- 2008年03月08日(土) 家に着いた。 家族はぼくたちのことを兄弟のように扱う。 向こうは、クラスメイトであり家族である、というぼくの存在に違和感を覚えたりしないのだろうか。 いちばん近い感覚は「双子」だろうか。 「あーあ。」 と、ジャージ(ぼくのものではない。どこから出現したのかは知らない。)に着替えた彼は、ベッドにごろんとうつぶせに転がり、ペットボトルのコーラを傾け、ポテトチップスを食べながら少年マガジンを読み始めた。 ぼくは帰宅すると、テレビを見たりゲームをしたりしながら寝てしまう。 ベッドを背もたれにしてテレビ画面に向かい、サガフロを始めた。 プレステ2のコントローラを持ったままうつらうつらしていると、母の夕食コールに起こされた。 ふたり揃って階下に降り、夕食を摂る。 ぼくは一人っ子だったはずなのだが、今日から突然増えたもう一人のぼくの分もきちんと用意されている。誰もそれを不思議に思ったりしていない。 「今夜はカレーよ。」 見なくてもわかる。 匂いが二階まで漂ってきていたから。 なのにデフォルメぼくは 「いやっほう!」 と、また見ているほうが気恥ずかしくなるような歓声を上げて小躍りしている。 と、そのとき気づいた。 母がどうやら、デフォルメ母だ。 ひらひらのフリルのついたピンクのエプロン、胸元にうさぎの刺繍。 髪の毛は後れ毛がはらはらと垂れ落ちているものの、上品さを損なわないまとめ方をされている。 そして、その優雅なしぐさ。ことばづかい。 普段の母とは顔だけが同じで、あとはまったくの別人だ。 そしてお膳は3人分しか用意されていない。 父は単身赴任中だからまあいいとして、本物の母はどこだろう。 この家の中に家にいるんじゃないのか。 「いっただっきまーす!」 「おかわりもあるからね。たくさん食べなさい。」 本物の母は姿を現さない。 おいしいカレーを食べながら、ぼくはちょっと不安になった。 -
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