Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2013年10月25日(金) 変身




養老天命反転地、高野山、東大寺お水取りを知って、

わたしは死ぬということに特別な感情を持たないようであったのだ。

アニメ「時をかける少女」も、ももいろクローバーZも、するする配置されている。

ママとこの世での最期の見つめ合い、病室のドアで「じゃ、おれ帰るから」と互いの顔を5メートル越しに、わかっていたし、

肩につけて奈良までドライブしてお水取りの深夜の仏壇に上がる炎の中に送ってきてあげたし。

おれも、じき、そこに行くんさ。

きっとそこは親も子も男も女もない、

いろんな時代の日本語の音声が複数の次元で響いているだけの場所なのだ。

悲しいことではないんだ、さよならなんだ。


・・・なんや、最後がソラニンの歌になってるじゃんか。

それにしても、「たださんガン家系ですね、ガン保険どうっすか?」「たださんに保険金掛けるからお金おれがもらう!」と喫煙所で話すゲスな野郎ばかりな東京下層民である。非正規労働者はすさんでるよー、いろんな内面が溶けてら。

おれも大差なし。



フォッフォッフォッ(バルタン星人か!)、井の頭線池ノ上駅から歩くと教会には17時50分に到着し4番目に並んだ。入場して席を確保し入り口のテーブルを見ると・・・、ANDERS JORMINというクレジットのECMぢゃないCDが!しかも今年リリース!

しかも山積みは4枚だけ!しかも値段が表記されていない!スウェーデン盤限定で3000円ということもあり得る!

世にも恐ろしい「所持する紙幣はCD交換券としか思わない」マニアECM者の血がむくむくと沸き立つ、CD棚の背を一瞥するだけで貴重盤を見分ける眼に、LPのエサ箱を1分に120枚を上下させる指先が吸盤になったハンマー型の指に、ディスクユニオン新宿店からタワーレコード新宿店まで秒速2m15cmで走る足に、かわいい店員にお姉さんの好きなジャズ盤1枚をおしえてください買いますからと言えてしまう毛の生えた心臓に、変身してゆくおれ。

CDの売り子なぞしたことのなさそうなワイシャツ姿の青年に、(これ、はい!)と突き出すが、変身してしまっているので、「ん」と「ぐ」の中間の唸り声を低音で放っているだけのようになってしまう。「あっ!えっと、・・・えっと2000円、・・・です、あの・・・、値段がついてなくてスミマセン、スミマセン・・・お買い上げ、で、ですかあああ?」、そんなにこのおれが怖いかー!バシッと1000円札を2枚財布から取り出して押し付けるように払うおれ。

財布が1000円札がもぬけの殻になっているのが、教会の薄暗い天井からのライトに映されている。

青年は、この52さいのオッサンが、いかに家族や仕事や人生を顧みずに、CDを買ったりコンサートをはしごしたりして生きてきたことを見抜いて祈るのであった。アーメン。

あとからジャックが「そ、それはどこにあったんですか!」と羨望の眼差しで目を血走らせている。うおおお、この優越感!た、たまらんずらー。

さっきCDを読むと、おおおっ、ヤーミーンとLena Willemark とシンフォニエッタとコーラスとの共演盤ではないか。ヤーミーンはクラシックの素養もあるのかー。でもアイヒャーのお眼鏡にはかなわなかった?アイヒャーは忙しかった?アイヒャーはヤーミーンのベース・センスにしか興味がないとか?

聴いてみると、気持ちはわかるが、突き抜けたものは無いなだらかな音楽だった。

それにアマゾンで2206円で売ってるし。


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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