Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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| 2015年04月25日(土) |
RE:耳の枠はずし:タダマス「セヴンティーン」を読む |

明日はタダマス17です。
東京駅発のはとバスに乗って、謎の現代ジャズタダマスバスツアーに出かける前の日みたい。後方の山手線のみどり色にも注目。なんで?
街中で続いてく暮らし(小沢健二)。いろんな職業のみなさんが、タダマスに観客レギュラー陣のようにご来場たまわり、お友だちになり、耳の歓びは溢れて窒息しそうであります。
初回の入場者は後藤雅洋師、福島恵一師の二人だけであった(あと、喫茶茶会記店主福地氏)という、ホストの益子博之を含めて、ワタシにとって種々のメディアで耳の師と仰いでいた面々を前にして(!)かかった音源についての所感を述べるという、まるで生きてきた所業を告白させられる地獄の閻魔さまの前にひきずり出された罪人のようなシチュエーションでありまして、そのような強烈なスタートからかれこれ5年目に突入でございます。
デッドヘッズのように、がやがやと新しい響きを追いかけてゆくのであります。
月光茶房では、こないだはタダマス来場者と、昨日は「たださんの文章、読んでます」という青年とお茶しました。この青年、最近のECMでは黄緑色ジャケのイタリアのピアニストの盤が良いと、そう!あのジョバンニ・グイディの盤だ、ニセコロッシECM新譜ツアー■(番号1000番をつけて9枚のECM新譜を並べていたなんて、すっかり忘れていた)として、モーガン登用3作品をレビューした一枚だ。ちゃんと聴く青年は存在する。あな、うれしや。
タダマスでかかる10曲というのは、益子さんが四半期ごとに入手した4・50枚の新譜(この時点ですでにセレクトのフィルターはかかっている)の中から、現代ジャズシーンの兆候を示す10枚を選び、そこからそれぞれ1曲をピックアップしたもの。
この5年はとくに。CDショップではこれという盤に出会わなくなりましたね。
かつてはフールズメイトのレビュー記事や、FMファンのクロスオーバーイレブンの曲目表、阿木譲の文体、ジャズライフの清水俊彦コラム、ジャズ批評の福島レビューとか、渋谷メアリージェーンのCD棚とかにトキメいて暮らしていたリスナーでしたが、今は、益子博之のアンテナと月光茶房のCD山と福島恵一「耳の枠はずし」だけですね、このヒリヒリと耳の渇きを掻き立てるサウンドの在り処を予兆させるものは。
ほかのものはツアーパンフレットにさえなってない。
“後追いで「文物」として輸入可能な情報を披瀝するのではなく、リアルタイムで己の嗅覚/味覚だけを頼りにつかみとられたブツだけがゴロンと放り出され、生々しさが匂いたち、新鮮さが汁となって溢れ出る。ここで「茶会」とはそうした野蛮にして高貴な饗宴にほかならない。”(福島恵一)
なんでこんな曲見つけたの!どうやってこの盤を入手するに至ったの!と、ホストのわたしは尋問することに徹しているようなところがありますが。
“なお、多田雅範による告知記事もぜひ参照していただきたい。四谷音盤茶会での彼はもっぱらボケ役を自認しているようだが、いやいや、その前後の脈絡を断ち切るような断言の威力は凄まじい。それは慣習的な「ジャズ耳」の更新というような、これまでの地続きにあるものではなく、むしろ地球外から来た異星人の眼差しのようなところがある。あるいは周回軌道に乗らない「ほうき星」のように、核心を掠めながらたちまちのうちに彼方へと遠ざかる軌跡。その「無頼派」的破壊力が、益子の「構築性」を巧まずして照らし出し、また組み替えを迫る。その様は実にスリリングだ。” (福島恵一)
わはは。“前後の脈絡を断ち切るような断言の威力”。ううむ、音源を聴いたその場で思いついたことを言うことは、単純に楽しい。音楽は二度目と三度目と四度目では、おおよそ異なるようであるからだ。発見した良さは次々に捨てられるデートのように楽しい。
福島恵一さんから告知記事をいただきました!
タダマス「セヴンティーン」を読む ■
森高千里の17才でないか、いや、福島さんなら南沙織でしょう、と楽しみにしていましたが、今回もまた読みははずれましたね。
ううむ、これは皆で腕をくんで黙り込んでしまうほうに一票。 トーマスモーガンが凄い!というのは世の真理であり、しかし、言葉で説明できないところがなんとも。 聴いてしまうのは、何度も聴いてしまうのは、耳が追いかけ続けてしまうのは、そこに「謎」があるからだ、とは言ってはみたものの。
これまでの福島さんの告知記事をまとめておきます。 (近々福島さんのタダマスレビューをプリントアウトして持ち運べるようにするです)
批評ユニット「タダマス」デビュー ■
「タダマス」の二丁拳銃 ■
タダマス三度目の正直 ■
タダマスの四大元素 ■
「タダマス」の五輪の書 ■
「タダマス」の第六感 ■
「タダマス」の第七の封印 ■
「タダマス」の八点鐘 ■
「タダマス」の九尾の狐 ■
「タダマス」の『デカメロン』(十日物語) ■
タダマスの「11人いる!」 ■
タダマスのマジェスティック12 ■
「タダマス」のパン屋の1ダース Baker's Dozen for "TADA-MASU" ■
タダマス、バッハを弾く TADA-MASU Play B(2)+A(1)+C(3)+H(8)=14 ■
タダマスの「9月15日」 ■
タダマス「十六(歳)」メドレーを歌う ■
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