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2009年06月01日(月)
純喫茶パール



































広島駅前に、私が物心ついたときから、ずっと気になっていた建物がある。

「純喫茶パール」

創業は昭和24年。広島のカフェ・喫茶店の歴史を半世紀以上、ずっと刻みつづけている、広島の老舗喫茶店。そのヨーロッパの街角にあるようなレトロな建物、独特のクラシカルな看板、そしておしゃれな螺旋階段・・・すべてが夢に出てきそうなノスタルジックにあふれる佇まい。

純喫茶パールにて現在、純喫茶好きな若手6人によるアート展「真珠座」が行われている。と、いうことで、先日ひさびさに、この純喫茶パールへ訪れてみた。ただし、このアート展そのものが目的ではなくて・・・、螺旋階段を上がって普段は入ることが出来ない2階へ入ることができるから。以前より、螺旋階段のその先はどんな空間なのだろうと気になっていたので

入り口には、いつものように、ご主人の女性が、カウンターに座って、電車通りを眺めてながら佇んでいる。「アート展を見させてください」と語りかけると、こころよく「どうぞどうぞ」といってくださった。螺旋階段には、きょう届いたであろう郵便の封筒が並べて置かれていた。その封筒をよけながら、クラシカル螺旋階段を登っていくと、そこには、1階よりさらに昭和的な空間が広がっていた。’カウンターの奥は、さすがに荷物置き場のような感じだったが)

大きなカウンターには、「パール」の文字が刻まれ、トナカイのお顔が設置されている。1階と同じ、年季の入った赤茶色の小さめのソファーがたくさん整列されている。かなり年代モノで、へたっているのであろう、座るとお尻がズボッとはまってしまうソファーもある。電車通り側の窓からは、広島駅と広島電鉄の猿猴橋町電停が見渡せる。使われていないショーケースや、昭和的な照明なども、なんだかおしゃれだったりする。

びっくりしたのは、中庭があること。砂が敷き詰められ、石が置かれている。(アート展の作品も展示されていた)当時の喫茶店は、中庭・庭園・噴水などが当たり前だったのかもしれない。

アート展は、ごく小さい催し。前衛的なので、自分なりに作品を解釈していかないと・・・という感じではあった。テーブルの上に映写機が置かれ、モニターから映像映像作品を見ることができる。写真やオブジェなどが展示されていた(美容室にあるマネキンをも作品にしていたくらい、前衛的でしたが)

螺旋階段は、3階に続いている。(3階は、いまはご主人がおすまいのようです)この2階の席にも、きちんとメニューが置かれている。そう、開催中は、この2階でもコーヒーなどいただけるのです。1階でお店の女性にひと言「2階でいただきたい」と言ってくださいね。

1階に下りて、さっそくコーヒーをいただくことにした。もちろん「ブレンドコーヒー」パールならではの「ピーナッツ付き」銀色の入れ物に入れられたお砂糖入れとミルクピッチャーも同時に運ばれてくる。


1階では、多くの人は窓際に座っている。大きな窓にあやしい赤のレースのカーテン。若い大学生のカップルが1組座って、ミルクセーキを飲んで楽しそうに語らっていた。ミッドセンチュリー好きな若者にとって、たまらないお店だろうな。きっと。そして、長年の常連客であろう、おじさまたちも。みんな、同じように窓際の席に座って、同じように両手で新聞を開いて持って読んでいる。なので、お顔が見えない・・・みんながその姿なので、僕は見ていて、とてもおかしくて。僕のすぐ近くの席に座られているおじさまは、競馬新聞とにらめっこ。ときおり赤いペンで書き込みを入れている。そんなおじさまたちは、不思議とみんな「ブレンドコーヒー」。たくさんメニューがあったとしても、やはり定番のブレンドなのですね。おじさまたち。


コーヒーの湯気のせいだろうか、壁や昭和的なすてきなデザインのランプなどは茶色になっている。赤茶色のソファーの席数は60席くらいはあるだろうか。かなり広いのです。だからひとりひとり、思い思い過ごすことができる。おすすめは電車通りの入り口側ではなく、奥の席。静かにゆったり(音楽も流れていない)。平日がいいだろう。と、いうのも、土日は、競馬開催日なので、入り口近くのテレビに加え、奥のテレビも付けられ、競馬専門チャンネルが流されているから、ちょっぴり騒々しい。


時代を超えた、市民の社交場。いまでも、広島駅を利用する乗降客や、長年の常連客、そして若い人たちに愛され続けている。南欧あたりの「バール」的なお店なのであろう。

純喫茶パール
南区松原町5-4
6:00〜18:00
定休日=水曜日
アート展「真珠座」は、6月13日まで。着席の際はぜひ1オーダーを。

















広島駅南口、松原町や猿猴橋町の辺りは、こうした老舗の純喫茶がいくつも点在する。喫茶マツヤも、木造の3階建て吹き抜け構造で、テーブルから猿猴川を望むことができる。隣のお店では自家焙煎の豆を売られている。ムーンにブランカ・・・昭和の喫茶店文化が、まだここには残っているようだ。



コバルト

広島在住
文筆とカメラとここちよい暮らしが好き
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