミャンマーにいったとき、首都ヤンゴンからマンダレーという観光都市へ移動しようと長距離バスの切符を2日前に買った。
その後、サギのような男の子にずっとつきまとわれてしまって、「一緒にマンダレーに行く」と言われて断わって、でも「行く」というのでほとほと困ってしまった。私はマンダレー行きの切符を捨ててしまった。
そして急遽「ピイ」という小さな地方都市に行くことにした。

ヤンゴンからピイまではバスで半日かかる。朝の11時に出発して夕方の6時についた。
日本の冷房付きのバスの中古だけど、もちろん、冷房は付かない。
窓全開で、適当な運転で進む。
その間、私は20歳前後の女の子の隣りに座っていた。
ピンクのパフスリーブのブラウスとスカートを来ている、地元の可愛い女の子だった。
地元の女の子は概して恥ずかしがりやで親切だ。
女の子は私に干しアンズのようなものをくれた。
私は一口にぽいっとくちに入れてしまって、びっくりした。甘いかと思っていたらものすごく酸っぱいのだ。女の子を見るとちびちび食べている。
どうやら、暑いこの国であるので、ちょっとずつ食べて清涼感を楽しむものであるらしい。
女の子は、私がすぐに食べてしまったのでもっと欲しいのかと思ったのか、そのあと3つくらいくれた。私は難儀しながらそのアンズをちびちび食べた。

昼過ぎの2時くらいに、バスは止まった。女の子を見るとうなずくので、どうやら休憩らしい。バスを降りて、レストランのようなところにはいった。
日本で小学4,5年くらいに見える、10歳すぎくらいの女の子たちが5人くらい働いている。外国人がめずらしいのだろう、私をちらちらと見る。
ひとりの女の子がそばに来てくれたのだけど、言葉がわからないので困ってお互いじっとみつめあった。すると女の子はぱっと離れて、今度は男の人を連れてきた。英語入りのメニューをくれたので炒飯とコーラを頼んで食べた。
出発らしいのでバスに戻った。窓から外を見ると、レストランの女の子達が外に出て来て、並んでじっとこちらを見ていた。
私は手を振ってみた。
ひとりの女の子が恥ずかしそうに振り返してくれた。
バスが出発すると、他の女子たちもみんなで振ってくれた。外国人が手を振るのがおもしろいのかな。
私もなんだか嬉しくていつまでも手を振っていた。




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