Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2010年12月22日(水) les écoutis le caire / Gilles Aubry & Stéphane Montavon



福島恵一さんが吉祥寺のカフェ・ズミで「最近良かったもの」と紹介してかけて、若いリスナーに評判が良かったという2枚、
の、うちの1枚が届いたので聴きました。

このCDショップでは「サウンドスケープス Soundscapes」と分類されている。

一聴してサウンドの解像度がちがう。位相の重層ぐあいも。

地下の空間に投げ出されたようでもあり、重なった空間の厚みというのか、匂いとか風圧に圧倒されるというのか、
とにかく、おお、この表現のパースペクティブならば、おびただしい過去の大半を無効にしてしまって前に進めるな!と、おれは思う。

フィールドレコーディングでもノイズでもインプロでもロックでも聴くことができない、
いわば、どう歩いていいのか、空中を足をじたばたさせてしまうような、耳の事態に遭遇することにもなった。

そして、わたしの場合すぐにサウンドの物語化をしてしまっている、「ここは地下空洞だ」「作業着を着て電気配線をいじくっている」「天井の穴からはマンハッタンの街の大通りの騒音が響いてきている」というふうに。
そういう形容によってサウンドを貶めてしまう、おのれのキケンな欠点にも気付き、気付くがゆえに、なにか、このままの耳のアンテナではちょっとマズイぞ、と、そんな切迫感にのどが渇くような気持ちになっている。

2010年か。

どこか現代ジャズとも接続し得る、ケージのmusicircusやユーロペラとも共鳴する、また浅底のアヴァンロックや音響派は退場を迫られるような、土壌を新たにしたJポップの花が咲きそうな、そんな気がしている。

『les écoutis le caire / Gilles Aubry & Stéphane Montavon』


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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