橋本裕の日記
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2005年10月25日(火) たのしい8人クラス

 CPILSの授業は、マンツーマン・クラス、4人クラス、8人クラスの3つのタイプに分類される。マンツーマン・クラスと4人クラスの先生はフイリピン人で、8人クラスはアメリカ人やカナダ人などのネイティブが担当している。

 オリエンテーションテストで成績が「1」と認定された生徒は、8人クラスに出席できない。さいわい私は「3」の評価なので、8人クラスに参加することができた。日本人は新入生の私とあずみの他、前からいるケンとマサヒコの4人で、韓国人の生徒は、アンジェラ、センディ、ボブ、ミキの4人だった。

 先生はレベッカというオーストラリア人の女性である。独身で年齢は20歳代後半ではないだろうか。笑顔の素敵な愛嬌のある白人女性だった。家族の写真を何枚か見せて貰ったがお父さんは牧師だが、とても温かく自由な家庭で、兄弟や姉妹もそれぞれ個性的なキャラクターのようだった。

 レベッカはフイリピンに来るまえは韓国の高校で教えていたという。日本に旅行したこともあるそうだ。必ず授業の最初に一人一人に声を掛け、「How are you? 」と様子を訊いてくる。休み明けにはもっとくわしくどんなことをして過ごしたか、一人一人に語らせ、自分も楽しそうに話してくれた。

 この先生のもとでクラスの雰囲気は伸び伸びとしてとても明るかった。映画をDVDで見ながら、登場人物のセリフの意味をみんなで考える授業が多かったが、これには私をはじめ多くの学生がなかなか答えられなかった。一番よく答えていたのはあずみで、彼女はたくさんの映画を原語で見ているようだった。そのうえカナダ人の恋人がいたから恋愛の機微にも通じているらしい。

 ビートルズの歌を聴いていて、「head in the hands 」という表現が出てきたとき、レベッカがどんな状態か身振りで示してみなさいというが誰もわからない。私が「It's very difficult」と言いながら両手で頭を抱えると、レベッカは「Shin、Right ! Very Good!」と誉めてくれた。これはとてもうれしかった。

 印象に残っているのは、「嘘つきコンテスト」の授業だ。これは8人が自分を紹介する3つの文章を作りみんなの前で発表する。ただし、3つのうち一つは嘘である。これを聞いて、残りの8人(レベッカも参加)は本人に質問を浴びせかけ、何番目の文章が嘘かを各自が判定するわけだ。私が作った3つの文章を紹介しよう。

(1)I have three hauses in Japan.
(2)I use the internet every day
(3)I have never said " I love you" to others.

 どういう訳か、大半の人が(1)が嘘だと見破った。(3)については、「それでは奥さんになんと言って愛を告白したのか」という質問がでて、はじめのうちは信じられないという反応が多かった。とくにレベッカが大変驚いていた。

 欧米では毎日のように「 I love you」を口にする。フイリピンでも同様のようだ。韓国と日本の学生に意見を聞いていたが、やはり日常的にはそれほど口にしないという人が多かった。しかし、一度も口にしないというのは理解できないという意見が大半を占めた。

「Shinは奥さんや娘さんを愛していないのか」と聞くので、「もちろん愛している。そんなこと口にしなくても、心と心で通じる。言葉は問題ではない」と答えた。これでこの問題に一応決着がついた。

 もっとも最近は私もときどき妻に抱きついて「愛しているよ」と口にする。妻は薄気味悪そうにしているし、大学生の娘にこれをしようとすると、「もう、おとうさんあっちに行って」と嫌われる。なかなかフイリピン流にできそうもない。


橋本裕 |MAILHomePage

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