橋本裕の日記
DiaryINDEXpastwill


2005年04月24日(日) 心に響く謝罪の言葉

 中国の温首相は、日本の安保理常任理事国入りに反対したが、インドの常任理事国入りには賛成した。アジアの将来をになうのは日本ではなく、日本抜きにした中国とインドであると、はっきり意志表示したわけだ。

 こうした一連の中国の動きに触発されて、小泉首相は4月22日アジア・アフリカ会議(バンドン会議)で、10年前の村山首相の「日本による侵略と植民地支配」に対する反省の表明談話を引用して反省とお詫びの表明を行った。

 しかし、同じ日に麻生総務相と複数の副大臣らを先頭に自民党・民主党の80人の国会議員が靖国神社を参拝している。これでは何のための謝罪とお詫びかわからない。小泉首相がどこまで本気で日中関係の修復をはかろうとしているのか、疑われても仕方がない。

 実際中国外務省の秦剛(チンカン)副報道局長は、「現在中日関係が厳しい情勢にあるとき、日本政界の一部の人が大局を顧みず消極的な行動をしたことに対して強烈な不満を表明する。彼らが両国人民の根本利益をふまえて、責任ある行動をとり、中日関係の改善と発展に有利になることをするよう希望する」という談話を発表している。

 支離滅裂な日本の外交と対照的なのがドイツ政府の一貫した姿勢である。1月25日、ベルリンの国立劇場で開催された国際アウシュヴィッツ委員会による追悼行事で、シュレーダー首相はこんな演説をしている。梶村太一郎さんの訳で、一部を紹介しよう。

<現在生存しているドイツ人の、圧倒的多数は、ホロコーストに対する罪を負ってはいません。しかしながら、彼らは特別な責任を負っています。国家社会主義の戦争と民族虐殺を心に刻むことは、私たちの生きた状態の一部となっております。かなりの人々にはこの一部が堪え難いのであります。

 しかしながら、この心に刻むことが私たちの国民的アイデンティティーに属していることが変わるものでは全くありません。国家社会主義の時代とその犯罪を心に刻むことは、ひとつの道徳的義務であります。私たちはこれによって、犠牲者、生存者、また彼らの係累に対してのみ責任があるのではなく、否、私たち自身にとっても責任があるのです。

 淑女、紳士のみなさま、

 忘れてしまおうとすること、記憶を抑圧してしまおうとすることの誘惑が、大変に大きなものであることは確かです。しかし私たちはそれに負けてしまうことはないでしょう。

 ベルリンの中心部のホロコースト警告碑の石柱の広場は犠牲者たちに生命も尊厳も返すことはできません。生存者と彼らの子孫たちには、たぶん彼らの苦悩の象徴となりうるでしょう。私たちすべてにとっては、忘却への警笛として役に立つでしょう。

 ここで、私たちに確かなことは、私たちが、かつて国家権力によって、自由と正義と人間の尊厳が踏みにじられことを忘れるならば、自由も正義も人間の尊厳もあり得ないということです。ドイツの多くの学校で、企業で、労働組合で、また教会で私たちの手本になることが行われています。ドイツは自らの過去に立ち向かっているのです>

 小泉首相は23日夜(日本時間同)、ジャカルタ市内のホテルで中国の胡錦涛(フーチンタオ)国家主席と約50分間会談した。会談終了後、首相は英語で記者団に「非常に良い会談だった」と語ったという。

 しかし、胡主席は、記者団に対し「最近の日本の歴史や台湾問題でのいくつかのやり方が、中国とアジア関係国の人民の感情を傷つけた。中国やアジアの人民の強い反応は、日本の反省に値する」と述べたという。

 シュレーダー首相の演説を胡主席は読んでいるだろう。小泉首相にも全文をよんでもらいたい。そして相手の心に響く言葉がどんなものか、参考にして貰いたい。


橋本裕 |MAILHomePage

My追加