いぬ - 2007年10月08日(月) 携帯に「ドラえもん」をダウンロードして読んでいるのだけど、「ドロン葉」というお話で不意を突かれてちょっとうるっと来てしまった。 危険や災難が迫ったときに姿を変えてそれを免れることができるという道具で、のび太は近所の「ベソ」という犬にそれを使う。ベソはその名も「キョーボー」という凶悪な飼い主から虐待されている不幸な犬なのだが、のび太の仕掛けた「ドロン葉」の効果で、キョーボーと身体が入れ替わり、逃げ出してしまう。 それからの描写がすばらしい。 それまで散歩に連れて行ってもらえずつながれっぱなしだったベソは、初めて見る外の世界に嬉々としてあちらこちらを走り回る。草野球の試合にも混ざり、周囲を驚かせるほどの俊足で(犬だから)あっという間にベースを一周してしまう。 それをのび太とともに見守っていたしずかちゃんのセリフ「自由にとびまわれるのがうれしくてしようがないのね」が、ぐっとくる。 キョーボーの身体でうろうろしているわけだから、見かけは当然犬ではなく人間だし、犬だから何もしゃべらない。ただ無表情で走り回ったり、バットを振ったり、塁を回ったりしているだけ。 でも、何も自分をつなぎ止めるものがなくなったときの、身体いっぱいで喜びを表しながらただひたすら走り回る犬の様子が、ちゃんと伝わってくるのだ。 これは犬を知ってる人じゃないとわからないはずなので、たぶん犬を飼ってた経験なんかもあるんだろうけど、それにしても、犬自体の絵はどこにも描かれていないコマの中から、なんでこんなにひしひしと犬の気持ちが伝わってくるんだろ。 この人、ほんとにすごい漫画家だな、と思った。 帰宅したベソは「なぐるならなぐれ!いつもおれがやってるように。」と腹をくくるキョーボーを前にして、そっと「ドロン葉」の効果を解除し、お互いを元の姿に戻すのです。 驚いて言葉を失うキョーボー。 「ベソ!………。」 日はとっぷりと暮れ、窓から漏れる居間の明かりがふたりを淡く照らします。 キョーボーは何も言えず、涙を流しながら、ベソをしっかりと抱きしめます。 ベソは穏やかな表情で飼い主に身を任せ、ただしっぽをぱたぱたと振るのでした。 あああああ!! 犬だよ、これこそ犬なんだようう!! どんなにひどい飼い主でも、こうやってひたすら一途に慕ってくれるのが犬なんだよおおうう!! このときのベソの表情が、もうだめです。 この穏やかな表情。 ベソおおおお!!! -
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