Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2015年02月28日(土) 「ピーちゃん(井谷)は天才です」






喫茶茶会記へ。

2015年 2月 28日(土) open 19:00/start 19:30
橋爪亮督 - tenor & soprano saxophones
加藤崇之 - electric guitar
井谷享志 - drums, percussion

企画としては橋爪と加藤の初共演、に、井谷を加えた経緯のライブ。

ぼくは、加藤崇之の名盤『Guitar Standards』を聴いて、藤井・田村・加藤・エリオットシャープの完全即興ライブ、たしか狭山だったかな)、加藤さん本人とは「あれは面白かったね、CDにもなってるよ」「ええっ?」、演奏のジャズ強度といい、求心力、冒険力、まさに神のようなギタリストだ。『Guitar Standards』は、再プレスも売り切れになってたそうだ。

橋爪亮督は、マーク・ターナーと並べてECMがその才能を開放すべきだと考えている、わしがじゃ、益子さんもじゃ、世界に耳は付いておるんか、という神サックス奏者、底知れずの。

ナタの切れ味シンザン、と、天馬ディープインパクト、みたいなもんです。はあああ。

井谷享志は、ソロ『なんか夢みたい』をタガララジオの草稿としていたままだが、図書館ユニット「ライブラリ」、「ライブラリ」については福島恵一さんのライブレビューをこそきちんと参照熟読いただきたい、おいらが20年前から追っかけ状態になっていたザ・ギタリスト平井庸一のクール・ジャズ・セプテット(とかいろいろある)で叩いていたのは井谷だったとうのは最近まで意識していなかった(!)、な!なんと!、多田が追っかけと自称していてもその程度なのかっオオボケオヤジ、それはそうとして、平井のエルメートパスコアールプロジェクトも井谷だ、

それにしても福島さんのライブレビューは、すごいな。事態の凄さを、明確に捉えている。あ、上から目線になってる?読みながら、ジグソーパズルがカチッカチッとはまって視えてゆく知的快楽。完璧なチームワークによる「なかまわれ」、なんてたまんない表現だ。音楽の謎であることの謎の存在証明、みたいな。

そうそう、それで。

加藤崇之は、開演コメント?で「是安によく言っていたんだけど、怒っちゃヤーヨ的なかんじで、よろしく(笑)」と。

いやー、井谷のパーカッション即興の、局面局面のスイッチ切り替えを果たしてしまう天然的大きさ。鬼才加藤の近作をタダマスで益子さんに聴かせてもらって、その引き出しの宇宙的な拡がりというか、ギタリストを超えたサウンド作り(といっても即興なのだ)にぶったまげていたものだったが、この日の加藤の縦横無尽に対して、スッと空間性を拡張してしまう井谷の打音。

シンザンとディープインパクトが競っているコースの外側コース外を暴走する井谷、という。

萩原朔太郎賞の詩人三角みづ紀さんが「ピーちゃん(井谷)は天才です」なんて言っていたっけ。ソロCDを聴いて、その価値に気付いていたつもりだったが、いやはや、こんなにだとはー。

7月に土取利行、エヴァン・パーカー、ウイリアム・パーカーが共演するけれど、もちろん焦点は惑星ウイリアム・パーカーの存在。おれはねー、井谷にウイリアム・パーカーと共演させるべきだと思った。もちろん、その思考にはミルフォード・グレイヴスが念頭にある。すなわち、井谷はミルフォードの大きさがあると、そういう直感なのだ。

そう。それは、正しく70年代的な、もしくは20世紀的な感覚的発想なのかもしれない。オッサン、古いよ、自分でもそう突っ込むかなあ。

この日の橋爪のことを書いてないや。橋爪は響きのトーンに重心を込めて、加藤と井谷の空間をグライダーのように飛翔しているようでもあり、サウンドを地上にとどめておくのに懸命であるようにも聴いた。

ラストのコンポジション、「When We Were Boy」、橋爪の独壇場となった旋律。いやはやこれには涙した。いい旋律を書く。いい音色だ。いい演奏だ。まだCDに収録されていない。きくと、橋爪は、今日の3にんのことを思ってできた曲だという。はよ、CDにしておくれ!


思うに。即興演奏をいろいろ聴いてきたけれども、新しい世代はほんとに新しく乗り越えて新しいのだな。井谷は「こないだ Magda Mayas と演ってきました、よかったですよー」なんて、言っている。


加藤さんに安田芙充央との共演のことをきいたさ。安田はキレてるからねー、井谷くんがキレている存在なのはこないだわかったからね、と。


ね。そういうこと。


そうそう、でもね!橋爪が、次の演奏は加藤さんとふたりで会話してみたいので、ダメになったら入っていいけど、と井谷に目配せして、お、これはバラッド橋爪とアコギ的加藤とのインプロが始まるか!と息を詰めてインする沈黙の瞬間に!井谷がゲートを突破する暴れ馬のようにドン!打音を目をまん丸にして。橋爪、もう?笑、井谷を見る。観客も笑う。結局何事も無かったようにトリオ即興に突入。おれは、そこはデュオ聴きたかったぜ。まー、ピーちゃんだから許すか、みんなそんな笑顔の相。



Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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